『西武園競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月18日

 西武園競輪開設71周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」は、4月18日に最終日を迎えた。最終12レースで争われた決勝戦は、赤板の2コーナー手前で主導権を握った野口裕史が、別線に反撃の隙を与えず堂々の逃げ切り勝ち。記念初優勝を無傷の4連勝で飾った。また、6レースの「第3回ガールズフレッシュクイーン」は、先行した尾方真生の後ろから直線鋭く伸びた増田夕華が制した。

決勝戦 レース経過

 再発走となったレースは、やや見合ってから園田匠、町田太我が誘導員を追い、町田-園田が前受け。以下は村上義弘-高橋晋也-守澤太志-宿口陽一-野口裕史-岡村潤-萩原孝之の並び。
 赤板前から野口が上昇の気配を見せるが、これを制して中団から踏んだ高橋がホーム過ぎで誘導員を下ろす。先頭に立った高橋がペースを落とすと、野口は打鐘前2コーナーからすんなり先頭に。単騎の村上は南関ラインに乗り換える。8番手になった町田は3コーナーから叩きに行くが守澤のけん制で大きく外に膨らみ不発に。2コーナーからは村上が先まくり。タイミングがかぶった高橋は村上に続く形からバックで持ち出すが、野口のかかりの前に2人とも伸び切れない。最後は岡村の追撃も振り切った野口が無傷の4連勝で記念初制覇。まくり不発の高橋マークから守澤が3着に強襲した。

野口裕史選手
野口裕史選手

 34歳のオールドルーキーとしてデビューしてから4年と9カ月。ハンマー投げで日本一の実績を持つ野口裕史(写真)が、競輪でも一番強い勝ち方“先行”で記念決勝を制した。
 「こんな日が来るんですね。千葉の先輩に優勝だって言われてドッキリかと思いました(笑)。未だに信じられない」
 赤板の2コーナー手前で主導権を握ると、フカし過ぎた準決勝の反省を生かした絶妙なペース配分でレースを支配。その後も別線の反撃を許さず、最後まで力強く踏み切った。
 「(決勝は最終)ホームくらいがマックススピードになるように踏んでいきました。今回はとりあえず4日間バックを取るっていう目標で来ていたので、それだけはやろうと。ロングディスタンス勝負の方が僕も後ろ(岡村潤)も力を出し切れると思ったので」
 適性出身で自転車経験が浅い野口にとっては、先輩からの助言もこの結果に大きくつながった。
 「今回は流行りの大きいフレームも持ってきていたけど、前検日の指定練習で成清(貴之)さんにすぐ戻せって言われて、前回の(前橋FIで優勝した)フレームに戻しました。強い人のマネも大事ですけど、自分が気持ちよく乗れるのが一番ですね」
 次走は初参戦となるダービーだ。
 「今回の走りで自信も付いたし、体調を整えて迎えたいですね。今後も自分のスタイルでどこまで点数を上げられるか、通用するかやっていきたい。歳を取ったらこういうレースもできなくなるので、自分が今できる一番のパフォーマンスをして、内容を意識して走っていきたいです」
 年下の若手機動型相手にも、まだまだ持ち味のパワー溢れる先行勝負で立ち向かっていく。

 番手の岡村潤は、最終2センターで村上義弘をけん制し、直線で野口に詰め寄るも2着でゴールした。
 「詰めの甘いところが出てしまいました。でも今の調子ならやったほうですね。今日(決勝)も準決勝と同じような展開になったけど、野口が少し遅らせて踏んでいったのでカカリも良かったです。連日、前の先行選手に助けられました。今回は練習をやり過ぎていたので、ダービーはしっかり調整していきます」

 最終2コーナー4番手から村上がまくった上をバックから高橋晋也も仕掛けるが、なかなか車は進まない。守澤太志は2センターから高橋の内のコースを踏んで3着に入った。
 「展開は考えていた通りになったんですけどね。(高橋は)行けるかなって思ったけど、村上さんの動きでタイミングが狂った感じになった。内も見たんですけど厳しかったです」




6R ガールズ フレッシュクイーン レース経過

 スタートで永禮美瑠、西島叶子が飛び出して誘導員を追い、永禮、西島、吉岡詩織が前団。後方を嫌った尾方真生が青板の2コーナーから上昇して4番手、増田夕華の前に入り、さらに車を上げた高木佑真は尾方の前へ。高木の動きに続いた下条未悠が赤板前から上昇すると、この動きに高木が乗り換える。
 誘導員との車間を切っていた永禮は打鐘で下条を受けて2番手に。2センター、5番手から仕掛けた高木が最終ホームで先頭に立つと、この動きに乗った尾方がすかさず1コーナーから叩いて最終主導権を握る。周回中から前に尾方を入れて、この仕掛けに続いていた増田がゴール前で逆転。3代目、フレッシュクイーンの座に輝いた。やや離れた3番手は高木と永禮で併走、その後ろから西島も仕掛けたが、外併走で踏み勝った永禮が3着争いを制した。

増田夕華選手
増田夕華選手

 デビュー2年未満の116回生と118回生による「第3回ガールズフレッシュクイーン」を制したのは、先行した尾方真生の後ろから直線鋭く伸びた増田夕華(写真)だった。
 「まさか獲れると思ってなかったのでうれしいです」
 青板のバックで後方から上昇してきた尾方の後ろを確保すると、そこからは必死に尾方の後輪に食らいついた。
 「自力が多いし、自分の力を使って前々に行こうと思っていたけど、尾方さんが上がってきたので、自分では動かず待ってっていう形になりました。(尾方は)ダッシュが良いので踏み出しだけ集中して一生懸命踏んで、ちぎれないようにしようと思いました。展開が良くて直線でちゃんと抜け出せたので良かったです」
 3月名古屋で初優勝を飾るなど、近況の成績は右肩上がり。3代目フレッシュクイーンの今後の活躍に注目だ。

 一番人気に推されていた尾方真生は、果敢に主導権を握るも末を欠いて2着でゴールした。
 「(打鐘の)4コーナーくらいで誰も行かなかったら、仕掛けようと思っていました。風が強くてペースに入れられなくて、(最終)4コーナーから踏み直す脚はなかったです。力は出し切れたし、最近はレースも良くなってきていると思うので、グランプリに出れるように頑張っていきたいです」

 最終1センターから増田を追いかけた永禮美瑠は、高木との併走から直線で伸びて3着に入った。
 「メンバーと展開的にまくり合戦になるだろうなと予想していたので、スタートは前で構えました。それが自分の良さを一番生かせるかなと思ったので。外併走は苦しかったけど、粘れて最後も踏めていたので、自分の成長を感じられたなと思います」





次回のグレードレースは、武雄競輪GIII「大楠賞争奪戦」が4月22日~25日の日程で行われます。
今回S級S班の松浦雄士、清水裕友、郡司浩平、佐藤慎太郎、の4名を中心に、野原雅也、岩本俊介、吉田拓矢ら各地区のメンバーにも注目です。
一週間後に迫ったダービーを占う4日間のレースに是非ご注目ください。
4月14日時点の出場予定選手データを分析した、武雄競輪GIII「大楠賞争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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