『西武園競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月22日

 西武園競輪場で開催されている令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」は、4月22日に3日目が行われた。ファイナルをかけて争われた準決では、平原康多、深谷知広、眞杉匠の3人が1着。地元勢は平原をはじめ、武藤龍生、森田優弥、黒沢征治、一戸康宏と大挙5人が決勝にコマを進めた。いよいよシリーズも大詰め、4月23日の最終日に決勝の号砲が鳴らされる。
 記念シリーズは、最終日の4月23日も様々なイベントで、みなさまのご来場をお待ちしております。「どりあんず」のお笑いライブ、武田豊樹選手のトークライブ、選手会チャリティーオークション、クオカードやキャップなどのオリジナルグッズが当たるスピードくじを先着で配布。未確定車券抽選会、埼玉支部選手会ブース、キャラグリーティングなどが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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眞杉匠選手
眞杉匠選手

坂井洋選手
坂井洋選手
 鈴木玄人が赤板過ぎに眞杉匠(写真)を押さえて、そこを川口雄太が出る。徳島勢が主導権を握り、鈴木は3番手に入る。単騎の荒井崇博は6番手にスイッチして、7番手になった眞杉は打鐘3コーナーで踏み込んで前団に襲い掛かる。川口はペースを上げるのが遅れて、楽に眞杉が主導権を奪取して最終周回。インを進出した鈴木は遅れ気味に続いた渡邉晴智を弾いて3番手を取り切るが、一戸康宏は鈴木を見失う。4番手になった荒井崇博は、3コーナー過ぎから外を踏み込む。その後ろにいた一戸が、内を踏んで直線へ。番手で間合いを取った坂井洋が詰め寄るも、逃げ切った眞杉の1着。
 「前から引いて、(別線が)来たら中団で止まってと思っていた。けど、前が少し踏み合う感じもあったので、そこで仕掛けた。自転車の感じは日に日に良くなっているけど、もう少し煮詰めたい。いい時は出切ってからもう少し回せているし、体は本調子ではない」
 もつれた後位を落ち着いて確認した坂井洋(写真)が、引きつけて追い込むも4分の3車身差の2着。
 「思ったより直線が短くて踏み遅れた。眞杉君の踏み直しが良かったし、本当に彼が強かった。2日目にハンドルをいじって良くはなったけど、またいじってみる」
 3番手を奪った鈴木が流れ込みかに思われたが、内からゴール寸前で鈴木を交わした地元の一戸康宏が3着。地元記念で初めてのGIIIファイナルをつかみ取った。
 「記念の決勝に乗れたのは初めて。3着までに入れたのはうれしいけど、ラインとしてはいけない動きをしてしまった。鈴木君や番手を回らせてもらった河村(雅章)さんに申し訳ない」

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深谷知広選手
深谷知広選手

黒沢征治選手
黒沢征治選手
 6番手の黒沢征治の上昇に合わせて、中団の稲川翔が動いて赤板1コーナーで切る。黒沢がその上を押さえ、稲川は地元分断策に出て番手で粘る。黒沢の後ろが併走になり隊列が短くなって、深谷知広(写真)は2コーナー過ぎから強烈な加速で前団に襲い掛かる。打鐘で宿口陽一、村上博幸が落車。叩き切った深谷後位には黒沢が入り、離れた松坂洋平が3番手から内をすくって追い上げて最終周回。一度は体が重なった2人だが、外の黒沢が踏み勝ち、逃げる深谷を追いかける。直線で猛追した黒沢を深谷が振り切った。
 「(埼京勢の)2段駆けはあると思って、前を取らせたくなかった。稲川さんが粘らないなら、どこかで粘るつもりだったが、粘ってくれたので結果的にいい展開になった。仕掛けてからは自分の距離だったしもちました。掛かりは良くない感覚で苦しみながら踏んでいたが、相手も脚を使っていたので」
 ラインを生かせずスッキリとはいかない2着の黒沢征治(写真)だが、感触は悪くなさそうだ。
 「決勝に乗れたのは良かったが…。深谷さんを見ながらペースを落としたら稲川さんも引けないところだった。(後ろが競りになって)やってしまいました。4車で出切ってからでしたね。(深谷に)反応して飛び付いてからは内は空けないように。番手に入ったけど踏み方がうまかったです。勉強になりました。西武園記念の決勝は初めてです。乗っている感じは、余裕があっていい感じです」
 打鐘で落車のアクシデントがあってからも、稲川翔が前々に踏み込むが最終ホームでは前との車間が空いた4番手。前団に追いついて、直線での松坂との攻防を制して3着に入った。
 「初手の位置を見て、自分の持ち味出して村上さんを引き出すようにと考えていた。切るまでは想定内でしたが、整えようとしたところでピッチが上がらずもう引けないと思って番手勝負になった。強烈に降りられたので、立ち遅れてしまい追いつくのに必死でした。村上さんが落ちたのはわかったし、なんとか3着に入ろうと思っていた。まくりにいければ良かったけど、その力はなくて、最後は考えもなく内にいっていた」

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平原康多選手
平原康多選手

森田優弥選手
森田優弥選手
 前受けの森田優弥は、赤板過ぎに原田研太朗ラインを送り出す。小畑勝広が原田を押さえて出て主導権。山崎芳仁が3番手に続いて、5番手でタイミングをうかがった森田は打鐘2センターで仕掛ける。抵抗する小畑をねじ伏せた森田が最終2コーナー手前で出て、平原康多(写真)、武藤龍生が続いて、杉森輝大が切り替える。山崎のまくりは武藤の横までで、平原が落ち着いて森田を差し切った。
 「(森田の)踏み出しのタイミングが難しかったけど、出切ってからは今日(3日目)が一番余裕がありました。(武藤)龍生のことも連れ込みたいっていう思いだった。龍生が外を踏んでいたんで、必死で内を締めにいった。結果的に龍生が(3着に)踏み勝ってくれて良かった。森田を残しつつ、龍生も連れ込みたい。すごく緊張感がありました。(1月の)大宮(記念)の時も(地元勢が)5人も(決勝に)乗れて、今回も5人乗れた。奇跡的なことですね。初日、2日目はスカスカした感じがあったんで、いじって今日は伸びた。かなりいい方向にいきました」
 力勝負で別線を仕留めた森田優弥(写真)は、競走とは打って変わっていつものように静かに振り返る。
 「(仕掛けて)踏み込んだ時にバランスを崩して、焦って立ちこぎしてヤバいかなって思ったけど。なんとか勝負に勝てました。出切ってからは、しっかりと自分のいい感じで回せていた。もう1回踏み直せたし、あとは平原さんと武藤さんが全部やってくれた。アップの段階から気持ちを入れるまで、今日(3日目)が一番いいですね」
 杉森にタイヤ差で踏み勝った武藤龍生は、胸をなでおろすながらも反省を忘れない。
 「脚の状態は上がっているんですけど、踏み出しで口が空いたんでちょっとビックリした。森田君、平原さんの気合がすごかった。(最終4コーナーからのコースは)平原さんが仕事をしやすいように、内を絶対に空けないようにと思っていた。けど、自分の技量不足で(最終4コーナー手前で)空けてしまった。最後は平原さんが締めてくれて助かりました。大事な舞台でのこういうことは、今後の材料にしていきたい。日に日に疲れが抜けて、いい状態だと思います」