『西武園競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月12日
 西武園競輪場を舞台に開設65周年記念「ゴールド・ウイング賞(G3)」は12日に最終日を迎え、晴天に恵まれた中、激戦を勝ち抜いた9選手により見ごたえのある決勝バトルが展開された。レースは、佐藤友和が先行する思わぬ展開になったが、平原康多のまくりを武田豊樹がゴール寸前で交わしV。1月和歌山、3月玉野に続く今年3度目の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると渡邉晴智がS取りを制し、佐藤龍二を迎え入れる。南関コンビが前を固め、以下は佐藤友和―岩津裕介、平原康多―武田豊樹―飯嶋則之、稲垣裕之―村上博幸で周回を重ねる。
 青板の1センターから稲垣が上昇すると佐藤龍は車を下げる。押さえて出た稲垣をさらに平原が交わし隊列が激しく入れ替わる。6番手まで下げた佐藤龍が赤板の1センターから踏み上げ打鐘で先頭に立つと、その上を佐藤友が叩いて予想外の先行策。8番手の稲垣がすかさず巻き返すも、村上が連係を外してしまう。稲垣はまくり上げていくも前のかかりが良く、さらには番手の岩津のけん制を受け失速。すると稲垣後位に続いた平原が最終2コーナーからアタック。平原は猛然と前に迫るとバック過ぎにまくり切る。すると、岩津が佐藤友を捨て前に出ながら武田を退かしにかかる。しかし武田は岩津を締め込むと、直線を力強く踏んで優勝を飾った。まくった平原が2着。岩津は最後に抵抗を見せたが3着に。
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 関東ゴールデンコンビはやはり強かった。直線勝負を制したのはグランプリ王者の武田豊樹(写真)だ。佐藤友和が先行する予想外の展開になったが、平原康多が冷静に仕掛けるとゴール前きっちり捕らえた。
 「1着取れてとても嬉しいです」とまずは嬉しさを口にしたが、その後は連係した平原の話に終始した。
 「きっちりワンツーを目標に入れてました。平原君の地元ではありますけど、ゴール前で遠慮してては選手じゃないんで抜きに行きました。2日間抜けてなかったですし。平原君もそういう組み立てをしたと思うので。平原君も脚を使ったまくりで苦しかったと思います。ゴール前勝負できて良かったです」
 当所は2005年、2012年に続く3度目の制覇。「2005年は先行逃げ切りで優勝したんですけど、今日は戦法も違いましたし」と当所初Vから10年という歳月が経ち、先行だけでなく番手戦もこなすようになった。しかし、あの時以上の強さを今は誇っている。そして、「グランプリでも連係してますし、尊敬してます」と後輩・平原への敬意を改めて示した。関東ゴールデンコンビの主役は今後も揺るぎそうにない。

 1月大宮に続く地元記念連覇をつかみかけた平原康多だったが、最後の最後でスルリと優勝は逃げ、当所は2年連続の準Vに。
 「最後は力勝負だったし、出し切りました。あおりもあったし、微妙な感じでしたね。(中2日で)次、川崎は走りますよ。次回頑張ります」

 岩津裕介は平原康多のまくりに合わせて出たが、惜しくも3着に終わった。
 「思い切って行ってくれましたね。(佐藤)友和君が強かった。稲垣が来てまくりやすくはなったけど。普通あれだったら後ろは来れない感じ。武田さんを持っていったけどダメでした」

 先行策に出た佐藤友和はシンガリ負けに。
 「今日は先行しようと思ってました。今の段階では力差があるので、スピードとか位置取りで勝負しても厳しいので。それだったら先行しかないし、ワンチャンスに賭けようと思ってました。途中までは思い通り行ったけど、なかなか最後までは。稲垣にまくられなかったのを自信に今後戻していきたいです」

 稲垣の仕掛けに千切れた村上博幸は悔しそうにレースを振り返った。
 「(稲垣)裕之に迷惑をかけてしまった。(千切れたのは)完全に脚です。2日目につかんだこともあったけど4日目にガタがきた。4日間苦しいシリーズでしたけど、こういうときにもしっかり走れるようにしたいです。調子が良いときに色々返せるように。あかん点も分かったんで、レースを走りながら出直します」

 佐藤龍二も無念さをにじませる。
 「内容がダメでした。先行して負けたんならまだあれですけど。自分の中では一番最悪のパターン。佐藤龍二の競輪ではなかった。ただの普通の競輪選手でした。4日間通して最終日が一番最悪になってしまった。次は勝たないといけない。F1では優勝候補になってくると思うんで。次までに気持ちを切り替えて」

 2日目に落車した稲垣裕之は、「落車してるんで昨日、今日と完調にはいけませんでした。運びだけは失敗しないようにと思ってましたけど、力及ばずでした。気力を振り絞ったんですけど。共同(通信社杯)まで時間があるんでしっかり治してきます」と先を見据えた。
ゴール
9R ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)
畑段嵐士選手
畑段嵐士選手
 若手の登竜門、105回生による「ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」がシリーズの最終日、第9レースに行われた。将来のスターを目指す精鋭9名による一発勝負は、全員が自力型とあって早めからレースが動いてハイスピードバトルとなった。

 予想通り早めからペースが上がるなか、畑段嵐士(写真)は展開を読んでいたかのように、新人らしからぬ落ち着いたレース運びで勝利を引き寄せた。畑段は上手く中団を確保すると、じっと脚を溜めながら勝機をうかがう。最終バックでは清水裕友に先を行かれたが、慌てず2センターで内のコースを踏むと、直線外を突き抜け105回生の頂点に立った。
 「作戦はとにかく前々へ位置を取って、行ける所で仕掛けようと。でも、早めからペースが上がったので、最後まで脚を溜めながら。脚は大丈夫だったので、清水君を目指しながらいきました。トップに立てたので嬉しいですね。今後の目標はS級に特進すること。そのためにはトップスピードを上げていかないと。先輩方からアドバイスをもらいながら、そのための練習をやっているけど、もう1段、2段上げていきたい」

 清水裕友は優勝をつかみかけたが、ゴール寸前でスルリと滑り落ちた。引き揚げると開口一番「くっそー!」と悔しがる。
 「前を取って作戦通りいけたけど弱いですね。出切れるとは思ったけど、最後に粘れなかった。卒記もそうだし、こういうレースは2着が多いんですよ、ホント悔しい」

 堀兼壽は8番手から懸命に踏み上げたが3着まで。
 「常に前々と思ってたけど、センスゼロですね。前が必ずゴチャ付くと思ってたんで、そこを行こうと思ってたけど。早めからスピードが上がってしまって。前が遠かったし、外を伸びなかったですね。今日は勝ちにこだわり過ぎました」

 注目度ナンバーワンの野口大誠はまさかのバック最後尾。大凡走に終わる。
 「行けるところで行かなかったのが敗因ですね。単騎は難しかったけど、『今回こそは、今回こそは』と勝ちにいくことしか考えてなかった。気持ちを切り替えて、(次の松山で)特進することに集中します」

 宣言通り、渡邉雄太は主導権にこだわったが、早めの仕掛けとなり直線で失速して4着に。
 「初手で良い位置が取れたので行けるかと思ったけど、皆強いんで意識し過ぎて踏み過ぎました。バックで脚は一杯。最後『来ないで来ないで』と必死に踏んだけど、3車行かれたのが分かりました。とりあえずは力を出し切れたのでよかったです」

 連係した高木翔も懸命に前を援護したものの力及ばず。
 「まさかあんなに早く行くとは思ってなかった。もう1回(誰かが叩いたのを)待ってから行くのかと。1センターで張ったら車間が空いてしまって、あれで脚にきました。清水君も大外を来たので止められる感じではなかったし。渡邉君に申し訳なかった」

 野口正則は中団3番手を争い、外で脚を消耗。最後は馬群の飲まれて8着に終わる。
 「4番手でもよかったですね。前々に意識が強すぎました。いつもと違うレースだったんで難しかったですね」

 神田龍も慣れないレース展開に泣いてシンガリ負け。
 「後ろから押さえてくるのは分かってたんで3番手を取れればと思ってたけど。いつもと違う戦法になったし、単騎や競りもやったことがないので。脚もなかったです」
  
 吉川嘉斗は前に付いていけばチャンスもあったが。
 「ホームで前に突っ掛かって突っ掛かって。あれで脚が一杯になってしまいました。3コーナーの上りもキツかったし、コースも分からなくなってしまった。最後、当たって終わりました」

ゴール
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