『被災地支援競輪西武園競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月24日

 平成28年熊本地震被災地支援・開設67周年記念西武園競輪「ゴールド・ウイング賞(GIII)」は24日、後半戦となる3日目に突入。準決勝3個レースをメーンに、熱戦が繰り広げられた。最終レースは平原康多が4着に敗れる大波乱。S班4人のうち3人が勝ち上がりに失敗したが、稲垣裕之を筆頭に、近藤隆司、脇本雄太、松谷秀幸らファイナリスト9名が出そろった。25日にいよいよ決勝戦が争われる。また、第9レースで熊本地震災害復興支援レースが一発勝負で行われる。
 最終日の25日は先着1000名様に競輪場協賛店「ころいち」のお菓子をプレゼント。場内の特設ステージでは競輪選手会埼玉支部所属の小島雅章選手、早川成矢選手らによるトークライブ、西武ライオンズ公式ダンスパフォーマンスチームによるライブパフォーマンスなど多彩なイベントが予定されています。ぜひ西武園競輪場でお楽しみください。

<10R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 菅田壱道が後ろ攻めから上昇。赤板の2コーナーで誘導を降ろし主導権を握る。中団は中川誠一郎と菅田ラインに続いた松谷秀幸で併走に。すると、後方の伊藤成紀が打鐘の2センターから巻き返す。外併走の松谷は、すぐさま近畿勢を追うと、最終2コーナーから大外を踏み上げる。まくり切った伊藤を2センターで捕らえると、最後はゴール前で和田健太郎(写真)が差し切った。
 「松谷は後手を踏まないし、信頼して付いていました。全部やってくれましたね。今回は中2日だったし、(疲れが)心配だったけど、日に日に軽くなっているので悪くない」
 松谷秀幸(写真)は、レース巧者ぶりを発揮。強敵相手に、見事南関ワンツーを決めた。
 「菅田が行ったところを切って。伊藤成紀を行かせて、その3番手と思っていたんですけどね。でも、うまく対処できました。中川さんも、内で粘って『よしよし』と。昨日が不甲斐なかったので、今日は絶対に仕掛けようと思っていました。余裕もありましたね」
 目標がまくられた澤田義和は、2センターから前に踏んで3着をキープした。
 「楽勝で出切れると思っていたんですけどね。でも、伊藤君が踏み直して、出切ってくれました。その後は、神山さんに気を付けていたら(まくられた)。スピードが違いましたね。今日は伊藤君が頑張ってくれたおかげです。アップ中に(セッティングを)調整したら、昨日よりかは感じが良くなりました」
 風を切った菅田壱道だったが、結果は9着。組み立てを反省した。
 「そこ(松谷を斬らせないように)はさせないと思って踏んで。(出切ったあとに)グンってやめたら、伊藤さんにまくられてしまいました。回してサーっといっていれば、いきにくくなったと思うけど。普段、先行していないので、感覚のズレがありますね」

<11R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 前受けから早めに誘導員を交わしてペースを上げた近藤隆司を赤板で中井太祐が叩いてハイピッチで駆ける。初手から近畿コンビを追っていた岩津裕介を藤田竜矢が内から強引にどかして3番手を確保。下げた岩津は5番手で態勢を立て直し、近藤隆司は7番手で最終ホームを通過。岩津、近藤が2コーナーから踏み上げて前団に迫ると、合わせるように稲垣裕之(写真)が番手まくり。後続の追撃を力強く振り切った。
 「中井が頑張ってくれたので、結果を残さないといけないと思いました。(中井は近藤に)けっこう踏まされて、ピッチを落とせずに、ずっとハイペースでした。岩津君と近藤君が巻き返してきたのが見えて、踏み込むしかなかったです。何とか(中井と)2人で決まるように考えていたんですけどね。本当にいつも近畿の仲間が頑張ってくれるおかげで決勝に乗れました。その分も明日の決勝はしっかり頑張りたいですね」
 二の脚を使って好回転でまくり上げた近藤隆司(写真)が2着に入った。
 「早めから踏み合ってペースを上げたほうが自分の展開に持ち込めますからね。打鐘とホームは見てしまったんですけど、落ち着いて行けました。ちょうど仕掛けたときに、岩津さんも仕掛けたんですが、諦めずに最後まで踏めました。稲垣さんの後ろにはまる感じになったんですが、抜けなかったですね」
 近藤マークの武井大介がそのまま3着に流れ込んだ。
 「近藤君がうまくレースを操ってくれました。稲垣さんが出ていくしかないレースにしてくれた。(近藤は)早めに1回踏んで、あれだけのまくりが出るんだから強いですね。俺もしっかり踏めていたと思います」
 藤田竜矢は地元で強気に攻めたが、再度、追い上げてきた岩津に踏み負けた。
 「地元の意地が終わりました。でも、見せるところは見せられました。最後は危なかった。落ちたかと思いました。技術不足で自分のせいですね。悔しいけど、しょうがないです」

<12R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 準決勝の最後は、波乱の結末となった。レースは後ろ攻めの脇本雄太が、赤板の2コーナーから踏み上げて先行策に出る。正攻法に構えた佐藤龍二が、中近勢を受けて4番手を確保。平原康多は6番手で、最終ホームを一本棒で通過する。最終2コーナーでまくり上げた平原に対し、車間を切っていた村上博幸が最終3コーナーで強烈ブロック。空いた内にすかさず斬り込んだ諸橋愛(写真)が村上を弾く。そのまま直線で追い込んだ。
 「一回、1センターから2コーナーで緩んでいたけど、(平原は仕掛けるのを)止めたんですよね。ちょっとタイミング的に外は無理かなと思って。(内が)空いていたし、自分のコースちゃ、コースかなって。(平原と)一緒に決勝に乗れなかったのは残念です」
 脇本雄太(写真)が、村上の援護もあって2着に粘った。
 「博幸さんが、仕掛けるポイントを決めてくれました。決まった距離をここから行くっていう。博幸さんは作戦巧者なので。(決勝で対戦する近藤隆司には15年9月の)初めて西武園来た時に突っ張られているんですよね。その時は、(初日に)200勝を達成して気持ちよかったんですけどね。決勝もしっかり頑張ります」
 諸橋にすくわれた村上博幸だったが、外の平原にからみながら前に踏んで3着。組み立てから脇本を献身的に援護して、自身も見事優出を決めた。
 「(作戦は)脇本とは連係も長いし、後ろからならあんな感じで。脇本の気持ちがうれしかったですね。ブロックはまぐれです。(諸橋が)内にこなかったら、平原君にいかれていたと思います。こうやって決勝に乗れたのはうれしい。決勝もしっかり仕事をします」
 勢いの止まった平原康多は、懸命に踏み続けるも4着。まさかの準決勝敗退となった。
 「しょうがない。自分が弱いだけですね。何もいうことはないです。最終日は自力で。ダービーに向けて走ります」
 単騎の小川真太郎は最後方に置かれて見せ場なく敗れた。
 「平原さんがまくったところを、まくり追い込みでと思っていたんですけど。行き切れないとは思わなかったですね。自分で(動いて)とも思ったけど、一人だと動きづらかったです」

<最終日・9R 熊本地震災害復興支援レース>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手

後閑信一選手
後閑信一選手
 最終日の9レースに熊本地震災害復興支援レースが争われる。吉田敏洋(写真)が機動力上位の存在。前回の四日市は久々の決勝進出を果たした。
 「年末年始に落車して、2月、3月はだいぶ苦しみました。自転車が追いつかない感じでしたね。でも、前回の四日市でいい走りができて、光が見えてきました。気持ち的に楽になりました。1カ月前の自分よりは確実にいいと思います。今まで補充も走ったことがないので、開催の途中から来るのは違和感がありますね。次(の京王閣ダービー)につながるように」
 後閑信一(写真)は4月の地元京王閣で完全Vを達成。調子は確実に上向いてきている。
 「前回(高知記念)は久々の500(バンク)だったので、初日、2日目はうまく立ち回れなかったですね。3日目からは力を出し切る走りができました。感じは悪くないですね。明日、レースを走って、また次の日からしっかり練習して、(京王閣ダービーに)行きたいと思います。グレードに関係なく一戦一戦が勝負。地元の片折(亮太)君に任せて頑張ります」
 片折亮太は久々の実戦。地元で持ち味の先行力を存分に披露する。
 「(3月の)ウィナーズカップに向けて、張り切ってウエイトをやっていたら腰を痛めてしまったんですよ。この1カ月ぐらいは欠場して、ゆっくり自転車に乗る感じでした。痛みは引いてきたけど、不安はありますね」
 山本健也は近況いまひとつ波に乗れていない。
 「状態はいつもと変わらずですね。成績どおりの感じです。勝ち切れないレースが多いし、もうちょっとリズムがほしいですね。ここで結果が出れば自信になると思うし、きっかけになるような走りをしたい」