『西武園競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月19日

 西武園競輪場で開設68周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」が、4月19日に幕を開けた。初日のメイン、特選の3個レースでは、トリを務めた地元の平原康多が圧巻の逃走劇を披露した。また、一次予選からは勝ち星を挙げた阿部大樹をはじめ、金子哲大、宿口陽一らの地元勢が二次予選に進出を果たした。20日の2日目には、初日特選を勝ち上がった9選手による優秀「ギャンブルレーサー関優勝牌」が行われる。
 本場では開催中の毎日、先着1000人にオリジナルクオカードやオリジナルキャップが当たるスピードくじを配布します。先着お菓子プレゼント(500人)、先着ドリンクサービスなども行います。また、20日の2日目には、選手会埼玉支部による新人選手紹介などの「選手会埼玉支部ステージ」、後閑信一さん、百合亜さん、競輪小僧による「後閑親子&競輪小僧予想会」、南潤選手の「S級選手トークショー」などが予定されています。西武園競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 金子哲大の上昇に4番手から合わせて動いた荻原尚人が、赤板の2コーナーで出た金子の番手に飛び付く。主導権を握った金子の後ろがもつれて、畑段嵐士は最終ホームで内から3番手まで押し上げる。角令央奈が絡まれると、近畿ライン3番手の村田雅一(写真)が外を踏んで4番手まで追い上げる。村田は併走の江連和洋をキメながら、直線で逃げる金子と荻原の間を鮮やかに突き抜けた。
 「あのまま外を踏むか迷ったんですけど膨れるかなと。江連さんを押さえれば4着はあると思った。S級に戻った今年に一発走って、このままじゃと思って練習を変えた。椎木尾(拓哉)を見習ってダイエットして、痩せたのもあるんですよ」
 再度、金子後位に追い上げた江連を凌いで番手奪取の荻原尚人が、ハンドル投げで金子を交わして2着。
 「(周回中の)並びが予定と違ってた。金子に先行させたらハコしかないと思ってた。畑段に突っ張られなかった。そこがすべてですね。1着を取れればよかったけど、(番手を)取り切って勝ち上がれたんで」
 最終ホームで江連の追い上げに合わせて踏み上げた金子哲大は、逃げての3着をこう振り返る。
 「江連さんを待ったぶん、ペースを落とした。8割くらいで踏んでたのを7割くらいに落とした。それで掛かりが良くなかったけど、(追い上げて)来てくれてよかった」

<2R>

神田紘輔選手
神田紘輔選手
 好永晃が切った上を近畿3車が出て、藤田勝也が逃げる。4番手の好永は車間を空けて、嶋津拓弥は前が遠い一本棒の7番手。最終バック手前からまくった嶋津は不発で、藤田の番手で絶好の展開になった神田紘輔(写真)が1着。
 「(周回中の)並びは想定外でしたけど。嶋津さんラインの後ろだけは嫌だったので、4番(好永)が切ったあとに行ってくれて最終的には作戦通りにはなりましたね。藤田君は重そうに踏んでいたけど、いいところで行ってくれましたね。自分は援護しながらも伸びているし、前回からの上積みもあります」
 嶋津に乗った加藤圭一は、最終3コーナー過ぎから中のコースを突いて直線強襲で2着に届いた。
 「(嶋津は)先行したかったみたいだけど、4番に切らせた時点でダメだなと思いました。バックでも行けそうな気配がなかったので、そのぶん内を突いて伸びてくれました」

<3R>

 7番手から上昇した堀内昇は、赤板で泉谷元樹にフタをしたあとに、打鐘で前受けの八谷誠賢を押さえて先制。しかし、すかさず泉谷も巻き返して最終回に入る。内に堀内、外に泉谷でモガき合うなか、冷静に脚を溜めた八谷誠賢は、2コーナーから反撃。2センター過ぎにまくりで前団をとらえて、ライン3車で上位独占を決めた。
 「(泉谷が仕掛けた時に)坂上(忠克)さんに、降りてこないでくれって思ってました。みんなバックが重いって言っていたので、まくりやすいのかなって。いいタイミングで仕掛けられましたね」
 2着に流れ込んだ馬場勇は、八谷のまくりに感服する。
 「八谷さんすごいですね。踏み出した時に、行ったな(まくり切った)と思いました。踏み込みがすごかった。強かったです」

<4R>

丸山啓一選手
丸山啓一選手
 順番が巡ってきた宿口陽一が、宮越孝治を打鐘の2センターで押さえて先行策に出る。6番手の亀井久幸はすぐさま巻き返すも、出切れずに藤田竜矢と併走。亀井の踏み出しに離れた丸山啓一(写真)だったが、最終2コーナーで自ら踏み上げる。ジワジワと前団に迫り、ゴール寸前でまくり切った。
 「無理矢理なら亀井に付いていけたけど。駆けているのが宿口だし、ちょっと厳しいかなと。亀井には悪いことをしましたね。いろんな意味で余裕がなくて。(自力に転じてからは)亀井に付き直そうとも思ったんですけど、藤田君にもっていかれていたので、そのまま踏みました。今年初勝利と言うか、そもそも白星は(昨年の6月取手記念以来で)一年ぶりくらいです。しかも、記念の勝ち上がりなのでうれしいですね」
 亀井を不発にした宿口陽一は、2着に逃げ粘る。地元記念の勝ち上がりを決めるも、レース後は「悔しいしかない」と、うなだれた。
 「駆けやすいメンバーだったし、すんなりだったので(ラインの)3人で決まるかなと思ったけど。藤田さんが勝ち上がれなかったし、あれで(1着に)残れていないので弱い。緊張していたところもありますね。焦っていました」
 8番手の井上公利は最終2コーナーから仕掛けるも不発。しかし、惰性をもらった房州輝也が、直線で追い込んで3着に食い込んだ。
 「最後はアタマまでいけたかなと思ったんですけどね。でも、状態はちょっとずつ良くなってきました」

<5R>

 打鐘手前で蒔田英彦が主導権を握って、西本直大が中団を手に入れる。反応できずに7番手に陥った阿部大樹だったが、最終3コーナー過ぎから内を進出。直線で外に持ち出すと鋭く伸びて地元で白星を飾った。
 「打鐘で行けそうだったのに待ってしまった。(最終)ホームで外に持ち出して行こうとしたところを(蒔田に)踏まれて仕掛けられなかった。体が動いていないですね。最後、突き抜けたので状態は悪くないんだろうけど、気持ちが弱い。点数なりのレースをしてしまいましたね」
 西本のまくりを合わせて直線で二の足を使った蒔田英彦が、2着に粘り込んだ。
 「久々ですね、最後までもったのは。最近は同じような展開でも最後バタバタになっていたけど、空いた2週間で踏み方を思い出した。力みすぎて踏みつけるような感じになっていたのでタレていた。でも、(一次予選は)しっかり踏めました。自信がつきましたね」

<6R>

 門田凌との呼吸が合わず、赤板の1センターで山形一気が連結を外す。鈴木謙二を突っ張って逃げる門田の番手には、すんなり竹村勇祐が入る。山形の追い上げは中団までで、松山桂輔のまくりを退けた門田がそのまま逃げ切った。
 「前を取らされる形になった。自分はダッシュがないので、先行しようとは思っていました。マイペースで踏めていたけど、(最終)バックで3番(松山)が後ろにいたので…。もう少し周りが見えていないとダメですね。初めての記念で勝てて、気持ち的に楽になったけど、ラインで決められなかったのはダメですね」
 松山にかぶった竹村勇祐は、最終4コーナーで外に持ち出して2着。
 「インを切りにいったら山形さんが引いて、門田君が引かなかったので、そのまま番手に入る形になりました。サラ脚で番手が取れたし、まくりにいける感じはあったけど。3番も来ていたし、門田君も踏み直していましたね」

<7R>

愛敬博之選手
愛敬博之選手
 後ろ攻めの隅田洋介が、赤板で5番手の小川祐司にフタをすると、先に3番手の佐藤友和が柴田竜史を押さえてハナに立つ。その上を隅田が押さえて、打鐘の2センターで主導権を握る。初手から栃木コンビに付けていた単騎の愛敬博之(写真)が、3番手に続き最終回へ。隅田が逃げるなか、番手の宗景祐樹がまくってきた小川をブロックし外に膨れる。3番手の愛敬が宗景をすくって2コーナー手前で隅田の番手に入る。2センターから踏んだ愛敬が、抜け出して白星スタートを決めた。
 「(隅田は)向かい風で最後タレれていたので、我慢できんなと思って踏みました。(初手の位置は)8番(隅田)と1番(宗景)の後ろか、小川さんが先行するだろうなと思っていた。まくれたら、外をまくりたかった。自分でまくる気持ちはあったので、余裕はありましたよ」
 中団をキープした佐藤友和だったが、かぶって外に持ち出せない。やむを得ず愛敬を追って2着に流れ込んだ。
 「あの位置というか、あの状態ではベストの走りです。宗景さんがあんなに(ブロックに)行くとは思いませんでした。外に(まくって)行きたかったけど、行けませんでしたね。最後の半周で全部悪い方にいってしまいました」
 佐々木省司は、最終4コーナー手前で宗景と絡みながらも、なんとか佐藤を追って3着に続いた。
 「(最終ホームで)不意に大瀬戸(潤一郎)とぶつかってタイヤが浮いたんですけど、そこは凌げました。(2センター過ぎは)うまく内側に行けましたね。最後は(佐藤)友和がさばいてくれるのを待ってって感じでした」

<8R>

 宇佐見裕輝にフタをした松坂洋平が、打鐘の3コーナーで誘導を下ろして主導権。この動きに上田隼ら中部勢も続く。前受けの石丸寛之は車を引いて6番手にポジショニング。宇佐見に合わせて最終3コーナーから踏み上げると、大外を進んで一気にまくり切った。
 「(作戦は)宇佐見と、(松坂)洋平を踏み合わせようと思っていました。上田と位置を取り合ってもしょうがないので、サッと(6番手まで)引いて。上田が先に仕掛けてくれて、隊列が短くなりましたね。仕掛けた感じは良かったです。でも、若いころなら、これで車が毎日出るんでしょうけど。今は(年齢で状態が)日替わりなので」
 目標の宇佐見が合わされると、紺野哲也はすぐさま石丸にスイッチして2着に入線。絶対絶命の展開を乗り切って、ほっと胸をなでおろした。
 「このメンバーで駆けるのは、宇佐見か洋平なので。洋平が初手で後ろだったし、やる気なんだなと思いました。この並びなら、動いてから(南関勢を)出して、4番手と思ったんですけどね。洋平が駆けての9番手だから、終わったと思いましたよ。なんとか凌ぎましたね」
 先行した松坂の番手から、武井大介が追い込んで3着に入った。
 「とんでもなく(バックで風が)向かっていたんですど、(先行が有利の)西武園だから駆けた方が堅いと思った。(松坂が)早めでも駆けて、あとは自分が後ろで頑張ってまくりを止めようと。洋平も立ち上がっていく感じはなかったし、精いっぱいやったけど、残せなかったです」

<9R>

 赤板の2コーナーで押さえて出た大石崇晴が徐々にペースを上げるが、鈴木謙太郎が力の違いでねじ伏せ最終ホームで叩く。関東ライン3車で出切って、4番手以降を離した鈴木が前回の完全Vの勢いそのままに押し切った。
 「相手のバック数を見たら、正直自分の先行はないかなと。ただ、外併走から踏んでいって大石君が踏んでいなかったので、そのままガールズケイリンの先行みたいな先行になりましたね。ペースで踏み上げていく感じだったから余裕はあった」
 地元の岡光良が危なげなく追走。鈴木との差を半車輪まで詰めたところがゴールだった。
 「ホームが追い風になっているから最後(鈴木を)抜けるかと思ったけど、鈴木君も踏み直しで伸びていきましたね。踏み出しも気を遣ってくれたのか、やさしかったんで付いて行けました。自分の状態は疲れが抜けてくるシリーズ後半の方が良くなりそうな感じがします」

<10R>

新山響平選手
新山響平選手
 早めに動いた井上昌己、松谷秀幸の順で出たところを、新山響平が押さえてレースを支配する。後続を一本棒にした新山が、最終ホーム手前からフルアクセルでスピードに乗せる。番手絶好の成田和也が、後続との間合いを計ってゴール寸前で新山を交わした。
 「恵まれました。自分たちには理想的な展開でした。(新山は)落ち着いてホームから先行してた。自分もそれに対応できているんで、悪くはないと思います」
 後方の吉田敏洋を警戒しながら踏み込んだ新山響平(写真)が、ラインを上位独占に導く先行策で魅せた。
 「展開が向いてくれた。珍しく1年1回くらいの感じの掛かりでした(笑)。(ギアを3.77にして)いっぱいのなかで踏めているんで、いいのかなって思います。どっちかっていうと回転の方が得意なんで、そっち(軽いギア)の方がいいんだと。(打鐘の)4コーナーで内を空けてしまったけど、それがなければ結構いい走りだった」
 北日本3番手の和田圭は、直線で新山と成田の間の狭いコースを踏んで3着。
 「新山はギアを落としているから、自分たちのギアとバイオリズムが合わなかった感じがあった。最後は狭かったけど、逆にあれぐらいいいんじゃないですか。新山は残ってるし強いね」

<11R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 3番手の三谷竜生が先に切りに出たところを金子幸央が飛び出して主導権。金子幸に武田豊樹(写真)、中村浩士に単騎の小川勇介まで出切る。三谷を切らせなかった森川大輔と三谷は、5番手で併走。打鐘の4コーナーから踏み下ろした金子幸が全開で駆ける。外併走で遅れながらも三谷が最終2コーナーからまくりを打つ。逃げる金子幸との車間を空けた武田は、詰めながら踏み込んで4コーナーで先頭に立ってそのまま抜け出した。
 「中村君が(自分たちのラインを)選んでくれたんで、なんとかいい競走をしたかった。金子(幸)君がいいレースをしくれたことがすべてですね。西武園っていうこともあるから、ああいう形で駆けてくれれば、前で決まるかなと。でも、三谷君が3着に来てたんで、自分は踏んで良かった。反省点もあるし、いろんなことを求められるんで自分の走りをもっと磨いていかないと」
 栃茨勢に付けた中村浩士は、三谷を弾いて抜かりなく踏み場を確保。2着に流れ込んだ。
 「金子(幸)君もしっかり踏み切ってくれた。武田さんは車間を空けて、あとはどのタイミングで(踏むのか)っていうのがあった。自分は緊張感をもってできた。それにしても三谷君は強いですね」
 苦しい外併走から強引に仕掛けた三谷竜生は、武田に合わされ、中村にもってこられながらも3着に踏ん張った。が、組み立てを反省する。
 「もうちょっとしっかり(森川を)切るところを切らないと。失敗しました。後ろに迷惑を掛けてしまった。(展開的に)キツかったですけど、状態は悪くない」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 稲垣裕之が出た上を、小川真太郎が打鐘で押さえて出る。すると、前受けから引いた平原康多(写真)が間髪入れず巻き返す。2センターで小川を叩き、そのまま力強く風を切る。最後は木暮安由の追撃を退けて、堂々の逃げ切り。
 「前を取らされたら、先行しようと思っていました。小川が切ったあとに、あそこで行けるか行けないかという気持ちの勝負だなと。それなりに練習もできていたし、先行しても苦にならなかったですね。やってきたことが間違いじゃなくて、うれしかったです」
 番手の木暮安由は、平原とのゴール勝負も2着。
 「平原さんがジャン過ぎで先行しにいって。しっかり援護しようと思いました。あそこで仕掛けられるところが、さすがS班ですね。(2日目の)優秀は(平原-木暮-武田豊樹)この並びになって。これ(自分が平原の番手を回る並び)が定番になるように。そのためには、俺がもっと実力をつけないといけないですね」
 ホームで叩かれた小川は、芦澤大輔をさばいて3番手を奪取。最終2センターで稲垣の仕掛けに合わせて踏むも、車は出ない。桑原大志は小川の内コースを踏んで3着に入った。
 「小川君は踏むだけ踏んで、合ったところが芦澤君のところだったんだと思う。(小川が3番手を奪ったが)平原が伸びていっていたのでキツいなと。それで、最後は内へ。外帯線を外したら食ってやろうと思っていたけど、木暮は(インを)空けなかったね。小川君が頑張ってくれたおかげです」
 7番手に置かれた稲垣裕之は最終2コーナーから仕掛けるも、中団の外まで進んでいっぱいに。7着に終わったが、怪我明けで約1カ月ぶりのレースも問題ないと話す。
 「ジャンで(自分のラインに続いた)永澤(剛)君の動きを確認できていたら、もっと積極的に行けたけど。でも、(怪我は)意識することなくレースができました。もう少し周りを見られたら勝負できると思う。あとは、いろいろ修正します」