開設57周年京王閣記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:10月23日



 開設57周年京王閣記念「ゴールドカップレース」も三日目。この日の京王閣は朝から生憎の雨模様となったが、シリーズのハイライトである準決勝を迎え、レースの方は自然とヒートアップ。勢いある自力型が数多く勝ち上がってきたこともあって見応えある熱戦、激戦の連続となった。
 

<8R>
馬渕選手
馬渕紀明選手
   準決勝一発目の8Rは1着権利の狭き門。このレースを制したのは馬渕紀明(写真)だった。レースは前受けの吉田勇人の後ろが小橋正義と吉永和生で競りの態勢となったが、後方で動きを見ていた馬渕がホーム手前から一気にカマす。内に詰まった吉田は馬渕の番手で粘り、更に小橋も一旦下げた後に番手追い上げに出る。この後続の動きを尻目に、マイペースに持ち込んだ馬渕は悠々押し切った。
  「一発勝負だし、一か八か。吉田君が後ろの競りを気にして流してくれれば叩いて、そのまま駆けてしまうようならまくりに構えてでした。今日はたまたまタイミングが良かったから決まりましたね」
  また、2着で決勝進出はならなかったものの、小橋も久々に魅せた。
  「あのまま内にいても何も起こらないからね。悪い時は悪いなりに出来ることをやって切り開いていかないと何の収穫も得られないでしょう。今、調子が悪いのを歳のせいにはしたくないし、また上向いてくると信じてやれることを頑張るだけです」
  主導権を奪えず3着の吉田は悔しそう。
  「競りで全然後ろが見えなくて、気付いた時は(馬渕が)もう横まで来てた。出切ってからは流されちゃって…。悔しいですね」


<9R>
山口選手
山口幸二選手
   前日にゴール後落車で左胸部を打撲した合志正臣が当日欠場し、8車立てとなった9R。和田健太郎の後ろで芦沢大輔が粘って、高木隆弘に競りを挑む。しかし、このモツれを見逃さなかった小倉竜二―山口幸二が一気にまくる。最後は一杯になった小倉の後位から山口(写真)が鋭く抜け出してシリーズ初勝利を挙げた。
  「(芦沢が)前を取った時点で飛び付きもあると思った。トカ(高木)もそんなに簡単には飛ばないやろうし、そうなればオグ(小倉)の出番かなと。でも、マークの選手がまくってくれたんだから感謝ですよ」
  2着に粘った小倉も納得の表情。
  「山口さんにまくるけん、残してって言っとった。長かったね。100mしかモガけんから(苦笑)」


<10R>

渡部選手
渡部哲男選手 小川選手
小川勇介選手

   10Rは後閑信一を連れた志村太賀と渡部哲男を連れた小川勇介の先手争いが注目されたが、斎藤登志信が斬った上を叩いて志村があっさり主導権を奪う。しかし、目一杯フカした志村は一杯になって、うまく中団を取っていた新田康仁が一気に飲み込む。1着を取ったのは、その新田後位に切り替えていた渡部哲男(写真)だった。
  「後ろに(加藤)慎平がおらんかったら、もっと(小川を)かばってたけど。緊張したんでしょうね、小川も。あそこ(斎藤にインを斬られた時)は自分で誘導を斬るくらいで行かないと。志村君も行く気満々なんだから。まあ、勝てたけど、突っ張られて終わった昨日、今日とちゃんと自力を出してないですから」
  差されて2着に終わった新田も連日巧みな位置取りと鋭いまくりで実力をアピール。
  「(志村と小川が)どこでどうやり合うかを見極めてでしたけど、苦しかったですよ。どこが先行するんだって、もう赤板からパニクっちゃって。(渡部)哲男に態勢整えて先に行かれたら終わっちゃうし、バックから躊躇せずにまくって、差されたけど、仕方ないですよ。相手は脚のある哲男だったし、決勝にも乗れたから」
  3着は後方から執念のまくりを見せた小川(写真)。2回目の記念参戦で待望の優参を果たしたが、不本意な内容に、レース後は負けた選手のようにうなだれていた。
  「哲男さんは師匠(吉岡稔真)を引っ張ってるのに…。いやもう駄目です。決勝に乗ったといっても内容がこれでは意味ないです。志村さんのことだけ見よったけん…。決勝は同じ失敗を繰り返さないように」
  一方、渡部にマークしていながら優参を果たせなかった加藤は、「今日は大失敗」とガックリ。志村は、後閑を決勝に乗せられなかったことを悔しがりながらも、「見せ場は作れたので。こういうレースを見せておいて、(同型の)相手に僕とやり合いたくないと思わせられれば、より戦いやすくなるでしょう」


<11R>

紫原選手
紫原政文選手 山崎選手
山崎芳仁選手

   最終11Rは、山崎芳仁の後ろが高橋大作、南修二、更には荒井崇博までもがインを突いて番手戦に加わって大渋滞。ペースが緩んだ最終ホームで三宅達也―豊田知之で一気にカマす。しかし、山崎は冷静にこの両者を追って直線では抜け出すが、その外を強襲した紫原政文(写真)が頭に突き抜ける。
  「自分でもびっくり。荒井は内に行っちゃったし、あれでは付いて行けないですよね。内抜けで横田(努)や吉永(和生)も失格しているし。もう駄目かと思ったけど、ここ最近では一番会心の伸びでしたね」
  2着の山崎(写真)は、「南君は怪しい動きをしていたから番手に来るかなって思いましたけど、荒井さんまで粘ってきたのは意外でした。まあ、カマされたけど、冷静に対処出来ました。最後モツれなきゃ1着取れてましたね」
  3着は前田拓也。さすが京王閣は得意というレース判断、伸びが光った。
  「この先輩(森村勇)と一緒の時は成績がええっていうジンクスがあるんです。バックで恩田(繁雄)さんが切れてるのが見えたので、そこに追い上げました。冷静に周りが見えてましたね」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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