『開設57周年京王閣記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月24日


 東京オーヴァル・京王閣競輪場で開催された開設57周年記念「ゴールドカップレース」は24日に4日間の日程を終えた。注目の決勝戦は前評判通りの強さを見せた山崎芳仁が圧巻の7番手まくりで優勝。すでに出場を決めているKEIRINグランプリ06に向け大きな弾みとなる勝利を手にした。

決勝戦ダイジェスト

 スタートでまず渡部哲男が飛び出し、山崎芳仁が続き中団を狙う。隊列は渡部哲男―小倉竜二が前受け正攻法に構え、山崎芳仁―山口幸二―馬渕紀明が中団。以下は小川勇介―紫原政文、新田康仁―前田拓也の順で並んだ。周回が進み、赤板過ぎから小川勇介がゆっくりと上昇を開始し、一旦中団の山崎芳仁の外で蓋したあと、ジャンで前の渡部哲男を押さえにかかる。小川勇介が後方の様子を見ながらペースを緩めると、すかさず渡部哲男が突っ張ったため、両者でもがき合う展開となった。小川勇介も必死に抵抗をみせるが、最終主導権は渡部哲男に奪われてしまう。主導権争いに決着がついたバックストレッチから、脚を溜めていた新田康仁が満を持してスパート。勢いは良かった新田康仁だが、小倉竜二の好ブロックでスピードは止まってしまう。レースは、四コーナーをハコで回った小倉竜二に展開は向いた。しかし、終始後方から戦況をうかがっていた山崎芳仁が七番手から怒涛のまくりを放ち、前団をひと飲み。追い込む山口幸二を振り切り、力の違いを見せ付けた。

山崎選手
山崎芳仁選手

 「シリーズの本命という自覚はあります」と話す山崎には、すでに貫禄さえ漂う。共に不動会へ名を連ねる渡部哲男と小川勇介の対決、俊敏な動きで勝ち進んできた新田康仁。見どころはいくつもあった決勝戦だが、それら全てを山崎の存在感が消し去った。暮れの大舞台が控えるこの京王閣バンクで最高のパフォーマンスを見せた。
  「まさか渡部君と小川君がモガき合うとは思わなかったんで、展開的には予想外でしたね。最初の考えでは、小川君が出たらすかさずその上を行く予定だったんですが」
  自らが想定した流れとはかけ離れてしまったが、想定外の動きへ間髪入れずに対処できるのが山崎の強さ。
  「まあ、ああなってからも落ち着いて行けましたね。前の動きを見てから仕掛けられました。まくりは得意だし、慌てることはありません。(GPの)良い予行演習になったかな。でも、本番では主導権を取りたいですけどね」

 付けた山口幸二も山崎のスピードに舌を巻く。
  「抜くのは絶対にムリ。どんどん加速していくんだもん。付いていけただけで良しとします」

 同門でモガキ合った渡部と小川は対照的な表情を見せる。
  「一番やってはいけないことをやってしまいましたね。まさかあそこで渡部さんが突っ張ってくると予想していませんでした。今回はタマタマ展開で決勝に乗れたようなものなので、次は自分の力で乗りたい。いろんな意味で良い勉強になりました」
  小川に前を任せた紫原政文。最悪の展開になってしまったが、「チャンスはあった」とレースを振り返る。
  「小川も、もうワンテンポ早く押さえれば良かったのに。勝つチャンスはあったと思うけど、昨日と違って内を見てしまったね」。

 先輩の意地を見せた渡部は、「小川君とは真っ向勝負だったし、僕もあのタイミングなら駆けますよ。一番なって欲しくない展開になってしまったね」

 モガキ合いのすぐ後ろという絶好の位置を確保した新田だが、勝利をモノにすることは出来なかった。
  「ムダ脚を使いたくなかったんで、先手ラインを追走していく考えだったんですけど、まさかモガキ合いになるとは思わなかった。僕にとっては良かったんですけどね。仕掛けた瞬間はまくれる感じだったんだけど、とにかく(渡部)哲男が良いスピードで掛かっていたから、出切るのに脚を使っちゃって、踏み直す余力はありませんでした。一瞬、夢は見られたけど」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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