『京王閣競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:10月19日


 京王閣競輪場で開催されている開設59周年記念「ゴールドカップレース」は2日目を終了。今日は、二次予選競走や優秀戦「東京オーヴァル賞」のほか、永井清史、エドガーらによる「ワールドグランプリ」などが行われた。大盛況となった競走は、ワールドグランプリは金子貴志が、優秀戦は手島慶介がそれぞれ制し、ファンの声援と期待に応えた。
 明日も、本場では多彩なイベントをご用意して皆様のご来場をお待ちしています。ラッキー縁日、ラッキー猿回し、素人足自慢グランプリ予選会など盛りだくさん。ぜひとも京王閣競輪場までお越しください。



ワールドグランプリダイジェスト
 号砲が鳴るとエドガーがスタートを決めて誘導を追った。間もなくケリーを迎え入れ、三番手をムルダーが固める。中団に新田康仁―佐藤慎太郎、後方に永井清史―金子貴志―井上昌己―長塚智広の隊列に落ち着いて淡々と周回を重ねる。
 青板過ぎのバックから新田―佐藤が上昇すると永井もこれに乗って行く。赤板で新田が誘導の後位に入るとケリーは車を下げ、三番手に入った永井は前との車間を空けてしきりに後方を牽制する。まだペースは上がらず、ケリーが二角から踏み上げると、これを見た永井が打鐘と同時に誘導を交わして前に出る。2センターからケリーは懸命に永井を叩きに出るが、永井もこれに合わせてホームから発進して出させない。この時に長塚がムルダーの後位へ切り替えて、新田は永井ラインを追う形となる。結局、ケリーは出切れずに外併走となり、エドガー、ムルダーも共倒れ。立て直した新田が三角から大外をまくり上げるが、2センターから金子が番手まくりを放ち快勝。井上が2着に流れ込み、外から迫った新田が3着に入り、日本勢が上位を独占した。
表彰式
表彰式
ゴール
ゴール
金子貴志選手
金子貴志選手



<5R>
宇根秀俊選手
宇根秀俊選手
   5レースからは二次予選Bがスタート。ここでは宇根秀俊(写真)の健闘が光った。1センターでインコースをしゃくった舘泰守がするすると上がって先頭に立つと、その後位に切り替え、最後は直線で鋭く差し交わした。
 「廣川(泰昭)がまくると思ってハンドルを絞っていたら、舘さんが内に行くのが分かったから、流れるようにそれに付いて行った。いつものクセが出てしまいましたね。廣川には悪かったけど、今回は自分の動きができた。ただ、最後はスライスもしたし、絶対に2着だなと思ったんだけどね(笑)」
 舘泰守もとっさの判断が奏功した。
 「展開としては中団を取りたいなと思っていたんだけど、インコースが空いたと判断して、自然に内にいきました。出切ってからは風もあったしキツかったですね。ただ、前に前に攻めようという強気な気持ちがレースに出たし、自信になっています」


<6R>
立花成泰選手
立花成泰選手
   6レースは最終ホームで自力型3車がからんでレースが乱れる。最終的に主導権を握った本村隆文の番手に立花成泰(写真)が入ると、三番手からまくって来た五日市誠に合わせて抜け出し快勝。ホッとした表情でレースを振り返った。
 「ホームは危なかったけど、あそこで引いたら(チャンスが)ないですからね。本村くんが掛かってたし自然に詰まったら行こうと思ってたら、脚が溜まる前に五日市くんに来られたけど、合わせられて良かったです。連日人気になって緊張するけど、明日はならないと思うのでリラックスして走りたい」
 単騎で先手ラインに切り替え、切り替え機敏に動いた中曽直彦が、最後はコース取り巧みに2着に食い込んだ。
 「とにかくバックを踏まないことだけ考えて走りました。ほんとは立花くんより先にまくるつもりだったけど、ゴチャゴチャになってツキもありますね。記念の準決勝は初めてなので嬉しい。調子も問題ないです」


<7R>
田川辰二選手
田川辰二選手
   7レースはバック後方8番手からまくりを放った野田源一が、大外を強襲して1着をさらった。
 「仕掛けるタイミングを計っていたら、前にいた沼川(夢久)さんが動いてくれた。うまく乗れれば3着までいけるかなと思っていました。車の出も良かったし、4角から降りる時には、届く自信がありました」
 野田マークの田川辰二(写真)は何とか3着を確保して、準決Cに駒を進めた。
 「あそこからなら、野田を抜けるはずはないし、何とか3着までっていう必死の思いで踏みました。最近、セッティングをあちこちいじっていたんだけど、それを元に戻したのが良かったかな。周回中もそれを実感していました」
 高橋陽介は主導権をにぎるも、辻力の早めの巻き返しに屈し、着外に沈んだ。
 「流しすぎてしまった。辻さんの仕掛けが予定外に早くて、踏み遅れてしまいました。スピードに乗せる前に行かれたし、力を出し切れませんでしたね…」


<8R>
海野敦男選手
海野敦男選手
   8レースからは二次予選A。レースは荻原尚人―岡部芳幸が先制すると、三番手を岡田征陽と城戸崎隆史が取り合うかたちに。すると、その争いを避けた五十嵐力が後方から豪快にまくり上げて3着に入線する。
 「もう少し荻原君が流してくれればカマそうと思ったんだけど、早めに踏んでいたし、中団争いの上を無理やり行っても、タレるだけだと思い、仕掛けるのを待ちました。2センターで岡部さんに合わされたけど、何とか我慢できましたね。調子は良いし、上がってきてます」
 勝ったのは海野敦男(写真)。五十嵐マークで脚を溜め、直線を鋭く追い込んだ。
 「五十嵐は落ち着いていたね。三番手がもつれていたし、決着が付いたらすぐにでも仕掛けると思っていたから、最後方に置かれても全く慌てませんでした。今日はちょっと重かったけど、明日以降は(強豪相手で)スピードある競走が増えるだろうから、流れに乗れると思いますよ」
 岡部芳幸は辛うじて2着入線を果たすが、「今日は番手まくりする予定はなかった」と話すだけに表情は浮かない。
 「後ろ(三番手)に岡田がいたのは分かったけど、中団争いで脚を使っているのが分かったからもう来ないだろうと。だから、五十嵐の動きだけを警戒していました。五十嵐がホーム辺りで無理やりにでも叩きに来てくれればもっと楽な展開に持ち込めたのにね。今日は荻原の誕生日だったし、何としてでも二人で連対がしたかった」
 地元の岡田征陽は、「脚が一杯で、まくっても車が進まなかった。位置的には良いところが取れたんだけどね…」と言葉少な。


<9R>
武井大介選手
武井大介選手
   9レースは人気の関東ラインが動いたところを武井大介が叩き、そこを一気にカマした新田祐大が最終先行。金成和幸が離れ、番手に武井が入ると、最後は中団四番手を確保した伊藤正樹が鋭く伸びた。
 「武井が中団を取りたくてごちゃつくなと思ってました。斬った武井に付いていけなければ一番後ろになるところでしたからね。武井に見られてるのでキツいなと思ってたけど、後ろに先輩も付いてたし行かない訳にはいかないでしょ。流れに対応できてるし、レースが見えてますね」
 2着の武井大介(写真)も自在型の真骨頂ともいえる走りを見せた。
 「押さえて関東ラインの四番手を取るつもりだったけど、柴田(洋輔)が先に動いたので。新田も引かなかったし、斬って新田が来たら三番手に入るつもりでした。ホームで後ろを見たら新田がすごい顔をしてたので来るのかな? と思って合わせて踏んだ。理想どおりの走りができました。昨日も思ったより車が出たし、今日も良い位置を取れれば何とかなると思ってました。最後は出なかったけど、悪くはないと思います」
 不発に終わった柴田後位から3着に入った神山雄一郎だが「柴田に気持ちよく走らせてあげれば良かった。俺のミスです」と柴田を気遣うコメントに終始した。


<10R>
永井清史選手
永井清史選手
シェーン・ケリー選手
シェーン・ケリー選手
   10レースはワールドグランプリ。日本人選手6名と海外招待選手3名が火花散る戦いを演じた。中団の新田康仁がインを斬る形で、永井清史が打鐘先行。巻き返してきたケリーをきっちり合わせると、最後は番手の金子貴志が抜け出して白熱の一発勝負を制した。
 「すごい勢いで来たケリーを(永井が)合わせたときにはビックリしました。でも今日は精神的にキツかったです。前回(共同通信社杯)、小嶋(敬二)さんが離れてるのを見てたし。結果的に僕が勝っただけで、日本で結束して結果を出せたのが嬉しい。意味のある1日でした」
 金子マークの井上昌己も永井の強さに舌を巻く。
 「永井は強い! 打鐘の2センターで(外国勢に)一発持って行ってれば楽になったけどね。差せるかなと思ったけど、あれはムリだな。また練習してきます」
 まくり上げて3着に入った新田康仁も「ギアが3.92だから斬って飛びついたところを外国勢に入られるのがイヤだったけど大丈夫だった。これから92をひんぱんに使ってみようかな。3着までに入れればと思ってたし、色んな意味で収穫がありました」と次につながる走りができた様子。
 逃げた永井清史(写真)も満足げな表情でレースを振り返る。
 「(ケリーが)来るのは分かってたし、絶対出させないつもりでした。思ったレースができたし、後ろに勝ってもらえて納得です」
 外国勢にとってはほろ苦い第1戦となった。先頭を任されたケリー(写真)は「コンディションは良かったが、厳しいレースだった。永井は強かったと思う。今日はとても勉強になったし、今週しっかり準備をして千葉ではもっと良い結果を残せるようにしたい」
 北京五輪銀メダリストのエドガーは「自分の力を見せる機会を作ることができなかった。次走まで1週間あるので、精神的にも肉体的にも十分に準備できる。次は万全の体勢で臨みたい」。
 ムルダーは「最悪のレースになった。レースをとおして後方に置かれて何もできなかった。次走は今日より良い結果を残せるように頑張る」と、3選手それぞれ第2戦への意気込みを語った。


<11R>
藤田竜矢選手
藤田竜矢選手
   11レースは藤田竜矢(写真)が別線を封じるパーフェクトな競走で存在をアピール。地元・高橋大作とワンツーを決めた。
 「昨日、早めに駆けて9着に沈んだんで、今日は最後まで持つようにと思い、1センター辺りから駆けました。踏み直しもできたけど、もう少し四角で踏み直せれば良かったかな。それでも高橋さんとワンツーを決められたわけだし良しとしないとね」
 高橋大作は地元記念で絶好の展開を逃してガックリ肩を落とす。
 「普通の先行のつもりで(車間を)空けたけど、踏み直しがすごかった。あの感じで抜けなかったのは初めて…。ファンに申し訳がないし、しっかり抜いとかないとね。明日はしっかり走ります」
 3着の小松剛之は埼京コンビを追走し、結果的に三番手を固めるかたちとなった。
 「車間を空けて、早めに詰めようかとも思ったんだけど、藤田のカカリが良かったし、付いていくので一杯だった。結果的に3着だし、納得してますよ」
 石丸寛之は後方からのまくりも届かず4着に。
 「みんな車間を切ってるし、前が遠すぎた。豊田(知之)さんを連れ込まないといけなかったのに…」


<12R>
手島慶介選手
手島慶介選手
   12レースは北津留翼が先行。合わされて三番手に入り直した平原康多がバックからまくり返すと、番手の後閑信一が直線踏み込む。ゴール前ではさらに後ろから手島慶介(写真)が鋭く伸びて「東京オーヴァル賞」を制した。
 「前のおかげだし、今日も必死でしたよ。顔見せから重かった。後半へ向けて一戦、一戦頑張らないといけないし、もっと調子を上げていきたい。もちろん明日もしっかり走ります」
 2着にはまくり不発に終わった佐藤後位から鋭く伸びた兵藤一也が入線した。
 「コースはちょっと狭かったけど、無風だったからね。感じも良いけど、ただ流れが良いだけです」
 3着の後閑信一は「平原は、打鐘過ぎに脚を相当使っているはずなのに、そこから休むことなくすぐに行ってくれた。あの頑張りに俺は何としても応えないといけないでしょう。今日は展開を生かせなかったけど、ボチボチ良くなっているのを実感できたし、明日以降も気持ちを入れて頑張ります」と平原の頑張りを称える。
 まくり不発に終わった佐藤友和は「(北津留、平原の)2人のやり合いがどうなるのか微妙だったから見てしまった。3コーナーで慌てて踏んだのも失敗でしたね。でも、今日はちょっとムリだったかな。タイミングが悪かったし、今日の感じは何とも言いようがないです」。明日の準決勝Aから仕切り直す。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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