『京王閣競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月21日


 京王閣競輪開設59周年記念「ゴールドカップレース」は10月21日に最終日を迎えた。S級S班10名が参戦したが、決勝に勝ち上がれたのはわずかに3名。勝ち上がりは戦前の予想をはるかに上回る激しいものとなった。ハイレベルなシリーズを制したのは石丸寛之。北津留翼の先行に乗ると、バック過ぎからの番手まくりで自身三度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲と同時に平原康多が飛び出すが、後閑信一がその上を行ってスタートを取った。初手は平原-後閑-高橋大作の埼京勢が前団。中団には佐藤友和-神山雄一郎に武井大介が続き、北津留翼-石丸寛之-加藤慎平が後ろ攻めとなった。
  周回が進み、青板周回の2センターから北津留がゆっくりと上昇、武井がこのラインに切り替えていく。北津留が前を押さえると、平原はすぐに車を下げた。北津留が誘導を切って先頭に立つと、さらに佐藤-神山が切り替えて武井の後方に付けた。したがって、平原と佐藤で中団を取り合う形になる。ジャンが入り、先頭の北津留は一旦後ろを見たあと、4コーナーから先行態勢に入った。北津留が逃げるなか、外併走していた佐藤が2コーナーからスパート。しかし、車間を空けて警戒していた石丸に番手まくりを喰らい万事休す。平原も外の神山を退かして佐藤を追ったが、佐藤と共に後退。直線に入り、石丸がそのまま後続を振り切って優勝した。番手の加藤は4コーナーで武井に内をすくわれワンツーならず。2着には武井が入り、2センターから内のコースを踏んだ後閑がしぶとく伸びて3着に入った。


石丸寛之選手
石丸寛之選手

 10月観音寺記念では目の前で同期、同級生の香川雄介が三度目の記念Vを飾った。「自分も追い付きたかった」。そう話す石丸に思わぬ早さでチャンスは訪れた。準決勝Bで連日のうっ憤を晴らすまくりを決めると、決勝では北津留の番手という絶好のシートを手に入れた。
  「翼はラインから優勝者を出したかったみたいですね。武井が(自分のところに)来るかなと思ってたけど、すんなりだったからかえってドキドキしました。タイトルホルダーに任されたし、キツくても頑張らんとって思ってたし、(番手から出るのは)あそこがギリギリのタイミングでした。できれば慎平とワンツーしたかったけどね」
  この優勝で賞金ランクも大きくジャンプアップした。このあとは地区プロ、ふるさと広島とタイトなスケジュールになるが、「タイトなスケジュールに対応できるケアと戦い方を覚えてきた。来月は地元(玉野)記念もあるし、そこで香川を抜きたい」。地元で四度目の記念制覇なら、一気にS級S班も見えてくる。

  2着には武井大介が入った。単騎のレースだったが、上手く西ライン四番手に続くと、最後は加藤の内を鋭く突いた。
  「作戦はとにかく先手ラインへと。北津留が逃げたし、迷わず切り替えられた。友和が来たけど、慎平さんが仕事をするだろうし、僕は脚をためてました。慎平さんに当たってスピードが落ちたし、後閑さんにもからまれてしまった。最後は石丸さんの内を行けば1着だったかもしれないけど、石丸さんも番手まくりだし、どちらにしても届かなかったかもしれませんね」

  悲願の地元記念連覇こそならなかった後閑信一だが、苦しい展開をしのいで3着と意地を見せた。
  「(初手は)前にいたほうが北津留も行くだろうし、康多も倍数を下げてるから何でもできると思ってた。しょうがないですね。この調子で上出来です」

  直線で武井に内をすくわれた加藤慎平は4着に。「やっちゃったぁ…」。レース直後はさすがに悔しさをにじませた。
  「余裕はあったし、武井が後ろにいるのは分かってたけどね。良いタイミングで来られた。あそこで踏ん張れるか踏ん張れないかだったけど、結果踏ん張れなかった。難しいけど、あそこで決めきれないのが今の俺を象徴してますね」

  北津留と先行争いか、佐藤と中団を争うか。平原康多にとって、この選択肢は非常に難しいものとなった。
  「北津留とやり合うより、1回斬らせてと思ったけど、内に詰まってしまって…。今日は難しかったけど、つまんない競走をしちゃったですね」

  中団外併走からまくり上げた佐藤友和だったが、石丸の番手まくりに遭い6着に。
  「日程も詰まってたし、苦しい開催でしたね。今日は中団にこだわって、(中団に)入れなかったらカマシのつもりだったけど、翼が緩めなかったのであの展開(外併走)になった。しょうがないですね」

  北津留翼は力尽きて9着大敗となったが、ラインから優勝者を出せたことに満足げな表情を見せる。
  「僕がまくりに回ったら、石丸さんが付いてる意味がない。友和さんも追い出しをかけてるし、疲れますね、あれは。でも、石丸さんが勝って良かったです」


ゴール





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