10月観音寺記念では目の前で同期、同級生の香川雄介が三度目の記念Vを飾った。「自分も追い付きたかった」。そう話す石丸に思わぬ早さでチャンスは訪れた。準決勝Bで連日のうっ憤を晴らすまくりを決めると、決勝では北津留の番手という絶好のシートを手に入れた。 「翼はラインから優勝者を出したかったみたいですね。武井が(自分のところに)来るかなと思ってたけど、すんなりだったからかえってドキドキしました。タイトルホルダーに任されたし、キツくても頑張らんとって思ってたし、(番手から出るのは)あそこがギリギリのタイミングでした。できれば慎平とワンツーしたかったけどね」 この優勝で賞金ランクも大きくジャンプアップした。このあとは地区プロ、ふるさと広島とタイトなスケジュールになるが、「タイトなスケジュールに対応できるケアと戦い方を覚えてきた。来月は地元(玉野)記念もあるし、そこで香川を抜きたい」。地元で四度目の記念制覇なら、一気にS級S班も見えてくる。 2着には武井大介が入った。単騎のレースだったが、上手く西ライン四番手に続くと、最後は加藤の内を鋭く突いた。 「作戦はとにかく先手ラインへと。北津留が逃げたし、迷わず切り替えられた。友和が来たけど、慎平さんが仕事をするだろうし、僕は脚をためてました。慎平さんに当たってスピードが落ちたし、後閑さんにもからまれてしまった。最後は石丸さんの内を行けば1着だったかもしれないけど、石丸さんも番手まくりだし、どちらにしても届かなかったかもしれませんね」 悲願の地元記念連覇こそならなかった後閑信一だが、苦しい展開をしのいで3着と意地を見せた。 「(初手は)前にいたほうが北津留も行くだろうし、康多も倍数を下げてるから何でもできると思ってた。しょうがないですね。この調子で上出来です」 直線で武井に内をすくわれた加藤慎平は4着に。「やっちゃったぁ…」。レース直後はさすがに悔しさをにじませた。 「余裕はあったし、武井が後ろにいるのは分かってたけどね。良いタイミングで来られた。あそこで踏ん張れるか踏ん張れないかだったけど、結果踏ん張れなかった。難しいけど、あそこで決めきれないのが今の俺を象徴してますね」 北津留と先行争いか、佐藤と中団を争うか。平原康多にとって、この選択肢は非常に難しいものとなった。 「北津留とやり合うより、1回斬らせてと思ったけど、内に詰まってしまって…。今日は難しかったけど、つまんない競走をしちゃったですね」 中団外併走からまくり上げた佐藤友和だったが、石丸の番手まくりに遭い6着に。 「日程も詰まってたし、苦しい開催でしたね。今日は中団にこだわって、(中団に)入れなかったらカマシのつもりだったけど、翼が緩めなかったのであの展開(外併走)になった。しょうがないですね」 北津留翼は力尽きて9着大敗となったが、ラインから優勝者を出せたことに満足げな表情を見せる。 「僕がまくりに回ったら、石丸さんが付いてる意味がない。友和さんも追い出しをかけてるし、疲れますね、あれは。でも、石丸さんが勝って良かったです」