『立川競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月7日

 21年のグレード戦線の幕開けとなった立川競輪場で開催された開設69周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」は、1月7日に最終日が行われた。S級S班の3人も順当に勝ち上がった決勝は、関東勢の先頭を務めた鈴木庸之が、郡司浩平と接触して車体故障のアクシデント。自力に転じてまくりを打った平原康多が優勝。昨年10月の京王閣以来、通算25回目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 1番車の鈴木竜士がスタートを取って、鈴木庸之-平原康多-鈴木竜の関東勢が前受け。以下は、郡司浩平-内藤秀久-近藤保、坂本健太郎、清水裕友-桑原大志で周回を重ねる。
 青板3コーナーから清水が上昇を始め、赤板経過と同時に誘導を切って前に出る。山口コンビに郡司が切り替え、引いた鈴木庸と3番手が併走になる。しかし、打鐘を前にアクシデントが発生。郡司と接触した鈴木庸が車体故障を起こして後退してしまう。目標を失った平原は冷静に山口勢後位へスイッチ。一方、3コーナーで外併走から郡司が仕掛けていく。近藤が踏み遅れ、主導権を握った郡司の3番手を清水が確保。徐々に郡司がペースに入れていく中で、近藤が最終ホームで追い上げを見せるが、清水は3番手を譲らない。力尽きて近藤が後方まで下がっていくのと入れ違いに、自力に転じた平原が2コーナーまくり。鈴木竜が踏み出しで口が空き、清水も反応できないほどのスピードで前団に迫った平原。合わせて踏み直す郡司、けん制する内藤も飲み込んで直線では先頭に躍り出る。そのまま全く後続を寄せ付けず平原が勝った。2着には内のコースを突いて伸びた桑原が入り、清水のブロックも受けた鈴木竜は3着まで。

平原康多選手
平原康多選手

 思いもよらないアクシデントだった。清水裕友が押さえて先頭に立つと、鈴木庸之と郡司浩平が3番手併走。郡司に接触した鈴木庸が赤板2コーナーでズルズルと後退。まさかの車体故障だった。
 「あそこを郡司に入られそうになったけど、すぐに気持ちにスイッチが入りました。スパッと行けたんで、あの位置に入れた」
 鈴木庸の故障を察知した平原康多(写真)は、郡司に割り込まれることなく瞬時に前々に踏む。併走を嫌うように郡司が清水を叩いて主導権。まくり展開を呼び込んだ。
 「(鈴木)竜士にもチャンスがあるようにと思ってた。それであの仕掛けになった。近藤(保)君が外に浮いててタイミングが難しかった。正直、内藤(秀久)さんを越えるので精いっぱいだった。無我夢中でした」
 ラインの目標を失ってもパニックに陥ることなくさすがの対応力を見せた。最終2コーナーから踏み込んでS級S班のライバル2人をのみ込んだ。
 「(決勝は目標があったけど、シリーズ3日間は自力で戦って)そのおかげでしっかり気持ちを切り替えられた。グランプリが終わってから全然、気持ちを切らさずいけたのがいい方向にいった。デキすぎくらい(21年の)いいスタートですね」
 初日特選は圧巻の先行策を披露して鈴木竜とワンツー。昨年末のグランプリでは悩んだ末に他地区の脇本雄太をマークしたが、逃げてもいまだ超一流であることを証明した。14、18年に次いで3度目の立川記念制覇で弾みをつけ、次は14日からのホームバンクシリーズ。8度目の大宮記念Vの期待がかかる。
 「地元だからどうとかはない。どこを走っても一戦、一戦全力でやっている。埼玉も若い選手が出てきているので、バックアップをしてきたい」
 平原ここにあり。今年も関東地区は、平原を中心に動いていく。

 清水は平原のまくりにかぶって仕掛けられない。桑原大志は清水のアクションをギリギリまで待って、最終4コーナーからさすがのコース取りで2着に入った。
 「まずは(清水)裕友の優勝って思ったので、待てるだけ待ってから踏みました。もう外は無理だと思ったし、なんとか(上位に)食い込もうっていう気持ちでした。(自分の状態が)上がってきているので、このまま気を引き締めて、もう1回上のステージでっていう気持ちです。要所、要所で足りないところもみえたんで、それをトレーニングで埋めていきたい」

 最終2センターで清水に張られた鈴木竜士は、平原とのワンツーならずの3着。記念初優勝もお預けになった。
 「平原さんは(最終)バックか3コーナーくらいで行くのかと思ってたけど、気を遣ってくれて早めに仕掛けてくれたんだと思う。ただ、加速が強烈でした。付いていければワンツーだった。(車券が平原と自分で)売れてたんですけど、僕の力不足です」




次回のグレードレースは、岸和田競輪場開設71周年記念「岸和田キング争覇戦」が1月9日~12日の日程で開催されます。
今年は岸和田競輪場リニューアル工事に伴い、和歌山競輪場にて代替開催で実施されます。
今シリーズの注目選手は、グランプリを制した和田健太郎、松浦悠士、守澤太志のS級S班3名を筆頭に、浅井康太、古性優作、和田真久留、園田匠ら各地区からの強豪が参戦。
スーパールーキー寺崎浩平にも注目です。
12月29日時点の出場予定選手データを分析した岸和田競輪場開設71周年記念「岸和田キング争覇戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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