『立川競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月4日

 22年も始まりは立川から。今年のグレード戦線の幕開けとなる開設70周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」が、立川競輪場で1月4日に始まった。初日のメイン、特選では、単騎の浅井康太がシャープに伸びて新年を白星で飾った。また、一次予選では地元の柴田洋輔の1着で3連単35万円超のビッグな配当も飛び出した。1月5日の2日目は、初日特選組9人も加わり、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 なお、立川競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。スポーツの力で立川を盛り上げよう!「立川プロスポーツデー」によるトークショーや体験イベント。オリジナルマスク、除菌グッズ、カイロなどの先着プレゼント(開催中の毎日1000人)なども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

伊藤慶太郎選手
伊藤慶太郎選手
 阿部拓真を押さえて先頭に立った伊藤慶太郎に、林慶次郎がすかさず襲い掛かり両者で主導権争い。最終ホームではわずかに林が前に出るが、コーナーで巻き返した伊藤が突っ張り切る。まくりごろかに思われた阿部も伊藤が合わせる。白岩大助は連結を外す。番手に入っていた小岩大介は、外の阿部を張ってコースを確保して追い込んだ。
 「(林)慶次郎が合わされると思わなかったんですけどね。ハコに入れたので展開に恵まれました。レース間隔が空いたので心配でしたけど、脚は軽かったし踏める感じだったので悪くなかった」
 林との踏み合いを制した伊藤慶太郎(写真)は、阿部のまくりも許さず内容のある2着。
 「逃げ切れたかと思ったんですけど、最後(小岩に)差されましたね。林君を簡単に出させたら、自分にもチャンスがないと思った。林君が先行っていう感じだったんで、動きを見ながらプレッシャーを与えて脚を使わせられればと。そこを意識してました。しっかりと踏み切れているんで悪くないです」


<2R>

 赤板の1コーナーでじわりと押さえて出た木村弘は、隅田洋介を警戒しながら中四国勢の3車を受けて中団に収まる。小川祐司の先行で隊列は一本棒。最終ホームから4番手の木村が反撃に出る。西岡拓朗のけん制をこらえて木村が小川に迫るが、その上を隅田が次元の違うスピードでまくる。遠藤勝行は付け切れず、隅田が前団をのみ込んで関東2車で後続をちぎる。最後は柿澤大貴がきっちりと交わした。
 「隅田さんのおかげですね。さすがの仕掛けでした。抜ける感じはしなかったですけど、直線が長い分、差せたのかなって。離れないようにだけ集中していた。抜けたのはデキすぎです。ピストシックスで大ギアを踏んで良くなったのかもしれないですね」
 木村の仕掛けで隊列が短くなり、隅田洋介が最終2コーナー手前からのまくりで力の違いを見せた。
 「差されちゃいましたね。バックが向かい風だったので回そうと意識し過ぎましたね。ホームが追い風なのでそこで行くか、行った上を行くかって感じでした。朝が早くてキツかったけど、明日(二次予選)は遅くなるのでたぶん大丈夫です」


<3R>

高久保雄介選手
高久保雄介選手
 関根健太郎、河合佑弥の順番で出て、河合がペースを握り打鐘を迎える。緩めた河合のスピードを確かめて、4番手にいた関根が踏み込む。関根と河合の叩き合いになり、高久保雄介(写真)は最終1センター過ぎからまくりを打つ。河合が主導権を死守するも、その上を高久保があっさりとらえて1着。
 「新年一発目の1着っていうのは気持ちいいですね。(7番手になって)僕がジャンから仕掛けられたら良かった。あそこがアカンかった。行かないとって思ったら関根君が行ったんでラッキーでした。1着はうれしいけど、もっといいレースができるように。最近、まくりは自信がなかったので大丈夫かなっていうのがあった。でも、意外と進んだんで、まくりも自信をもちます」
 3番手以下を離した近畿勢の直線勝負は、番手の三谷将太が交わせずの2着。
 「直線が長かったんで、もうちょっとイケるかと思ったけど、(高久保が)掛かってましたね。(高久保を交わせず)残念でした。今日(初日)はあんまり風もなかったし、もっとバンクが荒れてくれれば俺の展開になるんですけど」


<4R>

 矢口大樹が、打鐘の3コーナーで川口雄太を押さえて主導権。3番手に川口が飛び付くも、南関3車が出切って最終周回。川村晃司は一本棒の8番手に置かれる。4番手からまくった川口と飯尾主税が接触したあおりで室井竜二が落車。市橋司優人も乗り上げる。バック9番手からアクシデントを避けた松村友和が、外を突き抜けた。
 「落車しなくて良かったですね。どう受け身を取るか考えていたぐらいだったのでラッキーでした。岡村(潤)君が前をかばっていたのが見えたので、頑張って踏みました。練習はしっかりやれているので、今年はもっと頑張りたい。古性(優作)君とも一緒に練習しているし、恥じないレースをしたいですね」
 逃げる矢口を利した岡村潤に流れが向いたが、松村の強襲に2着。
 「飯尾さんがからまれているのはわかったんですけど、自分のところまでは来られないなと思っていた。(南関)ライン全員で勝ち上がれたので良かったです」


<5R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 薦田将伍が先行態勢を取り打鐘を通過する。追い上げた伊東翔貴が、野口大誠との中団争いを制して4番手をキープ。最終2コーナーから伊東がまくり上げる。逃げる薦田マークの久米良が、伊東をブロックして阻む。失速した伊東の外を追い込んだ菊地圭尚(写真)が力強く伸びた。
 「野口君にきっちりと中団を取られていたら厳しかった。バックは重かったんですけど、(伊東)翔貴が無理やりいってくれたおかげですね。自分は最近にないくらいの脚の仕上がりです」
 中四国3番手の吉永好宏は、薦田と久米の間を追い込んで2着。
 「久米は先行屋をかばってああいうアクションになったと思うし、自分も3番手で内を締めて自分の仕事をしていた。僕が残るのはあのタイミングしかなかったんですけど、自分だけ内にいって申し訳なかった」


<6R>

佐藤愼太郎選手
佐藤愼太郎選手
 押さえて出た宮下一歩もペースを上げるが、その上を土生敦弘が叩いて主導権。宮下は3番手に下げて、真船圭一郎が5番手。一本棒の7番手に桐山敬太郎が陥り最終ホームを通過する。3番手の宮下がまくると、すぐさま真船も仕掛ける。真船がバックで前団を仕留めて、続いた佐藤愼太郎(写真)が番手から追い込んだ。
 「僕はしっかり(真船に)付いていくことだけを考えてました。バックの向かい風が強いですね。(前回のあとは)しっかり練習もできました。僕は恵まれました」
 打鐘手前で後方に下げざるを得ない苦しい流れだった桐山敬太郎は、福島コンビに乗って外を追い込んだ。
 「宮下一歩君が(土生に)フタをしてジャン前くらいに来るのかと思ってたら、フタをしないで来た。それで慌てて切りにいったけど、切らせてもらえなかった。風も強かったし、自分は届くかと思った。(一次予選は)5着権利っていうのもあって、仕掛けを遅らせてもらった。前回も調子は良かったけど、今日(初日)も体が動いてるんで大丈夫です」


<7R>

 赤板で動いた雨谷一樹は、落ち着いて北日本ラインを出させて4番手を確保する。6番手に藤原俊太郎、伊藤裕貴は8番手。そのまま阿部架惟都の先行でレースが流れて、雨谷が最終2コーナー手前から仕掛ける。雨谷がまくり切り人気の関東コンビでの決着かと思われたが、雨谷は直線半ばから失速。番手の柴田洋輔が、追い込んで別線の追撃を振り切った。
 「風がめちゃくちゃ強くて、雨谷君がまくっていった時に戻されてしまう感じだった。自分はちょっと内に差したので、その分風を受けなくて伸びてくれた。雨谷君が位置を取って仕掛けてくれた」
 関東勢を追った藤原俊太郎が2着に入り、好配当をメイクした。
 「前も脚を使ってくれたので、いい展開になってくれました。前にS級にいた時よりもしっかり走りたいなという気持ちです。立川は初めてだったんですけど、風が強かったですね」


<8R>

 格清洋介を武田亮が叩いて、関東勢の主導権。一度は4番手に入った格清だったが、松岡孝高に内、中近勢に外を行かれて最終ホームでは8番手のピンチ。しかしながら、武田と石口慶多が激しく踏み合い、中団ももつれる。格清が2コーナーからまくると、逃げる武田の番手の河村雅章のけん制で中村圭志、木村貴宏が落車。その外を回った格清が4コーナーで先頭に立って1着。
 「流したところをいかれてしまったのは反省ですね。最後の粘りは良かった。前回(昨年12月)立川に来た時は初日は重かったんですけど、最終日が軽かったのでそのイメージで走れました」
 落車を間一髪で避けた近藤保が流れ込んだ。
 「格清君は先行基本だったと思うんですけど、出していい人とそうじゃない人を考えて落ち着いて走ってくれたと思います。ちょっと落車を見てしまって(最終)3コーナーで踏み切れず口が空いてしまいました。感触はいつも通りだと思います」


<9R>

小川勇介選手
小川勇介選手
 岩谷拓磨は、赤板2コーナー過ぎにすんなりと押さえて出る。福岡勢が2車で出切り、川口聖二も楽に3番手を手に入れる。別線の仕掛けはなく、岩谷が最終ホーム手前から徐々にペースを上げて風を切る。川口は車間を詰める勢いでまくって出るが、岩谷に合わされて結局3番手に戻る。番手の小川勇介(写真)がゴール前でグイッと伸びて、兄弟弟子でのワンツー決着。
 「(弟弟子の岩谷とのワンツーで)最高の年明けですね。(岩谷は)脚があるのは知っているんで、あとは気持ちだけだって伝えていた。しっかり駆けてくれたんで良かった。川口君だけ見て止まってたんで、自分も2車だからあまりけん制をしてもと思ってました。状態も変わらずいいですね」
 結果的にはペース駆けに持ち込めた岩谷拓磨だったが、主導権を譲る気は微塵もなかったようだ。
 「どんな風になってもハナだけは切るっていうのが最低限のノルマでした。兄弟子が(付いて)いるんで、ビビッてもしょうがない。ここ最近でも一番いいレースができたんじゃないかと。脚の調子も昨日(前検日)乗った感じからすごく良かった」


<10R>

内藤秀久選手
内藤秀久選手
 松井宏佑が打鐘の3コーナーで主導権を奪うと、久島尚樹が番手で粘り内藤秀久(写真)と重なる。内藤は冷静に併走のまま最終1コーナーに入り、インの久島が遅れていく。番手を守った内藤が、逃げた松井を差し切った。
 「1着はうれいの一言ですね。(松井は)攻めるレースをしてくれるので、なにも言わず任せていました。風が強くて先行するみたいにキツかったですね。ここ5年くらいで一番キツいレースでした。ちょっとサドルが高い感じがしたので調整するのと、キツすぎたのでケアをします」
 流れのなかでスムーズにレースを支配した松井宏佑は、内藤との神奈川ワンツーで2着に粘り込んだ。
 「しっかり自分らしいレースをして、攻めるレースができたと思う。ただ風がキツくて、レースの流れに身を任せるのがキツかった。ずっと踏み込んでいた感じ。内藤さんとゴール勝負できたのは良かったですね」


<11R>

 鈴木竜士が村上竜馬の上昇を阻んで、坂井洋は4番手を手に入れる。しかしながら、先行態勢の平尾一晃のペースがまだ上がらないと見るや、坂井は打鐘の4コーナーでスパート。最終ホーム手前で出切った坂井が、スピードに乗せて駆ける。鈴木が別線との間合いを計り追い込んだ。
 「(坂井が)しっかり仕掛けてくれたおかげですね。ダッシュがすごくて踏み出しがキツかった。風が強かったですけど、地元なので気持ちを入れて走りました。(坂井と)ワンツーを決めたかったですけど、決められなかったのは自分の技術不足です」
 西田雅志にかぶった平尾をギリギリまで待った小川賢人は、外を鋭く伸びて2着。
 「平尾君が突っ張るか、引いてもう1回仕掛けるかだと思っていました。行かれてしまったので、自分は菅原(晃)さんに前を任されていたので、切り替えていかせてもらいました。ここに来る前に弟子と練習してきたので、少しでも強いところを見せられるように頑張りたい」


<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 打鐘の3コーナーで清水裕友が先頭に立ち主導権を握る。山口勢に単騎の浅井康太(写真)が続いて、さらに単騎の新田祐大が4番手に追い上げる。吉田拓矢は、最終ホームで5番手での立て直しを余儀なくされる。逃げる清水後位の桑原大志が車間を空けて、3番手の浅井も真後ろの新田を警戒しながら前との距離を取る。新田がバック過ぎから踏み込むと、浅井は車間を詰めながら新田を張って直線できっちり抜け出した。
 「新田君がすごい勢いで来たんで、そこをしっかりと合わせられた。(最終)2コーナー手前で1回振って、そのまま詰めてまくれば良かったけど。あれだと(新田を)引き出してしまうので、(新田が)来たタイミングでと。しっかりと判断をして走れました。最後まで脚をためられたのが勝因だと思います。1着が取れたので、浅井ファンにはいいお年玉になったんじゃないかなと」
 立ち遅れることなく打鐘過ぎに反応した新田祐大は、まくり追い込んで2着。
 「残り1周であそこの位置(4番手)になったんで、バック過ぎには誰かしら動かないとっていうのはありました。それで自分があの位置で動きました。横に並ぶ前に浅井さんも踏み込んで、横に振るだろうなって。その通りになったんで、ゴールまで踏み続けた。状態はすごくいいと思います」
 吉田に託した平原康多は、最終2センターから内に進路を取り3着に入った。
 「自分は最後、外はチャンスがないのはわかったんで、内に行きました。最低限、3連対にからめた。思い切りいったけど、浅井君に締められてバックを踏んだ感じになりました」