『立川競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:1月5日

 22年も始まりは立川から。立川競輪場で開催されている今年のグレード戦線の幕開けとなる開設70周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」は、1月5日に2日目が行われた。二次予選では新S班の吉田拓矢をはじめ清水裕友も順当に勝ち上がったが、平原康多は落車に見舞われ欠場を余儀なくされた。1月6日の3日目は、決勝をかけた準決で熾烈なバトルが展開される。
 なお、立川競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。スポーツの力で立川を盛り上げよう!「立川プロスポーツデー」によるトークショーや体験イベント。オリジナルマスク、除菌グッズ、カイロなどの先着プレゼント(開催中の毎日1000人)なども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

小川賢人選手
小川賢人選手
 南関勢が切ったところを松岡孝高が出て先行態勢を取る。4番手を渡邉雄太が確保して、一本棒の8番手になった坂井洋の仕掛けもなく、松岡がそのままペースを上げる。車間を空けた小川賢人(写真)は、最終2コーナーから番手発進。渡邉も2センターで外に持ち出すが、小岩大介がけん制。番手まくりの小川が押し切った。
 「細切れだったんで、もう1回まわるかなと思ってたんですけど。あんな感じで(松岡が)2回風を受けての先行になると(仕掛けてくる別線との)スピード差も出てくる。松岡君の分も責任のある位置だったんで、出させてもらいました。あれでワンテンポ、ツーテンポ待ったら行かれてしまうかもしれないし、そうなると松岡君の頑張りの芽を摘むことになってしまう。あの距離と感じだと厳しいかなと思ったけど、1着で帰ってこられた」
 ハンドル投げの2着争いは、九州3番手の小岩大介が微差で渡邉をしのいだ。
 「流れ一本ですね。(松岡)孝高も先行態勢に入って駆けてくれた。あとは止めるのか、切り替えるのかは(小川)賢人に任せてました。孝高には悪いけど、あれで(番手から)いってワンツーだったんで。対戦相手は格上なんで、力だけの勝負だと力負けすると思ってた。自分は体自体も悪くないし、展開にも恵まれた」


<7R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 勝負どころの打鐘3コーナーで川口聖二が先頭に出ると、松井宏佑がその上を仕掛ける。太刀川一成が踏み出しで遅れて、松井、岡村潤で中部勢を叩く。川口は3番手に飛び付く。浅井康太(写真)は川口との車間を空けて、後続にプレッシャーをかけてクギ付けにする。川口の余力を確かめながら、浅井が直線一気で突き抜けた。
 「しっかり抜け切れているし悪くなかったですね。期待に応えられたのも良かったです。上位陣と戦った時にも、しっかり走りたいですね」
 果敢に風を切った松井をゴール前で交わした岡村潤が2着。
 「松井君が先行したいという気持ちが強かったし、4番手でゴチャゴチャしてくれればいいなと思っていた。風が強かったですけど、あそこを叩けるのはさすがですね。勝てれば良かったですけど、浅井君が強すぎました」


<8R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 福島コンビがペースを握るが、前受けから5番手に下げた格清洋介が打鐘の2センターからカマす。格清が出切り、五十嵐力の追走。南関ラインを追った太田竜馬(写真)は、空いた3番手に入り小休止。最終2センターから外に持ち出して格清をとらえた。
 「思いのほか(レースが)まわらなくて、風も強いので力ずくで勝つのは厳しいと思いました。(最終バックで)休んだというより結果的に休む感じになってしまった。(脚を)回せていなくて、踏みつける感じで踏んでいても進みが悪かったですね。1着が取れたのは良かったですけど、苦しみながら戦っている感じです。いつもみたいな手応えはなかったです」
 格清洋介は、5番手で構えることなく伊東翔貴を叩いて先行。S級返り咲きの初場所で準決にコマを進めた。
 「(展開は)ちょっと予想とは違ったんですけど、僕の脚的に(仕掛けて)行かないと厳しいと。でも、あそこから行って残れているので、やっぱり行く気持ちが大事だなって思いました。風は気になりましたけど、自分は小柄な人よりもいいのかなって」


<9R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 矢野昌彦が押さえて出ると、その上を叩くと思われた岩谷拓磨は3番手の新田祐大(写真)のところで止まって併走。結果的に岩谷が下げて、新田は単独の3番手を手に入れる。矢野の先行で最終周回へ。車間を空けた新田は、詰める勢いで2コーナー過ぎからまくって楽に前団をとらえる。菊地圭尚が続き、人気の北日本ワンツー決着。
 「予想外だったのは3番(岩谷)ですね、みなさんもそうだったと思うんですけど。そのなかで矢野さんが一番苦しいところで先頭を走っていたんで、僕も(矢野に)学ぶところがあった。ゴールして(菊地)圭尚さんと決まったっていうのが、すごくうれしかった」
 新田に詰め寄ることはできなかった菊地圭尚だが、危なげなく流れ込んだ。
 「すごい、新田君のトルクは全然違いますね。どっちにしろ新田君のレースになると思ってたんで、自分は離れないことだけをと。新田君は余裕があるし、どこからでもと思って走ってるだろうから、そこにタイミングを取って集中していた。いい展開になりました。自分は最近にないくらい体が動いている」


<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 吉田拓矢(写真)を7番手に置いて、木村弘が打鐘手前で主導権を握る。後続を一本棒にしてレースをつくった木村に、打鐘の4コーナーから吉田が反撃に出て襲い掛かる。スピードの違いで吉田が出切り、鈴木竜士は離れ気味に追いかけて稲村好将が続く。4番手に木村。吉田が力強く風を切るが、鈴木は空いた車間が詰らない。後続を離した吉田は、終わってみれば2着を8車身ちぎってゴールした。
 「S班になって初勝利なのでホッとしています。バックで風をあびた分、木村さんが緩めたのでそこを逃さずに行けました。なるべく内側の選手に脚を使わせたかったし、後ろをからませないように外をいきました。精神的に苦しいところもあるけど、自分なりにS班に見合う選手になりたいですね」
 吉田に離れた鈴木はいっぱい。関東3番手の稲村好将は、直線で別線との間合いを計り2着に追い込んだ。
 「(吉田)拓矢君が強烈なカマシでした。あそこで構えないところがS班ですよね。(鈴木)竜士君にピッタリ付けられたら、自分が離れていたと思う。いい緊張感で走れています」


<11R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 師匠の山崎充央との連係の武田亮が、迷いなく先頭に立ちペースを握る。中団に阿部拓真が入り、清水裕友は7番手で反撃のタイミングをうかがう。武田も清水を警戒しながら踏み上げていくが、打鐘4コーナーから清水がスパートする。武田をあっさり仕留めた清水に小倉竜二(写真)、久米良の3車で出切る。別線に出番はなく、番手から小倉が抜け出した。
 「小松島も風は強いけど、風が来るポイントがまた違いますね。今日(2日目)は前のレースで出脚で口が空くと苦しくなりそうだなって思っていたので、ピッチリ付いていこうと思っていました。最後は自分が抜いたというよりも、清水君がタレてきた感じです」
 結果3着もラインを上位独占に導く、格上の動きを披露した清水裕友の動きは悪くない。
 「出てからうまく回せていなくて、踏み直しができなかったですね。その辺を修正したい。脚のアタリ自体は、昨日よりも良かったですけど。バックの突風というか後ろに引っ張られる感じの風にやられました。今回は自転車もシューズも新しくしたので、微調整が必要だと思います」


<12R>

伊藤慶太郎選手
伊藤慶太郎選手
 赤板2コーナーで松村友和に接触した伊藤慶太郎(写真)がバランスを崩して、後ろの平原康多が落車する。打鐘で高久保雄介を押さえた矢口大樹が、そのまま駆ける。高久保は3番手を確保して、木村幸希は5番手で最終ホームを通過する。高久保が、バック手前からまくるもなかなか進まない。7番手の伊藤は3コーナー過ぎからまくり気味に追い込む。前の千葉勢をなんとかつかまえた高久保を伊藤が交わして1着。
 「みんないかせて(下げて)後方になったら、簡単には行かせてもらえないと思った。それでああなったんですけど、自分のヘタなところが出て平原さんを落車させてしまった。ただ、そのあとは落ち着いていました。高久保さんが行く雰囲気があったんで、そこを見てからでもいいかなと。自分の思っている以上に伸びた。自転車も出ているんで、そんなに悪くないと思います。(落車した)平原さんだけが心残りです」
 不発かに思われた高久保雄介のまくりだったが、最終4コーナーからの下りで再度伸びた。
 「まさか矢口君が駆けるとは。その上を関東勢が行くと思ってたんで、自分は一撃勝負をしようと。全然、まくりが出なかった。外に持ち出した瞬間に風に押し返された。なんとか体重でいけた。全然車が出なくてヤバかったけど、体重勝ちですね」