『立川競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月7日

 立川競輪場で開催された今年のグレード戦線の幕開けとなる開設70周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」は、1月7日に最終日が行われた。決勝は主導権を握った木村弘後位が新田祐大と清水裕友の併走でもつれる。後方になった吉田拓矢だったが、直線で矢のような伸びで優勝。昨年6月の久留米以来、通算3度目のGIII制覇で初のS級S班のスタートを飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると新田祐大が素早く飛び出し誘導員の後ろを占めた。したがって木村弘-新田-菊地圭尚の北日本勢が前を固め、以下は吉田拓矢-稲村好将の関東勢、浅井康太-桐山敬太郎の即席ラインが続き、清水裕友-久米良の中四国勢が後攻めとなる。
 赤板前の3コーナーから木村は誘導員と車間を空けはじめて後続の動きに備える。4コーナーから清水-久米が踏み上げて前団に迫ると木村は突っ張った。すると突っ張られた清水は木村の番手で新田と競り合う。先行した木村の後ろはイン新田-菊地、アウト清水-久米で併走となり、吉田-稲村、浅井-桐山で続きジャンが入る。最終ホームでも木村の後ろは相変わらず競り合いが続いていて、吉田、浅井も仕掛けず態勢は変わらない。最終1コーナーからスパートしていた浅井が番手を上げていく一方、2コーナーでは新田が清水を弾いて木村に単独マークとなる。最終バックで浅井が新田の後ろまで迫ると新田は番手まくりを敢行。菊地は清水とからんでいて新田を追えず、番手まくりで先頭に立った新田には追い上げマークの形となった浅井が続く。V争いは新田と浅井に絞られたと思われたが、2センターから車を外に持ち出していた吉田が素晴らしいスピードで両者に襲い掛かる。吉田が浅井を8分の1輪交わして当所記念初Vを飾った。浅井が2着で新田は3着。

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手

 立川の長い直線が吉田拓矢(写真)に微笑んだ。最終4コーナーでは前をいく浅井康太、新田祐大のマッチレースかに思われたが、2センターでようやく外に持ち出した吉田が、2人に並んだところがゴール。外を突き抜けた吉田にとっては、浅井と新田が接触してわずかにスピードが鈍ったことも味方した。
 「ちょっと厳しいかなと思ったんですけど、僕だけ脚を使ってなかったんで最後伸びました。浅井さんと新田さんがからんだおかげで抜けた。ツキがあった」
 昨年の競輪祭でタイトルホルダーの仲間入り果たして、今年は平原康多、宿口陽一ともにS級S班として関東を背負う立場だった。今シリーズは平原とともにシリーズをスタートさせたが、二次予選で平原が落車に見舞われて、その重責は新S班の吉田に重くのしかかった。
 「2日目に平原さんが落車で欠場になってしまった。なんとしても関東、地元地区で優勝者を出したいっていう思いだったので、勝てて良かった」
 レースは大方の予想通り、北日本勢が主導権。が、前受けから木村弘が清水裕友を突っ張ると、清水は番手の新田と併走になり木村後位がもつれた。中団にいた吉田は、新田が清水を大きく張った最終1センター過ぎからかぶって出られない。その間に後方の浅井がまくりで前団に迫り、最悪の流れだった。
 「(浅井がまくった)あそこで(自分も)行くべきだった。行くところを逃しました。前も膨れていて、内に吸い込まれる感じでした」
 浅井、桐山敬太郎を追うように稲村好将が外を踏んで、最終バックでも吉田は出られない。稲村の通過を待って、やっとのことで吉田は踏み込んだ。
 「(S級S班のスタートとしては)デキすぎですね。慢心せず次の大宮でも頑張りたい。(今年の年末も)またグランプリの舞台に戻ってこられるように」
 S級S班として内容はもちろんだが、地元地区で結果を残さなくてならなかった吉田がつかんだ新年のV。2月の地元、取手での全日本選抜に向けて、これ以上ない22年のスタートになった。

 浅井康太は、吉田を前に見る8番手で最終ホームを通過。1コーナーから踏み上げて、番手死守から前に踏んだ新田の後ろに入る。ゴール前では粘り込む新田を交わしたが、8分の1輪、その外を吉田に行かれた。
 「前でやり合ってたので、吉田君よりも先に仕掛けようっていう気持ちがありました。出が悪くて、新田君の動きを見ながらになりました。(新田を交わしたのが)ギリギリだったので、あれを(まくって)いったら合わされていたかなと。(今シリーズは)4日間しっかり競輪ができたし、これからもお客さんに競輪を楽しんでもらえるようにしっかりと」

 木村の番手で清水と併走になった新田祐大は、最終1センターで外の清水を仕留めて競り勝つ。番手を守り、浅井に合わせてまくる大立ち回りを演じた。
 「清水君はヨコもさばけるし、前にも踏める。弱い選手じゃないので、さばくのに1周かかってしまった。清水君じゃなくても、誰もがそこを狙うかなっていうのがあった。そういう面では違う面を見せられたんじゃないかと。負けてしまったけど、すごく収穫のあるレースだった」





開設72周年和歌山記念「和歌山グランプリ」が1月9日~12日の日程で当地2年ぶりに開催されます。今開催は昨年末のグランプリを制した古性優作を筆頭に、S級S班から佐藤慎太郎、郡司浩平、松浦悠士が、地元和歌山からは東口善朋、椎木尾拓哉、稲毛健太、中西大ら8名が参戦予定です。
古性がグランプリレーサーとして幸先の良いスタートを決めるか、SS勢が雪辱を果たさんとばかりに奮起するのか。はたまた、地元勢の活躍が見られるのか。
豪華メンバーによるV争いに注目です。

2021年12月28日時点の出場予定選手データを分析した、「和歌山競輪GIII 和歌山グランプリ」の出場メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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