『立川競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月7日


 年明け伝統の一戦・立川競輪場開設58周年記念「鳳凰賞典レース」は1月7日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。長い直線に加えて、最終日はバックで強い向かい風が吹き、多くの自力選手が苦しんだ。注目の決勝戦は4車並んだ中部勢に、成田和也が番手勝負を宣言。中部勢の作戦に注目が集まった。競り負けた浅井康太だったが、後方から直線一気に強襲。昨年11月の防府以来となる2度目の記念Vを飾った。

決勝戦 レース経過
 スタートで新田康仁が飛び出し正攻法に構える。鈴木誠が続き南関ラインが前を固め、単騎の岩津裕介がこの後ろで様子見。柴崎淳-浅井康太-加藤慎平-三浦稔希の中部勢に対し、先行目標のない成田和也-太田真一が柴崎の番手で併走し、中部分断を図る。
 赤板過ぎに柴崎が上昇すると、成田がうまく追走し、浅井は車を下げた。柴崎が新田を押さえると、新田は中団まで車を下げる。新田の外で併走していた浅井は追い上げるタイミングを図っていたが、打鐘過ぎの2センターで追い上げた。これに合わせて柴崎も猛ダッシュ、先行態勢に入った。成田が懸命に食い下がり、1センターで外の浅井をブロックして番手を死守。すると前団のもつれを見極めた新田が二角からまくり上げて前団に迫るが、番手の成田が巧なブロックで新田を止めて直線に入る。逃げ粘る柴崎を成田が交わして優勝かに、競り負けて後退していた浅井が息を吹き返し、四角で中、最後は外に持ち出し、信じられぬ伸び脚で突き抜けVをさらった。



浅井康太選手
浅井康太選手
 4車で結束した中部勢を成田和也が分断。競り負けた浅井康太(写真)だったが、後方で立て直すと、直線一気のゴボウ抜き。常識では考えられない離れ業をやってのけた。
 「本当は内で競りたかったんですが、外から行く形になってしまいました。追い上げたときの淳とのダッシュはバッチリ合ったんですけどね。外で何とか堪えたかったけど、(成田に)持っていかれて負けてしまったのが…。内容は悪かったですね。でも、優勝は嬉しいです。バック線ではヤバイと思いましたが、諦めずに踏んでいたら突き抜けました。最後は周りが止まっているように感じました」
 S級S班として迎えた10年。記念優勝という最高の形でスタートを切ることができた。
 「SSをあまり意識せず、今はレース内容を重視した走りをしていきたい。今回はデキがそんなに良くなかったので、次の向日町(記念)はもうちょっと仕上げていきます。また、暮れにここに戻ってこれるように頑張ります」

 成田和也は浅井に競り勝って柴崎淳の番手を奪ったが、優勝には届かなかった。
 「番手を取り切って、まだ余裕はあったんですけどね。後ろに入ったのが(加藤)慎平さんだというのは分かりました。新田さんがけっこう早めに来て飛び付こうかと思ったんですが、フワフワした感じだったので、前に踏んでいきました。優勝できなかったけど、強気に攻めたのは良かったと思います」

 強風の吹き荒れる中で果敢に先行した柴崎淳は3着。力は全て出し切った。
 「この強い風の中で先行して自分の仕事はできました。とりあえず出切って、あとは浅井先輩の追い上げに合わせて仕掛けました。バック向かい風できつかったけど、踏めていたし、直線では優勝かと思ったんですけどね」

 成田後位に切り替えた加藤慎平は4着。優勝した浅井の強さに脱帽する。
 「今日は(浅井)康太と心中するつもりだったけど、競り負けてしまったんで、切り替えました。余裕はあったんですが、最後はコースが開かず、突っ込めなかったです。でも、競り負けて優勝なんて、康太はどういう脚力をしているんですかね」

 新田康仁はまくり不発の6着に終わったが、表情は明るい。
 「今日は(柴崎が)遅めに押さえに来るようなら番手戦に参戦することも考えていました。でも早めに来たし、引いて立て直してからいい感じでまくっていけたんですけどね。相手が強かったです。でも、今回は久々に手応えをつかめたし、今年はやれそうな気がします」

 単騎の岩津裕介は南関コンビの後ろから組み立てた。
 「風が強かったので、そこで脚を溜めた方がいいかなと。団子になってくれれば外を踏んでもチャンスがあると思っていたんですけどね。前のスピードをもらって突っ込みたかったけど、鈴木(誠)さんが一杯だったのが誤算でした」



ゴール




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