『立川競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月7日
 14年、新年を飾る記念シリーズ。立川競輪場を舞台に開催された開設62周年記念「鳳凰賞典レース(G3)」は7日に最終日を迎え、今年最初の記念決勝の号砲が鳴らされた。関東勢との踏み合いを制した深谷知広ラインに流れは傾いたかに思われたが、自力に転じた平原康多がまくり発進。深谷、成田和也をとらえて優勝。昨年11月の大垣以来、11度目の記念制覇を遂げた。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に成田和也が勢い良く飛び出し、目標の深谷知広を迎え入れる。隊列は深谷-成田に、山賀雅仁-中村浩士が続き、池田勇人-平原康多-神山雄一郎-佐久間仙行、単騎の渡部哲男が最後方の形で落ち着く。
 赤板手前から池田が上昇開始。深谷を押さえて先行態勢に入った池田がペースを緩めると、今度は内をすくって山賀が打鐘で前に出る。3番手となった池田は中バンクに上がって深谷の動きを警戒しながらスパート。しかし、その上を深谷が4コーナーの山降ろしを使って強引に巻き返していく。2コーナーで池田を捕らえた深谷に成田がきっちり続く。俊敏に3番手に切り替えた平原はすかさずバックからまくって出る。前の2人を豪快に抜き去った平原が今年初の記念覇者となった。成田の強烈なブロックを堪えて平原を追った神山が2着に流れ込み、地元の佐久間が3着に続いた。


平原康多選手
平原康多選手
 シリーズ2日目の優秀「初夢賞」と同様に、決勝も関東勢VS深谷知広の図式に変わりはなかった。成田和也とのSS班タッグで臨んだ深谷だったが、関東勢の結束力の前では「初夢賞」に続いて苦汁をなめ、軍配は平原康多(写真)に上がった。
「自分の脚力っていうよりラインに恵まれたことが大きかった」と、表彰式から引き揚げてきた平原は、ラインの力を強調する。
 打鐘の2センターから池田勇人が山降ろしでスピードに乗せて主導権を握るが、それを上回るスピードで深谷が飲み込んでいく。深谷、成田の後ろにスイッチした平原は、最終バック手前からまくりを断行。深谷さえ思いもよらぬ極限のスピードでヨコを通りすぎた平原が、優勝をもぎ取った。
「池田君の頑張りに尽きますね。あそこまで自分たちを引っ張ってくれたし。自分もなんとかしようって、意地でまくりました。(深谷のスピードが)ゆるんでいる感じはなかったけど、スピードに乗せていった」
 最終3コーナーでは成田のブロックで外に振られながらも、そのスピードは衰えることがなく、そのままゴール板を突き抜けた。
「(昨年の)グランプリでは外を踏めないで終わったんで、今日は外を思い切り行かしてもらった。勝っても負けてもああいうレースは面白いですね」
 SS班返り咲きの初戦を制した平原の勢いは、さらに加速していきそうだ。
「去年くらいから池田君が本当にすごく強くなって、初めて安心して任せられる後輩ができた。本当にその池田君の頑張りです。そうじゃないと深谷君くらいの相手は倒せない。(力では)深谷君、新田(祐大)君が抜けていると思うし、追いつけるようにしたい。ここで緊張感を抜かないようにしたい」
 池田の成長、絆の深まりを感じつつ関東勢、ひいては埼京ラインを平原が、今年も盛り立てていく。

 最終4コーナーで成田に一発もらった神山雄一郎が、外に弾かれながらも2着をキープした。
「平原君が強かったね。今日は2着キープでもすごいことだよ。俺もきつかった。ちょうど成田君が平原君をブロックして、戻ったんで。そこをすり抜けられればと思ったけど。そういうわけにはいかなかった。ワンツースリーまで決まってよかった」

 ホームバンクで3着に流れ込んだ佐久間仙行は、まるで優勝したかのように地元勢から迎えられ照れ笑い。検車場を歩き回りながら、感謝の言葉を並べる。
「(池田)勇人は内をしゃくられて想定外だったと思うけど、それでも思い切って行ってくれた。うれしいですね。去年の大晦日には富山健一さんが(バンクで)オートバイで引っ張ってくれた。大晦日にも関わらず、嫌な顔もしないで。そういう人たちのためにも、結果を出せてよかった」

 平原も認めるように“個”力では抜けている深谷知広だが、大波に飲まれ6着に沈んだ。
「平原さんが一瞬で来ましたね。完敗です。力の差を見せつけられたレースだった。(平原は)今一番強いんじゃないですか。連敗しているんで、なんとかしたい。次の大宮記念でリベンジします」と、再戦での雪辱を誓った。

 成田和也は関東勢を止め切れずに、反省の帰り支度。
「平原君を止める予定だったんですけど…。そうなっていれば深谷君も、僕ももうちょっと面白かった。深谷君は一番強い選手だし、後ろを走れてよかった。やっぱり違いますね」


ゴール
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