『立川競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:1月3日
 平塚競輪場で行われた「KEIRINグランプリ2017」から中3日。今年のグレード戦線の幕開けとなる、立川競輪開設66周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」が1月4日から開催される。グランプリを制した浅井康太、平原康多のS班2名を筆頭に、稲垣裕之、新山響平、金子貴志ら強豪達が参戦。走り初めとあって、参加選手たちは新たな心持ちで奮闘を誓った。また、最終日の第9レースでは、S級ブロックセブンが一発勝負で行われる。
 開催を通して本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。毎日、開門時にお菓子とカイロを配布。初日は地元選手によるトークショー(2R終了後)、「ウルトラマンティガ」の握手会&写真撮影会(4R、7R終了後)などのイベントを予定しています。4日から始まる「鳳凰賞典レース」をぜひ本場でお楽しみください。

<1R>

 前回、昨年のグランプリシリーズの初日で落車に見舞われた中村一将は、そこから中5日だがコンディションに問題はなさそうだ。ほどよい緊張感をキープしたまま18年の初戦を迎える。
 「(落車は)大丈夫です。帰ってから2日ケアして休んで、あとの3日間で練習をやってきました。上積みはないけど、(前々回の)広島記念の(S級の競走得点の)勝負駆けから、ずっと気持ちが続いてるのがいい。もっと(競走得点を)上げていきたいけど、これが現状ですね」
 近藤保は昨年10月の豊橋FIでの落車で左鎖骨骨折を負って、これが復帰初場所。じっくり練習を積んできた。
 「まだ(骨折したところに)ワイヤーが入っている。でも、練習の方はだいぶやってきました。手術をして早く復帰をするつもりだったんですけど、なかなか調子が上がらなかった。それで調子が上がるまで練習をやってきた。あとはレース勘だけですね」

<2R>

引地正人選手
引地正人選手
 前回の岐阜FIを447着。ホームバンクながらも不本意な成績で昨年を終えた川口聖二は、新車での今シリーズに変わり身が期待できる。
 「(前回の岐阜はその前に)落車したフレームを使ったんですけど、なんかズレてたし、感じもよくなかった。今回は新車が届いて、ギリギリまでセッティングを悩んだ。それでも自転車が流れる感じはあるし、楽しみですね。グランプリを獲っている浅井(康太)さんもいるし、自分も頑張っていきたい」
 「5、6年ぶりですかね」と、37歳でS級にカムバックした引地正人(写真)は、例によって笑顔で取材陣に応対。ここが2カ月半以上ぶりの実戦となる。
 「練習は普通にやっていたんで、脚的には問題ない。もう一回、自力でS級に上がるっていう思いだったんで、やっとスタート地点ですね。番手は気楽っていう言えば気楽ですけど。後ろに栗林(巧)君がいるんで」

<3R>

 昨年12月に引退を表明した後閑信一さんに思いを巡らせながら佐藤真一が、気を引き締めて前を向く。
 「直前の(京王閣での)後閑さんの引退セレモニーで、自分も考えるところがあった。いずれはこういう時が来るとは思ってたけど、(東京の選手は)いつまでも後閑さんを頼ってばっかりじゃね。さみしいけど、僕らも自覚して頑張っていきたい」
 昨年11月の和歌山の落車が結果的に走り納めとなった疋田敏は、50歳を迎えても競走意欲が衰えることはない。
 「治りかけたと思ったら、連チャン(で落車)だったんで、ゆっくり休みました。こんなにゆっくりしたのは初めてかもしれませんね。競走にいきたくて、いきたくて仕方がなかった。今期のS級に向けて、もうなんの心配もない。脚力はないけど、競輪が好きなんで」

<4R>

 平塚グランプリシリーズを941着から中3日の巴直也は、昨年の記念以来の当所でプラスアルファを強調する。
 「(平塚が)追加だったんで、今回が正規配分です。(中3日は)わかっていたことですからね。このメンバーならやりやすいと思うし、いけるところをきっちりいきます。(前回)ここに来た時は、先行にこだわっていたんで、いまの方が(立川は)やりやすいと思います」
 およそ1カ月ぶりの実戦を迎える田中誠は、レース勘が気がかりな様子でこう口を開く。
 「初日につかみ切れないところがある。レース勘が微妙なんですよね。そこからは気合が入ってくる。いい感じに慣れるまでに時間が掛かるんで、心配はあります」

<5R>

岡田征陽選手
岡田征陽選手
 度重なる落車もあり、昨年は思うような成績を残せなかった岡田征陽(写真)。しかし、根本から自分を見つめ直して、復活を誓う。
 「(状態は)変わらずって感じですね。体づくりを一から見直しています。春ぐらいからしっかり動けるようにと思っている。いまは土台づりです。我慢の時ですね。自分の力は落ちてきている。でも、このままいなくなるわけにはいかない。今回は今回なりに、自分のできることをしっかりと」
 山本直は、半年間のA級戦で6度の優勝と機動力で他を圧倒。自信を深めてS級に返り咲いた。
 「(A級で)学ぶことはありました。人気とか考えずに、相手を意識せずに、力を出し切るように(走りました)。(状態は)しっかり走れてるんでいい感じです。今年はGIに出られるように。(今回は)しっかり決勝に乗れるように、力を出し切りたいです」

<6R>

 大関祐也はS級初舞台が立川記念。しかしながら、気負うことなく、A級から積み重ねてきた自分のスタイルを変わらずに貫く。
 「練習も普通にやって、街道で仕上げてきました。あとは落ち着いて走るだけです。早駆けしてもしょうがないんで、自分の競走をするだけです。変に構えないで普段通りに」
 前回の広島記念7521着。地元で勝ち上がりに失敗した佐伯辰哉だが、後半はきっちり成績をまとめた。
 「(3場所前の)別府記念が良かっただけに、そのあとの2場所がガクッと落ちた。(原因が)わからないんですけど、気温と風ですかね。風と寒さでギアが踏めてなかった。広島も初日、2日目を3.93でやって、3日目から3.85に落としたら成績が良かった。だから、今回も3.85にします。地脚だから風が吹くのはいいんですけど、(前々回の和歌山は)吹きすぎてた」

<7R>

伊代野貴照選手
伊代野貴照選手
 元砂勇雪は前回の広島記念を4297着。準決進出も二次予選、準決と原田研太朗にねじ伏せられて、力の差を痛感した。
 「110点を超える自力選手だと力の差がありますね。広島では二次予選から連続で原田さんにやられて、最終日に竹内雄作さん。同じような負け方をしないようにと思って走っているのに、同じような負け方をしている。それでも出させて(自分が)中団にいても意味がないんで、先行で勝負と考えている。くじけそうにはなりますけどね」
 番手での立ち回りが板に付いてきた伊代野貴照(写真)だが、慎重に昨年を振り返る。
 「(昨年は)点数もなかったし、厳しいところからのスタートだった。反省の毎日でした。去年は勉強の一年だった。経験に勝るものはないし、自分はS級をキープすることが目標ではない。もっと上を目指しているんで、しっかりやっていかないと」

<8R>

堀内俊介選手
堀内俊介選手
 堀内俊介(写真)は、単騎のヤンググランプリで最終2センターから内のコースを踏んだものの、優勝した鈴木竜士に阻まれて惜しくも3着。ここからさらにレベルを上げて飛躍する。
 「内は狙ってました。でも、まさか(鈴木)竜士が内に降りて来るとは思わなかった。(追い込みの)経験も少ないんで、内抜き(失格)も気になって1回踏むのをやめちゃいました。(ここまでは)ちょっと体調を崩して、しっかりケアをしてきました。まずは初日をしっかりクリアできるように。(今年は)もっとパワーをつけて先行したい。まず記念の決勝に乗って、優勝できるように。そこが目標ですね」
 堀内の番手を回るのは同県の山田幸司。前回12月別府記念での落車から約1カ月での出場で状態面はどうか。
 「脚の状態がちょっとね。怪我明けなんで…。(怪我は)鎖骨です。(自転車に)乗って脚は戻したけど、正直心配はないとは言えない。でも、誘導も乗ったんで。まずは(堀内に)付いていってって感じです」

<9R>

 昨年2度の失格がたたって今期は2班。一次予選からのスタートを余儀なくされた朝倉佳弘は、前回の広島記念から中9日も順調ではなかった様子。
 「広島記念が終わってから熱が出た。もう8割くらいは戻っているし、これから日に日に良くなってくると思います。11月、12月で(配分を)3本ずつあって疲れもあったんで、休めていい方向にいっているとは思います」
 競走得点が100点超で安定している不破将登は、コンスタントに連対を果たしてはいるものの近況は優出から遠ざかっている。
 「点数も上がらず下がらずで、いいのか悪いのか…。前回の向日町(447着)も着はそんなに良くないけど、感じ的には悪くなかったし脚も動いた。バック本数は多い時は20本くらいあったけど、受けて立つ感じで前受けが多くなったんで減ったのはあんまり気にしてない。気持ち的には前々に行けているんで」

<10R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 ここからがシリーズをリードする特選組によるレース。3年連続のグランプリ出場を逃した稲垣裕之(写真)。再びS班に返り咲くため、気持ちを新たに初戦を迎える。
 「去年は、自分なりにしっかり走ろうとしたけど、なかなか結果が出なくて。悔しい1年でしたね。後半は失格や落車もありましたけど、その中で結果を残さないといけないと思っています。努力が足りなかった。立川記念は身が引き締まる開催ですし、楽しみです。(前回の)広島記念を走って、まだ落車の影響を確認できたので。ここまでは、ケアを中心にやってきました。またS班って言う明確な目標を立てられたし、そこに向けて頑張りたいです」
 新山響平は、年末のヤンググランプリで6着敗戦。その悔しさを糧に、さらなる高みを目指す。
 「ヤンググランプリは、時間が経つにつれて悔しさが増しますね。自分の作りたかった展開は作れたけど、技術と脚力が足りなかった。要所、要所でも隙が出て、甘い走りになってしまいました。(今年も)先行を基本に上で戦いたいので。もっと、先行力を磨きたいですね。あんまり、まくりは考えたくないです。ここまでは、(12月)30日だけ休んで、31日から3日間練習をやってきました」
 10月平塚記念、11月競輪祭と立て続けに落車した阿竹智史。満身創痍の状態ながら、続く伊東記念、静岡FIを優出して17年のシリーズを終えた。怪我の不安こそあるが、その流れを生かして、今年最初の開催でも好発進を決めるか。
 「(静岡からここまでに)追加の連絡が2回くらいきました。でも、競輪祭の落車の怪我がよくなくて。ちょっと戻したいと思って断りました。ここまでにケアをしてきたし、準備はしてきたつもり。初日は良い車番をもらえたので、それを生かして」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 平原康多(写真)は、グランプリ制覇ならず。それでも「悔いはない」と、大一番で力を出し切った。今年も自身のスタイルを貫き、タイトル奪取に向けて歩みを進める。
 「グランプリは自分の走りをして、まくれなかっただけ。深谷(知広)がめちゃくちゃ強かったし、力負けです。また頑張らなきゃなって終わり方をしましたね。(目標は)グランプリじゃなくて、GIを一つ一つ獲りたいってことでモチベーションを上げている。一つ獲っても、次のGIを獲りたい。その気持ちがなかったら、ダラダラになってしまうので。受けて立つのは苦しさしかないし、追いかける立場の方が楽しい」
 平原に前を任されたのは金子幸央。まくりの決まり手が増えている近況も、ここは積極策を示唆した。
 「初日から平原さんとは想定していませんでした。連係は何度かあります。最初は失敗して、そのあとは平原さんが1着でした。先行のレースが減っているので、役目を果たせるように。ここまでは、前回(地元の宇都宮FI、361着)が悔しかったので、練習をしっかりやってきました」
 北津留翼は昨年の当所記念Vを足がかりに、競輪祭を準Vなど充実した1年を送った。今年も当所を制し、上昇気流に乗るか。
 「去年の決勝は、内が空いてまさか1着。他にも、まぐれがいろいろ続いた1年でした。今年も、1日でもまぐれが続くようにしたいですね(笑)。去年が一昨年よりも1着回数が少なかったので、今年は去年より多く1着を取りたいです。ここまでは、いつも通りの生活でした。調子は良くもなく悪くもなく、普通です」
 近藤隆司は菊地圭尚らを破って12月平FIをV。続く向日町FIは814着も、成績以上に手ごたえをつかんでいる。
 「変わらず良い状態だったので、ようやく結果が出てきましたね。今年は展開に左右されないで、成績を安定させたいです。ウエートも2、3年重量が変わっていないので、今年は体と相談しながら増やしていければ。ここで良いスタートを切れるように」

<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 年末のグランプリを制した浅井康太(写真)が、当所で18年のシリーズをスタートさせる。2年ぶり、2度目の(GP)チャンピオンユニフォームを身にまとい、心境の変化を口にした。
 「グランプリユニホームが戻ってきたので、楽しみです。2度目は楽ですね。(初めてチャンピオンユニフォームを着た一昨年の)一度目は、ガツガツしながら、勝ちたいってのを目標に走っていました。でも、そうじゃなくて。人のこと、周りのことを考えながら走りたい。そういうことを考えられるようになれば、成長できると思う。ラインもそうだと思う。深谷(知広)や金子(貴志)さんたちと、大舞台でまた走りたいので」
 金子貴志は、さらなる進化を求めて合宿練習を敢行。「しっかりできました」と乗り込んできた。
 「合宿みたいな感じで伊豆にいってきました。年末に1泊2日ですね。(練習場所は伊豆ベロドロームの)250バンクです。スピード練習ができるので。深谷はナショナルチームなので別。高橋和也とかと一緒で、むこうに近畿勢もいました。(状態は)良い感じにあると思います」
 ヤンググランプリでは、目標の太田竜馬と呼吸が合わず7着に終わった小川真太郎。しかしながら、12月佐世保記念で3勝をマークするなど、機動力に磨きがかかっている。
 「ヤンググランプリは楽しかったです。付いていければ一番よかったけど。人の後ろは、思ってた以上に難しいですね。いけるなと思うタイミングが(太田と)違った。でも、これで後ろに付く人の気持ちがちょっとはわかったかな。基本的には前でやるけど、今後は人の後ろも増えてくると思う。ここまではイベントとかで忙しくて。ちょっとしか(徳島に)帰れなかった。練習も休養もあまりできていないけど、ヤンググランプリに向けてやった余力はあると思う」