『松戸競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月26日

 松戸競輪開設70周年記念「燦燦ダイヤモンドカップ」は8月25日が最終日。平原康多、清水裕友、深谷知広ら好メンバーによって最終9Rに決勝戦が争われた。レースは単騎の3選手が後ろ攻めになったことで赤板でも動きがなく、前受けの山田久徳が腹をくくって打鐘過ぎ2センターから主導権。終始、3番手に位置した岩本俊介が1センターからのまくりで前団を飲み込み、11年に松戸競輪場で代替開催された取手記念「水戸黄門賞」以来となる9年ぶり、2度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で飛び出した村上博幸が鈴木裕を制して前を取り、山田久徳-村上の京都コンビが前受け。3、4番手に岩本俊介-鈴木の地元両者で、以下は単騎の平原康多、清水裕友、深谷知広の順で並んで周回を重ねる。
 青板のバックから徐々に山田が誘導員との車間を空けて後続を警戒するが、その後も隊列に変化はなく赤板を通過。先頭の山田がそのままスピードを上げて打鐘を迎える。逃げる山田に対して、最終回ホームから清水が反撃に出ると、1センターから岩本が合わせてまくり出す。村上の強烈なブロックを乗り越えた岩本は、2センターで山田をとらえると、もつれる後続を突き放して地元記念を制した。番手の鈴木は村上のけん制で離れてしまい、バックからインを突いた平原が2センターで村上を内から飛ばして2着でゴール。岩本に合わされた清水のさらに外をまくった深谷は3着までだった。


岩本俊介選手
岩本俊介選手

 村上博幸の飛び出しが早く、「スタートを取るはずだったけど」と話す岩本俊介(写真)は3番手からの組み立て。しかし、後ろ攻めとなった単騎の3選手が動かなかったことで、レースは想定外の流れになる。前受けの山田久徳が腹をくくって打鐘過ぎ2センターからペースを上げると、すんなり3番手の岩本は1センターからのまくりで前団を飲み込んだ。
 「本当はスタートを取って、山田君が押さえたら引くところまで引いてダメでも一気に仕掛ける作戦だった。それが、まさかあの位置で回って来るとは思わなかったので。普段、先行してるので、サラ脚だといつもよりだいぶ楽でした」
 村上も2コーナーで必死のブロックを見せたが、「当たったけど、こんなんじゃ負けないぞって強い気持ちで踏みました」と話す岩本の気合い勝ち。後続がもつれたため、2センターで出切った岩本に迫る者は誰もいなかった。
 同県、同級生の鈴木裕との連係も岩本にとっては心強かった。
 「初日、2日目とリズムがつかめてなかった。タイミングは(鈴木にアドバイスされた)そのとおりに走った感じ。同級生だし、心を開いてダメでも自分の好きなようにやらせてもらった結果なんでうれしい」
 11年9月の初優勝から9年近くかかって勝ち取った2度目の記念優勝に、「練習仲間の中村(浩士)さん、妻も食事やマッサージを勉強してくれて、周りの支えで優勝できた」。ここまで支えてくれた人たちへの感謝を忘れなかった。次走は9月18日から伊東競輪場で開催される共同通信社杯。「これからは南関の力になれるような自力選手として頑張りたい」と話す岩本がムード最高潮で南関地区のビッグレースに挑む。

 初手で南関ラインの後ろになった平原康多にとってはいいポジションでもあり、動きづらい位置でもあった。バックから内に切り込み、村上を飛ばして抜け出したが2着までが精いっぱいだった。
 「岩本も含め、後ろになった人はけん制になっちゃいますよね。単騎で行くって難しいし、岩本が3番手だし動きたくなかった。チャンスがある位置ですからね。最後もコースがなくて難しかったです」

 最後方の深谷知広は2コーナーまくりで大外を迫ったが、さすがに前が遠すぎた。
 「前にあの2人(平原と清水裕友)がいたらなかなか(動けない)…。あの2人ならどこかで動くだろうなと思ったし、行けるタイミングを見て。(清水のホームまくり)あそこがもうちょっと早いタイミングだったらチャンスがあった。でも自分で行ける勇気があれば問題なかったですね」

 前受けの山田久徳はまさかの逃がされる展開になってしまった。
 「前からのほうが面白いかなと思ったけど、僕には向いてないレースだった。1周半なら深谷が来るかなと思ったけど、あんだけ動かないとは…。けっこう我慢したけど、しょうがないですね。面白くないレースになってしまいました」





次回のグレードレースは8月27日~30日まで小田原競輪場で開設71周年記念「北条早雲杯争奪戦」が開催されます。S級S班から郡司浩平、松浦悠士、佐藤慎太郎、中川誠一郎が参戦します。古性優作、東口善朋、吉澤純平、高橋晋也、香川雄介ら各地区から強豪が参戦する見どころ十分な開催です。8月19日時点の出場予定選手データを分析した「北条早雲杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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