『松戸競輪燦燦ムーンナイトカップ(GIII)レポート』 3日目編

配信日:6月12日

 松戸競輪場で開催されている「燦燦ムーンナイトカップ(GIII)」は、6月11日にシリーズ3日目が行われた。ガールズケイリンの準決では奥井迪、児玉碧衣が勝利。S級は菊池岳仁、高橋晋也、脇本雄太がそれぞれ強い内容で準決を1着でクリアした。12日はいよいよ最終日。11レースにガールズ決勝、12レースにS級決勝が実施され、大会の優勝者が決定する。
 なお、松戸競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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奥井迪選手
奥井迪選手

篠崎新純選手
篠崎新純選手
 青板バックから上昇した加瀬加奈子を制して、2番手の位置から奥井迪(写真)が動き出して誘導後位に入る。打鍾過ぎに誘導が退避し、一旦下げた加瀬の巻き返しに合わせるようにして奥井はペースを上げる。加瀬を合わせ切った奥井が、そのまま力強く逃げ切って、3連勝で決勝進出を決めた。
 「(周回中は)前か、中団を取ったら被せにくるかなと。初日の飯田(風音)さんの印象が強くて後方からならキツいなと。加瀬さんが動いて、やる気で、出させたらキツいなと。それなら自分で駆けようと思った。今日(3日目)は緊張したけど、最後は振り切れて良かった。初日は疲れていたけど、少しずつ良くなっている」
 奥井を迎え入れて2番手を確保した篠崎新純(写真)が、追い上げた那須萌美との併走を凌ぎ切って2着を確保した。
 「S(スタート)を取ってからの組み立てが得意で、1番車だし持ち味を生かして走ろうと。奥井さんがきて、引いて、奥井さんの先行に託して4コーナー勝負できればと思った。感じは良かったけど、最後は脚のなさ。奥井さんがうまいし強い。(あれを)差せるような、何でもできる自在になりたいと改めて思った。今回は1期生が3人で10年目。しぶとい所を見せられるように。決勝でも最低でも確定板に入れるように」
 道中で篠崎後位に入った高尾貴美歌が3着に流れ込んで決勝進出。
 「道中で自分が浮いちゃう未来が見えて、構えようと思った。落ち着いて判断できた。重く感じるが、少しずつ状態は上がっている。4日制は初めて。決勝に乗れて緊張で震えている。決勝に乗れるように頑張った。状態は良いとは言えないけど、全力を尽くして頑張る」

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児玉碧衣選手
児玉碧衣選手

青木美保選手
青木美保選手
 児玉碧衣(写真)は周回中に6番手の位置に陣取り、赤板を過ぎても隊列に動きはない。打鍾過ぎに誘導が退避し、児玉は3コーナーからカマして出る。あっという間に出切った児玉が、2日目同様に後ろを離して快勝した。
 「初手が前でも下げる形になると思ったので、後方からだと。(中嶋)里美さんが前にいてジャンで動く気配がなかったので、先に行かれたら、厳しいと思ったのでワンテンポ早く行ってしまった。スピードに乗せて行けて1着でホッとした。5レースで奥井さんにかっこいい先行を見せられて、自分も負けられないって。久留米で一緒に練習した時とかに(奥井に)刺激をもらえる言葉をもらった。『私の中で永遠に女王だよ。絶対女王だよ』って。私は奥井さんを相手に先にバックを取りたいってところから始めたので、その奥井さんにそう言われて光栄です。(決勝は)動ける人がたくさんいるけど、人任せにせず、出し惜しみせずに走りたい。連日、走ったあとに脚が痛いのでマッサージオイルで長いケアをしたい」
 周回中から児玉後位にいた青木美保(写真)は、児玉の加速に口が空きながらも、飛び付きを狙った日野未来との併走を凌いで2着に食い込んだ。
 「しっかり前だけを見ていたけど、千切れました。(児玉に)付いていけたのは初めて。今までに経験したことのない感じでした。追走できれば良かったですけど」
 前受けからレースを組み立てた日野未来は、児玉に叩かれて前を追うも、青木に踏み負けて3着。
 「なるべくスローにしないで、ホーム線を迎えて児玉さんを意識していたけど、脚がなかった。ちょっとでも抵抗できるように駆けるか、早めにきたら飛び付けるようにとしたけど、33で内が有利なのに、外に負けて脚がないので、そこは練習します。(4日制だけど)ケアをしていて、どんどん良くなっている。(3日目の)着は良くないけど、いい感じ」

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菊池岳仁選手
菊池岳仁選手

久木原洋選手
久木原洋選手
 林大悟が青板のバック線をめがけて踏み込むが、前受けの野口裕史が突っ張って出させない。両者の踏み合いは赤板前に落ち着き、一旦ペースが落ち着いたところを菊池岳仁(写真)が一気に叩いて主導権。菊池と久木原洋に、3番手の横山尚則は離れながら続く態勢も、関東3車で出切って別線を大きく引き離す。菊池はゴール前も踏み直して堂々と逃げ切った。
 「(初手は)前の方がいいかなと。前受けなら突っ張りでした。野口さんも林さんも積極タイプだと思ったし叩き合いはしょうがないかなと。行くとこ行ってと思いました。落ち着いて行けたと思います。今日(3日目)が一番組み立ても脚も良かったですね。日に日に感覚も良くなっている」
 久木原洋(写真)はゴール前で菊池に詰め寄るも微差で及ばなかった。
 「菊池君が全部やってくれました。野口さんが突っ張ると思っていたし、林君の動きを見て菊池君が冷静に走ってくれた。(初手が)中団か、後ろでだいぶ違う展開になったと思う。(菊池の)踏み出しが強烈でしたね。付いてからは余裕があって、3人で抜け出しているのも分かった。4コーナーからどう抜くかでしたけど、菊池君が強かったのと自分の経験不足ですね」
 3着に続いた横山尚則は前2人の強さを称賛した。
 「菊池君がかなり強かった。口が空いたというか、離れてしまって前が射程圏にいなかった。もう目一杯でしたね。前の2人に感謝しかない。(菊池は)分かっていてもそれ以上に強かったし、僕より10段階上でした。ラインに迷惑をかけなくて良かったです」

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高橋晋也選手
高橋晋也選手

阿部拓真選手
阿部拓真選手
 大石剣士、犬伏湧也の順で動いたところを高橋晋也(写真)が打鐘前の2コーナーで叩いて主導権。3番手に入った犬伏のまくりは不発で、才迫開は3コーナーから内に潜るも、阿部拓真とからみ失速。踏み直した高橋が逃げ切った。
 「車番が(5番、8番の外枠で)なくて積極的に駆けないと展開で勝てないから気持ちを出していった。できれば犬伏君を後方におきたかったが、押さえたからしょうがないと。叩きにいったけどキツかった。犬伏君が突っ張るのかどうかわからず、出させるのかなと思っていったがキツかった。ずっと踏みっぱなしで、コーナーの入口だけ休んであとは常に踏んでいる状態。脚は変わらずいい。体の使い方も良くなっている。(決勝は)菊池(岳仁)君と脇本(雄太)さんがいるが楽しみたい」
 阿部拓真(写真)は内に潜ってきた才迫を制して2着をキープ。
 「車番が悪くて、前か後ろだったけど高橋君は自信があったみたいですね。順番的に踏み合いになると思ったが、力で高橋君が行ってしまった。掛かりも良かったですね。バックから踏み直していたから援護すればワンツーが決まるなと。(状態は)日に日に良くなってきた。初日はいろいろと試したりしてかみ合わなかっただけ」
 単騎の真崎新太郎は俊敏な立ち回りが光り3着で決勝に進出。初手は南関勢を追走から道中で中四国勢へと切り替え、4コーナーからコースを探して外を伸びた。
 「(位置は初手の)並びでどうするか決めようと思った。あのメンバーで2番手の位置のラインが先行か3番手かなと。どっちも対応できるようにはした。先行は高橋君か犬伏君のどちらかと思った。たまたまうまくハマりましたね。33なので流れを殺すレースにならないようにと。切り替えるのはきついと思ったので。押さえたラインを信じて追った。いつもは初日が不安だけど、そこを乗り越えて感覚は上向き。4日制の決勝は5、6年ぶり。まさか決勝に乗れるとは」

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脇本雄太選手
脇本雄太選手

青野将大選手
青野将大選手
 脇本雄太(写真)が誘導を残して車を下げると、脇本を押さえた松坂侑亮と誘導の差は開いて、かなりスローペースになる。松坂は赤板からピッチを上げて全開で駆け、番手の青野将大は最終2コーナー前から番手まくりを打つが、その外を脇本がバンクレコードタイとなる9秒0の猛烈なタイムで一気にまくりさった。
 「(神奈川勢の先行は)そのあたりは仕方ないけど、あそこまで誘導と空けられると、行きづらくなった。踏み出しは末木(浩二)君が発進したところで行こうと。タイミングは後ろが付きづらくなったかもしれないです。変なまくりになって(後ろに)申し訳ないと。レースでは疲れてないように見えるかもしれないが、僕の中では仕掛けるタイミングが遅くなっているので、疲れは増している。あと1走なので気合いを入れて。1人でも優勝を目指して」
 青野将大(写真)は松坂の気持ちに応えて番手が出るが、脇本が強すぎた。
 「松坂君の頑張りをムダにしないようにと。(相手が脇本で)ああいう展開になるのは仕方ないですよね。昨日(二次予選)長い距離を踏んで残れているし、脚の調子は悪くない。GIIIの決勝は初めて。(33バンクの9車は)前々を意識しているので、9車でも苦ではない」
 加藤圭一は青野にしっかりと続いて3着をキープ。久々にGIIIの決勝に進出。
 「侑亮と、青野が頑張ってくれた。連日、後輩の先行屋が頑張ってくれて頼もしい。前の方にいることができているので展開に助けられている。脚はいいと思います。(GIII決勝は)いつ以来か覚えていない。かなり久しぶり(15年12月佐世保記念以来)」