『松戸競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:12月8日
 松戸競輪場で開設72周年記念「燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯(GIII)」が、12月8日から今年はナイター開催にて実施される。12月の記念だけに、グランプリレーサーの出場はないが、そのグランプリ出場権を最後の最後まで争ったS班の清水裕友がシリーズリーダーとして大会を盛り上げる。迎え撃つ地元千葉勢も岩本俊介、和田健太郎をはじめベストメンバーをそろえた。さらに松井宏佑、北井佑樹の神奈川勢の参戦も注目されるところ。力ある機動タイプを中心に、33バンクで繰り広げられるスピードバトルから目が離せない。
 松戸競輪場では記念開催中、先着入場者プレゼント、未確定抽選会、専門紙の赤競VS青競の予想会バトル、選手会千葉支部によるトークショー等のイベント、サービスをご用意してお客様のご来場をお待ちしております。なお、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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阿部力也選手
阿部力也選手
 阿部力也(写真)は11月京王閣FIで落車。直後の競輪祭は出場するも、確定板入りは2走目の一度だけだった。
 「競輪祭は落車してすぐだったので思うように体が動かない感じがあった。2走目に前にしっかり付いて行けたことは良かった。競輪祭が終わってから腰の調子が良くなくて、思うような練習できなかった。落車と疲れの影響ですかね。初日はしっかり前を援護できれば。ナイターなので1レースでも大丈夫です」
 近畿勢は窓場千加頼が中井太祐の前を回る布陣。
 「ここ数場所は調子が良くなくて、前の選手が頑張ってくれたおかげで点数が上がってる感じです。自分が前でやるときには物足りなさを感じています。タテにしろヨコにしろ力不足を感じているので、それを補う練習をやっています。冬場は苦手ですけど、9車は得意なので結果を出せるように」


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 原田研太朗は人の後ろは回らず、今後は自力を貫き通すことを宣言。当所は19年のダービーで優出した好相性のバンクだ。
 「競輪祭は周りのレベル高いが高かったというか、差を感じました。競輪祭が終わってから追加の連絡を受けました。今はこだわりを持って自力でやってます。松戸は久々に走るけど、それなりに相性は良いです。走りやすいし、FIでも何年か前に優勝していると思います」
 原田と同県の堤洋だが、ここは単騎戦を選択した。
 「競輪祭は急な補充だったし、その後に小田原を走って中3日でここなので、強行スケジュールですね。疲れはあるけど、体力的には問題ないです。感じはずっと悪くないので。原田君とは考え方の違いというか…。ここは単騎でやります」


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稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 16年オールスターの準Vなど、稲垣裕之(写真)は当所で様々な感情を味わってきた。
 「競輪祭は3走だけでしたし、疲労感もなかったのできつめに練習してきました。展開もあったけど、まだまだ力不足だと思っているし、感じたことを練習に取り入れて形になってきた。松戸ではいろんな想いをしてきましたね。記念の優勝もありますし、思い入れのあるバンクです」
 中西大が稲垣の前で持ち味の自力を発揮する。前回の地元FIは優出と上昇ムードだ。
 「前回はGIの裏開催だったけど、久々に決勝に乗れて良かった。前回から新車を使っているんですけど、それに合わせるためにバンク練習を中心にやってきた。状態も気持ちも上向いていますね。33は立ち遅れたらどうにもならない。順番が来たらしっかり仕掛けます」


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上田尭弥選手
上田尭弥選手
 上田尭弥(写真)は、富山GIIIを白星で締めると、続く玉野FIで112着と急復調が叶った。
 「玉野の後はしっかり休んで、ウエイトとかで仕上げました。久々に決勝に乗れたし、徐々に良くなっている。セッティングがずっと分からなかったんですけど、富山の最終日に良くなって、気持ち的にも楽になった。33に苦手意識はないし、仕掛けを早めてタイミングを逃さないようにしたい」
 渡部哲男が上田をマーク。競輪祭の勝ち上がりは逃したものの、3度の確定板入りで着をまとめた。
 「競輪祭は勝ち上がりは残念だったけど、後半をまとめられたのはよかった。感覚も前半よりも良くなった。ただ、流れに乗り切れないときは全く乗れてないですね。おじさんになって厳しいレースが多くなってきた」


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根田空史選手
根田空史選手
 地元の根田空史(写真)は、ここ3場所の1着が11月岸和田FIの最終日のみと大きく調子を崩した。ただ、その原因は明確なようだ。
 「最近は良くないですね。岸和田から新車を使ってるんですけど、それが良くない。今回は戻して、松山GIIIとかで使ってたやつを使います。前回の最終日に追加の連絡を受けたんですけど、連絡を受ける前から追加が入ると思ってここに向けて練習をやっていました」
 藤田勝也は久々の9車立てとなる。
 「記念は7月の佐世保以来。なぜか呼んでもらえてなかったですね。特に調子は変わらないです。伊藤(裕貴)君の3番手には付いたことあるけど、番手は初めて。松戸は落車したこともあるし、あんまり良い思い出がないですね」


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 川口聖二は前回の富山FI決勝で橋本優己に続いて準Vの成績を収めた。
 「(前回は)橋本君がタレてくると思ったら踏み直しがすごくて強かった。ハンドルも投げたけど下手でしたね。その後はいつもと変わらずに練習して、疲れも取ってきました。富山と状態は変わらずかな。ウィナーズカップの選考期間中だし、1着を重ねたい。松戸は嫌いじゃないバンクですし、好成績を残せれば」
 山口泰生は11月岸和田FIで落車し、次の富山FIは優出したものの着をまとめ切ることができなかった。
 「落車して鎖骨を折ったんですけど、手術してから1週間くらいで走ったからきつかったですね。発走機のダッシュが痛かった。痛みは前回の半分くらいには治まったかな。カントのあるバンクは好きだし、33も続いている。33に慣れた感じはありますね」


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 山岸佳太は富山GIIIで好走。準決は失敗したが、それ以外の3走は全て1着だった。続く大宮FIでも優勝と、その好調の要因をこう語る。
 「富山から1着が多くなったんですけど、変えたフレームと車輪が合っているのが要因だと思う。体はあんまり良くないので、自分の中ではまだ伸びしろがあるなって思ってます。もうちょっと間隔が空いてくれたらいいんですけど、それはしょうがない。今回は関東の自力があんまりいないので、しっかり勝ち上がりたいです」
 岡田泰地はその富山GIIIの準決で山岸に離れている。それだけにこのレースには気合が入る。
 「富山の準優で山岸さんに離れて、そこから色々考えてフレームを以前使っていたものに戻した。(8月)小倉で落車する前まで乗っていて、一番調子がいい時に使っていたものです。明日(初日)こそは迷惑をかけないようにしたい」


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 抜群のダッシュとスピードが武器の福永大智が登場。前回から中5日のローテーションで仕上がり具合はどうか。
 「前回が終わって普通に練習して休んだ。前回が終わった直後は結構体がしんどかったんですけど、今日(前検日)の感じならいけそうですね。ちょっと詰まってるんですけど、自分は空いていた方が練習の計画を立てやすいので好きですね」
 三谷将太は9月平塚FI決勝で落車し、約1カ月休んで11月平塚FIで復帰。続く富山FIは決勝3着と、いきなりヒットを飛ばした。
 「落車で修理に出したフレームが直って、前回から使ってるんですけどそれが良かった。全然違いました。鎖骨が折れて無理矢理復帰したんですけど、レース勘とかレース脚はレースでしか作れないので。松戸は相性良いと勝手に思ってます」


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北井佑季選手
北井佑季選手
 北井佑季(写真)はこれが4度目のGIII参戦。京王閣記念、富山GIIIでは優出し、着実にステップアップしている。
 「(GIIIを)走っていくなかで、学んでいることは多いですね。来年はGIを走る事にもなってくると思うし、そういう大舞台に行く前に9車立ての流れに慣れて、力の出し方を学んでいきたい。松戸は初めてですけど、33で先行は残りやすいと思うので僕としては走りやすい。初日から地元の方が付いてくださるので、自分にできることをやっていきたい」
 今年から戦法を完全に追い込みにチェンジした櫻井正孝は、他地区の鈴木輝大に前を任せる。11月防府を途中欠場してから、今回が復帰戦となる。
 「防府はウォーミングアップ中に肉離れをおこして途中欠場しました。2週間くらい歩けない状態だったし、痛む練習はできなかったですね。2、3日前ぐらいに気を付けながらモガく練習を再開した。競走は流れがあるし、自分はいけると判断して復帰しました。鈴木君は良い選手だと思っているし、自分は追い込みとして経験値を積むことが大事だと思っているので彼に付けます」


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 ここは北日本勢が強力ラインを形成。前回りは高橋晋也だ。
 「競輪祭はあんまり力を出し切れずに、自分のレースができなかった。自分の中ではデキはよくなかったですね。追加の連絡は3、4日前に来ました。今期は失格があるので、1班の点数を取るために点数を上げないといけない。だから追加が来てほしかったんですよ」
 実力者の山崎芳仁が番手を回る。
 「競輪祭は脚自体は悪くなかったけど、実力かな。位置を取ろうと思っても、取れなかったからね。疲れがあったので、2日休んでからトレーニングしました。高橋君とは競輪祭の2走目に連係したばかりですね。強いのでしっかり追走したい」


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松井宏佑選手
松井宏佑選手
 ナショナルチームを卒業した松井宏佑(写真)は、今後は競輪一本で活動していく。それだけに、戦法の幅を広げていきたいところだ。
 「競輪祭はもうちょっと戦えると思っていたけど、まだまだ力不足でした。あとは走り方ですね。流れとか、もうちょっと競輪を勉強しないと。漢字の競輪にシフトして、少しずつでもできることを増やしたい。初日は郡司(浩平)さんのフレームを使ってみます。寸法も今までとは全然違うんですけど、今後の為にそういうことも試してみたいと思った」
 地元の近藤隆司が松井をマーク。富山GIIIで復帰してから白星がなく、体調面が気になるところ。
 「落車してから調子が戻ってない感じですけど、今はしっかり練習しているので。左ふくらはぎの肉離れが痛くて何もできずにダラけてしまったんですけど、今はその借金を返済しようと思って調整せずがっつりトレーニングしています。松井君には付いていけたこともあるけど、離れてる人も見るので集中していく」


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清水裕友選手
清水裕友選手
 次点でグランプリ出場を逃した清水裕友(写真)は、18年から守り抜いたS班の座から陥落。今年最後の開催で、ファンにその雄姿を見せる。
 「(競輪祭は)どのみち不甲斐なかった。しょうがないなって感じです。もう、その日の夜に酒飲んで全部流しましたよ(笑)。今年の後半は良かったんですけど、特別競輪の準決では力の差があったし、うまくいかなかったですね。前回の最終日は良いレースが出来たと思う。これが今年の走り納めなので、しっかり走りたい。松戸は好きですね。松戸のダービーで準Vした時くらいの勢いに戻ってくれればいいですね。あの時は楽しかった」
 地元の岩本俊介は、当所GIIIを過去3度制している。今年も地元の牙城を守るのはこの男か。
 「競輪祭は実力も拮抗していたし、GIを勝ち上がるのも甘くないので。ここまではいつも通り練習して、詰め込めるだけ詰め込んだ。あんまり力んじゃうと自転車が出なくなっちゃうので、いつも通り走りたい」
 野田源一は単騎となったが、一発の魅力が溢れる選手。展開不問で注目したい。
 「競輪祭は、自分で車を持ち出してまくりにいけていたし、少しずつ上向いていた。競輪祭に向けてやっていたのが出てくれた。その後は体調を崩したこともあって体重が2キロくらい落ちた。だから練習の数値的には物足りないけど戦える状態ではあります。展開やメンバーを考えながらしっかり走りたい」