『松戸競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月12日
 松戸競輪開設62周年記念「燦燦ダイヤモンドカップ争奪戦」は4日間の全日程を終了。6名が勝ち上がった南関勢は地元の千葉トリオ、神奈川・静岡勢に分かれ、S級S班の武田豊樹、深谷知広らと対峙した。レースは自身初となる単騎戦に挑んだ武田豊樹が勝利。今年4度目の記念Vとなった。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると深谷知広がいち早く飛び出し、山口貴嗣が続いた。初手は深谷-山口、武田憲祐-望月永悟-栗原厚司、山中秀将-鈴木裕-鈴木誠の順番で並ぶ。
 周回が進み、青板過ぎの1コーナーから山中が早めに動いて行くと、武田憲が合わせて先に上昇し、誘導を交わして先頭に立った。このイン斬りを受け、山中が武田憲を叩いて主導権を握う。そのとき武田豊は山中の動きに合わせて上がっていき、一瞬内で粘る素振りを見せたが、結局は中団まで車を下げた。ジャンが入り、山中が逃げる一方で、武田憲が最終ホームから反撃を開始。武田憲が番手を上げていくと、鈴木裕が張り気味に番手から出ていく。すると、山中が自分で外をブロックする予想外の動きに出た。これで内が空くと、武田豊が俊敏に反応して内をすくっていき、山中と鈴木裕の間を抜けてまひとまくり。最後は続いてきた深谷とのマッチレースを制して優勝を飾った。マークした深谷が2着となり、大きく離れて望月が3着に入る。


武田豊樹選手
武田豊樹選手
 山中秀将がレースを作り、最終ホームで鈴木裕が番手から発進。千葉勢にとって絶好の形が出来たかに思えた瞬間、2コーナーで山中と鈴木裕の両者が接触。内に包まれていた武田豊樹(写真)はその瞬間を見逃さずに前へと踏んだ。深谷知広が武田を追走し、最後は両者のマッチレースに。両者の決着はまさに横一戦の接戦となったが、軍配は武田豊樹に上がった。
 「最後は抜かれたかと思った。千葉勢はどこから駆けても2段駆け。分断は考えなかったが、それを差すのは厳しいなと思っていた。まさか内が空くとは思わなかったです。初めての単騎戦だったが、勝てないと収穫は得られなかったと思う。でも、勝てたので自分なりに得るものはありました。オールスターのファン投票1位(深谷)と2位(武田豊)に選ばれたものどうしで、いいレースにしたいと思ってたし、最後は実際にそうなって、ファンの方にとってもいいレースになったんじゃないかなと思います」

 深谷知広は武田豊をマークし、猛然と外を追い込んだが僅かに届かなかった。
 「抜いたと思った。いい展開になったが、優勝に届かずもったいない。自分の体調に自信がなかったので、今日のような仕掛けになったが、決勝は4日間の中で一番身体が動いてました。武田さんと一緒に走る機会は滅多にないし、ぴったり後ろに付くことが出来ていい経験になりました」

 3着は望月永悟。武田憲祐マークから、狭いところを縫うように、武田豊、深谷の仕掛けを追った。
 「後ろに付いてくださった栗原(厚司)さんのことを考えながら走ったが、最後は自分の着を優先させてしまった部分がありますが、3着でようやく競輪祭の権利をえられました」

 山中を目標とした鈴木裕は最終ホーム過ぎで仕掛けたが、その山中との接触し伸びを欠いた。
 「仕掛けるべきところで行けたと思ったが、2コーナーで山中君とぶつかってスピードが止まってしまった。あれでは立て直せなかった」

 逃げた山中秀将は「接触は自分のミス」と決勝戦の運行を悔やんだ。
 「まだ余力が残っていたし、あそこで自分の横に来るなら、武田憲祐さんか武田豊樹さんだと思った。気配があったので、もう自分の横まで来てるのかと思い、当てにいきました。自分が身体を当てれば3人で決まると思った。周りを見る余裕をひとつ持てなかった」

 鈴木誠は致し方なしといった表情でレースを振り返る。
 「武田(豊)が包まれて、深谷も後方だったし良い展開になったが、あの二人がぶつかってたからね。外に浮いた分、武田にいいコースが出来てしまった」

 最終ホームでカマシを狙った武田憲祐は9着に沈んだ。
 「初手は中団からレースをと思っていた。レースが動いて、自分のタイミングで踏み出すところまでは行けましたが、スピード、力ともに足りず、これがトップとの差だと思いました。あとは自分が強くなるしかない。また決勝の舞台に来られるように頑張りたい」


ゴール
↑ページTOPへ