『松戸競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月9日
 松戸競輪場開設64周年記念「燦燦ダイヤモンドカップ争奪戦(G3)」は、4日間に渡る激戦に幕を下ろした。決勝は、近畿勢が上位を独占。先行した川村晃司の番手から、稲垣裕之が鋭く追い込んで優勝を決めた。
決勝戦 レース経過
 号砲でゆっくりと出た稲垣裕之を南修二が交わして誘導員の後位に。南が稲川翔を迎え入れ、大阪コンビが前受け、単騎の志村太賀が続き、中団に川村晃司-稲垣の京都コンビ、小埜正義-鈴木誠の地元コンビ、菅田壱道-大槻寛徳の宮城コンビが後攻めの形で隊列は落ち着く。
 残り3周の青板から菅田が上昇を始める。これを追った小埜が今度は菅田を交わして誘導員の後位に収まるが、さらに稲川が斬って赤板で先頭に立つ。そこを川村が叩いて主導権を奪う。近畿4車で並ぶ形に。川村は徐々に踏み上げてペースアップ。別線の機動型の仕掛けはなく、稲垣に絶好の流れ。車間を空けて川村を好ガードした稲垣が番手から鋭く追い込んで優勝を飾った。3番手をキープした稲川は動けず、内を突いた南が直線で京都コンビの中を割って2着に突っ込んだ。逃げた川村は直線で末を欠いて3着。


稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 近畿4車がそろった決勝戦だったが、京都と大阪は別線勝負を選択。次々と前が入れ替わり、稲川翔が前を斬ったところで後方から川村晃司がカマすと、結果的に近畿4車がドッキングして主導権。すると、川村のカカリが凄まじく、別線は手も足も出せず。最後は稲垣裕之が番手から差し脚を伸ばし、今シリーズを制した。
 「特に細かい作戦はなかったです。川村さんが落ち着いて仕掛けてくれました。カカリが凄かったです。もうちょっと自分に技量があれば、川村さんとワンツーを決めれたんですが。今日の近畿の並びなんかは、近畿の層の厚さの表れだと思います」
 この優勝で、来年への弾みがついた。
 「競輪祭で負けたことで、より一層G1への気持ちが強くなりました。この一年色々あったけれど、それでまた強くなれたと思います。強い意志を持ち続けて、練習していきたいです」 
 4番手から南修二が早めに追い込んで、2着に突っ込んだ。
 「あの位置になったのは、別線なんでたまたまです。最後は抜けた感じはなかったです。出来は良かったんですけど、次のいわき平F1に向けて、切り換えていきます」
 結果的に近畿3車を背負って風を切った川村晃司が3着に残った。
 「ホームの向かい風がきつかったので、みんな先行を嫌がっていたから、あえていきました。駆けやすい展開にはなりました。稲垣君がいるから、みんな仕掛けるに仕掛けれなかったんじゃないですか、ワンツーだったら良かったんですが。でも、力は出し切れたし、納得はできました」
 近畿3番手の稲川翔は、4着となった。
 「今日は割り切って行こうかと思って。結果的には、あの位置になったんですけど。状態はまだまだ全然です。いつまでも怪我のせいにしていても情けないので。今日は近畿が別線になったんですけど、G1では層が厚いので、それが証明できたレースだと思います。今までで一番長い4日間だった」
 単騎で臨んだ志村太賀は内をスルスルと抜け、直線で外を踏み込んだが、5着まで。
 「作戦としては一発勝負のレースなので、自分としても、緩んだらカマすつもりはあった。(作戦は)全部考えていました。それであの位置になったので、みんなには申し訳ないけど、内をしゃくって行きました。今日はやった方。良い経験になったと思います」
 近畿の結束力に敗れた地元勢。小埜正義は己の力不足を嘆いた。
 「(前から)2個目の位置を狙ってたんですけど、結果3個目の位置になった。今の点数が物語っていますね。力でねじ伏せるには、自分の力が足りなかった。レースをさせてもらえませんでした」
 鈴木誠は「地元勢がもっと勝ち上がってくれれば良かった」と、こぼした。「展開が早くて、小埜は5番手だったんで。3番手にいなければいけなかった。小埜が頑張ってくれました」
 菅田壱道は最悪の8番手凡走に終わり、悔しさをにじませた。
 「近畿を並ばせたのが失敗でした。一番やってはいけないことをやった。稲川君が斬りに行ったときに、自分も付いていくか、もしくは自分が先に前に行くべきだった。あそこからは内が空いたり、打鐘前で思いっきり行けるタイミングはあったのに。チャンスを生かせなかった」

ゴール

9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)
池田憲昭選手
池田憲昭選手
 大会最終日の第9レースに「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が行われた。今年1月のいわき平、9月の前橋、11月の防府に続き、シリーズは今回で4回目。国際大会を規範とした競技規則で争われ、力勝負が展開された。
 注目のレースは初手から動きがなく、前受けの吉川誠が打鐘過ぎから逃げる展開に。ハイペースのなか、後方で永田隼一、山中貴雄が仕掛けるも不発に終わる。直線に入ると、吉川の後ろから中村浩士が抜け出したが、3番手に位置した池田憲昭が突き抜けて優勝した。
 「(初手は)中村さんの後ろって決めてました。後ろから誰か来たら行こうとは思ってましたけど、誰もこなかったんで。なんで直線勝負になりました。(本業の)競輪とは違うんですけど、なんとなくできましたね。カーボンは軽くてヤバイですね、地区プロでもカーボンは乗ってなかったんで。状態は良くはなってるとは思うんですけど、ここ最近あまり勝ててなかったんで。これをきっかけに、励みに頑張りたいです。(賞金の100万円)いただきました(笑)」

 中村浩士は惜しくも2着に敗れた。
 「初手は誰か1車入れて、という作戦を自分の中で立ててました。吉川君の先行に乗って行ったんですけどね。吉川君のカカリが良かったんで、よほどのことがない限り後ろからはこないだろうと。後ろが来なかったら直線勝負だなと。(直線は)自分の出が良ければよかったんですけど、あまり良くなかったんで。自分の力不足ですね。これからも続くのであれば何回も走りたいですね」

 直線で伸びるも渡辺十夢は3着まで。
 「競輪とはコース取りが違いますね。空いたところ、空いたところに入っていけたから判断は良かった。もう1回チャンスがあれば、呼ばれたいですね。今日のはちょっと納得いかなかったです」

 積極的に逃げた吉川誠は直線でタレて4着に。
 「めっちゃ苦しかった。風がすごいきつくて、ハンドルも取られて。でも目立てたんで良かったです。単発勝負は目立ってなんぼなんで。良い経験になりました。アピールできたんで今後につながると思います」

 チャンスを探り、何度か仕掛けたものの永田隼一は不発。
 「全部が中途半端。中途半端に仕掛けたら内から来られました。前々から行くつもりでした。誘導の早さとかルールも違うから、動揺しました。吉川君に脱帽です。また出たいです。これはこれで面白いです」

 人気に支持された小嶋敬二はシンガリ負けに終わった。
 「今日はしょうがないね。でも緊張したけど、楽しかった。良い経験になりました」

ゴール
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