『松戸競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:8月3日

 松戸競輪場で開催されている開設68周年記念「燦燦ダイヤモンドカップ争奪戦(GIII)」は、8月3日に2日目が行われた。メインの優秀「戸定邸賞」では、長い地元ラインが主導権。番手まくりの近藤隆司が、連勝のゴールで準決に弾みをつけた。3日目には決勝進出をかけた準決の3個レースで、熾烈なバトルが繰り広げられる。
 本場では開催中の毎日、未確定車券抽選会、1000人に先着プレゼント(3日目は抽選でクオカードが当たるラッキーカード)を行います。また、4日の3日目には「プリコロハウス」のミニライブ、「大道芸・クラウンハルボー」、「スピーチーズ」のミニライブなども予定されています。松戸競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<6R>

小原太樹選手
小原太樹選手
 赤板目がけて踏んだ原口昌平は、初日に続いて迷うことなく風を切る。福岡コンビが出切って、3番手を藤木裕がキープする。しかしながら、8番手の渡部幸訓がインを押し上げる。最終ホームで室井健一をさばいた渡部は、さらに藤木もすくって3番手を奪取。じっと脚を溜めていた小原太樹(写真)が、2コーナー手前からまくりを打って直線半ばできっちり前団をとらえた。
 「(スタートは)誰か出ないとしょうがないし、(前を取らされたけど)後手を踏んじゃった。あそこは良くなかった。やっぱり競輪は前にいないと。(前からの組み立てでも)もうちょっとやりようはある。いつもみたいに脚を使わないで(まくりに)行けた。感じは悪くないと思います」
 外を回った福田知也は、脚負けすることなく小原に迫る2着。
 「小原が強かった。でも、あれを付いて行けなきゃ。小原は位置があそこ(後方)になっても落ち着いていた。自分は初日は脚が重かったけど、(2日目は)全然楽だった。ただ、まだまだ上がる感じもあるし、(準決は)もうちょっと良くなると思います」
 原口の逃げを利した小川勇介は、後ろの渡部の動きを警戒しながら小原に合わせて追い込むも3着。
 「4番(渡部)が前々にいってゴチャついたぶん、小原の行きごろになった。藤木がすくわれた時点で(番手の仕事を)やりすぎると、自分もと思ってた。後ろの動きもわかっていたし、余裕はあります」

<7R>

石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 石塚輪太郎(写真)が前に出ると、前受けの杉森輝大は引き切らずに3番手で粘る。さらに、4番手の外で併走していた松本大地も追い上げて3車で併走に。別線の動きを見ていた石塚は、打鐘の2センターでギアをトップに入れる。そのまま力強く駆けると、北野武史の追撃を振り切って1着。
 「(組み立ては)セオリー通りに後ろからと思っていました。杉森さんが包まれているのはわかっていたので、あとは桑原(亮)さんの動きに気をつけて。すんなり駆けられてラッキーでしたね。逃げ切れているし、(状態も)悪くない。換えたシューズもいい感触があるので、このまま履いてみようと思います。(記念の)勝ち上がりで1着は久しぶりです。うれしいですね」
 2着には北野武史が続き、中近ワンツー決着。レース後は、前を任せた石塚を称賛した。
 「展開も向いたけど、石塚君はグングン行くような感じで強いね。自分は(杉森が番手に来たら)対応しようと思っていました。その後も、石塚君がところどころで外すから、内を確認しながら。(石塚、北野の車券が)1番人気だったし、お客さんはわかっているよ(笑)」
 3車で併走になった杉森輝大は、5番手に下げて態勢を立て直す。最終バックから高回転でまくり上げたが、3着までが精いっぱい。
 「本当は突っ張って、石塚君のラインと勝負しようと思っていました。でも、桑原さんが切りに来るような感じだったし、踏むのが遅れてしまって(3番手で粘った)。松本さんが追い上げて来たのがわかったので、下げて自分のタイミングで行こうと。すんなり駆けさせたのに、あそこまで伸びているので(セッティングは)悪くない。あとは組み立てと判断ですね」

<8R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 赤板で切った坂本亮馬を打鐘で蒔田英彦が叩くと、後方の松岡健介の反応が早い。抵抗する蒔田をねじ伏せた松岡に続いた村田雅一(写真)が、濱田浩司の強襲を退けて勝ち切った。
 「松岡さんがすかさず行ってくれて、その気持ちがうれしかったです。新田(康仁)さん(のブロック)が来るとしたら僕のところだと思うんで、そこはしっかりと意識しました。松岡さんも結構ペースで駆けていたし、後ろを確認して空けすぎないようにした。緊張していて軽いかどうかもわからなかったけど、なにせ松岡さんに付いていけてるんで。松岡さんにはたくさんお世話になっているので、2人で上がれたのは本当にうれしいです」
 坂本が新田のブロックで不発に終わると、切り替えた濱田浩司が直線で伸びて2着に入った。
 「新田さんがヨコの動きがしっかりしているのもわかってるんで、落ち着いては見えていましたね。自分の感覚的にはあと少しですね。あそこまで行くんだったら突き抜けないと」
 内容のあるレースで3着に入った松岡健介が、同県の後輩との勝ち上がりに汗をぬぐう。
 「僕よりも、村田が本当に強いんで。僕ももちろん自分だけ(準決に)上がろうとは考えていないし、村田も同じ。初めて一緒に走って、自分は3着だけど一緒に上がれてうれしいですね。村田の最近のレースが、行かなアカンって気持ちにさせました。ほかが見えないところで行くっていうのが僕の持ち味だと思うし、ここでは来ないだろうってところで行けてますね」

<9R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 赤板で先頭に立った新山将史ラインを追いかけた窓場千加頼(写真)だったが、武井大介の再三のけん制に7番手からの出直しを余儀なくされる。窓場は打鐘の4コーナーから再び踏み込んで4番手の山本紳貴を横を通過。直線の入り口で逃げる新山をとらえた。
 「ラインで決められるように、もっと前々に攻めたかった。山本さんの横まで(追い上げて)行けなかったのは自分の力ですね。ただ、7番手に戻ってからは、早めにリカバリーができた。ここ数年で一番苦しいレースだった。腰の方とはしっかり向き合っていかなきゃっていうのがあるし、完ぺきに治っているわけではない」
 武井に振られた近藤龍徳はいっぱい。山本紳貴が窓場に続いて追い詰めるも2着まで。ホームバンクで二次予選をクリアしたが反省しきり。
 「(窓場が)フワッて浮いて下がっているのがわかったし、まだ来ないだろうって…。(窓場より)先に行かないとダメですよね。新山君も流している感じもあったんで、そこを目がけて行かないと。(武井に)申し訳ないことをした。自分の思っている以上に体は動いているけど、内容はゼロです」
 新山を利した朝倉佳弘は、最終2コーナーで窓場をけん制するも止められず、山本にも行かれての3着。
 「僕の脚力不足です。もうちょっと車間を空けて(窓場を)止めに行けば…。そのあともせめて山本君のところですよね。脚の感じはすごくいい。ラインのおかげで自分だけ(準決に)乗れちゃった」

<10R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 今泉薫が青板の2センターで前に出る。すかさず巻き返した竹内翼は柴崎淳(写真)に張られ、中団でひと呼吸入れる。打鐘で再加速し、抵抗する今泉を最終1コーナーで叩いた。しかし、戦況を見ていた柴崎が反撃。一気に前団をまくって勝利した。
 「竹内君ラインの3番手がいなかったので、行きやすかったですね。ただ、状態はあまり良くないです。自転車は出ているけど、体が…。でも、準決はどこかで見せられるように」
 柴崎を懸命に追走した朝日勇が2着に続く。レース後は息を切らして、検車場に倒れ込んだ。
 「(柴崎が)強いよ。カマシじゃなくて良かった。あれなら付いていける。踏み出した時に、このスピードなら前団をまくれると思った。あとは、桑原(大志)君が自分のところに来るのだけ注意していました」
 竹内マークの桑原大志は最終2コーナーから前に踏むも、柴崎に上をいかれてしまう。そのまま中部勢を追いかけて3着に入った。
 「竹内君の頑張りのおかげです。(打鐘の)4コーナーで出切っていたら面白かったですね。でも、(諦めずに仕掛けてくれて)うれしかったです。(竹内の番手に切り替えてきた)小林(大介)君が内を差していたし、気をつけていたら、2センターで黄色(柴崎)が来て。やっぱり来るかと。柴崎君は強いですね」

<11R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 吉田拓矢(写真)が、持ち味を生かして別線を完封した。レースは佐藤一伸が、伊藤信に合わせて踏んで前に出る。吉田は後方から一気にカマし、佐藤を打鐘の2センターで叩いた。そのまま3番手以下を突き放して駆けていくと、最後は伊勢崎彰大を1車身半離して押し切った。
 「緩んだところで仕掛けようと。できるだけ飛び付かれないように外を踏みました。余裕もあったし、いい意味で脱力して。上半身もうまく使えて、いいころのフォームで走れました。ギア比は変えていないけど、ギア板を47枚と12枚に変えてアタリも出た」
 伊勢崎彰大は、永澤剛のブロックを凌いで吉田を追走。2着を確保して、地元記念の準決に進んだ。
 「吉田君が強かったですし、気を遣って走ってくれた。バックでは抜きたい気持ちが出たけど、3コーナーから、また掛かっていって心を折られた。パーキンスやボティシャーくらい強かったよ。記念の決勝に乗れていないから、今回は頑張りたい。メンバー的に主演にはなれないけど、助演男優賞を目指して(笑)」
 吉田に叩かれた佐藤一伸は離されながらも、懸命に追いかけて3着に入った。
 「飛び付きたかったけど、かなり上を走られてしまって。叩かれた後は全開で踏んだけど、追いつかなかったです。最後はいっぱいで余裕もなかったですよ。記念の準決は、去年の(10月)平塚以来だと思う。まだ決勝に乗ったことがないので頑張りたい」

<12R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 6番手から根田空史が上昇を始めると、前受けの太田竜馬は下げて武田豊樹が地元ラインの後ろに切り替える。すんなりと4車のラインが出切った根田は、赤板手前で誘導を降ろしてペースを上げて逃げる。打鐘の4コーナーから武田が仕掛けるが、根田の掛かりがよく1車追い上げるだけ。車間を空けた近藤隆司(写真)が、詰める勢いで番手まくりを放って人気に応えた。
 「根田のおかげですね。ジャンで落ち着けたし、4コーナーから加速していったんで、自分はそこを目がけて(番手から)まくっていけば誰も来ないだろうって。根田には申し訳なかったけど、(自分と中村浩士で)売れていたんで。(準決は)また太田君がいるし、2日目のようにはいかないと思う」
 近藤に流れ込んだ中村浩士は、ラインの力を強調して地元記念の一走、一走に気持ちを込める。
 「根田が上手に駆けてくれて、コンリュウ(近藤)がそのスピードを(番手まくりで)維持したままゴールまで踏み切った。(海老根)恵太が絶対に後ろにいると思ってたら、ゴールしたあとに…。自分は初日より全然、感じがいい」
 「そこが一番チャンスあると思った」と、武田ライン追走からの組み立てになった中川誠一郎。最終2コーナーからまくって、好スピードで地元勢を脅かしたが3着。
 「武田さんは必ず仕掛けるし、そこを(付いていって、仕掛けて)行けば面白いなって。(感触は)まあまあ、初日よりは良かった。2日目の感じだったら準決も戦えそうですね」
 打鐘の4コーナーから仕掛けた武田豊樹は、結果的に1車追い上げて中村後位を奪取。流れ込みを悔やむ。
 「もうちょっと(前に)行きたかった。海老根君も車間を空けてたし、(中村後位に)入ってから考えたけど行けなかった。すんなり2段駆けが決まっちゃった」
 「ああなると思わんかった。もつれるかと思ったらすんなりだった。展開に賭けてたところがあった」とは、8番手に下げて見せ場をつくれなかった太田竜馬