『千葉競輪開設70周年記念 in松戸(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月5日

 システム障害の影響により、2日遅れの5日に開幕した開設70周年記念「滝澤正光杯in松戸(GIII)」。松戸競輪場を舞台に、1レースからスピードバトルが繰り広げられた。8レースでは中国ライン3番手の高橋清太郎が1着で、3連単が58万円を超える大波乱を演出。一方11レースでは、地元の根田空史と小埜正義がワンツーで1番人気に応えた。また、初日メインの特選では8番手からまくった渡邉一成を井上昌己が鋭く交わして白星スタートを切った。
 場内では、たくさんのイベントやファンサービスが予定されています。開催中の毎日、先着来場者様に正門で500個、裏門で500個のカード型携帯ルーペをプレゼント。さらに、未確定車券2000円で1回抽選ができる「未確定車券抽選会」も行われます。また、6日の2日目には、「BANZAI JAPAN」(4R・7R発売中)がメイン入り口前ステージに登場。日本初トライアルとパルクールのショーチーム「SHIBUYA NINJA」によるBMX & パルクールショー(2R・6R発売中)もお楽しみいただけます。ぜひ、松戸競輪場でお楽しみください。

<1R>

久木原洋選手
久木原洋選手
 高久保雄介が前受けの久木原洋(写真)を押さえた上を、矢口大樹が赤板で叩いて先制。中団の高久保は最終ホームから反撃に出るが、さらにその外を久木原もまくる。好回転で前団に迫った久木原は、2センターで一気に高久保を抜き去ってオープニングレースを制した。
 「(2日間の中止順延で)僕はイレギュラーな時ほど強いんですよ(笑)。本当は高久保を突っ張るつもりでいたけど、気付いた時には来ちゃってました。1、2年は走りっぱなしが続いたけど、今回の長期欠場(中85日)で結構、練習はできていたし、1着はうれしいです」
 久木原には先着を許したが、二藤元太からの再三のブロックを乗り越えてまくった高久保雄介が2着に入った。
 「(最終ホームで)緩んだ感じだったし、すかさず踏めました。まくった時に(二藤に)もってこられたけど、感じも悪くなかったし、我慢すれば乗り越えられるなと思いました。調子も悪くないですね」


<2R>

 青板の2センターでハナに立った原口昌平は、7番手から仕掛けてきた早坂秀悟を見て、一気にスピードを上げる。しかし、西川親幸が離れてしまい、番手に早坂が入って打鐘を迎える。4番手外まで追い上げた阿竹智史は、最終ホームからさらに加速。バックで原口をとらえると、そのまま後続を振り切って白星スタートを切った。
 「今日(一次予選)は組み立て一本ですね。周回中、良い並びになったなって思いました。風が強くてキツかったですね。(早坂が)番手から出る前に行こうと思って仕掛けました。ただ、自分で行けるところからしっかり行けてるし、悪くないと思います」
 阿竹マークの山中貴雄が2着で四国ワンツーが決まった。
 「(阿竹が)踏んだり、止めたりでめちゃくちゃキツかったです。まだ、2場所前(共同通信社杯で999着)の成績が心に残っていたんので、今日(一次予選)は千切れなくて良かった」


<3R>

 中団から先に動いた北津留翼を齋藤友幸が突っ張る。北津留が外に浮くと、長島大介は抜かりなく4番手をキープする。北津留は後方からの立て直してを強いられ、齋藤が逃げる。車間を空けた長島が、最終ホーム過ぎから仕掛ける。長島はスピードがいまひとつも、なんとか前団をとらえた。
 「あそこから行って、気持ち的には(最終)バックを取っちゃうつもりだったんですけど。いろいろ変えてみたのが…。(まくりが)出なくてビックリしました。(今回)フレームは戻したんですけど、クツが新しいんですよね。戻した方がいいのか考えます」
 長島の余力を判断しながら短い直線で詰めた武藤龍生は、半車輪差の2着。
 「すごいってわけじゃないけど、自分は余裕がありました。(長島は)モタついた感じがあったけど、やっぱりGIで戦ってる人だから脚力が違いますね」


<4R>

桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 蕗澤鴻太郎の当日欠場で8車立て。スローに落としていた大西祐が、徐々にペースを上げて先行策。一本棒の6番手の桐山敬太郎(写真)は、打鐘の2センターから巻き返す。桐山は最終ホームで柿澤大貴をキメながら、3番手の志村太賀の内を縫ってトリッキーな立ち回りでまくり切った。
 「(順延で)2日間空いて体が重くて、普段より2倍疲れた感じがした。でも、長い距離を踏もうと思っていたし、(初日が)いい刺激になった」
 併走もあったが、桐山の動きにきっちり続いた萩原孝之が2着。
 「桐山も合わされていたし、(その動きに)付いていくのがキツかった。集中していきましたよ。ここ最近で一番疲れたんじゃないかな(笑)。(ラインで)ワンツーが決まったんで良かった」


<5R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 4番手で赤板を通過した猪俣康一は、スピードを上げない渡邉豪大を2コーナーですくって先頭に立つ。そこを、取鳥雄吾(写真)が打鐘の2センターで叩いて主導権。中四国ライン3番手の吉川嘉斗まできっちり続くと、取鳥はその後も快調に逃げて、力強く押し切った。
 「打鐘ですごいキツかったです。猪俣さんに踏まれていたら、終わってました。セッティングは出てないですね…。寛仁親王牌までに形になれば良いなと思っていたので、この後ちょっと触ります。まあでも、1着だったんで二次予選以降もしっかり頑張ります」
 取鳥を巧追した筒井敦史が2着に続いた。
 「きっちり。完ぺきですね。俺はセッティングがもう一息。(取鳥もセッティングが出てなかったと聞いて)それを全く抜けなかった俺は…。(取鳥は)スピードも出ていたし、粘りも良かったと思いますけどね。でも、(取鳥)雄吾はもっと上のレベルを目指しているから、俺ももっと詰めよれんと上位では戦えんってことですね」


<6R>

 竹内雄作に併せ込んだ酒井雄多が、再度踏み込んで主導権を握る。しかしながら、フタをされた竹内の巻き返しも早く、打鐘で叩いて主導権を奪取する。竹内に柴崎俊光まで続くが、倉野隆太郎は付け切れない。後方に置かれた吉田智哉が巻き返すと、いったん3番手に入って小休止してまくりを打つ。竹内との踏み合いを制した吉田が、ゴール前で抜け出した。
 「まさかあんな展開になるとは思ってなかったです。自分だけ赤板まで脚を使っていなかった。あのまま(最終ホームで休まずに)行ったら柴崎さんに止めらると思ったのでタイミングをズラそうと思って、1回待ちました。余裕もあったし、まくれて良かった。栗田(貴徳)さんにはアマチュアの時からお世話になっていたので一緒に勝ち上がれて良かった」
 持ち前の先行力を披露して力の違いを見せた竹内雄作だったが、2着を悔やむ。
 「出切るのに結構踏まされてキツかった。でも、あそこは出切らないといけないので外で回しながらだった。それでもうひと加速できなかった。いつもなら(最終)バックで踏み上げられるけど、キツくて来たのに合わせて踏んだけど間に合わなかった。初日はいつも重いけど、1周半であれではマズい。できる限り修正する」


<7R>

 小林泰正が当日欠場で8車立て。前受けから6番手まで下げた松岡篤哉は赤板2コーナーから踏み込むが、合わせて徳永哲人も出て抵抗する。最終1センターで松岡が出切り、後ろはもつれる。神山拓弥の猛追を振り切った松岡が1着。
 「あのタイミングで行けてるし、反応はオッケーです。ただ、そのあとが重い。悪くないんですけど、(2日間)休んだぶんだと。これで刺激も入ると思うし、もうちょっと修正してですね」
 最終2コーナー手前で徳永に大きく張られた鈴木幸紀が、松岡に遅れる。小林の欠場で目標を失った神山拓弥だったが、自らまくって2着に入った。
 「これをしのげたのは大きい。あの隊列なら(松岡の仕掛けに)合わせて出て、番手と思ってたんですけど、(徳永が)突っ張っていたんで。(最終)2コーナーは危なかったけど、自分で踏んでいけた」


<8R>

高橋清太郎選手
高橋清太郎選手
 青板のバックでハナに立った中村弘之輔は、2センターから仕掛けてきた野口裕史に合わせて踏み上げて、一気にスピードが上がる。野口は赤板のバックで中村を力でねじ伏せたが、次は才迫が2センターから反撃開始。一方、中国ライン3番手の高橋清太郎(写真)は前の石田洋秀が才迫から離れると、最終2コーナーから自らまくり出す。野口を2センターで抜き去った才迫に、好スピードで詰めよると、ゴール手前で才迫を交わして勝利。3連単が58万円を超える高配当を出した。
 「才迫君が仕掛けていたんですけど、石田さんが内に降りていたので、外を行くしかないと思いました。行けるところまでと思ったんですけど、まさかですね(笑)。今回は師匠(筒井敦史)もいるのでこれで、満足せずに頑張りたいです」
 冷静にまくり上げた才迫開は、近藤隆司の強烈なブロックを乗り越えて2着でゴールした。
 「(中村)弘之輔さんが強かったですね。あれだけ(野口に)抵抗してくれたので、展開が向きました。すんなり出られていたら、終わっていたと思う。今日(一次予選)は3分戦だったので、他の人の力を借りるじゃないけど、巧く考えて走れました」


<9R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 前受けの佐藤博紀は、青板のバックで原田研太朗(写真)を突っ張る。原田が車を下げると、次は2センターから隅田洋介が仕掛けて先行態勢に。中団を確保した佐藤は最終ホームから反撃に出るが、柴田洋輔のけん制でスピードが鈍る。7番手で脚を溜めていた原田は、2コーナーから踏み出すと、豪快に前団を飲み込んで白星を挙げた。
 「(初手で佐藤が)前を取ったので、突っ張りもあるかなとは思いました。それで踏み合いになったら隅田さんが飛んでくるし、1回下げようと。体は軽いけど、踏み出しはイマイチですね。ここに入る前に結構、詰めて練習していたから、(順延になって)体は休めました」
 佐藤が不発と見るや、番手の内藤宣彦は佐藤の内を踏んで、内から川口満宏、内藤、佐藤、大坪功一の4車併走になる。それでも大坪は、なんとか原田に食い下がって2着に続いた。
 「3コーナーのところがキツかったですね。内に内藤さんもいたし、危なかった。(原田と)7、8番手になって、力勝負になるだろうとは思っていました。まあ、なんとか一番人気に応えられたので良かったです。(2日間順延したが)体は楽ですし、精神的にもリフレッシュになりました」


<10R>

 後ろ攻めから動いた北川大五郎は、3番手の嵯峨昇喜郎にフタをしてから、赤板で瀬戸栄作を叩いて主導権を握る。4番手に単騎の塚本大樹が続き、嵯峨も5番手に乗って打鐘。逃げる北川に対し、嵯峨は4コーナー手前からスパート。ライン3番手の小野裕次まで連れて一気に前団を飲み込むと、そのまま後続を寄せ付けることなく押し切った。
 「焦りがありましたね。まくりだと後ろが離れる恐れがあると思ったので。ラインで決めるために、先行できなかったぶん早めに仕掛けようと思っていました。2日間順延して気持ちが切れかけたけど、しっかりと入れ直せました」
 地元の海老根恵太は、しっかり嵯峨に続いて2着を確保した。
 「まずはラインで決まってなにより。嵯峨君は踏み出しが良いと聞いていたから、緊張しました。最後は差せるかと思ったけど、踏み直されましたね」


<11R>

根田空史選手
根田空史選手
 赤板から力任せに巻き返した根田空史(写真)が、日当泰之を叩いて主導権を握る。根田に遅れかけた小埜正義だったが、打鐘の2センターで追いついて、川口直人まで続く。根田のペースに別線はクギ付け。小埜を振り切った根田が、逃げ切りで人気に応えた。
 「緩んだら行こうと思ってた。(仕掛けてから出切って)後ろ(の小埜)が追いついたのもわかりました。内容も良かったし、(地元の記念で)いいステートが切れた。2日順延したような感覚もなかった。前検日の指定練習が重かったんで、日に日にっていう感じだと思います」
 「余裕もって踏み込んだですけど、ドリフトしちゃって…」と、小埜正義は汗をぬぐう。一瞬、離れかけただけに、ライン3車での上位独占には胸をなで下ろす。
 「自分がまくっている感じだった。力をふり絞りました。(根田は)すごかったです。自分は(2日間の順延で)脚よりも呼吸系の方がキツかった」


<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 前受けの渡邉一成は、7番手から動いてきた渡邉雄太を突っ張り気味に踏み込むが、渡邉雄が強引に渡邉一を切って先頭に立つ。そこを、2センターから仕掛けた三谷竜生が一気に叩いて先制。結局、8番手に置かれた渡邉一だったが、最終1コーナーから反撃に出る。中団から合わせて踏んだ渡邉雄の上を豪快にまくり切ると、最後は番手の井上昌己(写真)がシャープに抜け出した。
 「(渡邉)一成は、さすがというか強すぎ(苦笑)。付いているだけなのに、自力でやっているみたいにキツかったです。抜けたのはたまたまですよ。年1回くらいしか、連係できるチャンスはないけど、決まって良かったです」
 単騎の吉田拓矢は、渡邉一ラインにスイッチすると、ゴール前で鋭い伸びを披露して2着に食い込んだ。
 「(渡邉)一成さんよりも前にいて仕掛けたかったけど、ペースも上がっていてムリでした。最後はスイッチして、どこまで行けるかって感じで踏んだけど、伸びてはいるので良いと思う」
 8番手から前団をまくり切った渡邉一成だったが、ゴール寸前で3着に沈んだ。
 「結果8、9番手になった時点でダメですけど、最後もまくり切って吉田君に食われているので…。セッティングを変えて、4コーナーからの伸びが足りなかったので巧く修正します。組み立ての部分もしっかりと考えて明日(二次予選)以降も戦いたい」