『開設57周年千葉記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月31日


 千葉競輪場開設57周年記念(GIII)「第5回秋桜杯」は10月31日に4日間の熱戦に幕を閉じた。優勝は岐阜の浜口高彰。稲垣裕之の四角カマシに続くと、飛び付きを狙った藤原憲征をあっさり退けての貫録勝ち。人気がシリーズ絶好調男・岡部芳幸に集まる中、競輪は番手だと言わんばかり好展開をモノにした。

決勝戦ダイジェスト

 スタートで北野が踏み上げて誘導員を追う。北野は稲垣、浜口を受けて、稲垣―浜口―北野で前団。目標無い小川がこの後ろに続く。藤原―渡辺―法月が中団で、岡部―平沼の福島コンビが後方で周回が進んでいく。
 赤板前から岡部が上昇を開始して、正攻法の稲垣のアウトに車を合わせると、藤原のラインも岡部ラインの方に切り替え。岡部は打鐘前に誘導を斬って先頭に立ち、ペースを落とす。一方、引いた稲垣は六番手。最終ホーム手前から稲垣が巻き返し態勢を取ると、藤原も岡部を叩いて稲垣ラインへの飛び付きを狙う。稲垣―浜口まで出切ったが三番手の北野の内に藤原が飛び付く。これで隊列が短くなって岡部のまくり頃かに、稲垣の駆け方が上手く、仕掛けるタイミング取れないままレースは進む。最終バックでは稲垣―浜口―藤原―渡辺―北野―小川―法月と一本棒となってしまい、岡部は八番手と苦しくなる。結局、岡部は三角からようやくまくって出るも車が伸びず、稲垣をフルに利した浜口がゴール前伸び切って優勝を飾る。2着には藤原後位から外を踏んだ渡辺が強襲。逃げた稲垣が3着に粘った。

浜口選手
浜口高彰選手

 さすがは中部が誇る司令塔。的確な判断でラインを統率した浜口高彰が、6月武雄以来となる今年二度目の記念優勝を飾った。「連日、誘導が上がっていたし、前を取ってから考えた方が」。北野が抜群のスタートを決めると、前受けからの組み立て、勝負処の4コーナーでも稲垣のカマシ先行にピタリと続いた。
 「カマシでも、まくり追い込みでも良い。稲垣君が勝てるレースをしてくれれば良いと思ってました。あとは藤原君が飛び付くのかどうか。ホームで締め込み気味に踏んで、あとは岡部君のまくりに備えました」
 共同通信社杯の落車から2場所目。影響が心配されたが、「脚は日に日に良くなってきた」と体調に不安はなかった。小嶋敬二を残せなかった準決勝を「失敗」と振り返ると、逃げる稲垣を3着に残す冷静なレース運び。完全にレースの流れを掌握した。
 「準決は僕のミスで小嶋君を残せなかったから、今日は稲垣君を2着までに残したかったんだけどね。(渡辺)晴智君が踏んできたので、もう踏むしかなかった。今日は稲垣のおかげ。共同で落車したけど、地元のGIIに向けてやったことがここで出たと思うし、調子はずっと良いのでこの状態を維持できれば全日本選抜でも良い結果が出せるんじゃないかな」

 「あの展開が最高でした」とレースを振り返る稲垣裕之。3着に敗れはしたが、納得の表情で汗を拭う。
 「前を取って周りに脚を使わせたかった。4コーナーからカマせば、中近3人がすんなり出られるかなと思ってたし。連日、先行出来てなかったので、力を出し切っての3着なら納得です。僕だって残れるように駆けたけど、やっぱり浜口さんは強いですね」

 2着には藤原後位から外を伸びた渡辺晴智が食い込んだ。
 「今日は全て(藤原)憲征に任せてたからね。憲征も最初から飛び付き狙いじゃなかったみたいだから、慌てて踏んだような感じだった。それでも憲征は頑張ってくれたし、僕は何も言うことはない。最後は浜口さんの貫禄勝ちでしょう。僕もチャンスがあれば優勝できるように、これからも頑張りますよ」

 結果、三番手を取り切った藤原憲征だったが、最後は力尽きて4着に。
 「作戦は中団狙いだったけど、カマシだったらハコしかないと思ってた。だから飛び付きは急きょですよね。行かせてから態勢を整えてもキツい。やるなら番手と言われてたけど、飛び付けなかった。前が浜口さんじゃ勝てないし、もう1回ハコに行ってやろうと思ってたんですけどね」

 千葉ではダービーも制覇。今シリーズも連日抜群の動きを見せていた岡部芳幸だったが、まくり不発で9着に。
 「藤原君が1回切ってくれればね。あれで稲垣君が自分の形で駆ける展開になってしまった。まあしょうがないですね。負ける時はこんなもんでしょう。勉強になりました」

 藤原の飛び付きの前に敗れた北野武史は苦笑い。
 「狙われるのは俺の位置だろうから、瞬殺してやろうと思ってたんだけどね。まず浜口さんが勝って、次は俺だと思ってたら、返り討ちに遭いました」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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