『千葉競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月30日


 千葉競輪場開設58周年記念「第6回 秋桜杯」は10月30日11レースで、4日間の熱戦に幕を下ろした。逃げる佐々木則幸の後位は渡部哲男、兵藤一也で競り。競り勝った兵藤、下げた三番手から外を踏む渡部、さらに中を割る岩津裕介の優勝争いに割って入ったのは井上昌己だった。中団確保、2センター手前から一気に外を踏み込むと、ゴール寸前で前を行く四人をゴボウ抜き。今年6月の別府以来、自身二度目の記念制覇した。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、西川親幸が飛び出して誘導員を追い、井上昌己を前に入れる。それに諸橋愛が付いて前団。谷津田将吾―遠沢健二が中団で、佐々木則幸の後ろが競りになったが、後方はひとまず佐々木―兵藤一也―渡部哲男と並び岩津裕介がそれに続き隊列が整った。
レースは赤板を過ぎても一本棒のままだったが、佐々木後位の両者が動き出し、アウトに渡部、インに兵藤となって打鐘を迎える。佐々木は2センターから上昇すると、最終ホームで主導権をにぎった。佐々木は後ろの動きをしきりに気にしながら踏んでいたが、結局二角で兵藤が番手を取り切った。競り負けた渡部は岩津が前を空けていたため三番手に入る。佐々木が最終バックを先頭で通過して懸命にもがいていると、中団をキープしていた井上が三角過ぎからまくり追込み気味に発進。直線に入ると外を強襲して1着をさらった。2着には佐々木と兵藤の中を割った岩津が流れ込み、渡部が3着に入線する。



井上昌己選手
井上昌己選手
 ゴールした瞬間に優勝の手応えはあった。しかし、井上に派手なガッツポーズはない。「勝ったと思ったけど、西川(親幸)さんが落車してたので、素直には喜べなかった」。番手の西川に気を遣いながらも、第一声「嬉しいです」と自身二度目の記念Vに笑顔を見せる。
 直前の配分を一本欠場し、練習、調整はバッチリだった。初日から抜群の動きと切れ、高知ASの最終日から上げたギアの威力を遺憾なく発揮した。
 「踏み出しは重かったけど、最後はギアの分伸びました。ノリ(佐々木)さんの掛かりも良かったし、コーナーにかかりそうだったので自分のタイミングで行こうと思ってた。また悪いクセで前を見過ぎたけど、結果オーライでしたね」
 ナショナルチームの活動もひと段落し、これから本業一本にしぼった井上にとっては幸先の良いスタート。「12月には熊本で全日本選抜もある。ギアはまだ踏み出しに違和感があるけど、結果は出たしこれからは3.71と64を交互に試したい。また頑張ります」。井上の快進撃はしばらく止まりそうにない。

 コース取り、伸びと文句なしだった。あと一歩のところで逃した記念初V。岩津裕介は悔しそうにレースを振り返る。
 「抜けた時には行ったと思ったけどね。外に赤(3番車)が見えたから。哲男さんが頑張ると言ってたし、僕は何度でも哲男さんを入れるつもりでいた。スピードは良かったんだけどなあ。井上さんが強いですよ」

 競り負けて三番手から直線勝負にかけた渡部哲男だが3着まで。
 「ノリさんも気を遣ってかけてくれてるし、僕に(競り勝つ)条件はそろってた。外なら勝つ自信はあったけどなあ。相手(兵藤)はヨコでメシを食ってる人だし、(追い上げた時に)焦ってキメに行ったのが失敗でした。ノリさんもバックで掛かってたし、車間をあけて直線勝負だと思ってた。ノリさんには悪いことをしたし、せめて岩津が優勝してくれてればね」

 追い込み選手の意地で、番手は取り切った兵藤一也だったが、内外を一気に行かれ4着に。
 「駆け出しで脚を使ったね。言い訳になっちゃうけど、余裕はあったからもっと車間をあけて追い込めば良かったかも。その辺が甘かった。でも、しょうがないです」

 最終ホーム手前からカマした佐々木則幸はラインから優勝者を出せず、ガックリ肩を落とす。
 「直線で2(渡部)と7(岩津)が行ったし、どっちかが勝ったと思ったら…。外の3(井上)は見えなかった。哲男が取り切ってたらホームから全開の予定だったけど、出切って後ろを見たら兵藤だったので、緩めて哲男の追い上げに合わせて駆けました。1コーナーからは踏んでたし、最後はもう一杯でしたよ」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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