『千葉競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:10月26日


 千葉競輪場開設59周年記念の2日目は10Rにワールドグランプリを併催。合わせて12Rの熱戦が繰り広げられた。ぐずつく空模様を吹き飛ばすかのように、強豪達が火花を散らす。最終レースの「千葉マリーンカップ」は稲垣裕之が制し、明日の準決勝に向けて大きな弾みを付けた。
 明日3日目にも多彩なイベントが用意されています。LOVE9のエキシビジョンレース、滝澤正光氏によるトークショー、選手会千葉支部によるチャリティーオークションなど楽しい催し物にぜひ足をお運びください。



ワールドグランプリダイジェスト
 号砲鳴ると大外から石橋慎太郎が飛び出して誘導を追った。間もなく渡邉晴智が後位に付くと三番手にケリーが続いた。以下ムルダー-エドガー、北津留翼-渡邉一成-神山雄一郎-後閑信一の並びとなる。

 周回が進み、赤板は隊列に動きはなくムルダーがしきりに後方を窺って、北津留の動きを警戒する。1センターで北津留が動くと、合わせてムルダーも踏み込んだ。これを見た石橋は冷静に車を下げる。打鐘と同時に北津留が強引に先頭に出ると、ムルダーは北津留のインで粘り渡邉一と併走する。ホームで北津留の後位はインにムルダー-エドガーケリー、アウトに渡邉一-神山-後閑で、石橋は八番手となる。一角で神山がインのエドガーをさばいて単独となるが、その前後は依然併走のままで、ケリーは後閑の後位へ切り替えた。バック過ぎに渡邉一が外併走から北津留を捨てて仕掛けたが、脚を温存した石橋が三角から豪快に大外をまくり、後続を引き離して快勝した。渡邉晴は踏み出しで遅れ、ケリーに割り込まれて失速。そのケリーが石橋を追う形で2着に入った。渡邉一の後位から神山が抜け出して3着。
表彰式
表彰式
ゴール
ゴール
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手



<5R>
小宮剛選手
小宮剛選手
   二次予選B最初のレースを勝ったのは小宮剛(写真)。三番手から鋭く追い込み連勝を飾ったが「大塚君のスピードが良かったし、これは3人とも出切れるなと安心してました。交わしに行ってからも引っかからず踏めたし、直線も良く伸びた。デキは良いと思うけど、1着はタマタマですよ」と謙遜する。
 大塚玲は昨日のコメントを裏付けるように、積極的なレース運びを見せた。
 「やっぱり感じはいいですね。うまく強弱を付けて踏めたと思います。休んでいた期間で、選手になってから初めてというぐらいしっかり練習できたので、レースでも自信を持って走れる。明日は欲を出さずに、力を出し切る競走を心掛けます」
 高谷敏史はいつもの徹底先行のスタイルとはかけ離れた走りになってしまった。
 「大塚さんが来たのは分かったんですけど、見てから踏んだのでスピードが合わなかった。棟方さんには『競りだから、自分が勝つレースをしろ』と言われていたので、出られてからは落ち着いてタイミングを取っていました。練習では(まくりを)やってるんですけど、実戦だとなかなかうまく行きませんね。焦って踏んでいたので、ビリビリしてました。次こそ先行で勝ち上がりたい。準決勝Bは初めてです」


<6R>
神開将暢選手
神開将暢選手
   実力の拮抗した戦いでオッズも割れたが、高田真幸が渾身のカマシで主導権を握り、番手の神開将暢(写真)が1着。これで念願の通算200勝を達成した。
 「(200勝に)リーチをかけてもう5カ月以上ですよ。もう無理かもと思いました。今日は高田君に行き頃の展開になったし、これで勝てなきゃもう終わりと思って必死に踏みました。嬉しいですね。昨日のツキを生かせました。これで吹っ切れるでしょう」
 高田真幸は「予定外の展開ですよ(笑)。神開さんが勝ってくれて良かった。力も出し切れました」と先輩の勝利に貢献し満足げな表情を見せる。


<7R>
川口満宏選手
川口満宏選手
   地元の御大・鈴木栄司が昨日とは別人のような伸びで1着。久々に準決勝Aへの進出を決めた。
 「踏み出しには集中してましたよ。あとはまくっていく時に飛び付かれないよう構えてコーナーを回りました。今日は人気にもなっていたし、本線だったので緊張してしまいました。ゴールしてからは、嬉しくて何が何だか分からなくなりましたよ」
 2着には川口満宏(写真)。こちらも昨日の鬱憤を晴らす伸び脚で準決勝の権利をゲットした。
 「今日は先手ラインからまくり追い込みに出る作戦でした。南関勢の後ろにこだわる事は考えてなかったですね。簡単に中団が取れたし、あとは来たラインに合わせて踏むだけ。500バンクは力で何とかなる部分があるのでいいですね。千葉はS級シリーズでもコンスタントに決勝に乗っているし好きなバンクの一つです。新車の感じもいいので、明日も楽しみ」


<8R>
新田祐大選手
新田祐大選手
   逃げる稲川翔を同期の新田祐大(写真)が容赦なくひとまくり。大舞台での経験のさを見せつけた。
 「今日は運が良かったんですよ。2コーナーで稲川君が波を作って勢いを殺したでしょう。あれがあったらから行けたんです。(佐藤)慎太郎さんが細かく立ててくれた作戦の通りに走ったら、中団が取れていた感じ。昨日、重く感じたのでギヤを下げましたけど、そのせいもあって道中はすごく軽かった。明日は先行で勝てる組み立てで、今度こそ決勝に乗りたい」
 完璧マークの佐藤慎太郎は「今日はこれぐらいで勘弁してやりますよ(苦笑)。いない間に(新田は)ずいぶん成長しましたね。やっぱり付いて行く分には問題ないけど、交わしに行くタイミングとかがずれている。もちろん脚も落ちているんですけどね。それでも1番人気に指示してくれたお客さんの気持ちはありがたいし、応えられなくて残念です。明日こそ何とか…」
 稲川翔と連係した濱口高彰はレースを冷静に分析する。
 「稲川君はちょっと慌てたみたいですね。ちょっと駆け出すタイミングが早過ぎました。まあ、僕自身の感じは悪くないし、サドルを1cm近く下げたら伸びも良くなりました」


<9R>
井上昌己選手
井上昌己選手
   前検日から状態に不安を訴えていた井上昌己(写真)だが、今日は巧みなレース運びで1着をゲットした。
 「スンナリ勝てた訳じゃないですけどね。ずっと重かった。今日は展開だけで勝った感じです。良いときなら、もっと早めに仕掛けてラインを連れ込めたんだろうけど…。後ろの人に迷惑をかけてしまいました」
 井上に続いた合志正臣は、「三番手まくりは見た目ほど楽じゃないのに、(井上)昌己はよく乗り切ったと思いますよ。たしかにいつもより仕掛けは遅くなったけど、それは仕方がない。今日は新田さんより前でレースができたので、作戦もうまくいったと思います。僕も脚には余裕があったし、もう一枚ぐらいギヤを掛けたくなったので、感じは良くなっていると思いますよ」と健闘を称える。
 一方、新田康仁は首を傾げながら、「九州勢を楽にするような組み立てをしてしまった。今回はレースが見えてませんね」と反省しきりだ。


<10R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
北津留翼選手
北津留翼選手
   ワールドグランプリは、外国人勢が別線という意外なコメントしたことによって流動的な展開となった。実際のレースで彼らが選択した戦法は、誰もが予想しなかったイン粘り。ムルダーと渡邉一成が競り合う意外な展開となり、短くなった前団をまくった石橋慎太郎(写真)がまんまとチャンピオンの称号を手にした。
 「北津留君と渡邉さん、神山さんと後閑さんで連係すると聞いた時から、今日は勝ちにこだわろうと腹を決めました。一発勝負だし、とにかく勝たなくては意味がない。いつもだったら行っていたタイミングもあったんですけど、かなり待ってから仕掛けました。あの展開は狙っていたし、ほぼ100%思い通りのレース。内容的には薄っぺらいけど。狙って勝てたことには満足しています」
 イン粘りに出たのはムルダーだ。レースをふり返り「非常に厳しいレースだった。戦略としては良かったと思うけど、二戦とも結果を出せなくて残念です。今回は相手が強かった」と敗北を認め、ワールドカップでのリベンジを誓う。
 粘られた渡邉一成は苦笑いを浮かべながら、「まさか粘ってくるとは思いませんでした(苦笑)。なかなか決着を付けられなかったけど、あのまま踏まずにいたら神山さんと後閑さんの出番もなくなってしまうので、強引に出ていった感じ。仕方ないですね」と俯きながら帰り支度。
 先導役を任された北津留翼(写真)は戸惑いを隠せない。
 「正直言って、ムルダーが粘った時点でパニックでした。ペースを落としても(競りは)終わらないだろうし、どんな駆け方をすればいいのか分からなかった」


<11R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   2車単、3連単とも人気は地元勢に集中。だが、いざレースが始まると、阿竹智史、木暮安由らが粘り、追い上げ、海老根恵太と鈴木誠の連結が外れる大ピンチに。だが鈴木は諦めなかった。懸命に内を追い上げ、4コーナーで木暮をドカし、ワンツーを決めた。
 「いやあ良かった。最終ホームで内ばかり気になってたから、海老根の仕掛けに遅れてしまいました。あとは何とかしなきゃと必死で踏んだ。お客さんの声援に後押しされましたね。人気に応えられてよかった」
 海老根恵太(写真)は「緊張しましたね。自分で作ったプレッシャーなんですけどね。今日は積極的に行こうと思ってたんですけど、一瞬、中団が空いていたので休もうと思ったのが反省点。脚の感触自体は良いですよ」と語る。
 絶好の展開を逃した木暮安由は、「まだ強い人と対戦する経験が足りませんね。これからというところで内を空けてしまった。明日こそ勝負です」と、また一つ成長の糧を得た。


<12R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   最終レースでは稲垣裕之(写真)が、昨日に続き鮮烈な印象を残す走りで1着をゲットした。
 「フレームのおかげですよ。吉田君も掛かってたから、楽なレースではなかったけど、早めに行って正解でした。まだ少し(フレームに)違和感はあるけど、これから慣れていかないとね。調整もうまくいったし、今回は感じが良いです」
 2着には三宅達也が。一時は内をすくわれて後方に置かれたが、稲垣の仕掛けに乗って直線伸びた。
 「内を空けたのは誘う意味もあったんですよ。吉田を出させて駆けさせた方がいいと判断したし、稲垣は絶対に仕掛ける選手だから、それを見てからという気持ちもありました」
 吉田敏洋との連係を決められたなかった金子貴志は、「作戦自体はうまくいったんですけどね。素通りさせるわけにはいかないのでブロックに行ったけど、やっぱり番手の走りは難しい。感じは悪くないので、明日も頑張るだけです」。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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