『千葉競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:10月27日


 千葉競輪場開設59周年記念は3日目を迎え、いよいよ佳境に入った。36名まで絞られた精鋭達が、Vを争うファイナリストの座を賭けて戦う準決勝。誰が勝ってもおかしくない顔ぶれが勝ち進んだ。
  最終日(28日)もイベントは盛りだくさん。連日、お客様をお迎えしているLOVE9、先着2,000名様にお配りするスピードくじによる抽選で当たる滝澤正光氏によるサイン会、オリジナルクオカード、タオルなどをご用意しております。ぜひ本場で4日間のクライマックスをご覧ください。


<8R>
藤野義高選手
藤野義高選手
   1着権利の狭き門を通過したのは藤野義高(写真)。阿竹智史の先行に乗って絶好の展開。最後まで無風で回った展開の利を生かして快勝した。
  「嬉しいですね。検車場に引き上げてきて、ようやく実感が湧いてきました。今日は展開がどうとか考えず、全て偶然性に任せていたんです。昨日、繰り上がりで準決勝に乗れたツキもあるし、走る前から何だか1着になれそうな気がしていたんですよ。鎖骨と肩甲骨を折ってから初めての勝ち星だし、本当に嬉しい。スンナリ番手で勝てたのが何よりです」
  濱口高彰も人気を集めたが、期待に応えることができなかった。
  「展開は色々考えていたんですが、阿竹君があんなレースをするのは予想外でした。もっとスローペースになると思ってたし、そうなれば追い上げも考えていたんですが。ただ道中は余裕があった。と言うより、余裕がありすぎました。藤野さんにブロックされないよう直線勝負を選んだんですけど、小橋君とタイミングが合っちゃいましたね」
  先行勝負の阿竹智史は、「藤野さんが付いてくれてたし、先行で戦うつもりでした。昨日、堤洋さんと三宅伸さんに迷惑を掛けてしまった分、とにかく力を出し切りたかった。もうちょっと粘れたと思うけど、中団の濱口さんが怖くて踏みすぎました」
  神奈川コンビは全く見せ場がなかった。前を回った大塚玲は、「先行する気持ちはあったんですけど、濱口さんにタイミングを狂わされました。緩んだところで仕掛けたかったんですけど、ずっと見られて体が動かなかった。さすがにタイトルホルダーですね。脚というより、勝負の駆け引きで負けました。でも、上のステージで走ったから、こういう厳しい戦いを体感できた。練習の裏付けで自信も付いたし、今度は地元の花月園記念で暴れたいですね」


<9R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
富永益生選手
富永益生選手
   新鋭・木暮安由が発進。番手の矢口啓一郎(写真)が後輩の果敢な気持ちに応え、完璧な勝利を収めた。
  「木暮の気持ちが全てですよ。今日はどうしても前で戦いたいと言ってくれたし、先輩としてこんなに嬉しいことはない。次からは自分のレースで戦ってほしいですね。いつも練習で(木暮の)後ろを回ってるけど、今日は格別に緊張しました。チームスプリントの時よりね(笑)。お互いに自分の役目を果たせたいいレースだったと思います」
  富永益生(写真)は俊敏な立ち回りで2着をゲット。追加参戦ながら状態に不安もなく、久しぶりグレードレースで存在感を発揮した。
  「最高の追加ですね。豊橋F1の代わりにきた斡旋なんですけど、こんなに恵まれるとは。今日は冷静に走れたし、レースも見えていた。本当に申し分ない状態です。今回がキッカケになってくれればいいですね。シューズを変えたら踏み出しが良くなって、とにかく余裕がある。競輪祭の権利も掛かっているので、決勝で確定板に載れるよう頑張ります」
  地元勢に命運を託された高谷敏史だが、関東勢の前に為す術なく敗退してしまった。
  「地元に任されていたので先行勝負したかったんですけど、木暮君が押さえ先行するとは思わなかった。出られてからも、緩んだらすかさず行く気持ちはあったんですけど、全然(木暮が)流さなかったですね。明日こそ主導権を取って帰りたい」


<10R>
新田康仁選手
新田康仁選手
兵藤一也選手
兵藤一也選手
   好調自力型がそろった10レースは見応えのある戦いとなった。打鐘から入れ替わり立ち替わりの攻防が繰り広げられ、最終主導権は三宅達也が握る。これを中団から新田康仁(写真)が一気にまくり去り、初日、二日目の鬱憤を晴らす好回転で悪いイメージを払拭した。
  「今回はあまりにもレースが見えていなかったので、今日は何も考えずに自分の直感で走り方を決めました。勝てて良かった。正直ホッとしましたね。このままズルズル行っちゃうのは嫌だったし、初日に稲垣にはやられているので、今日は絶対に負けたくなかった。これで良いイメージができました」
  三宅達也は三日間とも内容の濃いレースで決勝に駒を進めた。検車場では「全て兵藤君のおかげ。切り替えずに付いてくれたし、仕事もしてくれた」と笑顔を見せる。
  「どんなことがキッカケで良くなるか分からないですね。今が良いのは、6月頃にサドルの前側を少し上げたから。理由はそれだけですよ。こんな小さいことで変わるなんて自転車は奥が深いですね。今日は緩んだところで行こうと思ってたし、体もその通りに動いてくれました。(京王閣記念を優勝した)石丸寛さんに続けると良いですね」
  3着の兵藤一也(写真)は、「(三宅を)差したと思ったんだけどな。まあ、しょうがない。小宮さんが後ろを固めてくれたのも大きいですね」
  復帰初戦での優参を狙った佐藤慎太郎は、勝負所での躊躇が致命傷となった。
  「最終4コーナーで三宅が空けたのは見えたんだけど、自分が車輪を差し込んだ時に空いていたかどうか確信を持てなかった。行ってればセーフでしたね。2着はあった。久しぶりに内へ行った感触は悪くなかったんだけど…」
  稲垣裕之も初日から見せていた好脚を生かせず、「四番手を決めるべきでしたね。一瞬の判断を間違った。せっかく調子が良かったのに凡走でした」



<11R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   朝の晴天とは打って変わって雷鳴とどろく豪雨の中でのレースとなった。このコンディションをものともせず吉田敏洋(写真)が一気のカマシで主導権を握り、最後は金子貴志とのマッチレース。わずかに交わされたが、自らの状態にさらに自信を深める競走を見せた。納得の走りに表情も明るい。
  「地元の海老根さんも強引に先行するようなことはないと思ってたし、僕が行ったところを三番手でイン待ちかなと考えていました。この雨の中で、金子さんとワンツーを決めるのにはあのレースが一番でしょう。このバンクは先行が決まるバンクだというイメージもありました。状態はいいですよ。明日も積極的に行きます」
  金子貴志は慣れない番手戦をしのいで快勝。
  「記念の決勝は4月の高知記念以来ですね。3日間も番手を走ったのは初めての経験だし、こんな雨の中を走ったのも初めて。水しぶきがすごかったですよ。今日の(吉田)敏洋は本当に強かった。脚的には楽なんだけど、番手は精神的にきついですね。今回は流れもいいし、脚そのものの感じもいいですよ」
  結果的には決勝進出を果たした海老根恵太(写真)だが、鈴木誠、鈴木栄司ら同県の先輩を連れ込めず無念の表情。
  「とにかく後ろが見づらかった。前受けの吉田が引くとは思いませんでした。敗因はそこですね。ずっとフタしてやろうと思ってたんですけどね。何を言っても言い訳になってしまいますけど…」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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