『千葉競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月18日
 千葉競輪開設63周年記念「滝澤正光杯」が今日から開幕した。前半は落車も多かったが、メーンの特選3個レースは実力者が順当に勝ち上がった。明日は優秀競走「千葉マリーンカップ」をメーンに、二次予選6個レースで勝ち上がりを争う。
 2日目も好評の滝澤正光トークショーにKドリームス ENJOY予想会、未確定車券抽選会、じゃんけん大会など多彩なイベントで開催を盛り上げます。ぜひ、千葉競輪場でお楽しみください。

 S級S班の長塚智広(茨城)選手は、JKAから貸与されているS級S班レーサーパンツが破損等により、現在メーカーに発注中のため、今開催通常のS級レーサーパンツを着用いたします。ご了承ください。
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山下渡選手
山下渡選手
 オープニングレースの主導権を握った茨城コンビ。今井裕介が最終ホーム手前からじわりと先頭に立って、そこからペースを上げて逃げる。番手で絶好の展開が巡ってきたのは山下渡(写真)。小松剛之のまくりをけん制、踏み出しをギリギリまで我慢して直線で抜け出した。
 「自分の気持ちに余裕がないですね。(今井が残っていないのが)悔しい、自分の技術がまだまだです。今井さんの掛かりもよかったんで、もっと自分が車間を空けられればよかった。まだ踏み込める感じもあったし、脚の感じはいいと思います」
 8番手に置かれた小松剛之は、中団でもつれた西村豊と三ツ石康洋の動きを見極めて、最終バックからまくり上げる。
 「前の動きは落ち着いて見ていました。最終バックくらいから行ったけど、踏み出しも重くなかったし。調子はそんなに悪くないと思う。ただ、自分だけ届いたのが…」と、2着にも手放しでは喜べない様子。

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 小松崎大地がマイペースで先行。尾崎剛が番手絶好展開をきっちりものにした。
 「車間を空けようとしたら思った以上に空いてしまった。苦しかったですね。後ろが松尾(淳)さんなのは全然分からなかったです。小松崎君のおかげ。勝てて良かったです」
 3番手をさばいた松尾淳が2着に入った。
 「後ろが鰐渕(正利)さんだし、先行も考えていたんですけどね。3番手を決められれば、石丸(寛之)さんが引いてくれるだろうし、そのとおりになりました。でも、小松崎君は予想以上にかかっていました」

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篠原忍選手
篠原忍選手
 最終ホーム手前で岩本純、小島雅章の2人が落車するアクシデント。同型不在となった篠原忍(写真)が楽々と逃げ切った。
 「岩本君が落車したのは分かったけど、小島さんは見えなかったので、早めに踏みました。分かっていれば、もう少し遅めでも大丈夫でしたね。自分にできることはやれました。明日も力を出し切るレースをします」
 鳥越靖弘が完璧マークで2着に流れ込み、中部ワンツー決着となった。
 「すんなりマークだと僕は全然ダメ。ごちゃごちゃした展開の方が伸びるとみんなに言われます。タレれば差せたけど、ペースですからね。ワンツーで良かったです」

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 先行態勢に入った中野彰人を最終ホームで菅田和宏が叩きに出る。菅田の仕掛けに乗った竹内智彦が直線で鋭く追い込んだ。
 「菅田君が強かったですね。久しぶりに恵まれました。自分も外併走の形になったけど余裕はありました。勝てて良かったです」
 中野を力でねじ伏せた菅田和宏はゴール前で末を欠いて3着。
 「出してくれると思って7、8割で踏んだら、合わされて意外でした。それから慌てて踏んだら何とか出れました。踏めば出る感じですね。このバンクは本当に相性がいい」

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勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 山田久徳を7番手に置いて、打鐘の4コーナーから仕掛けた村上直久が主導権。最終ホーム手前から山田が襲い掛かると、勝瀬卓也が窓場加乃敏をどかして村上は山田の番手に収まった。
 「自分では(山田を)合わせたと思ったんですけど、山田君が強かったですね。その後も結構脚にきていた。バックで仕掛けて行きたかったんですけど…。そこが反省点です。脚の感じは微妙です。これで刺激が入って、明日もっと良くなってくれればいいんですけど」
 山田の番手から早めに追い込んだ村上を勝瀬卓也(写真)が、余裕を持って交わして師弟でワンツー。
 「(村上は)力があるんで、迷いさえなければどんどん上にいける。レースで力を出し切れば強いのはわかっているんで。今日のあの展開で、後は9番(森田康嗣)のまくり追い込みだけだと思ってました。自分は調子が上がっていると思うし、脚の感じはいいです。セッティングで前回失敗しているんで、元に戻してよかった」

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 根田空史が押さえて出ると、押さえ込まれた三木翔太がイン粘りに出て後ろが併走。後続のもつれにも動じることなく、根田は地元でレースの流れを支配して力強く逃げ切った。
 「今日は雨の中でのレースだったんで。新車の感じがいいのかどうか、わからなかったけど。それでも踏めてたからいいんだと思います。まずはひと安心。明日はもっと相手が強いだろうし、徐々に上げていきたい。新車の方はいつもだったらすぐに(レースに)出すんですけど。今回は珍しく1カ月くらい煮詰めた。セッティングも最初は出なかったけど、中村(浩士)さんのアドバイスで出たんで、セッティングもいい方に出ました」
 出口眞浩が競り勝って根田の番手を死守するが、最終4コーナーではいっぱい。3番手をキープした鈴木龍之介が早めに追い込むと、それに乗った江連和洋が、直線で鋭く伸びて2着。
 「三木君が粘って頑張ってくれたけど、下がってきちゃったんで。それからは(鈴木が)行ってくれて、自分は内に行くか迷った。だけど、あんだけ行ってくれてんだからと思って、外を踏みました。前回とかは後方の展開ばっかりだったし、あの位置があればこんぐらいかなと思います」

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伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手
 人気の山中秀将が最終ホーム7番手からロングスパート。バックで逃げる佐方良行を捕らえると、伊勢崎彰大(写真)が渾身の番手差しを決めた。
 「山中はやっぱり強いですね。相当もらっていたけど、出切ってしまった。外人みたいな走りですね。周りから抜けない、離れると言われていたし、今日は全く余裕がなかった。最後は焦って踏んでしまった」
 山中秀将は早めのまくりで最後は力尽きた。
 「2コーナーでからまれなければ、もう少し伸びていましたね。伊勢崎さんにはどこから仕掛けても抜かれると思っていました。出切っていっぱい。何とか3着に残って良かったです」

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 鈴木裕が最終ホームで宮本憲を叩いて先行逃げ切り。危なげない走りで初日を突破した。
 「今日は絶対に先行と決めていた。脚の感じは相当いいですね。最近の中では一番でしょう。フレームを調子の良かった頃のものに戻して感じ良く踏めました。次につながる走りはできました」
 武井大介が2着で地元ワンツー。鈴木に1/8輪差まで迫るのが精いっぱいだった。
 「鈴木君が強かったです。追走でいっぱい。踏み直しがすごかった。ワンツーが決まったし、2着なら上出来です」

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三宅達也選手
三宅達也選手
 飯野祐太の逃げを三宅達也(写真)が中団からひとまくり。相性のいいバンクで好スタートを決めた。
 「展開をよく見て、いい位置が取れました。あそこで仕掛けないと伏見(俊昭)さんは脚があるので餌食になってしまいますからね。伏見さんのところを通過できるかが重要でしたからね。飯野君のかかりも良かったけど、自分の感じも良かったです」
 「前が(三宅)達也さんっていうだけで、安心感みたいなものがありますよね」と、目を細める柏野智典。ソツない組み立てと、強烈な踏み出しでワンツーを演出した同県の先輩、三宅には全幅の信頼を置く。
 「自分は道中どれだけ楽に走れているかっていうところに、(調子の)バロメーターがある。今日はすごい楽に走れたんで、そういう意味では感じがいいと思います。最終ホームでも後ろを確認できているし。それからも誰かあの上をまくって来ても止められる準備はしていた。達也さんとは本当によくワンツーが決まっている」
 三宅に付けて伏見俊昭の切り替えを許さなかった柏野は、納得の表情だ。
 伏見俊昭は三宅ラインに切り替え、直線は中を割って3着に食い込んだ。
 「直線で来られてしまったし、スピードが違っていて止められなかった。スピードが合えば良かったんですけどね。何とかしたかったけど何もできませんでした。今日は脚を使わない展開で楽は楽でした。優秀に乗れたので、しっかり頑張ります」

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村上義弘選手
村上義弘選手
 矢野昌彦の先行を村上義弘(写真)が4番手からまくって快勝。連戦の疲れを感じさせない走りでファンの期待に応えた。
 「後方にならないような組み立てを考えていたし、うまく中団が取れました。踏み出しはスッと出たけど、調子いいときの力強い感じはなかったですね。身体は切れていない感じがします。この開催が終わればレースの間隔は空くので、あと3日間、気力と体力が持ってほしいですね。1戦1戦しっかり走ります」
 東口善朋が2着に続いて、近畿コンビで連独占となった。
 「村上さんはやっぱり違いますね。ここというポイントで仕掛けますから。行くのが分かっていて口が空いたし、マズイと思いました。最後も踏み直されました」
 稲村成浩は切り替え策から3着に入り、優秀戦進出を決めた。
 「矢野君はペースで踏んでいたけど、ホーム向かい風できつかったと思います。直線でいいスピードで来られて止められなかった。矢野君の頑張りのおかげで3着に入れました」
 矢野昌彦は力不足を素直に認める。
 「もうちょっと粘れると思ったんですけどね。自分のペースには持っていけたけど、スピードが違いました。脚の感じは軽かったので、明日はもうちょっと組み立てを考えます」

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十文字貴信選手
十文字貴信選手
 最終レースは長塚智広が完勝。中団まくりでラインを上位独占に導いた。
 「尊敬する十文字(貴信)さん、公私ともにお世話になっている斉藤(努)さんと3人で決まって良かったです。明日も頑張ります」
 最終2コーナーで踏み出した長塚に一瞬遅れた十文字貴信(写真)だったが、持ち前の脚力とガッツでカバーして2着。長塚の強さとうまさをたたえて、汗をぬぐう。
 「(長塚は)余裕もあったし、2コーナーの立ち直ったところから行くんじゃないかと思っていたら、あそこはわかっていました。それでも疲れましたね。長塚君の力じゃ、彼がいい着に入れるのはわかっていたし。後は僕が粗相をしないようにと。後ろに齊藤(努)さんもいるんで。ちょっと(踏み出しで)空いちゃったけど、体調は前回以上ですよ」
 まくられた地元の小埜正義は諦めの表情。
 「いいレースはできたし、自分ではかかっていたと思うんですけどね。相手が強すぎました」
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