『千葉競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月19日
 千葉競輪開設66周年記念「滝澤正光杯(G3)」は、佳境に入り3日目に突入。準決3個レースをメーンに熱戦が繰り広げられた。地元勢は海老根恵太を筆頭に石井秀治、近藤隆司、伊勢崎彰大の4名が決勝へ進出。昨年の成清貴之に続く地元連覇をかけ深谷知広、山崎芳仁らと20日の最終日の決勝で覇を争う。
 場内ではファンサービスやイベントも盛りだくさん。最終日も田中進氏(3R発売中)、吉井秀仁氏(8R発売中)による予想会に"闘将"佐々木昭彦氏が加わるウルトラ予想会を実施。また、石井貴子選手のガールズケイリンフェスティバル優勝報告会(9R発売中)、滝澤正光氏、武藤貴志選手トークショー(6R発売中は両名、10R発売中は武藤選手のみ)、名輪会トークショー(5R発売中)、千葉市を代表するシンガーソングライター・松本卓也スペシャルミニライブ(6R、8R発売中)などイベントも多数予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手
 一ノ瀬匠の主導権で岩本俊介は、一本棒の5番手から最終1コーナーで反撃に出る。3番手の山田久徳が岩本に合わせて踏み出すと両者が接触。急激にスピードの鈍った岩本のアクシデントを察した海老根恵太(写真)は、瞬時の判断で自力にチェンジ。自ら外をまくり上げて、前団を飲み込んだ。
 「バリって音がして、(岩本が)苦しそうだったんで外を踏ませてもらいました。(一ノ瀬が)一番掛かっているときに行ったんでキツかった。(ラインの)3人で決められればよかったんですけど…。予想していない展開でも、(岩本が)ダメになったときにすかさず行けた。考えるより先に体が動いている」
 地元3番手を固めた伊勢崎彰大(写真)が、直線でガムシャラにペダルを回して2着に流れ込み。師匠の名を冠した滝澤正光杯の地元記念で、初の決勝進出に涙があふれ出る。
 「選手になってから、一番(の目標)だったんで。いつも失敗していましたから…、もう今日は感無量です。応援もすごかったし、いまだけは(涙を)許してください。競輪場のこと(存続問題)もあるし、千葉の選手が一丸になってやっている。仲間たちも自分たちのこと頑張れって言ってくれているんで、本当にうれしいです」
 最終3コーナー過ぎに山田が外に進路を取ると、稲川翔は脚を溜めて一ノ瀬と三宅達也の間の狭いコースを割って伸びて3着。
 「結果的に自分たちが前受けになったし、(山田)久徳も準決を勝ち上がって欲しい選手ですからね。自分はちょっと最後が重かったです」
 想定外のアクシデントでズルズルと後退。8着に沈んだ岩本俊介が、引き揚げて来て口を開く。
 「山田選手と接触して、クツが抜けちゃった。(仕掛けが)山田選手と合ってしまったけど、あそこで反応できたってことに関しては悪くないと思います」

<11R>
石井秀治選手
石井秀治選手
松岡健介選手
松岡健介選手
 切った石井秀治(写真)を打鐘で押さえた山本伸一が、ホーム目掛けてスパート。最終2コーナーで後続の仕掛けが来る前に、松岡健介が南修二を連れて番手まくりを断行。松岡、南に続いた石井が追い込み、さらに山崎芳仁が猛烈に迫る。最後は伸び比べとなったが、石井が中のコースを伸びて直線勝負を制した。
 「武井(大介)君が後ろで締めてくれてたので、ラインのおかげで決勝に行かせてもらいました。(松岡の仕掛けを待って)レースを組み立てられたし、落ち着いてました。(前々回のオールスターでは)骨折明けで、(初日の落車で)擦過傷もあるし苦しいけど、これが仕事なので気力でカバーします」
 山本の気持ちに応える番手まくりで、松岡健介(写真)が2着。
 「もっと待てたけど、3コーナーまで後ろを回ってたら飲み込まれちゃいそうだったので。待って後ろの後ろが来れば良いけど、後ろが来たら引き出すことになるから。長かったです。ギアが足りない」 
 後方で吉本卓仁との併走になった山崎芳仁が、苦しい流れを耐えてしぶとく3着。
 「先行するよりキツかったです。石井君のところまで追い上げようと思ったけど、吉本君に行かれちゃうかもしれないし、前も全開だったし松岡さんも出るとわかってたから。それならそこで耐えようと。耐え凌ぎました。あきらめないことがよかった」
 山本伸一は男気ある先行で風を切った。
 「松岡さん、南さんが付いてたから自分のできることをやろうと思いました。打鐘からピッチを上げていったけど、自分で後ろをしっかり確認して駆けれればもう少し面白い展開になったと思う」

<12R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
深谷知広選手
深谷知広選手
 地元の近藤隆司(写真)が3連勝で優出を決めた。赤板の2コーナーから近藤が上昇すると前受けの深谷知広が誘導を切って先行態勢。深谷は立て直した近藤の仕掛けに合わせて、最終ホーム過ぎにスパート。愛知勢に迫った近藤は山内卓也のけん制をしのぎ、山内が遅れた深谷の番手に収まる。あとは両者のマッチレース。ゴール寸前で近藤が差し切った。
 「思ったより2コーナーで深谷君が踏んでなかったんで、行けると思ったんですけど。気づかれてからのスピードはすごかったです。(深谷)一車ならまくれると思ったけど、瞬間移動してるかのようなスピードに感じました。3コーナーで決勝を確信して、抜きにいこうとしても踏んでも踏んでも詰まらなくて…。ここ千葉じゃなければ抜けなかったです。状態は今日が一番でしたね。朝の指定練習でも調子が良かったですし。明日は番手になるとは思わなかったけど楽しみです。前の日はリセットして緊張もしないようになったし、しっかりと力を出し切れるようにしたいです」
 近藤にはタイヤ差交わされたものの、S班の底力を発揮した深谷知広(写真)が2着で決勝へ。
 「(近藤の)位置は把握してたんで、来たと思って思いっきり踏んでいきました。掛かっている感じも良かったです。力自体は戻っていると思うので、あとは走り方であったり気持ちが重要ですね。(決勝は相手も)強力なんでどうやって崩していくか難しいですけど、しっかり相手になれるように。(完全な復調は)結果を出してからだと思うので」
 深谷からは遅れたものの態勢を立て直した山内卓也が、木暮安由との踏み合いを制しなんとか3着。
 「昨日はああいう作戦だったので。今日は実質2分戦のような感じで力勝負でしたね。ワンツースリーできなかったのは僕のミスです。深谷は休んでる期間があったので、自分の気持ちだったりレースの仕方で違う部分があったんじゃないですか。自分としては木暮君に差されるかと思ったけど、なんとか凌げたんで。(前回)落車した割に体は動いているし、怪我もだいぶよくなりました。明日は深谷の後輪だけを見て。深谷らしいレースをしてくれればいいです」
 4着で決勝を逃した木暮安由は、悔しさをにじませる。
 「悔しいですね。最後は(山内の)執念負けしました。道中も近藤さんに付いていけばよかったんですけど…。山内さんが振ったことで追い込むタイミングも取れなかったです」
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