『被災地支援競輪千葉競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月17日
 千葉競輪場で開催されている平成28年熊本地震被災地支援・開設67周年記念「第9回滝澤正光杯」は後半戦となる3日目に突入。準決勝3個レースをメーンに熱戦が展開された。最終12レースは3連単の配当が120万円超えの大波乱となったが、新田祐大に深谷知広、吉澤純平らベストナインが出そろった。明日の決勝戦でシリーズの頂点を決める。なお9レースにはケイリンエボリューションが一発勝負で争われる。こちらも必見だ。
 最終日も千葉ロッテマリーンズチア「M☆Splash!!」パフォーマンスをはじめ、名輪会トークショーなど場内イベントは盛りだくさん。ぜひ、千葉競輪場でお楽しみください。
<10R>
椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
深谷知広選手
深谷知広選手
 ここからが決勝進出をかけた勝負の準決勝。レースは初手から動きがなく打鐘を通過。前受けの深谷知広は2センターから踏み込んで先行態勢に。3番手に荒井崇博、5番手に吉田拓矢で地元の近藤隆司は8番手で最終ホームを通過。軽快に逃げる深谷に脚を溜めているはずの吉田も近藤も全く仕掛けられず。ようやく3コーナーから吉田が踏み上げるが、時すでに遅し。最後は番手有利に椎木尾拓哉(写真)が差し切り、節目の200勝を達成した。
 「(200勝は)僕一人だけの力じゃないです。前で頑張ってくれた選手のおかげで、積み重ねてこれたんだと思います。(レースは)展開がよくて恵まれました。いい流れできていますね。深谷がかかってたし、あとは2人で決められるようにと。でも深谷はかかりきってたし、仕事しなくていいくらいでした。決勝もラインで決められるように頑張ります」
 深谷知広(写真)は椎木尾には交わされたが、圧巻の逃走劇で別線に反撃の隙を与えなかった。検車場に引き揚げてきた深谷は「長かったです」と素直な感想を口にしてから話を始めた。
 「3日間いい走りができています。今日は前受けになった時点で(先行の)覚悟はしていました。思ったほど動きはなかったですし。前検日の前日にここで練習して感じもつかめていますね。決勝も自分の走りをするだけです」
 初手から3番手の好位に付けていた荒井崇博が、そのまま流れ込み決勝の切符をつかんだ。
 「ラッキー1本です。これはでかいね。調子こいてまくりにいこうかと思ったけど、どこで仕掛けていいのか。いかないかんと思ったけど、このままいけば3着っていう葛藤はありました。深谷は余裕のあるかかり方してたし。でも(園田)匠には悪いことした」
 地元の近藤隆司は仕掛けられず8着に終わり決勝進出を逃した。
 「吉田(拓矢)君のラインをあてにしすぎました。押さえたところをカマしていくつもりだったんですけど。先に斬って中団でもまくれるイメージもなかったですし、先に前からいってくれればチャンスはあると思ったんですけど。竹内(智彦)さんには迷惑かけてしまいました」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
濱田浩司選手
濱田浩司選手
 人気を背負っていた新田祐大(写真)が自慢の快速ダッシュを披露した。後ろ攻めから上昇した天田裕輝が後続を警戒しながら最終ホーム手前からペースアップ。残り1周から早めの巻き返しに出た新田がグングンと加速すると、地元の中村浩士は踏み出しで離れてしまう。最終バック手前で天田を飲み込んだ新田がそのまま一人旅。決勝一番乗りを果たした。
 「天田さんがあんなに踏むとは思わなくて。自分の役目は先頭に立つことなので、まずは出切らないと話にならないと思って踏みました。結果的に全開でダッシュさせられるような展開になってしまって自分もきつかったけど、それ以上に後ろの方もきつかったと思います。バックで気づいたときには誰もいなくてラインで決められなくて作戦的にも失敗してしまいました」
 単騎の濱田浩司(写真)は群馬コンビを追って2着に突っ込んだ。
 「新田君が前を取った時点で逃げるのは天田君かなと。最後はコースを迷ったけどレースは見えている。体は反応してくれたし、伸びたと思う。3年ぶりの記念決勝ですね」
 天田の先行を利した小林大介が3着。昨年10月の大垣以来、1年ぶりの記念優出を決めた。
 「天田君が頑張ってくれたし、もうきつそうだったので踏ませてもらいました。最後は内と外も怖かったけど、何とかしのげました。今年初の(記念)決勝なので頑張りたいですね」

<12R>
柳詰正宏選手
柳詰正宏選手
吉澤純平選手
吉澤純平選手
 最終レースは3連単の配当が120万円を超える大波乱の決着。レースは打鐘過ぎに斬った菅田壱道を吉澤純平が叩いて先行策に出る。中団の5番手から先まくりに出た菅田を海老根がけん制。さらにその外をまくり上げた稲垣裕之を吉澤が2センターで自ら外に振って止めにいくと、空いたインコースを山田幸司が進出。これを追っていた単騎の柳詰正宏(写真)が直線で中を割って突き抜け、大金星を挙げた。
 「3着までに入れればと思っていたんですけどね。このメンバーで切り替え、切り替えでは厳しいと思ったし、(初手から南関の後ろと)決め打ちしてました。最後はスピードをもらった感じで伸びましたね。脚の状態はいいです。記念決勝は初めてなんで、うれしいですね」
 吉澤純平(写真)は強豪相手に迷いなく先行。最後まで力強く踏み切り、2着に粘った。
 「優秀戦の悔しさがあったし、今日は他地区だったけど2車付いてくれたんで、思い切り行けました。理想的な展開になったし、あとはどこまで持つか。しっかり先行で勝ち上がれてよかったです。優秀戦のような失敗をしないように、決勝はしっかりしたレースをしたい」
 山田幸司が吉澤ラインの3番手からしぶとく3着に食い込んだ。
 「佐藤(慎太郎)さんに降りられて重かったですね。我慢してしのげました。稲垣君が止まってくれたのも大きかったですね。最後は中を割られてしまったけど、なんとか決勝に乗れました」
 稲垣裕之は吉澤と接触したのが響いた。
 「2センターでハンドルにあたられて、態勢を崩してしまった。吉澤君が強かったですね」

<最終日・9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)>
武井大介選手
武井大介選手
金子幸央選手
金子幸央選手
 国際大会を規範とした競技規則で行われる「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が最終日の第9レースに行われる。雨が降る3日目の午前中に続々と集まってきた7名が、明日の一発勝負に備えた。
 地元の武井大介(写真)は9月岐阜記念で優参すると、寬仁親王牌では一次予選敗退も残り3日間で3日間確定板入りと好調を維持する。ここも地の利を生かし主役になるか。
 「競技用の自転車なんで若い子や普段自力で動いてる子が強いですよね。イン斬りとかやってムダ脚使うよりは、4コーナーの最後まで脚を溜めての方がいいのかもしれないです。自転車はガールズの田畑(茉利名)さんに借りて、練習で1回乗ったくらいです。でも地元で500だしチャンスはあると思う。なんとかしたいですね」
 金子幸央(写真)は寬仁親王牌でG1デビューを果たすなどノッている。昨年は関東地区プロで1kmタイムトライアル、チームスプリントで優勝と競技にも強い。
 「去年は地区プロで1000メートル(1kmタイムトライアル)とチームスプリントで優勝しました。11月8日から地区プロなので、親王牌終わったあとからカーボンで練習もしっかりとやっています。誰も後ろに付かないのは不思議な感じだけど、こういうレースは好きだし、しっかりと優勝できるように頑張ります」
 追い込み型の勝瀬卓也も500バンクならば十分チャンスはありそうだ。
 「スタートで前の方にはいたいですね。フレームは新しいの買ったけど重くて。でも直前でやっとタイムは出てきました。セッティングを出すのに苦労してるけど、これがあとの競輪にもつながっていきそうです」
 栗山俊介は「カーボンで練習してきたけど、タイム、スピードはよかった」と笑顔で話し始めた。
 「前回の青森が終わってからは間も空いたし、ある程度練習もできました。脚も問題はないです。レースは後ろからカマしていく感じの方がいいかもしれないですね」
 佐藤博紀は「一発勝負のレースを走ってみたかったです。前回の函館終わったあと、練習はしたんですけど、カーボンではなく普通に。カーボンは送る前にちょろっと乗ったくらい。500だし、好きに走って見せ場作れれば」と終始笑顔で記者に対応していた。
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