『千葉競輪開設69周年記念 in松戸(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月13日

 今年の舞台は松戸。千葉競輪開設69周年記念「滝澤正光杯in松戸(GIII)」が、松戸競輪場で10月13日に幕を開けた。オープニングの一次予選1レースでは、地元コンビがワンツーを飾りスタンドは沸いた。初日メインの特選では、関東勢が5人勝ち上がり、地元の南関勢は和田健太郎、郡司浩平が2日目の優秀にコマを進めた。14日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手によって優秀「ライモンカップ」が行われる。
 本場では開催中の毎日、今シリーズに出場する千葉支部の選手がデザインされたオリジナルビッグカツと69周年記念缶バッジを日替わりで先着プレゼント、未確定車券抽選会、大人も子どもも楽しめる氷を使わない「スケートリンク」などが行われます。また、14日の2日目には、「BANZAI JAPAN(バンザイジャパン)」のステージなども予定されています。松戸競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

高橋雅之選手
高橋雅之選手
 加賀山淳にフタをした水谷好宏は、中島将尊に突っ張られながらも赤板の1センターで出る。さばかれた澤田光浩が外に大きく浮くも、加賀山は怯むことなくすかさず反撃。最終ホームで加賀山が主導権を奪って、高橋雅之(写真)が続く。3番手の大西健士は遅れて落車。3番手以下を大きくちぎった地元両者のゴール勝負は、番手の高橋が差し切った。
 「ジャンがすごかったですね、(加賀山は)かなり強かった。あれは3番手じゃ離れますよ。加賀山はああいう(展開)のはできなかったんですけど、良かったです」
 「ジャン前のところは前だったら見ちゃっている。違うことやった効果が出た」とは、加賀山淳。想定外の展開とアクシデントもあったが、積極策で高橋と好スタートを切った。
 「(10月の)4、5、6日にマティエス(ブフリ)にいろいろ教えてもらいながら、(伊豆ベロドロームで)練習した。展開的には水谷にあんなにフタをされるとは思ってなかった。ウソでしょうって感じだった。涼しいから、(体調は)サイコーですよ」


<2R>

 後ろ攻めから上昇した野口裕史に合わせて、中団の岸澤賢太が先に切る。その上を赤板で野口が叩くが、岸澤は車を下げ切らずに3、4番手が併走になる。後方で冷静に戦況を見極めた吉本卓仁は打鐘2センターから反撃を開始。吉本は野口を最終バック手前でねじ伏せ、最後は番手の原田礼が差し切った。
 「(吉本)卓仁が全部してくれました。自分は付いていっただけなんで。(吉本は)緩んだら行きたいって言ってたし、行ってくれた。(最後は)いっぱい、いっぱいでしたよ。(初日の1着は)うれしいっすね。前々回から悪かったんで、これでまた流れが来てくれれば」
 吉本卓仁が仕掛けどころを逃さず、豪快にまくって2着。
 「(まくりに)行きごろでしたね。展開に恵まれました。(岸澤が中団取りに動かなくても)どっちにしろ力勝負だと思っていた。前回(10月高松FIの初日)は失敗してるんで、力勝負がしたかった」
 九州勢への切り替えを迫られた小埜正義は、3番手の山口幸太郎を最終4コーナーで弾いて3着に入った。
 「野口もあれだけ踏まされたらキツい。流してなかったからね。(自分は)最後も中途半端だった。本当は原田さんのところを持っていきたかったけど」


<3R>

竹内智彦選手
竹内智彦選手
 中団から先に動いて先頭に立った高木翔は、赤板手前から踏んだ成松春樹に合わせてペースを上げて番手に飛び付く。逃げる成松後位の萱島大介をさばいた高木に竹内智彦(写真)も抜かりなく追走。高木が岡崎智哉に合わせて番手からまくって、竹内が余裕をもって交わした。
 「高木君はなんでもできるから、好きなように走ってもらった。しっかり踏んで(成松を)出させて番手を奪ってまくってくれた。(最終)バックで詰まって内に差し込んだけど、余裕はありました。やっと戻ってきましたね。ここまま良くなっていってくれれば」
 FI、記念を問わず近況は初日をクリアしている高木翔が、対応力を見せてラインでワンツーを飾った。
 「すごくキツかった。岡崎さんと中団を取り合っても仕方ないと思って、それであれしかないですよね。成松さんもペースで踏んでいたから(番手から出ていくのが)キツかったです」


<4R>

 久米康平にフタをして赤板で先頭に立った飯田憲司は、1センター過ぎから加速して先行態勢に入る。後方になった久米はすかさず反撃に出ようとするが、飯田のスピードが良く仕掛けられない。久米ライン3番手の三浦稔希が切り替えて、久米は8番手に陥って最終回へ。逃げる飯田に、5番手からまくった河村雅章が襲い掛かるが、番手の山本健也が3コーナーでけん制。久米から切り替えて、河村を追った福島武士は、コースを縫うように飯田と山本の間を鋭く伸びて白星を挙げた。
 「ジャンでもうダメかと思ったけど、なんとか(勝ち上がりの)4着までにと思って。できれば久米を抜いて1着っていうのが良かったけど。三浦さんの切り替えがあって、久米も仕掛けるタイミングがなくなりましたね。(最後は)イチかバチかでしたけど、良かったです」
 単騎の平沼由充は、主導権を握った南関ラインの4番手にポジションを取る。最終2センターからは、福島のコースをなぞるように追い込んで2着。
 「何百レースぶりかの気持ちがいいレースでした。6番(坂西佑介)が内を締めていたので、(最終)3コーナー過ぎて空いたとしても、詰まるなと思って。9番(福島)をいい目標にして、サッと動けました」


<5R>

 4番手の菅原裕太は、赤板の2コーナー手前から踏んで主導権を奪い、そのまま駆ける。3番手の山田和巧が離れるも、後続との間合い計って番手の鈴木裕が追い込んだ。
 「菅原君のおかげですよ。抜きに行って差せないかと思ったけど、結果差せたので余裕があったってことですね。ただ上(のクラス)で戦うには、もう少し余裕が欲しいところ。体調は良くなっているけど、気合が入りすぎて緊張してた」
 落ち着いた組み立てで別線を一蹴した菅原裕太は、8月の松戸記念での一次予選敗退の雪辱を果たした。
 「後ろ攻めからフタをして、(周回中は中団にいたが)脚を使うくらいなら前の位置からと。城(幸弘)さんの動きだけ注意して、ジャンで流してたのでそこを逃さず行けた。前回からだけど、ようやく復調してきましたね」


<6R>

戸田康平選手
戸田康平選手
 前に出た元砂勇雪を、赤板で戸田康平(写真)が押さえて主導権を握る。宇佐見裕輝はすぐに巻き返しに出るが、これにすかさず反応した戸田が突っ張って駆ける。中団からまくった元砂勇雪は、内藤敦のけん制で落車。後続のアクシデントをしり目に、戸田が押し切った。
 「(宇佐見は)絶対に来ると思ってたんで、かなり見ていました。来たら突っ張るつもりでいたんで、駆けやすいように切る時も結構踏んでいました。道中もペースだったし、1着を取れているんでいいですね。落車があったんでなんとも言えないですけど。まずは初日を勝ち上がれたんでよかった。(高い)点数を取れたって意味でも大きいですね」
 最終2コーナーからまくった元砂だが、けん制した内藤と接触して落車。島野浩司も乗り上げる。2位入線の内藤は失格で、中近ライン3番手から落車を避けた光岡義洋が2着に繰り上がって3連単は43万円超の高配当。
 「なんとも言えん勝ち上がりですね。ラインが2人転んでるんで。(菊地)圭尚か佐々木(省司)が内に来るかなと思って締めといて、そこからまっすぐ踏んだら(落車を)避けられたって感じです。でも、なにもできんよりは、最後も前を交わせたし、脚の状態もずっと問題ないんで。ただ、前で先輩がこけたんで喜べない」


<7R>

 3番手の才迫開が外に上がって山岸佳太をけん制するが、山岸が赤板手前から踏み込む。内をすくって出た才迫を叩いた山岸の先行。しかしながら、山岸も才迫の抵抗に脚を使わされ、8番手から立て直した伊藤勝太がまくり切った。
 「ジャンで結構、踏んだのに、才迫君にすくわれて終わったと思った。(最終)1コーナーで詰まったけど、2コーナーの下りを使いたくて待ちました。すんなりだったらまくれていないけど、前団の併走が長引いたので、たまたままくれた感じです」
 山岸を利した飯嶋則之が、ゴール寸前で2着に上がった。
 「才迫君を叩いた時点で、もう誰もこないと思った。ヤバいと思って(伊藤を)もっていったけど、対応できなかったですね」


<8R>

福田知也選手
福田知也選手
 島川将貴が赤板の1コーナーで主導権を握ると、酒井拳蔵が飛び付いて青井賢治と併走。隊列が短くったところでタイミングを計っていた巴直也は、打鐘の3コーナーから踏み込む。福田知也(写真)を連れた巴がカマして、神奈川2車で3番手の島川を引き離す。番手の福田は、巴との車間を空けて詰める島川をけん制しながら追い込んだ。
 「アイツ(巴)もデキがいいですね。踏み出してから引っかかってる感じがある。無理やり仕掛けないで、緩んだら行けばいいと思っていたら、アイツの仕掛けも良かった。あとは島川のタイミングをズラしながらと。僕(の調子)は変わらずいいですね、イケると思う」
 「粘るとは思わなかった」とは、酒井の動きが誤算だった島川将貴。神奈川コンビを追いかけて2着も、同県の先輩を気遣い振り返る。
 「出てからも重くてしんどかった。巴さんのカマシは見えませんでした。粘らせてしまったし、あれがなかったらしっかりジャンから駆けたかったんですけど。脚を使って追いかける展開なんで、ああいうのは練習ではできない。いい経験ができた。でも、粘らせてしまったのが…」
 福田が懸命に援護した巴直也だったが、直線で失速して3着。二次予選進出も苦笑いで汗をぬぐう。
 「島川君もペースを上げてなかったし、思い切って行けた。出切ればあとは福田さんがなんとかしてくれると。最近、先行してなかったから、キツかったですね。それでも反応はできている」


<9R>

 増原正人の上昇を阻んで突っ張った小原唯志は、中部トリオを受けて4番手をキープ。増原にすくわれて打鐘の4コーナーでは外に浮く苦しい流れも、小原がまくりで凌いで1着。
 「増原君が来た時には、とりあえず行くしかないと。組み立て自体は良かったと思う。7番手にならないように心掛けていた。前受けでも勝ち切れるようにならないと、点数が上がらないんでね」
 逃げた廣田敦士の番手の岩本和也は、小原を止められない。廣田ライン3番手の坂上忠克が内を踏んで2着に入った。
 「33バンクだからシビアにいこうっていう気持ちがあったけど。あまり気持ち良くはないですね。ただ、点数がヤバくなってきたので、いままでは怖くて内は踏めなかったけど、これからはやっていかないと」


<10R>

池田勇人選手
池田勇人選手
 一度切って出た山中秀将を池田勇人(写真)が押さえて先頭に立つ。前受けから7番手に下げた原田研太朗は、赤板の1センターからの山降ろしで一気に叩きに出る。最終的に原田の先行。諸橋愛が三宅達也をさばいて、池田は3番手に入る。山中はあおりもあって不発に終わり、バック手前から鋭くまくった池田が諸橋の追撃を振り切って1着。
 「とりあえず先行したかったですね。山中が後ろだった時点で、自分の押さえ先行かカマシだなと思った。そこがちょっと反省点です。あれ(原田)はさすがに合わせられない。さらに上から来られてるんで。諸橋さんとは本当に相性がいい。(ラインでワンツースリーは)最高の結果ですね」
 諸橋愛は池田を交わせずに2着。三宅を弾く好アシストでラインでの上位独占に尽力した。
 「本調子なら差せていたんだけどね。ただ、前回よりは動けていると思うし、8番(三宅)をどかせたのは良かったと思う。(池田)勇人が頑張ってくれれば、自分にもチャンスは来ると思っていた。(池田は)前回の成績とか競走を見ている感じでは残る感じじゃないんだけど、差せる感じはなかった。踏んだ感じは出てたし、抜けるかなと思ったけど、勇人もタレなかったですね」
 関東ライン3番手の志村太賀が、最終3コーナーで山中を外に張っての流れ込んだ。
 「うまくいきましたね。自分が3着に入れる感じはなかったんですけど。自分はなにもしていない。(池田)勇人が本当に強かった」


<11R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 赤板で坂本貴史を押さえた郡司浩平が主導権を握る。2コーナーから8番手の稲毛健太が巻き返すと、郡司もペースを上げる。郡司の掛かりが良く、稲毛は中団で不発。稲毛を張りながら最終ホームからまくって出た坂本も伸びない。坂本マークから自力に転じた山崎芳仁(写真)が、南関勢をのみ込んだ。
 「(坂本)貴史も無理やり仕掛ける感じだったので、出切れないと思った。それに山内(卓也)さんにも降りられてしまったので、自分でどうにかしようと。自分のタイミングで踏めなかったわりに車は流れてくれたんで悪くないと思います」
 積極策の郡司を利した和田健太郎が、直線で差し脚を伸ばして2着。
 「山崎さんは見えたけど大外だったし、(ブロックしても)届かないですよね。もって行こうにも坂本君の車輪が掛かっていてどうしようもなかった。郡司君は頑張ってくれたけど、難しい展開になってしまった」
 稲毛、坂本を不発に追いやった郡司浩平が、逃げて3着に踏ん張った。山崎のまくりにはお手上げで苦笑い。
 「(機動型)2人を合わせ切れているし悪くないですよね。山崎さんのあれは(自力があるし)ズルいですよね(笑)。風というよりは、バンクの空気感が重たい感じがあった。流れないですね。それでも自分のイメージ通りには動けた」


<12R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 吉澤純平に併せ込んでフタをした村上義弘は、再度踏み込んで赤板で佐藤博紀を押さえて主導権。しかしながら、2コーナー手前で吉澤が叩きに出る。吉澤、神山拓弥(写真)で出切って、茨栃コンビが主導権を奪う。3番手に飛び付いた村上は、空いた車間がなかなか詰まらない。番手で願ってもない展開が訪れた神山が、ゴール寸前できっちり差し切った。
 「(吉澤)純平さんを100パーセント信頼しているので、もし純平さんが失敗してそれで一緒に負けてもっていう気持ちはあります。(ラインが)2車だし難しかった。ただ、(後ろとの間合いから吉澤と)決まるかなっていうはあった。純平さんはすごい掛かりだったし、近況では一番いいデキなんじゃないですか。自分は(打鐘の)3コーナーいつも苦しいんですけど、外に差してしっかりと付いていけた。合格点を与えてもいいのかと」
 村上との力勝負を演じた吉澤純平は、レースを支配してラインの神山とワンツー。気持ち良さそうに汗をぬぐう。
 「村上さんの気持ちも伝わってきたし、(村上がフタをして自分を警戒したことに)シビれましたね。そこを北津留(翼)が付いていかなかったんで、俺がすかさず叩きにいった。自分も村上さんに憧れているところがすごくあるんで、こういう勝負ができたのは大きい」
 村上が直線の入り口でようやく茨栃勢に追いつく。村上マークの北野武史は、村上が外を踏むと内よりを伸びて3着に上がった。
 「ああなったら外は行けるわけないんで、内しかなかった。いい感じで突っ込めたし、やっと届いてくれた。本当に悪くない状態だったんで、(結果に)出てくれて良かった」