『花月園競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:11月27日


 花月園競輪開設58周年記念「菊花賞典レース」が今日から始まった。雨走路の上に、冬本番を思わせる気温の中でのシリーズ初日だったが、1レースからライン決着が相次ぎ、最終レースを除いて全てが3連単1万円を切る順当な1日だった。特選3個レースは松坂英司、吉田敏洋に諸橋愛が快勝してシリーズの好スタート。明日の「あすか賞」へ駒を進めた。
 明日(28日)も9時50分からの早朝予想会(Luckyステージにて)に始まり、直美さんによる演歌ショー(7レース終了後Luckyステージにて)や9レース終了後にはバンク内でかっぽれショーなどイベントが盛りだくさん。ぜひ明日も花月園競輪場へご来場ください。


<1R>
竹澤浩司選手
竹澤浩司選手
   オープニングレースは、竹澤浩司(写真)が主導権をにぎると、別線の巻き返しをそのまま封じた。最後はマークの水島章に交わされたが両者でワンツーを決めた。3着にはライン三番手を固めた濱田光識が入り、ライン三者で連独占となった。
 「(初手の位置で)高瀬さんが後ろ攻めにこだわるのかなと思ったら、中団からだったんでかえって作戦が立てやすかった。ホーム過ぎにカマシを警戒していたけど、ビジョンを見たら来ない様子だったんで、落ち着いてペースに持ち込めました。高瀬さんに合わせて踏んだというよりはこっちもカカっていたし、ほぼ自分のペースでしたね」
 一方、高瀬卓は「自分のタイミングで行けなかった。キツかったけど、カマして出切れないんだから自分が弱いってことですよ」とサバサバしている。


<2R>
 2レースは、松岡孔明が後方からすかさず巻き返し、逃げた山出裕幸をひとまくり。下田和美-國村洋まで引き連れて、こちらもライン3車で決着した。
 「慌てずに、引いて早めに仕掛けられたのが良かった。山出君も少し緩めていたし、タイミングもバッチリでした。それに國村(洋)さんと三村(学)さんが切り替えないで付いてきてくれたのも大きい。もしホームでスイッチされてたら、こっちも厳しかったでしょうしね」
 下田和美は「松岡は一定のスピードでグングンと加速していく感じ。あいつは地脚だし、末脚も良く踏み直していたから全く抜ける気がしなかった」と松岡の頑張りを称える。


<3R>
 3レースもライン3車で決着。勝ったのは小林寛尚。まくりを打った川村晃司の番手から、直線で鋭く抜け出した。
 「川村さんは行きにくい展開の中、迷い無く行ってくれたし、ずっと踏み続けてくれた。しかも早めの仕掛けだったし、ありがたかったですね。今日は、いきなり水島さんが1着を取っていたから、こっちも気合が入っていました。良い流れに乗れそうですね」
 川村晃司は「すんなり出切れるかなと思ったら、案外バンクが重くてすごくきつかった。結果的に連にからめたけど、車の出は悪いですね」と感触が微妙にかみ合わず、2着入線にも首をかしげるばかり。


<4R>
 4レースは地元コンビが大健闘。吉原友彦がホームカマシで主導権を奪取すると、最後は吉原マークの野村純宏が追い込んで快勝した。「吉原の踏み出しに少し口が空いてしまったけど、それはいつものことだから(苦笑)。練習仲間の吉原の積極さが嬉しかった。追加や補充を断ってここへ向けた練習に励んだ成果が出ましたね。点数的にも大きいし、吉原と一緒に勝ち上がれたことが何よりも嬉しい」
 吉原友彦は「大屋君に思いのほか早く踏まれたし、一本棒となって後方に置かれてしまう前にとの気持ちで仕掛けました。出切ってからは、野村さんが思い切り仕事をしてくれたし安心して踏めましたね」
 田中雅史のまくりに乗った河野克也が、巧みにインコースを突いて3着に食い込んだ。
 「外に踏もうか迷ったけど、これじゃ間に合わないと思いとっさに内に踏みました。3着以内っていうことも頭にあったし、ああなったら仕方が無い」


<5R>
 5レースは桂馬将人がホームカマシを決めて先制し、程良いスピードで直線に入ると、ゴール寸前に相原健樹が差し交わして1着。
 「桂馬君が自分の思ってた以上に早めに仕掛けてくれた。ああなれば離れるわけにいかないし、俺も仕事をしなきゃダメでしょう。踏み出しも付いていけたし、まくりもさばけたんでそういう意味では上出来でしょう」
 桂馬将人は冷静なレース運びが奏功した模様だ。
 「もう少しガマンして仕掛ければ押し切れたかな。でも、今日はレースの傾向としてカマシが決まってるイメージだったから、自分もそういう展開に持ち込みたかった。踏むところで踏めたし、休むところで休めたし、久々に良く動けたと思います」
 地元の石井毅は意地を見せた。坂木田雄介をブロックした相原の内を突き、直線で桂馬と相原の中を割って3着に食い込んだ。
 「今日は坂木田君が良いスピードで駆けてくれたおかげです。桂馬君に合わされてかなりきつそうだったけど、全力で行ってくれたし、その恩に応えたかった。3場所前のここでの補充から新フレームを使っているんだけど、感触がしっくりきています」


<6R>
内藤秀久選手
内藤秀久選手
   6レースからは選抜戦。打鐘で高谷敏史が出切って流したところを、池田勇人がすかさず叩いて主導権をにぎった。結果は3着となったが、力強い競走を披露していた。
 「打鐘を過ぎてから行こうとも思ったけど、高谷と踏み合いになっても仕方が無いし、内に小川(勇介)さんがいたから少し様子を見ていました。そうしたらホームで高谷がベタ流しだったから、ここしかないと思い、目一杯踏みました。3着でしたけど、ラインで決まったし納得しています」
 内藤秀久(写真)は、後続の反撃も無く余裕の競走となったが、「池田に付いていけたことが大きい。いつもの自分なら、打鐘で中団外併走になったとき、内の選手をキメに行ったりと自分で何かしてしまうものなんだけど、信頼して前を任せたんで付いて行く事ができた。ただ、あの展開なら池田を2着に残さなきゃダメですよね…」と、反省も忘れない。
 高谷敏史は「一旦休んで、行こうと思ったらすぐに(池田に)行かれてしまった…。組み立てが甘かったですね」と大敗を喫し、唇をかむ。


<7R>
成田健児選手
成田健児選手
   7レースはライン2車でも上手くペースで駆けた柴田洋輔がそのまま逃げ切った。前検日の不安を吹き飛ばす逃走劇にも「流してないのに、1コーナーで流しただろって言われました。まだ影響はありますね」と強気なコメントは聞かれない。
 「展開に恵まれただけで焦ってましたね。押さえたときに軽かったのでイケるかなと思ったけど、3コーナーからは必死でしたよ」
 2着の小林潤二は「柴田くんは来たら踏んで、来なければペースでと上手く駆けてましたね。落車で不安ですなんて言ってたけど、全然そんなことない。若さがあるね。思い切り抜きに行ったけど、踏み直されました。恥ずかしい」
 地元の成田健児(写真)が3着に食い込み二次予選Aに勝ち上がった。
 「小埜くんが良い位置を取ってくれたので。彼がセンターで踏んだときに膨れて行ったので内に行かせてもらった。小林さんがなかなか抜きに行かず、最後の何メートルしか踏んでないから分からないけど、調子はまずまずだと思います」
 富弥昭は「高城(信雄)くんが叩くと思ったけどね。それでも、あれをまくれないんじゃ…」とショックを隠せない。


<8R>
岸澤賢太選手
岸澤賢太選手
   8レースは、ホームから大塚玲がカマしてマークの佐々木龍也が離れると、岸澤賢太が番手にはまる展開に。車間を詰めながら踏んだ岸澤賢太(写真)が抜け出して1着に。しかし、勝ち方が勝ち方だけに、表情もやや複雑。
 「今日は大塚(玲)さんを出させないつもりでしたが、ホームで油断してしまいました。でも落ち着いて番手に入ってからは、焦らずに踏めば何とかなるなと構えられました。だけど、余裕もそれほど無かったし、勝ち方も変だったんで、今日は参考外の競走でした。明日以降は自分の競走で頑張りたい」
 岸澤マークの大澤雄大は「大塚に行かれてしまったけど、1車なのが分かったんで、変に焦りは無かったです。岸澤も落ち着いて出させてましたね。俺もしっかり援護できたし、言うことないです。今日から新車だったから心配だったけど、全く問題ありませんでしたね」
 大塚玲は「ホームで岸澤が緩めたから一気に踏んだけど、それまでに脚を使っていたから、最終三角ではもうヘロヘロでした。よく3着に入れたなってくらい。だけど、踏み出しも良かったし、良い手応えをつかめましたね」。


<9R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   9レース特選はライン2車でも最終主導権を握った海老根恵太がマイペースに持ち込む。人気の平原康多ラインが内に詰まると、番手絶好の松坂英司がゴール前鋭く抜け出した。
 「走る前に海老根くんの意気込みがすごかったので、全部任せてました。さすがですね。ドンドンかかって行って、まくられる感じじゃなかった」
 2着に粘った海老根恵太(写真)も出し切ったレース内容に満足げな表情。
 「(先行したのは)たまたま順番が回ってきただけです。人気は平原だったし、変に1着を意識しなかったのが良かった。ラインでワンツーだから最高ですね。雨の日は苦手で今日もダメだなって気持ちがあったけど、開き直ったのが良かったです」
 3着にはまくり上げた佐藤悦夫に乗った成田和也が食い込んだ。
 「悦夫が行けるところまで行ってくれたおかげ。海外遠征から中2日の影響は思ったよりないみたいですね。明日の優秀戦も頑張ります」


<10R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   10レースは最終ホームからカマした吉田敏洋(写真)が力強く押し切り。ライン3車で上位を独占した。
 「岡田くんが勢い良く斬ったらまくりに構えようと思ったけど、とりあえず斬ったところをタイミングを見て行きました。あのタイミングで出ればまくりが飛んでくることもないだろうし、落ち着いてペースで駆けられましたね。ラインで決まったのが一番大きい」
 2着の小野俊之は「敏洋が強かった」と、まずは吉田の走りを絶賛する。
 「今日は先行した選手が残ってるし、敏洋は出切ってからもペースだから大丈夫だと思った。抜けなかったけど、今日のデキはこんな感じでしょう。ラインで3着まで決めたかったので良かった」
 3着の室井竜二も「ラッキーしたね。バックで見たら後ろは岡田やし、3着には入れるなと思いました。久しぶりに付いてて楽やったね」
 七番手に置かれた新田康仁は、「ああなったら吉田に合わせて出るしかないと思ったけど、吉田もすぐに来たから合わせられなかった」と巻き返し不発に。
 兵藤一也は「自分の感じは引き続き良いけど、今日はコースが空いてなかった」と4着が精一杯だった。


<11R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手
   11レースは前受けの佐藤友和が打鐘から突っ張り先行。惜しくも4着に敗れたが、「走る前はビビッてたけど、思ったより悪くはなかった」と自身の復調に手ごたえをつかむ。勝ったのは佐藤ライン三番手から鋭く伸びた諸橋愛(写真)。これで節目の200勝まで、あと2勝に迫った。
 「友和が突っ張るとは思わなかった。僕は脚を使ってなくて、あとはコースを選ぶだけでした。200勝は1場所1勝くらいに考えてるので、特に意識はしてませんよ。付いててすごく楽だったし、調子は悪くないですね」
 2着には井上昌己のまくりに乗った山口幸二が強襲。「昌己は栗田(雅也)が合わされた時にどうするか迷ったみたいだったけど、よくまくったね。直線で諸橋が内に行ってくれたのも助かった。僕の感じはこんなもんかな。もう少し(伸びて)欲しいのもあるけどね。ふるさと広島に比べたら8割くらい」
 3着の井上昌己はローラーでダウンする佐藤友和を指差し、「こいつが強いです」と苦笑い。
 「ちょっとショックですね。もう少しシャンと車が出ても良いはずなのに。今回は調整なしで入ってるから、今回は3、4日目に出るんじゃないかな。それでも3着はデカイですね」
 有坂直樹は「苦しかったあ。前を取る作戦じゃなかったからね。井上が見えた時は4コーナーだから踏むしかないと思ったけど、もう一杯だった」と番手の仕事で伸びを欠いた。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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