『川崎競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月9日

 川崎競輪場で開設72周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」が、4月8日にナイターシリーズで始まった。初日メインの特選では、伏兵の鈴木竜士が勝ち星を挙げて、郡司浩平は6着に敗れた。また、一次予選では松谷秀幸、松井宏佑の2人が地元で白星スタートを切った。9日の2日目には、二次予選の7個レースで熱戦が展開される。
 川崎競輪場にご来場の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。本場では開催中の毎日、桜花賞オリジナルグッズなどが当たる「未確定車券抽選会」、場内のモニター配信によるレジェンド予想会などが予定されています。川崎競輪場、またテレビ、インターネット中継などで観戦をお楽しみください。

<1R>

 赤板2コーナー手前で押さえて出た脇本勇希は、上甲コンビを受けて3番手に収まる。佐藤一伸がインをすくって3番手が併走になると、脇本は打鐘の2センターから仕掛けて末木浩二と叩き合い。前団の併走を5番手の佐藤がまくるが一息。後方で脚をためた本郷雄三が、その上をまくって熊本ワンツーの決着でシリーズの幕が開けた。
 「他の選手の動きを見ながら、チャンスがあれば一発を狙っていました。構え過ぎてまくり追い込みになったけど、どこからでも行ける状態ではあった。最近は練習ができるようになってきたし、それが出たんだと思う。セッティングを試行錯誤していて、良かったり悪かったりだけど、今のところはいい方向に出ているので、今回はこのままいきます」
 佐方良行が外を付け回って2着に入った。
 「(本郷)雄三に任せていたし付いていくだけでした。(落車で怪我をしたのは)左鎖骨と左肋骨。セッティングもまだまだ改良の余地がある。体的には左鎖骨の反応が良くないけど、頭の中では大丈夫」

<2R>

才迫開選手
才迫開選手
 外併走でタイミングをうかがっていた蒔田英彦は、打鐘の3コーナー過ぎから仕掛けて主導権を握る。南関勢の3車を出させた才迫開(写真)が、中団をキープする。4番手の才迫は、最終2センターから外を踏んで突き抜けた。
 「後ろの方がレースを動かせるし、そのなかである程度自分の立てた作戦で走れたかなと。自分が駆けるか、(蒔田を)出させるか微妙なところでした。(成績が良くなってきたのは)練習内容を変えたことだと思う。街道中心からバンクでのモガきに変えた。いつも(成績に)波があるんで、1年間これを続けられるように」
 最終バック7番手の松尾透は、鶴良生が不発も中のコースを伸びた。
 「嫌だなと思っていた展開になってしまいましたね。あとは鶴がまくりでも、まくり追い込みでも、(自分は)コースを見つけて突っ込むだけでした。周りも見えているし、久しぶりにこういう(いい)感覚がある。体が動くんで自転車も進みます」

<3R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 打鐘の3コーナーで小川祐司が先頭に立ち、飛び付いた窓場千加頼は室井竜二は張って番手を奪取する。後続のもつれで先行態勢の小川が緩めると、窓場がすかさず仕掛けて主導権を握る。危なげなく続いた南修二は、車間を空けて後続との間合いを取りゴール前できっちりと抜け出した。
 「(窓場は)いつもいいレースをしているのを見てるんで、しっかり付いていくことだけと。風が強いなかで、すごく頑張ってくれた。自分としてはあんなもん、状態的には一緒ですね。あとは(窓場を援護して)もう少しうまくできれば。それが理想です」
 直線半ばで失速した窓場千加頼(写真)は、3着も内容の濃い走りが光った。
 「後ろが南さんでラインの分厚さがあるんで、自分は前々で先行よりの自力って考えてました。小川さんの巻き返しが早かったんで、瞬時の判断で1回当たりにいった。あとは自分の体が動いたところが(最終)ホームでした。(一次)予選で自分のすべてを見せてしまった感じもあります(笑)」

<4R>

 打鐘の3コーナーで主導権を握った小原唯志が、掛かり良く風を切る。瓜生崇智は5番手に入って、最終ホームを通過する。2コーナーからまくりを打った瓜生を逃げる小原の番手で阻んだ柿澤大貴が、後続をギリギリまで引きつけて追い込んだ。
 「前検日まで疲れがあって、初日も疲れは残っていた。けど、日に日に抜けてくれれば。冬場にバンクに入れず、できなかった練習を今回は質と量をどちらも重視してやってきた」
 積極策の小原唯志が、柿澤との息の合った連係で2着に粘り込んだ。
 「自分が一番駆けても良いと思っていたようで良かった。いい練習ができたし、楽しみにしていた。自分は先行で勝負したいし、その練習をしてきた。脚だけじゃなくて、フォームとか技術の面もやってきた」

<5R>

 青野将大は赤板の2コーナーで先頭に立ち、そのまま後続を一本棒にして駆ける。最終ホームを通過して4番手の河村雅章が仕掛ける。小原太樹は止められず青野に河村が並びかけるが、その上を佐藤幸治がまくり追い込みで抜け出した。
 「道中の余裕はありましたね。青野君が主導権だろうというのは頭の中にありました。河村さんが行ってくれたのは大きいですね。いい感じに伸びたので、感じは良いかなと。オーバーワークだと思っていたけど、大丈夫ですね」
 河村にタイヤ差で負けた青野将大だったが、3着に踏ん張った。
 「地脚が持ち味なので、ハイスピードでずっと行きたいなと。(初の記念で)選手のレベルが高いのはFIでも感じる。だからビビったりしないけど、お客さんの数は違いましたね」

<6R>

 池野健太の動きに反応できずに中途半端に5番手で併走になった島川将貴だったが、3番手の阿部拓真が切りに出たことで視界が開ける。先頭に出てペースを落とした阿部の上をカマシ気味に出た島川が先行策。別線は動けず、番手の木村隆弘がゴール寸前で島川を交わした。
 「自分はもう付いていくことだけに集中していた。脚の状態はずっと良かったんで、展開さえ向けばっていうのがあった。それをモノにできたんで良かった。島川君を抜けてるんで満点です」
 機動力の違いを見せた島川将貴は、木村との徳島ワンツーをメイクした。
 「ジャン前で池野さんが切ったところを見てしまった。ヤバいと思ってたら、阿部さんが(その上を)切ってくれたんで良かった。風を感じたんで、最終ホームで踏んだ。ちょっと重かったですね。苦しまぎれの先行だったけど、ラインで決まったので」

<7R>

桑原大志選手
桑原大志選手
 打鐘を通過しても藤井栄二がそれほどペースを上げず、河端朋之がスピードの違いで最終ホームの手前で出る。河端ラインの3車が出切って、4番手以下はを離す。別線に出番はなく、番手の桑原大志(写真)が計ったように差し切った。
 「いつもよりも河端君の踏み直しをググッと感じて、ギリギリ抜けた感じです。セッティングを大きくいじっているが、初日は河端君のおかげ。進化を求めていかないといけないし、意識を高く持ってやりたい」
 河端朋之は新車の手応えを感じながら振り返る。
 「押さえて脚を使うよりは、前か中団から自分のタイミングで仕掛けようと思っていた。藤井君が早く踏み上げていたら厳しかったと思う。出切ってからはマイペースでした。今回から新車だけど、1回練習でも使って悪くなかった。セッティングとかもとくに変えずにこのままいくつもりです」

<8R>

近藤龍徳選手
近藤龍徳選手
 3車の中部ラインが主導権を握り、上田尭弥が4番手に入るが、荻原尚人も追い上げて中団がもつれる。逃げる永井清史の番手で絶好の展開が訪れた近藤龍徳(写真)が、1月の和歌山GIII以来、久々の勝ち星を挙げた。
 「1着なんですけど、もう少しなにかできたかなと思いました。外に(齋藤)登志信さんが見えて慌てちゃったかなと。1着を取れたのはラインのおかげですけど、自分の状態もいいのかな。仕上がっている」
 上田をキメにかかった荻原尚人だったが、今度は西田大志が追い上げて3車併走。厳しい展開をしのいで2着に入った。
 「いろんなパターンを考えて、あとは間違えないようにと。(3車併走で)アンコになったけど、内からもってこられなくて助かった。あそこで引いたら自分たちはないですからね。ここ最近は良くなかったけど、少し間隔が空いたので練習ができたし、前回より感じはいい」

<9R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 大石剣士は山降ろしで加速をつけて打鐘で主導権を握る。鈴木謙太郎が4番手に飛び付いて、最終バックを迎えても後続は一本棒。ホームで気合の入る松谷秀幸(写真)がチャンスをモノにした。
 「すべて大石に任せて、信頼して付いていた。今日(初日)はすごい感じが良くて、指定練習からいいなと思ってた。これで1着が取れたんでなによりです。あとは(2日目以降も)気持ちを切らさずに集中していきたい」
 別線の反撃の隙を与えなかった大石剣士は、内容も伴った2着でラインに貢献した。
 「あのレース通りの作戦でした。ちょっと掛かり切らなかった感じでしたけど、なんとか残れました。いつも初日が重く感じることが多いので、今日はそんなに良くなくても、2日目からは良くなると思います」

<10R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 北津留翼(写真)が圧巻のレースで逃げ切った。打鐘で月森亮輔を突っ張り、今度はロングまくりの一戸康宏を不発に追いやる。最後は二の足で後続を振り切った。
 「(月森を)突っ張る気で踏んでいたのに、出られそうになって焦りました。出だしが悪いのかと思ったけど、一戸君との併走を意外にこらえられたのでバンクコンディションのせいかもしれない。前回は体重が減っていたので、元々の体重と、前回の中間くらいに体重を戻してきた。いつも通りになったかな」
 北津留と一戸の踏み合いで直線で外を踏んだ大坪功一が2着に入り人気の福岡コンビでの決着。
 「(北津留)翼にしてはダッシュが甘かったかな。最後は、後ろが付いてきそうな感じがしたので踏み方が甘くなってしまった。もうちょっと出だしを良くしたいのでセッティングを修正します」

<11R>

 6番手でタイミングを取った松井宏佑は、打鐘で反撃を開始。離れながらも東龍之介が追いかける。松井に遅れた東までは出切るが、最終ホーム過ぎに中井達郎に接触した吉田茂生が落車して、後続も乗り上げる大量落車のアクシデント。松井がそのまま逃げ切った。
 「地元だしホームの東さんも付いて3車なので、下げ切ってから積極的に行こうと思ってた。(ラインの)3人で決めたかったけど、中井さんが失格になってしまって…。ワンツーを決められたのは良かった。今回は新しいフレームで硬いフレーム。踏み出しは重いと感じたけど、出切ってから流れる感じはあった」
 松井に流れ込んでワンツーの東龍之介が反省する。
 「不甲斐ないです、本当に。松井君は走る前から気合が入っていた。後ろはわからなかったけど、迷惑を掛けてしまいました。できることを修正して(2日目以降を)走りたい」

<12R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 赤板1センターで出た新山響平のペースかに思われたが、山崎賢人が襲い掛かり両者の主導権争い。打鐘の4コーナーで山崎ラインが出切り、清水裕友が追い上げるように3番手に入る。渡部哲男は連結を外し、清水を追いかけるように郡司浩平がそのまままくる。が、清水も合わせる。逃げる山崎の番手の鈴木竜士(写真)は、外にけん制するが止まらないと見るや最終バック過ぎからまくって出る。内から鈴木、清水、郡司のまくり合戦を鈴木が制して1着。
 「(山崎は)得意な展開ではなかったと思う。新山君と踏み合った時は僕もヤバかった。でも、(山崎が)出切ってくれたんで、あとは僕の仕事をするだけだった。郡司さんが外に見えたし、清水君もすかさず来た。振ったけど止まらなかったんで、前に踏ませてもらいました。状態は引き続きいい」
 単騎の古性優作が直線で外を強襲して2着に入った。
 「ジャン過ぎに自分の間合いが取れてたんで、(仕掛けて)行こうかなって態勢を整えていたところを郡司に(すくわれて)内に行かれたのが痛かった。(2着に入ったのは)なんとかですね。ただ、感触は悪くない」
 不発で6着の郡司浩平だが、キレのある動きを見せていただけに2日目以降の巻き返しに期待したい。
 「山崎がカマしてきて、そこに反応ができなかった。そのあとはうまく清水の後ろにスイッチできた。ただ、清水も休んでいたんで、僕も休んでから行ったのでワンテンポ遅れた。レース自体は見えているし、体の動きは悪くなかった」