『川崎競輪 アーバンナイトカーニバル(GIII)レポート』 3日目編

配信日:8月8日

 川崎競輪場で開催されている「アーバンナイトカーニバル(GIII)」は、8月7日にシリーズ佳境となる3日目が行われた。ガールズケイリン「アーバンナイトヴィーナス(FII)」の準決勝では、鈴木美教、尾方真生が3連勝を達成。奥井迪も2着で順当に決勝進出を決めた。S級の準決勝では雨谷一樹、伊原克彦、吉澤純平が1着を奪った。8日の最終日は9Rにガールズ決勝、12RにS級決勝が実施される。
 川崎競輪場では緊急事態宣言の発出に伴い、今シリーズは無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<5R>

鈴木美教選手
鈴木美教選手

奥井迪選手
奥井迪選手
 最後方の渡口まりあが赤板の2コーナーから一気に踏み込んで主導権を握る。前受けの奥井迪がこの2番手にすんなり収まり、鈴木美教(写真)が3番手で最終ホームを通過。2コーナーから奥井がまくると、続いた鈴木美がシャープに追い込んだ。
 「(初手は)一番いい位置が取れた。2コーナーで(奥井が)行くなって思っていたので、落ち着いていた。踏んだ感じは悪くない。4日間1着を取りたいし、あとは優勝したい気持ちが大きい」
 絶好の流れからまくった奥井迪(写真)は2着できっちり勝ち上がった。
 「後ろに鈴木(美教)さんがいるとは思わなかった。隊列は把握していませんでした。後ろが分かっていれば、もう少し引き付けても良かった。渡口さんがいい競走をしていたので、力勝負をしたいなと。でもまくりで12秒3だし、重い感じがした。自分が良くないですね」
 初手から奥井、鈴木美の後位にいた鈴木彩夏を4番手からゴール寸前で交わして那須萌美が3着に。
 「(奥井と鈴木美教に)並ばれたら厳しいですよね。走る以上は1着を目指しているけど、あの並びになってしまうと。内が空いて番手に行こうとか、(周りを)見れたのは良かったのかな。日に日に良くはなっています」

<6R>

尾方真生選手
尾方真生選手

中嶋里美選
中嶋里美選手
 尾方真生(写真)が打鐘の4コーナーから仕掛けて、最終ホームで中嶋里美を叩く。3車身ほど空いた2番手に中嶋が入り、3番手には山口真未が収まる。軽快に逃げた尾方はバックを先頭で通過すると、4コーナーからも力強く踏み直して後続の追撃を振り切った。
 「(4日制だけど)体力的にはまだ大丈夫。ジャンの2センターで誰も動いていかなかったら、ジャンの4コーナーから仕掛けて行こうと思った。最後の4コーナーからも踏み直せるように走っていました。初日、2日目と比べて脚も軽くなってきている。最終日も軽くなれば良いな。しっかり自力を出すレースをしながら、完全優勝をできるように頑張りたい」
 正攻法で構えた中嶋里美(写真)は尾方の後位に飛びつくと、懸命に差を詰めて2着に食い込んだ。
 「尾方さんが仕掛けて来ると思ったので前にいて飛び付きを狙っていました。尾方さんの後ろに付いてくる人がいると思ったので、そこだけ気をつけていました。番手を取り切れて良かった。抜きに行こうと思ったけど、脚力が足りませんでした。3日間色々な走り方ができているので、最終日に繋げようと思います」
 山口真未は最終ホームから追い上げて3番手で態勢を整える。最後の直線で外を踏み込むも、前2人は交わせず3着となった。
 「準決勝は中団からカマして行こうと思っていたけど、尾方さんに先に仕掛けられてしまった。ちょっと(尾方に)離れていたけど、コーナーで踏んでいけてその後に(中嶋の後ろで)休んでしまったのが2着と3着の差の違いだった。4日制を走ったのは初めてだったので、まずは準決勝を目標にしていたし、それで決勝まで上がれるので良かったです」

<10R>

雨谷一樹選手
雨谷一樹選手

高原仁志選手
高原仁志選手
 後ろ攻めから切ろうとした森川大輔を前受けの雨谷一樹(写真)が赤板過ぎに突っ張る。そこを門田凌が打鐘前に押さえて先行策を取る。雨谷が3番手に収まり、6番手に坂本貴史、森川が8番手の態勢で最終ホームを通過。快調に飛ばす門田に対し、別線はなかなか仕掛けられない。3番手から早めの追い込み勝負に出た雨谷が鋭く抜け出した。
 「車番が良くなかったので、前か後ろ。前を取って、いい位置を取るには1個突っ張っろうと思った。脚使ってでもいい位置を取れていますね。長い距離は踏めないので、ラインを生かすためにはこういうレースをするしかない。もっと早く仕掛けたかったが門田君がかかっていた。GIIIの決勝は初めてです」
 高原仁志(写真)が番手絶好展開から追い込んで2着に入った。
 「門田君にすべて任せて、彼の持ち味を出して勝てるようにと思っていた。連日お客さんに迷惑をかけていたけど、今日(3日目)は修正できた。セッティングをいじったし、暑さも初日と2日目に比べて気にならなかった」
 先行で長い距離を踏んだ門田凌が3着に粘った。
 「ノープランでした。後ろから押さえて誰か飛んでくると思ったが、駆けたら弱いとバレてるんでしょうね。でも、初日、今日(3日目)と強いメンバーの中で駆けて3着に残れているなら言うことない。バンク特性なのか、逃げた方がずっとアタリがある感じがする。まくりは浮きそう」

<11R>

伊原克彦選手
伊原克彦選手

櫻井正孝選手
櫻井正孝選手
 後ろ攻めから赤板過ぎに切った伊原克彦(写真)を嵯峨昇喜朗がすかさず押さえて先行態勢を取る。前受けから7番手まで下げた小林泰正は打鐘の3コーナーから反撃に出るが、櫻井正孝の強烈なブロックを受けて勢いが止まる。前団の混戦を見極めていた伊原が最終3コーナーから外に回して鮮やかに突き抜けた。
 「後ろからになったので、1回動いてからと思った。小林君が行くのが遅くて(中団から先に)出て行こうか悩みながら、自分の仕掛ける位置は確保していた。力を出し切れているので、感触はいいし、調子もいいと思う。GIIIの決勝は3回目くらいですね」
 逃げた嵯峨の番手で仕事をしてから追い込んだ櫻井正孝(写真)が2着に。
 「(3日目が)誕生日は忘れていた。初手は一番いい並びになった。(嵯峨の)気持ちがこもっていましたね。人気になっていた(小林)泰正を止めることができたし、車間も切れた。(嵯峨を)残したかったけど川崎は直線が長いですね。(今回が久々の実戦だが)レース勘は良くなってきた」
 厳しい流れとなった白戸淳太郎だが、地元の意地で3着に突っ込んだ。
 「小林君が無理やり前に行ってくれて何とか伸びてくれた。合わされた時点で1回脚をためてチャンスがあればと。伊原君が来たので合わせて外を踏んだ。練習不足の不安はぬぐえないですね。この年齢でGIIIの決勝に乗れるなんて信じられない」

<12R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手

簗田一輝選手
簗田一輝選手
 金子哲大が打鐘で長尾拳太を叩いて先頭に立つ。打鐘の3コーナーから内をするすると潜り込んだ市橋司優人は吉澤純平(写真)を退かしにかかる。前団の隊列が短くなり、すかさず後方から内山雅貴が巻き返して最終1コーナーで主導権を奪う。完全に静岡勢にとって良い展開になったかと思われたが、バックで切り替えて自らタテに踏み上げた吉澤が静岡勢をまくり切って1着を手にした。
 「自分がすくわれたし、迷惑かけた。(金子は)上に上がって踏んでいなかったので、怪しい気はしたけど…。(静岡勢に)行かれれちゃったので、自分もあそこでバックを踏むことはできなかった。(簗田一輝が)前を残し気味だったので、自分が1着まで届きました。練習では今シリーズ自力で戦っても大丈夫な感じだったので、そこまで心配はしていなかった。こんなに連日番手を回ることがないので、後ろのことも勉強させて貰っている」
 内山をマークした簗田一輝(写真)が2着。
 「(2人とも)ちゃんと力を出し切れるようにと。(内山が)仕掛ける所も分からなくて、(踏み出しで)若干口が空きました。追いついてからは割と余裕がありました。後ろの状況も見えていた感じがある。初日6着、2日目4着だけど着以上に脚の感触は良いですね」
 内山雅貴は勝負所を逃さずに思い切って仕掛けたことが奏功。GIII初めての決勝進出を決めた。
 「4分戦だったので、初手の位置取りは全部のパターンを考えて走りました。前団で粘っていたので、隊列が縮まった所でいこうと。結構落ち着いていたし、気負わず走ろうって思っていた。ただ先行するだけではなくて、決勝に乗れるようにやることをやろうと。勝ち上がりの3日間で全部の戦法が違うので凄い収穫のあった開催。GIIIの決勝は初めてです。それよりもレースの内容が良かったことの方が良い」