『川崎競輪 アーバンナイトカーニバル(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月9日

 川崎競輪場を舞台にナイターで開催された「アーバンナイトカーニバル(GIII)」は、8月8日に最終日を迎えた。9レースで争われたガールズ決勝は、鈴木美教、奥井迪らとの力勝負を逃げ切りで制した尾方真生が完全Vを達成。12レースのS級決勝は、まくりに転じて門田凌の追撃を凌いで押し切った吉澤純平が、17年6月取手記念以来のGIII優勝で復活を猛アピールした。

決勝戦 レース経過

 正攻法の門田凌に高原仁志が続く。以下は内山雅貴-簗田一輝-白戸淳太郎、櫻井正孝、雨谷一樹-吉澤純平、伊原克彦の順で周回を重ねる。
 後ろ攻めから赤板過ぎに切った雨谷を単騎の伊原がすかさず押さえて先頭に立つ。6番手となった内山は2コーナーからスパート。これに合わせて踏み込んだ雨谷は打鐘の3コーナーで伊原の内をすくって内山の後位に飛び付く。雨谷との連結を外して中団で態勢を整えた吉澤は最終2コーナーから一気にまくる。後方から巻き返した門田が吉澤を追いかける形で直線は両者のマッチレースに。最後まで力強く踏み切った吉澤が門田の追撃を振り切り、4年ぶり3度目のGIII制覇を果たした。懸命に追い込んだ門田は吉澤を交わせず2着。最終2センターで高原を外に弾いて伸びた櫻井が3着に入った。

吉澤純平選手
吉澤純平選手

 単騎の伊原克彦が赤板の3コーナーで先頭に立つ。後方から内山雅貴が打鐘をめがけて巻き返すと、雨谷一樹も合わせて踏み込み、伊原の内をすくって最終ホームで簗田一輝のインで粘る。雨谷との連結を外した吉澤純平(写真)だったが、2コーナーから自ら仕掛けると2センターで内山をまくり切って後続の追撃を振り切ってVをつかんだ。
 「(雨谷が)粘るか微妙だったし、遅れ気味だったので自分も(迎え入れられるように)下がって立て直しても良いかと思っていた。雨谷君と簗田君が結構やり合っていたので、雨谷君も番手を取り切っても出ていくのは厳しいかなと。門田君もサラ脚だし仕掛けてくると思ったので自分も仕掛けていきました。出切って一杯だったけど、押し切れて良かった」
 今回はアキレス腱断裂からの復帰2場所目。満身創痍の中での復活を印象付けるVとなり、今度の抱負を語った。
 「サマーナイトの時は7割くらいのデキだったけど、それに参加したから今回(初日)特選に乗れた。(4日間番手のレースだったけど)僕は徹底先行じゃないし、(本来は)タテに踏むよりも前を守りたい。(出走本数が足りなくて)競輪祭に出られないので、2月の取手で開催される全日本選抜競輪に向けて目標を絞ってやっている。今年は1走毎に集中して毎回決勝に行って優勝争いをできるようにしたい」

 後方から懸命にまくり上げた門田凌だったが、8分の1車輪届かず2着となった。
 「位置を決めずにいって中途半端になりかけた。(バックで吉澤が仕掛けて)女神が現れたと思ったけど、力勝負とは言い難い。運が良かっただけです。次は自分の力で優勝を取れるようにしたい。今回は凄いチャンスで、一番の強敵は吉澤さんかと思っていた。強かったです。今後はGIに出場できる権利を取って、そこでも同じような走りをできるように質を磨いていくのが目標です」

 櫻井正孝は最終ホームで吉澤の後ろに入ると、バックで踏み上げて2センターで高原仁志を弾き3着に食い込んだ。
 「内山(雅貴)が頑張るかなって思っていた。最終的には吉澤さんと門田君が抜けたので、3着は確保しないとって。今シリーズは後輩達が頑張ってくれました」


ガールズケイリン決勝戦 レース経過

 那須萌美がスタートを取り、以下は奥井迪、藤田まりあ、山口真未、尾方真生、鈴木美教、中嶋里美の順で周回。
 鈴木が青板の3コーナーから上昇して奥井と併走。奥井は車を下げて鈴木が2番手の位置に収まる。打鐘の2センターで那須の内をすくって先頭に立った鈴木に後続の選手が一斉に襲いかかる。尾方が最終ホーム過ぎに出切って主導権を奪取。奥井がこれを追いかける形に。飛び付いた中嶋は徐々に遅れてしまう。奥井が2番手から追い込もうとするが、これを合わせ切った尾方が力強く押し切った。奥井に続く形から外を伸びた鈴木が2着に入った。

尾方真生選手
尾方真生選手

 尾方真生(写真)が圧巻のパワーで完全優勝を飾った。初の4日制シリーズ参戦。すべてバックを取る文句なしの内容で強さを示した。
 「鈴木美教さんが隣枠だったので、後ろに付かれるとは思っていた。あとは自力の選手がどう動くかを見ながら仕掛けて行った。前(のペース)が上がる前に仕掛けられた。バンクがすごい軽かったし、自分の中では全開で踏んで踏み直せる力も残して1周いけた。(内村)舞織さんと(大久保)花梨さんの(川崎GIIIのガールズ戦を勝っているという)話を聞いて自分も勝ちたいと力が入った。賞金で4、5位以内に入ってグランプリに出たい。それが無理だったら競輪祭(ガールズグランプリトライアル)で優勝できるように頑張りたい」
 これで今年の優勝は9回目。年末のガールズグランプリ出場も視界に入った。勝負の終盤戦へ、ラストスパートをかける。

 尾形と同じく3連勝で勝ち上がった鈴木美教だが、決勝は2着に敗れた。
 「動こうかどうしようかと思ってたけど、自分からレースを作った時の方がいい時の方が多いので自分から作っていった。スローなところからのダッシュが苦手なので車間を切って、スピードを上げて飛び付こうと思った。中嶋さんを出さなければ、優勝もあったと思う。それは経験として次に生かしたい。初日、2日目、3日目と1着でも、最終日に負けたらやっぱり悔しい。次は優勝できるように頑張りたい」

 好展開を生かせず3着の奥井迪は素直に完敗を認める。
 「(尾方)真生ちゃんよりも先に仕掛けたかったのに、どんどん上がって来られてどうしようかと迷ってしまった。自分で合わせて動ければよかったのに。内に中嶋さんがいたし、(脚を)回せるって感じではなかった。踏み直されて差せる感じもなかった。組み立ても脚も尾方さんに完敗。せっかく尾方さんと走れる機会だったのに不甲斐ない。選手として憧れてるのは(児玉)碧衣ちゃん、バックを取る競走をしている尾方さんもそう。(同期の小林)優香もオリンピックに向けてやってきたことは無駄にはならないし、自分ももう一回頑張ろうと思えた。競輪祭(ガールズグランプリトライアル)に向けて頑張りたい」


次回のグレードレースは、「第64回オールスター競輪」がいわき平競輪場において8月10日~15日の日程で行われます。
今開催から6日間のナイター開催となり、今年初めてS級S班の9名が顔を揃えます。また、2日目最終レースにてガールズアルテミス賞、3日にはガールズドリームレースが行われます。記念すべき開催に是非ご注目ください。8月2日時点の出場予定選手データを分析した、「第64回オールスター競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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