『川崎競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月14日

 今年も伝統の桜花賞の季節がやってきた。川崎競輪場で開設73周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」が、4月14日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、郡司浩平が積極策の深谷知広を目標に勝機をモノにして、地元記念で幸先のいいスタートを切った。また、一次予選では、福田知也、白戸淳太郎、内藤秀久、松谷秀幸が勝ち星を挙げて、地元シリーズを盛り上げた。4月15日の2日目は、初日特選を快勝した郡司らS級S班も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 なお、開催中はレジェンド予想会などのイベントを予定しています。川崎競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 小川祐司、金子幸央の順番で切って、タイミングを取った伊東翔貴が打鐘で8番手から仕掛ける。最終ホームで北日本コンビが主導権を奪取。金子が3番手を確保して、川口聖二が7番手に置かれ一本棒の隊列でレースが流れる。バックを通過して、2センターから踏み込んだ金子がゴール前で抜け出した。
 「初手の想定は並び通りだったんですけど、もうちょっと強気に攻めれば良かった。しっかり練習はしてきているし、(伊東を突っ張る)それぐらいの気迫でいきたかった。(最終)2コーナーで誰も来なかったので、もうああなったら落ち着いていこうと思いました。もうちょっと突き抜けられれば良かったけど。フレームを戻したので状態はいいです。あとは気持ちの面ですね」
 カマした伊東がスピードに乗せて風を切り、別線は動けない。番手で展開が巡ってきた竹内智彦は、金子との踏み合いに2着。
 「(伊東)翔貴に任せて、先行してくれるし信頼して仕事をするだけだと思っていました。バンクが重くて掛かり切らなかったんだと思う。金子君にいかれるのはしょうがないかと。自分は重いなかでも余裕はあった。いつも上がり調子なので、このまま上がってくれれば」


<2R>

 赤板2コーナーで押さえて出た緒方将樹が主導権。窓場千加頼が3番手で、前受けから下げた渡邉一成は柿沼信也と併走も結局下げて7番手。打鐘の4コーナーから巻き返した渡邉は、最終ホームでいったん5番手で止まり、再度1センターから発進。逃げる緒方を力の違いでとらえて、そのまま押し切った。
 「緒方君がもっと掛かると思った。それで番手が仕事しやすいタイミングになると思ったから休んだけど、そこでバックを踏んでしまった。佐々木(省司)さんはキツかったと思う。結果、消極的なレースになったし反省です。体の状態が良いから、変なレースをしてもまくれている。間隔が空いて不安になっていたが、体の状態が良かったのは収穫」
 最終ホームでは一度、小休止した渡邉に突っかかりながらも、渡邉の踏み出し対応した内藤宣彦が2着に入った。
 「後ろまで下げちゃったけど、このメンバーなら(渡邉)一成なら巻き返せるだろうと。踏んでやめての繰り返しだったのでキツかったけど、人気に応えられて良かった。付け切ってからは余裕があった」


<3R>

山岸佳太選手
山岸佳太選手
 中団確保の思惑だった佐々木眞也は、押さえて出て中四国ラインを受ける。打鐘でペースが落ちるが、7番手の山岸佳太(写真)はそこ待ってから2センターで仕掛ける。合わせる久米康平を最終2コーナーで山岸がとらえて、山形一気のけん制を乗り越えた天田裕輝が続く。まくりで前団に迫る佐々木、天田を山岸がロングまくりで退けた。
 「本来だったらあそこ(打鐘)で行きたいところだったけど、バンクコンディションを考えて次のチャンスをと。それで(あのタイミングは)見送っちゃいました。(仕掛けてからは)ホームが追い風だったんで、バックだけ我慢すれば天田さんとゴール勝負かなと思いました。(佐藤)真一さんにも付いてもらってたんで、理想はジャンのところでしたね。脚の感じはこの前よりもいいかなと」
 佐々木眞也は、関東勢の通過を待って最終2コーナーからまくりを打つ。追走いっぱいの天田をゴール前で交わして2着。
 「(周回中は)後ろ攻めを考えていて、あとは自分の行けるところからと。(4番手を確保して山岸よりも)先に行こうと思ったけど、スピード差があった。そのあとを乗り越えられて良かった。(地元記念で)緊張した。ラインでは決まらなかったけど、着に入れたんで良かった。脚の感じは悪くないです」


<4R>

福田知也選手
福田知也選手
 青野将大が赤板の2コーナーで先頭に立つと、打鐘の3コーナーから阿部架惟都も仕掛ける。福田知也(写真)が阿部を外に振って、突っ張った青野がそのまま主導権をキープする。踏み合いもあって、逃げる青野は直線でいっぱい。薦田将伍のまくりをけん制した福田が追い込んで1着。
 「風が強くて、青野の地脚をもってしても残すことができなかった。土屋(裕二)さんも3番手の仕事をしてくれて、後ろを気にせず仕事ができた。(山下一輝に)差されたと思ったけど、ハンドル投げがうまくいった。(2月が中止だったので)川崎が久々で緊張したんですけど、1着が取れて気持ちが楽になった」
 薦田が最終2コーナーからまくって、スピード良く前団に襲い掛かる。マークした山下一輝は、直線で薦田の外を踏んで2着に伸びた。
 「薦田君がしっかり行くべきところで仕掛けてくれた。強かったですね。余裕はあったんですけど、まくり切ってしまうか微妙で、内か外か(コースを)迷った。その分、伸びきれなかったかな。伸びていないことはないけど、最近1着を取れていない。その辺が欲しいですね」


<5R>

白戸淳太郎選手
白戸淳太郎選手
 打鐘手前で押さえた畝木努の上を大石剣士が出る。大石ライン3車が出切り、4番手に畝木が飛び付く。6番手の高久保雄介は追い上げるように踏み込むが、最終ホームでは外に浮いて万事休す。車間が空いた4番手の畝木はなかなか詰まらず、逃げる大石と番手の白戸淳太郎(写真)の直線勝負。地元の白戸がわずかに差し切った。
 「めちゃくちゃうれしい。大石君にスタートから、なにから任せていた。最後まで踏み切れているし、大石君が強かった。相川(永伍)君も3番手にいてくれたから安心していましたね。いつもここで練習しているから、1着を取れてうれしい」
 主導権を握った大石剣士が別線を完封。ラインでの上位独占で、2着に逃げ粘った。
 「ジャンのところは出させてもらえると思って踏んだ感じです。バックの風が強いから、そこまでにスピードを乗せようと。バックの風の影響で最後は少しタレちゃった。ただ、2着に残れたし悪くない。(ラインで)ワンツースリーが理想の形なので、良かったです。(前々回の)名古屋からフレームを戻して、セッティングは試しているところ。感触はいいですね」


<6R>

 小川真太郎が落ち着いて切って出たところを、鈴木陸来が押さえて打鐘主導権。ペースを握った鈴木が、最終ホームから徐々に上げる。小川は鈴木のスピードが上がり切る前の2コーナー手前からまくる。あっさりと仕留めた小川が別線をちぎって、山中貴雄とのゴール勝負を制した。
 「佐川(翔吾)さんが先に切ってくれたんで、一番いい位置になった。そこはうれしかった。(鈴木は最終)ホームで思い切っていくかと思ったんですけど、そうじゃなかったんで、付いていって(まくって)バックでとどめをと。脚はキツかった。(前回の)平塚よりも重いけど、脚の掛かりがあるんで最後まで踏めた。1着を取れたんで、いいクスリになりました」
 逃げた鈴木が四国コンビにのみ込まれると、佐々木龍は後続との間合いを取って踏んだ。
 「(弟の眞也のレースを)アップ中に見てたんですけど、結果(2着)見て一気にプレッシャーになりました。(別線が)みんな切ってくれたんで、(鈴木)陸来君に展開が向いたんだと思う。(最終)1センターくらいで(別線が来る)気配がしたんで、なんとかしてあげたかった。でも、力不足でした。スタートをしてから体も軽かったし、自分はいい状態で迎えられたかなと」


<7R>

 地元コンビを連れた小林稜武が飛び出して先行策。小森貴大が中団に下げて、松本秀之介は7番手で打鐘を通過する。最終1コーナーで小森が踏み上げる。堀内俊介は止めきれず、小森がまくり切る。松本がまくり追い込んで、その外を小川勇介が強襲する。小森ラインと九州勢の5人が並んでのゴール勝負。大外の小川が突き抜けて1着。
 「隊列が短くなったので、その分踏み切れたと思います。脚のアタリ的には良かったです。(松本とは)初連係だったけど、まくりが強いのは見ていた。だから、あの位置でもあきらめずにいました。(久々の競走でも)違和感なく走れました」
 4番手から早めに仕掛けた小森貴大が、まくりでの2着を振り返る。
 「自分で動いて競走をつくりたかった。理想の並びでした。自分は詰まったところでしっかり仕掛けて、出し切る競走をするだけでした。(堀内の)ブロックは想定内でした。後半の脚が残っていなかったので、その辺を修正したい」


<8R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 打鐘過ぎに踏み込んだ近藤夏樹ラインを野原雅也(写真)が追いかける。近藤が出切ると間髪を入れずに、野原はその上を叩いて出る。野原のダッシュに椎木尾拓哉が離れ気味に続いて、原田隆は付け切れない。3番手に入った近藤もいっぱいで別線に出番はない。野原が力の違いで逃げ切った。
 「行けるところから行こうと思っていた。踏み出しは(千葉勢に)付いていって流れで叩いたけど、うまく反応できた。(最終)バックから重く感じた。ゴール前もバタバタした。レースを走ってみないとわからなかったので不安もあった。悪くはないのかなって感じです」
 3番手以下も大きくちぎれて、椎木尾拓哉は野原に2車身差の流れ込み。
 「タイミングが合わなかったのもあるけど、野原君が強かった。焦りというかそういうのがレースに出ている。ちぎれているので、なんとも言えないが、一戦、一戦頑張りたい」


<9R>

 別線のイン切り合戦もお構いなしに、野口裕史が赤板手前から踏み上げる。野口は後続を一本棒にして、無謀とも思えるペースで風を切る。別線も仕掛けるが、野口の掛かりが良く前が遠い。番手で願ってもない流れの内藤秀久が、チャンスをモノにした。
 「(野口の)気持ちがすごく伝わったし、アイツのスタイルがすごく伝わった。地元だからか緊張感がありました。ちょっとフワフワしてたんで、明日(2日目)以降はもっと気合を入れないといけない感じですね。明日からはもっと良くなるんじゃないかと。(1着で)正直、ホッとしているところもあるけど、目指すところは決勝ですから」
 ラインでの上位独占をメイクした野口裕史は、タフなバンクコンディションでさすがの走りを見せた。
 「(周回中は)最悪、前でもっていうのはありました。どこからでも2周目がけて踏もうと。ただ、内藤さんに川崎は外が伸びるし、直線が長いから考えて走れって言われたけど、3車だったし(最終)2センターまでもてばどうにかなるかなと。昨日(前検日)は(指定)練習で軽かったんですけど、今日は重くてそのギャップがあった。あとは切りに行く時ドリフトをして、そこが一番脚にきました」


<10R>

岩谷拓磨選手
岩谷拓磨選手
 打鐘過ぎに押さえて出た岩谷拓磨(写真)は、仕掛けた寺沼拓摩のスピードを確かめて関東勢を受ける。3番手の中川貴徳は付け切れず、最終ホーム過ぎに岩谷は3番手に入る。2コーナー過ぎからのまくりで岩谷が勝ち切った。
 「(寺沼の巻き返しが)もう少し遅ければ突っ張ることも考えていた。あのタイミングなら落ち着いて、すかさずまくろうと思いました。立川(記念)の準決で小岩(大介)さんと一緒の時に、同じような展開でヘマをしてしまったので反省して組み立てられました」
 小岩大介が岩谷のまくりに続いて、半車輪まで追い詰めた。
 「(岩谷は)2車出させてから、すかさず行ってくれたし強いですね。休まずに行ってくれたので。キツかったですね」


<11R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 南潤が先行態勢を取ると、根田空史は7番手で反撃のタイミングをうかがう。打鐘から踏み込んだ根田が、スピード良く南を叩いて駆ける。南関3車で出切り、根田の加速力に南は置いていかれる。別線は大きく離れて、番手の松谷秀幸(写真)が楽に追い込んだ。
 「出切ったところでラインで決まったなと思った。ワンツースリーで良かった。根田君は前回に比べると格段に強くなっている。自分も本調子ではないが戦える状態。感じも悪くないですね」
 落車の怪我からの復帰2場所目の根田空史の復調の度合いをどうか。
 「車番が悪かったから後ろからになると思っていた。バックの風が強烈だったから、南君に付いていって叩くと距離が長くなるから落ち着いていこうと。前回に比べると良くなってきている。動けている感じもある。バックがすごく重くて脚が削られた。万全じゃないから、末が甘くなるのは仕方がないですね」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 後ろ攻めから押さえて出た深谷知広に単騎の成田和也まで続いて、松浦悠士は5番手。7番手の吉田拓矢が赤板2コーナーから反撃に出るが、深谷もグングンと加速する。最終ホーム過ぎに郡司浩平(写真)が、吉田をけん制して阻む。今度は狭いコースをまくった松浦悠士が迫ってくると、郡司はギリギリまで引き付けてきっちりと勝ち切った。
 「(深谷は)早めに踏み込んでくれて、先手を取ってくれた。自分もできるかぎりのことをやってから、前に踏み込もうと。吉田が来たんで(そこを止めて)、あとは松浦がどこから来るかだった。(松浦を)うまくけん制すれば(ラインの)3人で決まったかなと。そこは松浦にうまくやられた。まずは初日をクリアしてホッとしてます」
 最終2コーナーで外の吉澤純平にぶつかった松浦悠士は、鈍ったスピードをもう一度立ち上げてまくりで2着に入った。
 「(深谷と)踏み合いになってたんで、吉田君も出るのは厳しいかなと。宿口(陽一)さんが離れてたんで、そこをさばくのかを迷いながらになってしまった。仕掛けるポイントも吉澤さんと接触して、スピードが落ちてしまった。失敗が2、3ありました。コンディション的にはいいけど、上半身との連動が良くない。吉澤さんとの接触でフォームが崩れてしまって、自分の気持ちがいいモガき方ではなかった」
 南関勢の3番手の守澤太志は、ようやくらしい動きが見られるようになって3着。復調の気配が感じられた。
 「(深谷は)この風が強いなかで、あんなに早くから踏んでいってくれてすごかった。自分はなんか久しぶりに自転車が流れたかなっていうのが、ちょっとありました。(体が)少しずつ良くなってきているんだろうなって感じがありました。最近ではマシな方ですね」