『川崎競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月16日

 川崎競輪場で開催されている開設73周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」は、4月16日に3日目を迎えた。熾烈なバトルが繰り広げられた準決では、地元の郡司浩平をはじめ、松浦悠士、吉田拓矢、守澤太志のS級S班4人が決勝に進出した。いよいよシリーズも最終日、4月17日には激戦を勝ち抜いた9人による豪華メンバーの決勝が行われる。
 なお、開催中はレジェンド予想会などのイベントを予定しています。川崎競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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守澤太志選手
守澤太志選手

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 4番手で前との車間を空けた岩谷拓磨は、後方の深谷知広の上昇に合わせてフルダッシュ。赤板2コーナーで先頭に立った岩谷が突っ張り切るが、市橋司優人が遅れて番手には深谷が続く。が、結果的には岩谷と深谷の消耗戦になり、吉田拓矢に流れが向く。最終1センターから踏み上げた吉田が、番手から合わせて出た深谷をとらえる。きっちりと続いた守澤太志(写真)が、吉田を差し切りS級S班のワンツー。
 「(落車の怪我から)復帰してから2勝目だけど、勝ち上がりでの勝利は初めてなのでうれしいですね。今日(準決)は吉田君の後ろで余裕もあったし、戻ってきているなと感じている。ひとつずつやってきたのが、かみ合ってきました」
 後方にはなった吉田拓矢(写真)だったが、岩谷と深谷の踏み合いをまくって抜かりなく決勝に進んだ。
 「岩谷君がどう動くかでした。後ろで車間を空けていて、スピード差があり飛び付きをしのぐのでキツかった。自転車も出ているし、守澤さんに抜かれたのは仕方ない。竹内(智彦)さんまで連れ込みたかったけど、ワンツーなので及第点です」
 市橋は内藤秀久との接触で車体故障で後退。福岡ライン3番手の小川勇介は、最終2コーナーからまくり気味に前を追いかけて、最後は内藤との優出争いに踏み勝った。
 「市橋君が離れたのが誤算でしたね。そのあとはうまくリカバリーできた。岩谷君が前々へ踏んでくれたから、あの位置があるので感謝しかない。流れがきているのが大きい。負けパターンでチャンスないところから車券に絡めることを想定して走れてリカバリーできた」

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松浦悠士選手
松浦悠士選手

恩田淳平選手
恩田淳平選手
 赤板2コーナー手前で根田空史が主導権を握り、遅れ気味に山本紳貴が続く。3番手に飛び付いた瓜生崇智は、打鐘の2センターで空いたインを進出して逃げる根田の番手を奪う。最終ホームを野原雅也が5番手、松浦悠士(写真)は7番手で通過する。野原はギリギリまでためて、バック手前からまくり上げる。4コーナーで野原が先頭に立つが、その上をまくり気味に追い込んだ松浦が強襲する。スピードの違いは明らかで、松浦が楽に抜け出した。
 「野原君がずっと(自分を)見ている展開だったので行けなかった。(根田が)あんなに踏むとは思わず、後手を踏んじゃいましたね。本来なら(打鍾過ぎ)4コーナーから(最終)ホームで行かないといけないので納得はしていない。セッティングをいじって、昨日(2日目)よりもマッチしている。体は2日間ともよかったので、今日で自転車とバチっと合ったなって感じです」
 松浦マークの小倉竜二は、最終2センターから内よりを選択するがなかなかコースが空かない。単騎で中四国勢に続いた恩田淳平(写真)は、外を踏んで松浦に吸い込まれるように2着に入った。
 「理想は野原君ラインの3番手が欲しかったけど、小倉さんがスタートを出て入れなかった。隊列が1周した時にスイッチしようと思ったけど、1周しなかったので一番後ろで腹をくくりました。(最終)3コーナーで内を見たけど、コースがなかった。小倉さんの動きを見ながら、小倉さんが踏むのと逆の方向に踏もうと。人の後ろで脚を回すことに自分は特化していると思うし、4コーナーまで回して我慢できた」
 野原のまくりに続いた東口善朋は、小倉の中割りを許さず3着。
 「最終バックで(野原)雅也が仕掛けてくれて、伸びていって2センターで出る感じだった。いかれても松浦君だけだと思ったら、まさか恩田君も続いていた。小倉さんにも中を割られるかと思わず焦った。初日が久しぶりのレースで感覚が悪かったけど、2日目、3日目とレース勘は戻ってきた」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 打鐘手前で薦田将伍を押さえて出た吉澤純平が主導権。6番手の郡司浩平(写真)は一度詰まった3コーナーでは仕掛けずに、最終ホーム過ぎから踏み上げる。抜群の加速でスピードに乗せた郡司は、バックで逃げる吉澤をとらえる。3連覇のかかるホームの記念で、人気に応えて決勝に進んだ。
 「(周回中は)前からでもセオリー通り進むのかなと。あとはどこから仕掛けるか、そのタイミングだけだと。昨日(2日目)のタイミングくらいで行こうか悩んだけど、あおりとかを見てワンテンポ遅くなった。けど、早めには行けたし、踏み込んでから自転車が流れてくれた。昨日より(踏んだ距離が)短かった分、最後まで踏み切れた」
 「(郡司)浩平が強すぎますね」と、2着に流れ込んだ松谷秀幸(写真)は、脱帽の様子でこう続ける。
 「山下(一輝)君ががすごい振りをしていたけど、浩平は乗り越えるだろうし、そこで遅れちゃうから追走が難しい。自分か福田(知也)君が成田(和也)さんにからまれちゃうから、乗り越えないとって。そこだけの勝負と思っていた。(今シリーズは)最低限、決勝は乗らなきゃと。(決勝も)浩平に迷惑を掛けないように、ゴール勝負ができたらいいですね」
 最終3コーナー過ぎに成田が福田を張って、両者が大きくもつれる。地元勢に乗った単騎の小森貴大は、外を追い込んで3着。GIIIで初めての決勝進出を果たした。
 「展開を見て、あわよくば自力を出そうって準備はしていいた。でも、みなさんのピッチがすごかった。それでゴール勝負になったけど、しっかりと伸びて良かった。成田さんと福田さんがからんだところで、外に踏もうって判断ができたんで良かった」