『川崎競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:4月5日

 川崎競輪場で開催されている大阪・関西万博協賛 開設75周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」は、4月5日に開催2日目を迎えた。冬に逆戻りしたような冷たい空気に覆われた1日だったが、二次予選は古性優作ら大半のS班勢をはじめ実力者が順当に勝ち上がっていった。地元からは佐々木眞也、北井佑季、郡司浩平がそれぞれ1着をゲット。6日はいよいよ決勝への最終関門となる勝負の準決が実施される。特別決勝レベルの選手たちによる戦いはさらに激しさを増す。
 記念開催中は毎日、先着開門プレゼント、伊藤勝也さん、江藤みきさんによる予想会、未確定車券ガラポン抽選会、バンク内観戦ツアーなどが予定されています。そして、週末の4月6日には、山本高広ものまねライブ、125期・126期の地元新人選手紹介(塩島嵩一朗選手、大浦彩瑛選手)、移動動物園、子供縁日、神奈川県選手会ブースとイベントは盛りだくさん。川崎競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 周回中に8番手となった取鳥雄吾が、6番手の寺崎浩平にフタをして赤板を通過する。取鳥が外併走から1センターで踏み上げると、3番手から合わせて動いた簗田一輝が先に真船圭一郎を切る。簗田を叩いた取鳥が、打鐘過ぎにペースを落とし、寺崎浩平はすかさずカマして主導権を奪う。寺崎マークの浅井康太(写真)は、若干車間を切って前後の間合いを図る。最終4コーナーを過ぎて前に踏み込んだ浅井が、寺崎をしっかりと交わした。
 「スタートけん制が入れば前からだけど、(取鳥)雄吾は僕たちの後ろからって作戦だったんでしょうね。僕らの後ろから攻めてくれて、楽になりました。寺崎は前に出たらそのまま先行だし、雄吾が並んできても、切ったタイミングで行けば僕らに展開が向く。(追走していて)余裕はなかったですよ。車間を切ろうと思ったけど、寺崎の踏み直しが強烈なのは分かっているし、前と車間を切ったというよりも、雄吾のタイミングをずらすために車間を切った感じ。寺崎は踏み直しがすごいから、抜くのは大変だけど結果的にワンツーが決まりやすい。競走中のペダリングや、考え方とかは落ち着いているし、焦りみたいなものがないので、良いと思う」
 2着に粘った寺崎浩平だが、ゴール後に落車してしまう。3着は5番手から4コーナーで内を踏んだ簗田一輝
 「外枠だったし、初手は決めずに。後ろは取りたくないし、前の方から組み立てたかった。最低でも3番手は取りたかったけど、思ったよりも動きがなくて、取鳥君にすんなり3番手を取られてしまった。自分が踏んだコースは近藤(保)さんのコースだし、外を踏まないと。伸びは良いけど、もう少し動かないと駄目です」


<7R>

佐々木眞也選手
佐々木眞也選手
 大西貴晃が赤板過ぎに切って、小原丈一郎が押さえる。小原の動きに一瞬反応した山口拳矢だったが、切りにはいかずに5番手で構える。7番手の岩本俊介は、山口が切らなかったのを確認すると、打鐘で一気に踏み上げて巻き返す。岩本は車間の空いた2番手の位置に最終ホームで一瞬入るが、勢いはころさずにそのまま小原を叩き切る。マークの佐々木眞也(写真)は、小原に激しく絡まれるが、踏み勝って番手を死守。逃げ粘る岩本を佐々木がゴール前でわずかに交わして、地元記念で1勝目を手にした。
 「初手は一番いいかたちになった。岩本さんが強いのは分かっていたので、信頼して付いていくことだけを考えていた。岩本さん以外にも何度か番手を回った経験はあったので、冷静に対応できた。最後は無我夢中で何とか差せて良かった
 岩本俊介は、圧巻のカマシ先行で別線を粉砕。連勝は止まっても、評価は変わらない。
 「受けて立つ立場になるとは思っていたし、小原君と力勝負になるのは想定していた。(小原と飯野祐太の車間が空いていたが)あそこで止まると後ろが絡まれてしまうので、そのまま仕掛けた。バンクが重くて回転が止まった。冬のバンクに戻っていた感じだったけど、自分は重いのも苦手じゃないし助かった。連日、地元を引っ張って欲しいという番組構成で、それに貢献できているのはうれしい」


<8R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 誘導と車間を切った新山響平は、仲野結音の上昇を赤板で突っ張ってペースを上げる。突っ張られた仲野は、渡辺十夢に迎え入れられて4番手の位置に入り、嘉永泰斗(写真)は8番手で構えて打鐘。6番手から川口雄太が4番手に追い上げると、最終ホームから強烈な出脚で嘉永がまくり上げる。怒涛の勢いで前団に迫った嘉永は、新山を3コーナー過ぎにとらえて独走状態。2着の新山に2車身差を付けて快勝した。
 「新山さんが前なら、その後ろからと思ってたんですけど、スタートで山形(一気)さんに入られてしまって6番手からになりました。ゴチャついて、ジャン過ぎに川口さんが追い上げに行ったんで、それを目掛けて行きました。昨日(初日)より全然良いですね。ここ最近で一番だと思います。特にセッティングをいじったわけじゃないけど、今日は軽かったです。踏み出しが良かったんで、踏んだ瞬間に行けると思いました」
 持ち味の突っ張り先行に出た新山響平だが、嘉永のまくりに屈して2着。淡々と反省点を述べた。
 「突っ張った後に踏み過ぎました。もうちょい脚をためて、来たところでダンシングで対応すれば良かった。嘉永が来るとしたら、残り1周か、1周半のところだと思ったんですけど、その前に川口君が見えて踏んだ。嘉永が強かったですね。100%仕上がっているわけではないけど、体は動いている。反省を踏まえて、明日(3日目)は持つように駆けたい。少しサドルの高さと角度をいじって、良い感じだった」


<9R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 周回中に内藤秀久が誘導後位に追い上げて、地元勢が前受け。後ろ攻めとなった大川剛が、赤板でカマシ気味に踏んで襲い掛かるが、北井佑季(写真)も負けじと踏んで突っ張り先行に出る。北井の外で踏み続けた大川だが、出切るまでには至らず。佐藤慎太郎は最終ホームで3番手に降りる。大川は後退して、金ヶ江勇気が6番手からバックで仕掛けるが進みは今一つ。完全にレースを支配した北井はゴール線まで失速することなく、逃げ切りを決めた。
 「内藤さんが1番車だったので、取れた位置からと思っていた。内藤さんが脚を使って前を取りにいってくれたし、その気持ちに応えるためにも(別線を)出させないつもりだった。大川君は同型だけど、地元だし引けない気持ちで走った。赤板でペースが上がっていたので、ペースを落とさずに走って大川君が下がっていくのが見えたので、あとは金ヶ江君のまくりを合わせるだけだった。感覚的にはタイムは出ていなさそうだけど、最後までしっかり踏み切れた」
 内藤秀久が北井に食い下がって地元ワンツー。
 「初手は中団でも良かったけど、基本は前の方がいいと思って取りにいった。北井君はいつも先行してくれるし、あとは自分のやることをやって、抜けるかどうかの勝負だった。あれだけの距離を行ってあの脚があるのはさすが。(北井は)人間じゃなくなっている。気合じゃどうにもならないけど、練習だけはしっかりやってきたという自負がある。自分は中割り系が得意なので、そういうレースになれば(北井を抜く)ワンチャンスはあるかもしれない。(準決は)3着までには絶対に入れるように」


<10R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 前受けの眞杉匠は、八谷誠賢の上昇を突っ張り気味に踏み込むが、タイミングが合わずに八谷に出られてしまう。出られた眞杉は、池田浩士をさばいて2番手の位置で構える。八谷が打鍾過ぎに中バンクに上がると、空いた内を松本貴治(写真)が進出。松本は河野通孝をさばいて眞杉の後位を奪い取る。眞杉は最終ホーム過ぎに八谷を叩いて主導権を奪うが、最後は松本が番手から差し切った。
 「できれば前中団からが良かったけど、大森(慶一)さんと、志村(太賀)さんのスタートが速くて後ろ中団になった。眞杉が突っ張るかと思ったけど、あそこは落ち着いていこうと思った。もうジャンは過ぎていたし、少しでも前にいようと思って内を踏みました。展開が良いようになってるだけだけど、集中して走れてはいます。しっかり練習しているので、それは出せています」
 2着で準決進出の眞杉匠だが、組み立てにはらしさが見られなかった。
 「前を取って突っ張りたかったけど、中途半端でした。(池田を)どかしたところで行くべきだった。行こうとしたら(八谷が)踏んだんで、中途半端になって駄目でした。自分のタイミングを間違えてしゃくられてしまった。脚は大丈夫ですけど、組み立てが甘いし、セッティングもいじりたい。前回の落車で自転車が壊れて、修正に出して同じ自転車を使っているけど、ハンドルを変えたのがしっくりこない」


<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 3番手から動いた古性優作(写真)の上を、青柳靖起が押さえて前に出る。青野将大は打鐘で青柳を叩いて先行態勢。6番手の位置で最終ホームを通過した古性は、1センターから発進。スムーズに加速していった古性は、3コーナー過ぎに先頭に躍り出る。4コーナーを過ぎてもさらに伸びていって危なげなく二次予選を突破した。
 「初手はスタートをパッと出てって、取れた位置からといった感じ。しっかり1回切って、レースを動かして組み立てようと思っていた。初日は寺崎(浩平)君が強くて、それで筋肉に刺激が入った。脚に余裕はあって、まくってからは山田(久徳)さんから押し切ろうと思って踏み直した。ペダリングや、体重の乗り方とかはもう一つだけど、練習で意識していることは多少なりとも出せたと思う。日本選手権に向けて仕上げていきたい。(準決は)冷静に熱くレースに挑みたい」
 古性マークの山田久徳が2着。
 「古性君に任せていた。どこからでも古性君がまくれる感じだったので、追走だけと思っていた。踏み出しは付いていける感じだったけど、3コーナーから(古性が)伸びていって抜けないなと思った。(2走して)悪くないけど、もう一つ何か欲しいので自転車の部品を変えてみる」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 前受けの郡司浩平(写真)は、赤板で伊藤旭の上昇を踏んでから出させて車を下げる。伊藤が出切ると、黒沢征治が2コーナー過ぎに押さえて先頭へ。出切った黒沢が流した隙を逃さずに、郡司は打鐘3コーナーから巻き返す。最終ホームで黒沢を叩き切った郡司の先行。どんどん掛かっていく郡司の前に、別線は反撃できない。番手の小原太樹が4コーナーから追い込むが、力強い踏み直しで郡司が逃げ切った。
 「警戒される立場ですし、隙を見せてはいけないので、行けるところでしっかり行こうと意識してました。黒沢君が切るところで詰まって、一瞬タイミングは遅れたんですけど、流したのが見えたので駆ける前に行けましたね。出切れると分かってからはペースでしたけど、2コーナーでまくられないように踏み直せたし、バンクの重さで余裕はなかったけど押し切れた。ゴールまで持ったのでまずまずかな。番手回りが多くなると、自力のタイミングが鈍ってくる。その中で行くところで行く判断ができたのは大きい」
 小原太樹が続いて地元ワンツーが決まった。
 「(郡司は)前を取って、別線の押さえ方を見て、自由に組み立ててくれるだろうと。行くならここかなってところで行ってくれたし、そこを見送ればまくりになると思って付いてました。迷惑をかけずに付けて良かった。抜ければ良いんでしょうけど、やっぱり自分の調子がそこまでではない。体がまだまだって感じ。感覚と動きのズレがありますね」