小嶋敬二の反撃に合わせて五十嵐力が番手まくり。南関作戦が結実するかに見えた瞬間だった。明らかに他とは違うスピードで山崎が大外を駆け抜けた。「小嶋さんを目掛けて行った。南関の二人を抜いた感じもありました」。全ては大ギアの効果。決勝戦で上げた4.00のギアがピタリ的中。「結果が全て。勝たないと叩かれちゃうから」と、照れ笑いを浮かべる。 小嶋そして南関勢が人気を集めたレースだった。山崎-有坂直樹でもオッズは10倍を超え、「あんなオッズは久々だし、気楽だった」とプレッシャーは全くなかった。 「僕から買ってる人は良いなと思いました。一発ありますからね。フタされたときは危なかったけど、小嶋さんはすぐに行った。あとでVTRを見ないと分からないけど、2コーナーでは踏んでたと思います。山を上る感じだったけど、すぐにスピードに乗りました」 これで気持ち良く次のビッグレースに臨める。 「また次は人気になるだろうし、一から精神面を鍛えてふるさと観音寺で頑張ります」
海老根恵太の頑張りでレースは地元・五十嵐に絶好の展開だった…。しかし、ゴール寸前で、優勝はその手からスルリとこぼれ落ちた。 「海老根さんが気持ち良く行ってくれた。今日はそれに尽きますね。ゴールした時は自分が何着かも分からなかったけど、やっぱり山崎が強かったですね。こんなもんですよ。次は海老根さんとは逆の並びで頑張りますよ」
3着の渡辺晴智も残念そうにレースを振り返る。 「僕の成績は前二人の頑張りのおかげ。小嶋さんが来たのは分かったし、合わせて五十嵐も出て行ってワンツーかと思ったんだけど。何かがズコーンときましたね。僕は落車明けで頑張れました」
「後ろからレースを見たかった」と話す小嶋だが、スタートけん制を嫌って前受け。山崎との外併走からまくり上げたが番手まくりに遭い不発に終わった。 「最終ホームで山崎の外について回るか、中団に降りるかだったけど、詰まって降りれずそのまま行った。けっこう一杯でしたね。でも誰かが行かないとしょうがないから」
五十嵐の優勝に貢献したかった海老根は、自らの力不足を悔やむ。 「(打鐘前に)小嶋さんが引いて来るとは思わなかったし、叩くので脚を使いましたね。結果、五十嵐がモガく距離を長くしてしまった。僕が3コーナーまで連れて行けてれば…」
有坂は山崎のまくりに続けずガックリ肩を落とした。 「山崎を捕える以前の問題。すごかったなあ、あのまくり。あれはムリですよ。これからも(佐藤)友和のダッシュと山崎のまくりはキツイな。最後は近道するような感じで行ったけど、4、5着までですよね」