『花月園メモリアルin川崎2010(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月30日


 川崎競輪場で行われた第1回「花月園メモリアル」は、本日30日が最終日。競輪祭出場組は不在のシリーズだが、オール連対で決勝も人気を集めた長塚智広の他、花月園をホームバンクとする白戸淳太郎、佐々木龍也が意地で決勝に駒を進め大会を大いに盛り上げた。決勝戦は、逃げた岩本俊介の後位がもつれ、難なく中団を確保していた長塚が一気にまくって人気に応えた。

決勝戦 レース経過
 号砲で三谷将太が飛び出して正攻法に構える。隊列は三谷―中澤央治が前受け、中団に長塚智広―小橋正義、岩本俊介―白戸淳太郎―佐々木龍也、佐々木雄一―松尾淳が後攻めの形で落ち着く。
 打鐘前の2コーナーから岩本が上昇。前受けの三谷は番手に飛び付き、岩本後位は併走になる。岩本は後続の出方を確認しながら徐々に踏み上げ、最終ホームから全開でスパート。番手戦はコーナーワークを利した三谷が2コーナーで白戸に競り勝つも、競り合いの後ろですんなり中団を確保していた長塚にとっては絶好のまくり頃に。2コーナーから踏み出すと、一気に前団を飲み込んで先頭に立つ。長塚マークの小橋は踏み出しで離れてしまい、長塚がそのまま1人旅。後続を千切って圧勝した。岩本の番手を奪った三谷が直線で追い込み2着。三谷マークの中澤が3着に流れ込んだ。


長塚智広選手
長塚智広選手
 次元が違う。検車場では、ため息混じりにその言葉が飛び交った。1番人気に支持された長塚智広が2角まくりで圧勝した。
 地元コンビを連れた岩本俊介が先行態勢に入ると、前受けの三谷将太がイン粘り。「描いていた通り。これ以上ない展開でした」。後はどこから仕掛けるか。溜まりに溜まったパワーを吐き出すと、一瞬にしてマークの小橋正義を置き去りに。岩本をまくって後続を引き離すとあとは一人旅。ゴール後は右手を振りかざし、ファンの声援に応えた。これで11戦連続の連対。後輩の牛山貴広に任せた準決勝以外は、今節3戦全勝。好位を奪う巧さで魅せた2勝とは違い、最後はタテ脚のみで、力の違いを見せつけるには十分すぎるインパクトを与えた。
「この1年、嫁さんにはいろいろと迷惑を掛けてきた。家族を大事にしたい気持ち、それだけですね。今は。本当に集中して走れている」支えとなった家族へ最高の報告となるV獲りに、嬉しさを隠せない。
 競輪祭に出られないのが本当に惜しまれる強さだが「(自分は)まだまだですよ。これでも上のクラスには通用しない。関東には武田(豊樹)さんや、平原(康多)君と、身近に強い自力選手がいるので、少しでも一緒に走れるように、今後も精進あるのみです」と謙虚。この気持ちがある限り、これも通過点に過ぎず、更なるパワーアップで今後も周囲を驚かせてくれるだろう。

 長塚から離されながらも、2着には岩本の番手を奪った三谷将太が入った。「状態がまだ万全ではなく、まくる自信がなかったので、番手に行くしかなかった。長塚さんとは力の違いを感じさせられた。優秀戦で何も出来なかったし、その分やる事やっての結果だから納得」

 3着の中澤央治は三谷を称える。「将太が頑張ってくれた。あの展開だと粘るしかないでしょう。1人強いのはいたけど、逃げた岩本君を抜いてる訳だしね。準決勝といい、将太サマサマですよ」

 小橋正義は長塚のスピードに付け切れず4着が精一杯。「長塚は凄いまくりだった。ちょっと付いていけませんでしたね。悔しいなぁ」目標が圧勝しただけに、悔しさを隠せない。

 逃げた岩本俊介は「粘られるのは分かっていたけど、早く自分のペースにしたい気持ちが強くて…。焦りすぎましたね。でも、長塚さんはちょっと強すぎますね」と勝った長塚の強さにあきれるばかりだった。

 第1回の花月園メモリアルだけに、気合い十分で挑んだ花月園をホームに持つ2人は、6、7着の結果に終わった。
 三谷に番手を奪われた白戸淳太郎は、レース後、人目もはばからず悔し涙に暮れた。「悔しいです。気合いは入っていたし、粘られる覚悟はしていたけど…。自分に脚がない分、余裕がなくて自分から当たりに行ってしまった。岩本君と、(佐々木)龍也さん、そして応援してくれたファンの皆さんに迷惑を掛けてしまった。今後への課題ですね。もっと強くならないと」

 佐々木龍也は「また頑張ろう」と白戸を宥め、「淳太郎に任せていた訳だから仕方ない。彼にも勉強になっただろうし。欲を言えば、3着までに入って競輪祭の権利を取れればと思ったが、なかなか甘くないね。それにしても今節は、お客さんの声援に後押ししてもらって、決勝まで来れた。本当にありがたかった」


ゴール




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