『花月園メモリアルin川崎(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月10日
 花月園メモリアルin川崎は6月10日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。SS班不在の混迷シリーズ。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦は栗田雅也がバックまくりで後続を千切って圧勝。平成21年の観音寺以来、3年ぶり2度目のG3制覇を果たした。
決勝戦 レース経過
 スタートは萩原操がいち早く出てSを取った。矢口啓一郎を迎え入れ、初周は矢口ー萩原ー梶山裕次郎、栗田雅也ー細川洋ー成田健児、阿部大樹ー山田敦也ー佐藤康紀の順番で並んだ。
 淡々と周回が進み、赤板前の4コーナーからレースが動く。まずは阿部がゆっくり押さえに行くと、栗田も合わせて踏み上げていく。阿部は重注覚悟で1センターで早めに誘導を交わして先頭に立った。栗田が上手く中団に入り、矢口はどっぷり構えて7番手。ジャンが鳴り、阿部は徐々にペースを上げていくと、4コーナーから山下ろしをかけ、本格的に先行態勢に入る。最終ホームを一本棒で通過し、阿部が軽快に逃げるなか、矢口は2コーナーからスパートする。矢口が番手を上げていくと、今度はバックから栗田が先まくりを放って応酬する。栗田は猛スピードで前団を飲み込むと勢いがさらに増し、最後は後続を3車身引き離して優勝を飾った。阿部の番手から山田が追い込んで2着。細川は離れながらも懸命に前を追って3着となる。矢口はしぶとく外を迫ったが4着に終わる。


栗田雅也選手
栗田雅也選手
 傑出者不在の混戦シリーズを制したのは栗田雅也だった。赤板で上昇してきた阿部大樹に合わせて動いて中団を確保。勝ちパターンにしっかり持ち込むと、豪快なまくりで前団を一気に飲み込んだ。敢闘門に引き上げて仲間に祝福されると、目を真っ赤にして喜びの涙を流した。
「すんなり中団を取れたのが勝因ですね。あとは矢口君の動きを見て仕掛けるだけでした。踏み込んだ瞬間、いける手応えはありました。ただ、山田(敦也)君のブロックはすごいので、そこだけ警戒しながら踏んでいました。優勝できて本当に嬉しいです。ただ、その一言ですね。ゴールして思わず何度もガッツポーズしちゃいました」
 今年はここまで成績不振に苦しんだが、前場所の函館で準Vと明るい兆しを見せ始めていた。
「昨年末から戦歴がずっと悪くて本当に苦しかった。でも、自分の中で原因は分かっていたし、セッティングとか試行錯誤しながら、やっと最近になり、その成果が出てきました」
 南関の貴重な大砲として再び輝きを取り戻した。今度は特別の舞台で華麗なタテ攻撃を披露する。
「寛仁親王牌は補欠の一番手。もちろん参加するつもりで準備します。最近は先行していないけど、やめたわけじゃない。まくりだけだと相手に手を読まれますからね。競輪祭の権利も獲れたし、特別で活躍できるように頑張ります」

 阿部大樹と即席でラインを組んだ山田敦也が番手好展開を生かして2着に入った。
「栗田さんが強かったですね。スピードが良すぎて、止められなかった。切り替えるのが精いっぱい。阿部君がもう少し落ち着いて駆けてくれれば良かったんだけど、彼も見せ場を作りたかったんでしょう。調子が良かっただけに少しもったいないですね」

 栗田を懸命に追った地元の細川洋は3着まで。
「栗田君が強かったね。勝ちにいくタイミングのまくりで追走がきつかった。コーナーの山を登っていく感じでしたから。もう少し早めか遅めの仕掛けが僕にとっては良かったかな」

 人気の矢口啓一郎は後方7番手に置かれて不発に終わった。
「勝つためにギアを上げたんですけどね。流れに乗っていけるところから仕掛けようと思っていた。ちょうど仕掛けたときに栗田さんとタイミングが合っちゃいました」

 G3初優出の阿部大樹は赤板過ぎから果敢に主導権を奪った。
「4.08のギアで押さえ先行はしたくなかったんですけどね。自分ではフカしている感じではなかったけど、3.79と同じ感覚で踏んでいるから思った以上にスピードが出てしまった。もう少しこのギアに慣れないとダメですね。でも、手応えをつかめる開催でした」


ゴール
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