『川崎競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月8日
 川崎競輪開設63周年記念、春の風物詩「桜花賞・海老澤清杯」が今年も華やかに開催された。自力選手の多くが連日向きが変わる風に苦しんだが、川崎バンク初登場の深谷知広はそれを問題にせず圧巻の強さで完全優勝。1月立川、2月高松に続き、今年3度目の記念優勝を手にした。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると各車スタートを取りに行き、結局、室井竜二がいち早く誘導の後ろに付いた。田中誠を迎え入れ、以下は村上直久―勝瀬卓也、海老根恵太―海野敦男、深谷知広―山口富生―佐藤慎太郎の順で隊列が整う。
 周回が進み、赤板前から深谷が動いていくと、村上が合わせて先に上昇し、さらに田中も前に踏んで行く。村上はそのまま誘導を斬って先頭に立ち、田中が上手く3番手に入り込んだ。中団の5番手は外に深谷、内に海老根で並走となる。ジャンが入り、村上は徐々にペースを上げて行くと、ホームから全力で踏み込んで先行態勢に入った。村上が逃げる一方、深谷は中団で海老根と並走しながら仕掛けのタイミングをうかがう。2センターに差し掛かると、深谷は一気に踏み込んでスパート。すると、山口は踏み出しで離れて、海老根に番手を明け渡してしまった。深谷は猛スピードで番手を上げて行くと、田中が先まくりで応酬するがスピードが違う。深谷は前団を飲み込むと、最後は海老根を振り切って優勝。初の川崎バンクで完全Vを遂げた。


深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広は後方からの組み立てとなった決勝戦。別線の抵抗を受け、前に出させてもらえなかったが、外併走から一気に仕掛けて優勝。見る者には力強さを印象付けたが、自身にとっては課題が多く残った一戦となったようだ。
 「スタートが苦手で、後ろからになってしまった。後ろからの競走になると、前に出させてもらえない、どかされての負けパターンになってしまう。中団に入れるかなと思ったけど海老根さんとの併走になってしまった」
 中団を争った海老根恵太からは、何度かけん制を受けたがそれに耐えての豪快な仕掛けを披露。
 「ブロックで少し脚を消耗したけど、落ち着いて回復を待ってから仕掛けた。タイミング的には良くなかったですね。ラインに迷惑をかけてますから。もっと上手い競走ができるようにならないと。その辺はまだまだ経験が浅いので、スタートも含めて練習が必要ですね」
 セッティングに関しても、毎日少しずつ改良を重ねた。
 「新しい発見が毎日あって、少しずついい方向に向いていった。まだまだ改良点はあるし、地元ビッグ(共同杯名古屋)に向けても課題が見つかった4日間でした」

 深谷後位に切り替えた海老根恵太が2着に続いた。
 「深谷君が行った所を追って仕掛けるつもりだった。そしたら横に居たんで、どかして出て行こうと思った。振ってみたけど、彼は脚があるんで無理でしたね。そのあとは切り替えて付いていった。強すぎです」

 田中誠は、3番手の好位置から深谷より先に仕掛けたが3着が一杯だった。
 「深谷君の動きは見えてなくて、自分で出て行きました。自分のタイミングとは違ったけど、相手が強い深谷君なので焦りがあったかもしれません。もう少し冷静に居られたら、室井さんと決められたかも知れませんね。3着は競輪祭のことを考えるとうれしいですが、自分はこの先、Gが付くレースで同じように戦えるかが重要ですね」

 村上直久が先行して見せ場を作った。
 「誰か先に行ってくれるかと思ったけど、誰も来なかった。あんまり緩めすぎるとゴッソリ行かれると思って逃げたけど、あっさり行かれてしまいました。しっかり反省して、今後の走りにつなげたいです」

 勝瀬卓也は村上との師弟連係を地元記念の決勝と言う最高の舞台で実現。
 「村上君は積極的に走ってくれました。田中君が出たその上を深谷君が踏んでて、止めることはできませんでした。消極的なレースじゃなく、積極的に攻めた結果なので、しかたないです」

 山口富生は深谷との連係が離れて反省の弁が出る。
 「自分の力不足。あれに付いていけないようでは、深谷の番手を回る資格はありませんね」


ゴール
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