決勝戦 レース経過 | |
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号砲と同時に浅井康太が勢い良く飛び出すが、新田康仁が浅井の前に入って正攻法の位置に収まる。新田-齊藤努-稲村成浩が前団、菊地圭尚-成田和也-大槻寛徳で中団を形成、脇本雄太-浅井康太-小川勇介が後攻めの形で隊列は落ち着く。 打鐘前の2コーナーから脇本がカマシ気味に仕掛けると、中団から菊地も合わせて踏み上げる。菊地は脇本の後位に飛び付いて浅井と併走に。下げた新田は後方で態勢を立て直す。番手の競り合いは最終1コーナーで決着。菊地があっさりと脇本の番手を取り切り、成田、大槻がきっちり続く。競り負けた浅井を早めに中団に下げていた小川が迎え入れるが、浅井にもう脚は残っていない。後方の新田は仕掛けのタイミングをつかめず不発。懸命に逃げる脇本と北日本勢による直線勝負。3番手で脚を溜めていた成田が鋭く伸びて今年初優勝を飾った。番手の菊地は伸びを欠き、脇本が2着に逃げ粘った。
「あれが持ち味ですからね」と、いつものように冷静沈着な成田が静かに口を開く。 レースは、脇本雄太が打鐘前の2コーナーから仕掛けて主導権。合わせて踏んだ菊地圭尚が番手に飛び付いて浅井康太から番手を奪取したが、脇本との車間がなかなか詰まらない。3番手で脚をためた成田は、菊地の動向をギリギリまで見極めて直線一気。 「(菊地)圭尚君はきつかったと思いますよ。最終バックでは車間を空けてたのか、空いてたのか…。そこから(脇本との距離が)詰まっていかなかった。それで行かなくちゃいけないって思った」 豊富なスタミナを武器に飛ばす脇本の逃走劇が、完結したかに見えたのもつかの間。次元の違う末脚で成田が脇本をとらえ、3度目の記念優勝を遂げた。 「なかなか(記念を)勝てないですね。これは大きな1勝です」 一昨年8月の富山以来の記念制覇だが、その間にダービー王に輝くなど、成田自身は絶え間なく進化を続けてきた。 「やっぱりこれからはもっと1着を増やして、内容のあるレースをしたい。今日もたくさんのファンの方が応援してくれてたし、その方々をがっかりさせないように」 輪界屈指の切れ味と確かな番手の仕事で、成田がこれからもファンとの信頼関係を築き上げていく。 「優勝したかと思ったんだけど…」と、準Vの脇本雄太が偽らざる気持ちを吐露する。 「(最終)4コーナーまで(後ろから)影がなくてやったと思った。成田さんが強かったし、しょうがないです。それでも最後までゴール勝負ができたのはデカかったし。また、共同通信社杯までに状態をしっかりと整えていく」 しり上がりに状態を上げた脇本。ファイナルではV逸も、強風の中で敢然と風を切って面目躍如を果たした。 北日本ライン3番手の大槻寛徳は、成田の背中を懸命に追いかけて3着。追走に集中していた様子で、引き揚げてくると、ホッと一息つく。 「成田さんの後ろっていうのが、自分にとって大きかった。とりあえず付いていかなきゃって。自分は精いっぱいだったけど、成田さんはすごい伸びていた。もう無我夢中でした」 思惑通りの展開に持ち込んだ新田康仁にとっての誤算は、強風のバンクコンディション。苦笑いで振り返る。 「ああなるのはわかっていた。だから、自分はイン粘りよりもタテの脚で勝負しようって。でも、風がきつくて、赤板でいっぱいだった。(車間を詰めて)追いついて、そこからまくりに行ったけど1車、2車しかでなかった。後ろの先輩たちに悪いことをした…」 中近ラインの分断に出た菊地圭尚は、浅井に競り勝ったが脇本との車間を詰められず万事休す。 「もっと早く(脇本が)来たら、違いましたけど。そこからで(自分が番手に)行かなきゃ、浅井君に獲ってくれっていう展開になってしまうんで。(番手を)取り切ってから、最後の脚が課題ですね」 |