『川崎競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月16日
 川崎競輪開設66周年記念「桜花賞・海老澤清杯(G3)」が、4月16日に開幕した。晴天の空の下、トップ選手たちが白熱したレースを繰り広げた。メーンの特選は伏見俊昭、深谷知広に川村晃司が勝ち名乗り。2日目は優秀「ダイヤモンドレース」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 2日目も川崎競輪場ではファンサービスやイベントが盛りだくさん。開門時から先着500名様に桜花賞オリジナルQUOカードが当たるラッキーカードの配布や、京都の稲垣裕之選手によるS級選手プレミアムトークショー(6R、9R終了後、西広場ステージにて)などのイベントを予定しています。17日の2日目も「桜花賞・海老澤清杯」をぜひ本場でお楽しみください。
<1R>
 オープニングレースを制したのは有坂直樹。前に出た八谷誠賢を矢野昌彦が叩き最終ホーム前で主導権を握る展開に。佐藤和也がすかさず巻き返すと、惰性をもらった有坂が直線で突き抜けた。
 「行けるところまで行くと(佐藤が)言っていたけど、あそこまで行くとは。佐藤は前回落車しているのに、カマしたところをすかさず仕掛けてくれたね。(自分の)踏んだ感触は良かった」
 有坂マークの松澤敬輔が2着。3着にも佐藤和也が残り、ラインで上位独占となった。
 「いつも行けないところを行けました。良く行ったなって、自分でも思います。後ろのプレッシャーですね(笑)。ワンツースリーですし、みんなで勝ち上がれたんでうれしいです」

<2R>
志村龍己選手
志村龍己選手
 打鐘前から主導権を握った守谷陽介が、別線を警戒しながらペース駆け。中団を確保した志村龍己(写真)が2コーナーから仕掛けると三宅達也のけん制も乗り越えてまくり切った。
 「調子が良くてまくれるかなって思ってました。立川は流れに任せてたけど、今回は流れがきている。この流れを切らさないようにしたいですね。もうちょっと練習して先行の決まり手もつけないと」
 三宅達也は、直線で守谷後位から抜け出して迫るも2着。
 「余裕もあったし守谷も良く頑張ってくれた。でも、ホームで踏んでいれば、まくられないのに…。一回スピードに乗せた方が良かったね。駆け方があっていない。(守谷は)練習では強いんでもったいない」

<3R>
 石川雅望が切った上を松岡篤哉が叩き、打鐘の2センターからレースを掌握する。松岡はそのまま別線を完封して力強く押し切った。2着に島野浩司、3着にも外山三平が続いて中部勢が上位を独占した。
 「川崎は前に3、4勝しているんですよ、相性がいいですね。でも、もう少し修正してですね。調子は悪くないし、(前回の)小倉よりは全然良いです」
 島野浩司は検車場に引き揚げてくると、松岡を高く評価する。
 「打鐘の時の踏むタイミングも落ち着いていたし、踏み直しも良かった。うまく駆けてくれたね。矢口(大樹)君も良い勢いで来ていたけど(松岡が)踏み直して、僕もいっぱいになっちゃった。強かったですね」
 最終ホーム8番手から仕掛けた矢口大樹が4着に入り、辛くも2次予選進出を決めた。
 「無理矢理行きました。後半は追いついたんですけど3コーナーでいっぱいになっちゃいましたね。でも、踏み出しは良かったです」

<4R>
 後ろ攻めの一ノ瀬匠が、赤板の2コーナーから踏み上げ打鐘から先制。4番手の藤田大輔、7番手の及川裕奨の反撃を許さないペース駆け。そのまま一ノ瀬がレースを支配すると、最後は番手の馬場勇が好展開を物にした。
 「一ノ瀬君が上手でした。あれだけ良い展開はないですね。(予想した)展開通りだったんで後は前に任せてました。これを機に調子を上げたいですね」
 一ノ瀬匠が、2着に逃げ粘った。
 「自分のレースが出来て良かったです。ペースで行けたんでまくられることはないかなって思ってました。3コーナーからニュートラルに入れて、4コーナーで踏み上げたけど、差されちゃいましたね。周回中は重かったけど、駆けたらそんなに気にはなりませんでした」
 3着にも古閑良介が続いて、九州ラインがそろって確定板。納得の顔で振り返る。
 「余裕はあったけど、風があって思ったより重かったですね。僕は付いていっただけ」

<5R>
金子幸央選手
金子幸央選手
 打鐘の3コーナーで切って出た對馬太陽に、金子幸央(写真)が抜群のスピードで襲い掛かる。金子は最終ホーム過ぎにあっさり先頭に立つと、山下渡、安部達也を連れて最後までそのスピードが衰えることなくゴール。軽やかなリズムで逃走劇を完結させると、笑みをたたえて引き揚げてきた。
 「本当は初手は中団が良かった。それで(別線が)切ったところを行きたかったけど、そうはさせてもらえなかった。(周回中)前だったんで落ち着いてと思いました。すごく感じも良くて、バック線では体(乗車フォーム)をいい感じにねかせていけた。そこら辺が明日も出すことができればいいんですけど。強い人がいるんで、上の方のレースまでいって(強い人とのレースを)体感したいです」
 金子のスピードに別線は置いてけぼり。関東3車で上位を独占し、番手の山下渡は2分の1輪差の2着。
 「(金子は)フォームもきれいだし、強すぎる。ずっとそのままのペースというか、ペースが上がっているくらいの感じですからね。2着に入れたのは、本当に金子君のおかげです」

<6R>
 打鐘で出た竹澤浩司が先行態勢を取るが、小原太樹は、竹澤がマイペースに持ち込む前にスパート。一本棒の7番手からカマして、久々に先行による白星を飾った。
 「前にあんなような展開で竹澤さんに駆けられてペースでいかれて、自分はまくれなかったことがあった。だから竹澤さんが掛かる前にと思って行った。ホームが追い風だから、一発(スピードが)乗ればと思っていた。久しぶりに駆けたんできつかったけど、(ラインでの上位独占で)よかった。今日はむちゃくちゃ緊張しました」
 ハンドル投げの勝負に持ち込んだ佐々木龍也だったが、8分の1輪及ばずの2着。汗をぬぐい06年以来の「桜花賞」に、こう口を開く。
 「自分は生まれも育ちも川崎ですからね。選手になる前から桜花賞は憧れがあったし。(桜花賞で)お客さんにも励まされてきた。(小原は)あそこしかないと思っていたところで踏み上げていってくれた。自分は(前回の落車は)そんな影響はないし、自転車も大丈夫だった。抜けなかったのは自分が甘いし、課題が見つかりました」

<7R>
角令央奈選手
角令央奈選手
 叩きに出た金子哲大を飯塚隼人が突っ張り、激しい主導権争いに。まくりごろとなった角令央奈(写真)が2コーナーから仕掛けると、番手まくりで応戦した齊藤努も乗り越え前団を飲み込んだ。
 「ラッキーしました。成績が良くなかったんですけど、ずっと調子はいいんですよ。齊藤さんが出て行って、そこを乗り越えられるかなって思いましたけどね。予選を通過したのは久しぶりです」
 3車併走の苦しい中、角を追走した池上孝之が2着に入線し兵庫ワンツーとなった。
 「きつかった。令央奈も止まる感じがあったけど、また伸びていったね。千切れなくて良かったし、付いていって上出来だね。なんとか2着で車券に貢献できた。前回の静岡よりかはだいぶ良いです」

<8R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 2車の高橋和也が打鐘の2コーナーから仕掛けるが、前に出た和田禎嗣も突っ張り踏み合いに。近藤隆司(写真)が2コーナーから仕掛けると、後続を2車身突き放して断然の人気に応えた。
 「ホームで詰まったところがあったけど、行く勇気がなかったです…。(成田健児との車単の)オッズを見て2倍くらいだったんで、気持ちで踏み直しましたね。ちょっと重たい感じはありました。そうとう早くから前がやり合ってくれたんで、展開が向いて勝てた1着ですね。でもうれしいです」
 近藤マークの成田健児は、離れながらも懸命に追走して2着を死守。
 「惰性と必死なだけですね。あそこからもう一回(近藤が加速していったら)自分はやばかったです。脚が落ちてるんですかね…」
 和田には踏み勝った高橋和也だったが、最後は力尽きて7着に沈んだ。
 「踏んだ距離が長すぎました。ああなった時点でいっぱい、いっぱい。近藤さんの展開にしただけですね。モガくことはモガけたけど…」

<9R>
 後ろ攻めの佐川翔吾が、上昇し赤板の1センターから主導権を握る。前受けの屋良朝春は粘って市田佳寿浩と番手勝負に。佐川は最終ホームからピッチを上げ、そのまま末良く逃げ切ったが1着にも手放しでは喜べない。
 「いろいろ考えていたら中途半端になって、粘らせてしまう形になってしまいましたね。(ラインに)申し訳ないです。(バンクは)重たいけど、自分もスカスカしててあたりがない。でも、最後は粘れているんで悪くはないし、今回の方が良くはなっている。明日はしっかりレースを出来るように」
 屋良が市田から番手を奪取すると、屋良マークの関貴之が直線で追い込み2着に入った。
 「屋良君のおかげですね。後ろから来ている感じがしたんで、自分の着もあるんで踏ませてもらいました。判断は悪くなったと思います」
 屋良朝春は絶好の展開を作るも、直線失速で7着に沈み「めちゃくちゃ重かった。番手を取り切ってから最後はいっぱいでした」と、レースを振り返った。

<10R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 青板バックから浅井康太が早めに上昇すると、前受けの脇本雄太は突っ張り前に出させない。今度は早坂秀悟がすかさず踏み上げ、赤板の1センターから主導権を握る。浅井は早坂ラインに続くも、脇本と3番手で併走に。早坂は伏見俊昭(写真)を連れて、最終ホームからスパートし軽快に駆ける。最後は番手絶好の伏見が追い込んで2日目の優秀戦一番乗りを決めた。
 「最後は余裕もありました。ここまで1カ月くらい空いて基礎から練習できたんで、それが結果につながりました。(1月)松阪以来の1着ですね。大宮(記念)の優秀戦で落車しているので、明日は油断しないように」
 松谷秀幸は後方で脚を溜めると、最終バックからまくって2着に入る。
 「(仕掛けが)ワンテンポ遅れちゃいましたね。踏んだ感じは良かったし体は大丈夫です。どこを走っても(メンバーが強くて)きついですから、勝ち上がれてよかったです」
 勝瀬卓也が、流れ込んで3着。
 「松谷君が落ち着きすぎてた(笑)。何度かチャンスはあったと思ったけどね。(自分の)状態は悪くないです」
  浅井康太は、脇本に終始からまれ4着。
 「ワッキー(脇本)に突っ張られたけど、そこを早坂がすぐに行くだろうし、ある程度は読み通りではありました。少しずつですね。(調子としては)まだ2割りくらいなんで」
 風を切った早坂秀悟は、着外に沈むも持ち味を出したレース内容には納得している様子。
 「やることやって(自分の上がり)タイム11.8だし、後ろが違う展開ならわからなかった。今日はレースとしては納得ですけど、着としては満足してないです」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 後ろ攻めの深谷知広(写真)が、誘導を斬って前に出ると、その上を地元の郡司浩平が叩いて打鐘の2センターから主導権を握る。3番手を確保した深谷は落ち着いて2コーナーから仕掛けると、グングンと加速。そのまま前団を飲み込み快勝した。
 「しっかり態勢を整えていけたし、展開にも恵まれました。ああいうレースが準決、決勝で出せれば。体自体は徐々に良くなってるけど、疲れがありますね。(今回から新車だけど)調整すれば良くなる感じがするし、いろいろ考えながらですね」
 中団から仕掛けた神山拓弥が、ゴール前で志智俊夫を交わし2着に入線。
 「1コーナーは危なかったですね。でも、その後降りて休んで外踏んだけど悪くはないです。郡司に付いていければ3番手取れたのに…。立川の時のフレームは固くて重かったんで、ダービーの時のフレームに戻しました。軽くて伸びもまずまず。まあ、ゴチャついて展開にも恵まれましたけどね」
 神奈川コンビの波状攻撃で深谷に離れた志智俊夫だったが、なんとか3着に入った。
 「なんとか2着と思って追いかけたけど、脚が足りなかったね。(フレームなどを変えた感触は)問題ないです」
 深谷を差し置いて人気を集めた中川誠一郎は6着。
 「体の状態も悪くないし、疲れも抜けてるんですけどね」と、言葉少なに検車場を後にした。

<12R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 初日のトリの激戦を制したのは川村晃司(写真)。レースは押さえて出た桐山敬太郎を平原康多、川村晃司と交わし隊列が激しく入れ替わる。8番手まで下げた山田英明が打鐘の2センターで予想外の先行策に出る。3番手を確保した川村は最終2コーナーから仕掛けると、山田を力でねじ伏せて1着を手にした。
 「山田君が来なければ駆けようと思ってました。主導権を取るように考えていたけど、すかさず来られちゃったんでああなりました。自分から動けたんで良かったです。山田君が吹かしたんで、自分にとっては行きやすい展開になりました。(レース勘は)問題なさそう。1着を取れたんで自信になりますね」
 川村ラインを追った平原康多は、車間を詰める勢いでまくるも2着まで。
 「誘導も上がったし、そこを切って出て3番手ならよかったんですけど。5番手じゃ意味ない…。イナショー(稲川翔)が前にいたんで、自分は付き切れなかった」
 怪我明けの稲川翔は、流れ込みも平原に2着に割り込まれての3着。
 「川村さんのマークに集中してました。今日一走して脚の確認はできました。(平原が)後ろにいるのはきついですね。一つ、一つ課題を見つけて対応できるように」
 桐山敬太郎は、後方に置かれ8着。
 「細切れ戦だから誰がどこを取るかわからないですし。まあ、今日は失敗しました」
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