『川崎競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月19日
 川崎競輪開設66周年記念「桜花賞・海老澤清杯(G3)」は、4月19日に最終日を迎えた。肌寒い風が吹く中、激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が、11レースで争われた。レースは平原康多に付けた諸橋愛が、直線で鋭脚を発揮。深谷知広をとらえて04年青森以来、2度目の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で内の3車が車番順に飛び出し、平原康多が金子幸央を正攻法に迎え入れる。これで周回は金子―平原―諸橋愛―桐山敬太郎―深谷知広―浅井康太―志智俊夫―脇本雄太―中川誠一郎の並び。
 青板のホーム手前から脇本が早々と上昇を開始する。バックで金子が下げるのを確認して深谷も動くが、金子が中団にはこだわりを見せる。赤板ホームでも2人が意地を張り合うと、単騎の桐山は脇本ライン3番手に追い上げる。正攻法の脇本は意を決して打鐘前から主導権を奪うと、深谷は外併走のままホームから一気に巻き返す。打鐘過ぎにやや踏み遅れたところを諸橋にからまれた志智は9番手に。中部2車に出切られた中川は3番手に切り替えを図るが、桐山、平原との3車併走の最内で徐々に遅れていく。金子を捨てて自力に転じた平原が後ろまで迫ると、4コーナーで浅井が軽くけん制。すかさず桐山が内に切り込むが、浅井とからんで落車。接触した浅井も車体故障を起こして失速する。諸橋は桐山、浅井がからんで空いたコースを見逃さず、俊敏に内へ切り込むと粘る深谷をとらえて優勝。中部連係が外れた志智だったが諸橋に続く形で3着に突っ込んだ。


諸橋愛選手
諸橋愛選手
 初日特選、二次予選と「良い練習をしてきたんですけど、2日間抜けずにいた」と、思ったような動きが出来ずにいた諸橋愛(写真)だったが、「4日間戦えるようにケアしていた」と、競走準備に抜かりはなかった。そして準決では、まくった平原康多が稲川翔に張られると瞬時の判断で空いたインを突き鋭脚を発揮。
 心と体がリンクし、迎えた決勝戦。ビッグにも劣らない豪華メンバーが顔をそろえた中、最終1センターから仕掛けた平原を追走する。「追いかけるので脚を使いました」と、体力を削ったが、外でいっぱいになった平原後位から内に進路を変更。3番手に入った桐山敬太郎が浅井康太の内をすくって両者でもつれると、「後はコースだけでした」と、即座に深谷知広と桐山の間を鋭く伸びて04年青森以来の2度目の記念優勝を飾った。
 「自分でも勝てると思わなかったです。2着かなって。青森記念以来、10年ぶり。競輪はわからないですね(笑)。普段やってきた練習の成果が、結果に出たと思います。やってきたことが正解でした」
 今後は共同通信社杯、そして高松宮記念杯と激戦のステージは続く。諸橋はさらに持ち味に磨きをかけ強豪たちと渡り合う。
 「危ないこともあるけど、(準決でも、決勝でも)ああいうところ突っ込んでいくのが自分の持ち味だと思っているし。それを期待してくれているお客さんもいるんで。(平原)康多とか強い選手と走って、一つ一つのチャンスをものに出来るようにしたいですね。高松宮記念杯でも良い成績を出せるように調整して臨みます」

 抜群のスピードを見せた深谷知広は、惜しくも2着。しかし、他のメンバーが「強かった」と、口をそろえるデキに、完全復活の気配を感じさせた。
 「(脇本が)良い掛かりだったんで、合わされたかと思いました。でも、(あの上を)行けたんで良かったです。決勝戦なんで、みんな突っ込んで来ますね。自分としては良いレースが出来ました。次の共同通信社杯に向けて、もうちょっと戦えるかなっていう感じがあります」

 中部3番手を固めた志智俊夫は、前の2人に踏み出しで離れて9番手に。しかし、諸橋を追って直線で落車を避け3着に入ったが笑顔はなし。
 「俺があかんかった。ラインをこわしたし、(深谷と浅井に)迷惑をかけました。集中力が足りないですね。いただけないです…」

 金子幸央目標から、まくりに転じた平原康多は、浅井のけん制を受け失速し4着。
 「自分は(金子に)任せてのレースだったし、対処できなかったのは僕のミス。(共同通信社杯までは)練習も出来るし、このままだと深谷に勝てない。もう一段階スピードを上げないと」
ゴール
↑ページTOPへ