『平塚競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月30日

 平塚競輪場で開設71周年記念「湘南ダービー(GIII)」が、9月30日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、昨年当所でのグランプリを制した和田健太郎が、シャープに突き抜けた。10月1日の2日目には二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 なお、平塚競輪場は、10月1日の2日目以降は有観客を予定しています。「競輪オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」にしたがい5000人の入場制限、検温、手指の消毒、マスク着用の徹底をいたしますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

木村幸希選手
木村幸希選手
 中部勢に併せ込んでから踏んだ松坂侑亮が、赤板2コーナーで出て先行態勢を取る。単騎の千澤大輔が続いて、木村幸希(写真)は4番手を確保する。6番手の川口聖二は動けず、そのまま松坂がペースを上げて逃げる。最終2コーナーからまくった木村が、藤田大輔のけん制を乗り越えて1着。
 「(初手の位置は)取れたら前でと思ってました。(松坂が川口に)フタをしてくれって思ってたら願い通りになった。前回に続いて運が良かったです。練習もいい感じだったし、(初日の感じも)前回よりいいかもしれないですね」
 6番手に置かれて仕掛けられなかった川口聖二は、直線で外を伸びたものの反省する。
 「(最終1コーナーの)あそこで詰まったんですけど、自転車の引っ掛かりがなくてスカスカした。木村さんが行ったところの上を行けたらと思ったけど。北村(信明)さんがからまれているのを見ちゃいました。近藤(龍徳)さんが1レース1番車っていうなかで、僕が不甲斐ないレースをしてしまった」

<2R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 打鐘手前で3車で出切った伊藤旭ラインの主導権。三好恵一郎が中団に入り、7番手の荻原尚人は4コーナーから巻き返す。逃げる伊藤もペースを上げて、最終1センターで番手の渡部哲男(写真)が荻原をけん制する。2コーナーから三好がインを進出して、最後は伊藤まですくって抜け出す。が、伊藤マークから外を追い込んだ渡部哲男が三好をとらえて1着。
 「初めて付く選手だったので、戸惑いもありましたね。(伊藤は)出てからは落ち着いて駆けてくれましたけど、荻原君が結構いいスピードで来た。それでカントを使って前に踏みながら、もっていったので内に来るだろうなっていうのはわかっていたから対処できました。最後ちょっと5番(三好)の選手に前に出られて焦りましたけど、しっかりと追い込めました」
 中団で包まれていた三好恵一郎は、内に活路を見出して2着に入った。
 「柴田(洋輔)さんが落車してしまったし素直には喜べないですね。落ち着いてコースは踏めましたけど、正直感じはわからなかった」

<3R>

 赤板2コーナーから染谷幸喜が踏み込むと3番手の高木隆弘が離れる。中団の菅田壱道が反応良く2車の南関勢を追いかけて襲い掛かる。主導権を奪った染谷を最終2コーナー手前で菅田がとらえる。踏み出しに遅れ気味だった大槻寛徳だったが、最後はきっちりと菅田のロングまくりを差し切った。
 「(菅田は)自分の想像以上のレースをしてくれた。構えると思って、半信半疑で見ちゃいました。あと1周のところまでは空いちゃったんで、そこは反省点ですね。(菅田は)いい時の動きをしてたんで、自分がビックリしてしまった。(差すのは)問題ないけど、追走のところですね。新田(祐大)君に付くには、あそこで離れてしまったら…。そこは意識してやっていかないと」
 染谷のマイペースを許さず俊敏な立ち回りを見せた菅田壱道が、復調の手応えを感じている。
 「松尾(勇吾)君のところを見ながら、(中団が)空いてなかった。それでバックを踏むくらいなら踏んじゃえって思った。底を脱したし、自分でも手応えがある。位置にこだわらず、詰まったところで仕掛けようって。いい時の動きに近い感じです。最近、手応えがあるなかで、この動きができたのは自信になる」

<4R>

吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 赤板過ぎに切った北野良栄が流すところを叩いて吉本卓仁(写真)が打鐘から主導権を奪う。6番手に下げた大石剣士が2センターから反撃にいくと、吉本もペースアップ。北野のけん制を乗り越えた大石はいったん、福岡勢の後位に入ってから、最終2コーナーで再度仕掛けるが、吉本も懸命に合わせて出させない。結局、最後まで力強く踏み切った吉本が勝利を収めた。
 「あんなすんなりと叩けるとは思っていなかったので、出てからはある程度、腹はくくっていました。必死でしたけどこれ以上、上がらないくらいって感じのスピードまで上げて、そこからペースで踏めました。最後はうまく大石君が引っかかったので粘れたと思う。前回まで北津留(翼)仕様のセッティングにしていたけど、今回からセッティングを自分流に変えて感じは良かった」
 2着争いは坂本亮馬、大石、桐山敬太郎で横一線となるも、桐山が外を伸びて地元で意地の2着を確保。
 「緊張感はありますけど、いつもより楽に走れている。大石君にすべて任せていましたけど、もうすこしアドバイスをしてあげたほうが良かったかなって。落ち着いて回りを見ながら走れているし余裕はありました。最低限の着は取れたので」

<5R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 押さえて出た山口敦也が流したところを朝倉智仁が出て打鐘の3コーナーで主導権を握る。地元の武田憲祐まで3車が出切り、一本棒で最終ホームを通過する。山口のまくりを止めた木暮安由(写真)が、逃げる朝倉を交わして1着。
 「あの展開は朝倉君の力だと思います。(山口に)1回、はね返されたけど、止まったんで仕事はできたかなと。自分としてはだんだんとかみ合ってきたんじゃないかと思います」
 山口に抵抗されずに主導権を握った朝倉智仁は、ラインを上位独占に導いて2着に粘り込んだ。
 「(山口が)流してたんで、そこをしっかりと叩けたんで良かった。絶好調っていうわけじゃない気がします。正直、(前回の)宇都宮ほどの感じはしないですね」

<6R>

 堀僚介、古屋琢晶の順で切るが、前受けから引いた松坂洋平はジャンで行きかけてやめ、ライン2車にも古屋が先行していく。最終2コーナーからの堀のまくりは杉本正隆がブロックして止めてしまう。そのまま直線半ばまで古屋を使った杉本が、迫る後続との間合いを図りながら抜け出して先頭でゴール。
 「スタートの位置だけ決めてあとは流れって感じでした。(前回の共同通信社杯が)みんな強かったのでいい勉強になりましたね。最後に差し込んでしまってヤバいって思ったんですけど。ちょっと重たい感じもしますけど、1着を取れたので悪くないと思います」
 最終バック6番手から踏み出した松坂洋平は、まくり不発の堀が膨れて大外を回される不利を受けて2着まで。
 「ちょっと気持ちが入りすぎてしまって…。緊張しすぎていつもなら行くところで見てしまった。後ろに申し訳なかったですね。今日(初日)は前か中団で、前なら踏ませて出させるつもりでしたけど、踏ませることもできず下がってしまった。ダメですね。(最後にあおりもあったが)それ以前の問題ですね。脚は悪くないですけど要所で行けなかったし甘かったです」

<7R>

 福島コンビを受けた野田源一が、3番手をキープして打鐘を迎える。7番手から巻き返した城戸俊潔に三宅伸は連結を外して、1人の城戸を見送った野田が最終2コーナー過ぎからまくって人気に応えた。
 「自分のまくりをどこで出すかってことだけを考えていた。いい位置が取れたし、なんとか落ち着いてレースをすることができました。僕が外にはずせば(寺沼将彦が)内にもぐってくるのもわかってた。自分も(まくりの)準備をしてたんで問題なかった。フリーの状態からと思ってた」
 野田マークの大塚健一郎は、中田雄喜との踏み合いに勝ち2着をキープした。
 「ゲン(野田)は早めに動いてくれたし、あとはそこから脚を削らないようにまくりの態勢を整えてくれればと思ってた。自分は怪我明けっていうのもあるんで、1つ1つレースを重ねて、レースの脚をつくっていくしかない。やることをやって上積みしていきたい」

<8R>

 佐藤一伸、小林泰正の順で切った上を一気に叩いて岡崎智哉が打鐘前から先行勝負に出る。中団が小林と追い上げた佐藤で取り合いとなりかけたが、小林-中田健太は機敏に内々をすくって車を上げていくと中川勝貴-舘泰守をさばいて岡崎の後位奪取に成功。冷静に脚を溜めた小林は直線入り口から踏み出して1着でゴールした。
 「もうワンテンポ遅ければ突っ張ろうと思っていましたけど、岡崎さんの巻き返しが早かった。(打鐘)3コーナーくらいで来るかなって思っていたんですけど少し迷ってしまった。あの展開になれば佐藤さんが追い上げてくるかもしれないので、そうなったら(内から)いけるところまで行こうと思っていました。今回から新車に換えたんですけど、(最終)2コーナーからいかないとでしたね。脚は悪くないので自転車を煮詰めるか、戻すかしたい」
 岡崎もしぶとく逃げ粘ったが、中田健太がゴール寸前で交わして関東でワンツー。
 「基本的に先行する感じでしたけど、どうなっても1回ジャンでをハナを切るイメージでいました。岡崎さんの巻き返しが早かったですけど、冷静に組み立ててくれましたね。ナイターから中5日で朝は体が重い感じがしましたけど、この時間になって動いてくれましたね。レース勘も問題ない」

<9R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 赤板の2コーナー過ぎに宮本隼輔に割り込まれた小松崎大地(写真)は、8番手を強いられる。結果的に5番手に入った宮本が打鐘の4コーナーから仕掛けて、まくりでピンチを脱した小松崎だったが、組み立て面での甘さを反省する。
 「ひと通りの作戦は用意してあったんですけど、結果的に隙を見せてしまった。宮本君が叩いたらすかさず行こうと準備していたら、入られてしまった。そこですね。竹内(智彦)さんにも迷惑を掛けたし、お客さんにも申し訳ない。しっかりと立ち回っての結果なら納得できるけど、反省ですね。感触的には悪くない。でも、自分で苦しい展開にもっていってしまった」
 一度は5番手に入った宮本隼輔は、そこから前団のペースを見極めて叩いて主導権を奪取。微差の2着に逃げ残った。
 「前が踏んでなかったんで、小松崎さんならあそこでっていうのもあった。それで(5番手から)先に行かないと行かれちゃうかなと。(感触は)ここ最近のなかではいいですね。一戦、一戦、しっかりと走れたらいいかなと思います」

<10R>

 初手で中団に位置した森田優弥に併せ込んだのち、長尾拳太が踏み上げて先頭に立つが、すぐさま巻き返した森田が長尾の抵抗をねじ伏せて最終ホーム入り口で主導権を奪う。山本直が好回転でまくり上げて森田に迫る。3コーナーで山本は森田に並び掛けて両者でモガき合って直線入り口へ。そこで森田が自ら山本を止めに行くと、あおりで室井健一が落車し、後続の2人も乗り上げる。山本は失速して踏み勝った森田が1位入線を果たすも失格。芦澤大輔が繰り上がりで1着を手にした。
 「森田君に全部やらせてしまって申し訳ない。思った以上に長尾君が踏んだので森田君もキツいなってところですかさずバックで山本君がきたので。自分ができないばっかりに…。僕の出番だったんですけど申し訳ない」
 落車を間一髪で内に避けてから直線外に持ち出して伸びた山口富生が、同じく繰り上がりで2着に入る。
 「早めにくれば出させて中団だと思っていたんですけどね。3番手が空いていたので長尾に入ってもらって。団子になったのもありますけど自分で思っていた以上に伸びたと思います。展開次第にはなりますけど調子は悪くないですね」

<11R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 中野智公が当日欠場になり8車立て。先頭に立ちペースを握った小川真太郎(写真)の内から抜け出した水谷好宏が、打鐘の2センターで主導権を奪って逃げる。3番手で立て直した小川は、鈴木陸来を張りながら合わせるようにまくった。
 「(大阪勢に)内を行かれたのは仕方ない。2車だしいいかなっていうのもありました。そのあとも(鈴木に合わせて)行けたし、脚的には悪くない。前回よりはすごく感じがいい。1着を取れたんで、これでリズムに乗れるかなと思います」
 小川との連結を外した園田匠は、追い込んで3着に入ったものの肩を落としてこう振り返る。
 「情けないですね。申し訳ない…。ジャンのところでも(小川に)差し込んでしまった。あれはダメですね。自分で修正して、立て直していかないと。7車立てと9車立ての感覚が違うので、しっかりと気持ちを切り替えていきたい」

<12R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 打鐘の3コーナー過ぎに郡司浩平が鈴木庸之を叩くが、単騎の新田祐大も敢然と踏み込む。新田が最終ホームで主導権を奪取して、郡司が飛び付く。後方から反撃に出た清水裕友と新田で壮絶な踏み合い。郡司が清水に離れ気味の小倉竜二を張りながら、コースを確保して追い込む。郡司マークの和田健太郎(写真)は、中のコースを踏んで突き抜けた。
 「自分の調子がいいわけじゃない。前の自力選手の頑張りにつきます。郡司のおかげですね。いまは完ぺきな状態で走れるっていうのは、ほぼないですけど。そうは言っても、また明日(2日目)からレースがあるんでしっかりと」
 単騎の新田の動きにも対応した郡司浩平は、抜群の判断力で和田とワンツー。
 「新田さんも単騎でもしっかりと動いてくるかなと。飛び付いていっぱいだったけど、自転車が流れてくれて不思議な感覚だった。アップの時から自転車を微調整して見つかった部分もあった。(2日目からお客さんが入るので)気負うことなく、あんまり気合が入りすぎないようにやりたい」
 最終ホーム手前で8番手から反撃に出た清水裕友が、新田との踏み合いを制して3着。
 「良かった。今年一番出たかなって感触がありました。岐阜(共同通信社杯)は行くだけ行って、末を欠いてやられるっていう感じだった。だけど、今日(初日)は周回中からいい感じで乗れました。あとここだけにならないように、明日からも」