『平塚競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月7日
 平塚競輪開設62周年記念「湘南ダービー」は5月7日に最終日を迎えた。勝ち上がり3日間で軽快な動きを見せた機動型が数多く勝ち上がり、超細切れとなった決勝戦。レースは上野真吾が最終ホームからカマして出ると、番手に飛び付こうとした武田豊樹が落車。目標を失いながらも前に踏んだ芦澤大輔が嬉しい記念初優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると武田豊樹が出て前で構える。武田に芦澤大輔―佐藤悦夫が追走。上野真吾―五十嵐力、海老根恵太、中村一将と続き、岸澤賢太―平原康多は後方に待機し周回を重ねる。
 青板の4コーナーから岸澤が上昇を始め、赤板で中団の上野に併せ込む。岸澤は上野を警戒しながら2コーナーからさらに踏み込み武田を押さえ、打鐘で先行態勢を取る。岸澤ラインに中村が続くが、一度は押さえられた武田が3コーナー過ぎから内を進出。逃げる岸澤後位に武田が入り、芦澤―佐藤の追走。外に浮いた平原が体勢を立て直しにかかる一方、後方から上野―五十嵐、海老根で巻き返し最終回へ。
 上野が岸澤を1センターでとらえ主導権を奪取。武田は五十嵐をどかしにかかるが、内に切れ込んだ五十嵐と接触して2コーナーの手前で落車。五十嵐も失速。代って、落車を避けた芦澤が前の上野を猛追。芦澤に佐藤が続き海老根の内を平原がすくって前団を追いかけ、最終バックを通過。
 上野を好スピードでとらえた芦澤は、直線も脚色は衰えず優勝。2着に佐藤が流れ込み、立て直した平原は3着まで。

芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 最終2コーナー手前で武田豊樹が落車。これで目標を失った芦澤大輔だったが、「上野がいたので、目標にする感じで」。躊躇することなく前に踏むと、そのまま上野真吾を飲み込んで後続の追撃を振り切ると、見事に記念初優勝を飾った。
「嬉しいですね。4コーナーから力勝負だと思って、無我夢中で踏みました。色んなこと、巡る思いはありますけど、ここをスタートにして」。昨年の地区プロで落車した大怪我を始め、ここまで決して順風満帆とはいえなかったが、「決勝に乗るまでも連日、前の人のおかげ。とにかく僕は恵まれてる」と弱音は口にしない。
 これで記念初優勝。次はビッグレースでの活躍が期待される。
「同期はみんな記念を獲ってるし、僕もいつか獲りたいと思ってました。まだ記念かもしれないけど、みんなが獲りに来てるなかでの優勝ですからね。これに満足せず、また明日から頑張ります」
 表彰式で流した嬉し涙を拭うと、芦澤はまた力強く前を向いた。

 記念初優出で2着なら大健闘のはず。しかし、チャンスがあった展開だけに、佐藤悦夫は悔しさを隠せない。
「最後は力が入ってしまった。場慣れですね…。これが3回目の決勝とかなら違ったんでしょうけど。芦澤が(上野を)追いかける感じだったので、抜きづらさはあったけど、それでも差せるようにならないと」

 武田に内をすくわれ岸澤賢太との連結を外した平原康多は3着までが精一杯。
「やってしまった。後ろは武田さんだし、緩めたらしゃくってくる。内を締めてたつもりだったけど、岸澤も上がったからね。落車でフワッとなって一杯になってしまった」

 逃げた上野真吾は引き揚げてくるなり、その場にへたり込んだ。
「あれで残れないんだから仕方ない。楽に出切れたんだけど、もう少し回せればよかった。今回は地元で緊張したわりには力を出し切れました。そこだけは十分です」

 単騎戦で出方が注目された海老根恵太は「何だかんだ言っても神奈川の後ろになっちゃいましたね。上野もよくあの上を行ったと思う。(上野が)行き切ってチャンスかなと思ったけど、気づいたら(前で)ガチャンとなって…」

  同じく単騎の中村一将は「2番(岸澤)がもう少し先行するかと思ったけど、打鐘前で(踏み上げるのが)遅かったときにどう対処するかでしたね」とレースを振り返った。

ゴール
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