『平塚競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月28日

 平塚競輪場開設67周年記念「湘南ダービー」が28日に開幕した。午後から雨が降りしきる悪条件のなか、オープニングレースから激戦が繰り広げられた。メインの特選3個レースは郡司浩平、稲川翔、菊地圭尚の3人が白星スタート。2日目の29日は優秀「オリオンビールカップ」をメインに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 29日の2日目も場内イベントは盛りだくさん。大テント下ステージではキャン×キャンによるお笑いライブ、ディアマンテスのライブ、エイサーライブが予定されています。ぜひ平塚競輪場でお楽しみください。

<1R>

畑段嵐士選手
畑段嵐士選手
 前受けの中西大は押さえにきた市川健太に対し突っ張る素振りを見せたが、結局車を下げる。態勢を整えると、打鐘の2センターから巻き返して前団をひと飲み。これにしっかり続いた畑段嵐士(写真)は、まくってきた小林則之を冷静にブロック。直線で田中誠も阻んでオープニングレースを制した。
 「もう誰もこないと思ったんですけど、小林さんがいいスピードできていて。早めに張らないと後ろまで引き込まれると思ったので、その辺はしっかり(対処した)。内も見ながら余裕もありました。久々の1着ですね。練習中の落車で膝の靭帯が伸びてしまって休んでいたけど、もう痛みもないし、調子も上がってきました」
 中西大が2着。自慢のパワーを存分に発揮して、別線を粉砕した。
 「前を取った時点で突っ張るか、引いてカマシしかないと思っていました。押さえ方が甘かったから突っ張ってもよかったですね。いつものスタイル(押さえ先行)ではないけど、最後までしっかりと踏み切れたし、調子はいいと思います」
 小林の仕掛けを追った田中誠は、直線で中のコースを踏み上げる。しかし、畑段に阻まれて伸びきれず3着。
 「舘(泰守)さんが離れたのは計算外でしたけど、中西君が絶対に仕掛けると思ったので。初日は(中西の)番手を狙うか、まくりしかなかったですね。でも、まくりは条件付きになるから、赤板で突っ張っていたら(番手に)追い上げていたかも」

<2R>

 後ろ攻めの野田源一が赤板の1センターで前に出る。その上を嶋津拓弥が押さえ打鐘で主導権。中団は南関勢を追った山崎光展と、野田とで併走に。隊列が短くなったところで、前受けから後方に下げた佐藤一伸が4コーナーから反撃。番手で一呼吸いれると、最終2コーナーから再加速して抵抗する嶋津をバックで捕らえた。
 「1センターで入ろうとしてしまいました。でも、いけそうだったので、入るよりは前に踏もうと。1着スタートができてよかったですね。あのレースができれば、体も大丈夫です」
 藤田竜治はゴール前で佐藤に迫るも、交わせず2着。しかしながら、きっちり佐藤の仕掛けに続き北日本ワンツーを決めた。
 「佐藤君がだいぶ外々に踏んでいて。かばいたかったのでギリギリまで待ったら2着でした。自分から買ってくれていたお客さんに申しわけなかったですね。でも、佐藤君が強かったです。川口の一発をもらったけど、また踏み直して。頑張ってくれて、感無量ですね」
 川口直人が嶋津の番手から追い込んで3着。勝ち上がりを逃した嶋津を気遣いながらレースを振り返った。
 「嶋津君が風を切ってくれたので、もう少し何かできればよかったかなと思います。でも、佐藤君も脚があるので。なかなか難しいですね。勉強です。あんな感じですけど、自分の感じも体調も悪くないです」

<3R>

山口富生選手
山口富生選手
 前受けの櫻井正孝が打鐘で村上直久を突っ張る。川津悠輝のブロックでバランスを崩した村上は後退。植木和広が櫻井の後位に追い上げ、もつれたところを廣田敦士が打鐘の4コーナーから一気に仕掛ける。中近ライン3車で出切って上位独占の態勢。最後は山口富生(写真)が鋭く差し切り、久々の勝ち星を挙げた。
 「櫻井君の点数が抜けているので、どういうふうに7番手に置くかを考えていた。打鐘のアクシデントで村上君がいなくなって、自力が1人減ったのが大きかった。廣田が落ち着いて行ってくれた。この1着はうれしいね。うまく決まってよかったです」
 タイミングよくスパートした廣田敦士が2着。ラインを上位独占に導いた。
 「展開が向きました。村上さんのアクシデントがあって、その間にうまく行けました。運がよかったです。バンクが重かったんですが、いい感じで踏めました。最後のひと踏みは足りないですね。そこが強い人たちとの差です」
 ライン3番手の山本佳嗣がしぶとく3着に流れ込んだ。
 「恵まれました。なんとか付いていけた。点数がなくても展開ひとつですね。1月からA級なんで、(初日)特選に乗れる点数を確保するのが今の目標です」

<4R>

 今シリーズが記念初挑戦の佐伯辰哉が強敵を打ち破り、白星スタートを切った。正攻法に構えた佐伯はいったん、車を下げて残り1周からスパート。中団から踏み込む柴崎淳とタイミングが合ってしまう苦しい展開に。持ち前の器用さを発揮して島野浩司をさばいて番手を奪うと直線で鋭く抜け出した。
 「前になったら引いてカマす作戦でしたけど、ずっと(柴崎に)見られていて。ホームから仕掛けたけどタイミングが合ってしまったので。でもそれ(さばき)が自分のスタイルなので。先行は機会があればします(笑)」
 佐伯追走の吉永好宏が1センターで内に切り込むと、吉岡篤志が追い上げる形となって2着に入った。
 「(吉永が)内にいってごちゃっとなったし、詰まってしまったので追い上げました。自分もS級点がかかっているし余裕がないので。この2着はでかい」
 中団確保からまくった柴崎淳は末の粘りを欠いて3着。
 「風も強かったので、めっちゃ(バンクが)重かったですね。時間帯も早かったし、まだ体も重かった。でも調子は上向いてきているので」

<5R>

 打鐘で誘導を降ろした戸田康平と、すかさず巻き返した小原唯志とで主導権争いが勃発する。これで絶好の展開となったのは南関勢。戦況を見極めていた本多哲也は、最終1センターから踏み上げて前団をバック過ぎにまくり切る。最後は小菅誠が差し切り。地元記念で白星スタートを切った。
 「前を取ったら、別線が踏み合ってくれればと思っていました。あれが一本棒になっていたら危なかったですね。本多君が出切ってくれたのが何より。本多君には初めて付いたんですけど、踏み出しがきつかったですね。でも、最後は抜くだけだったので、練習みたいな感じで抜けました。地元記念で1着が取れて嬉しいです」
 本多哲也はしっかりチャンスをつかんで、二次予選に勝ち上がった。
 「前を取ったらあれしかない。でも、小原さんが先に切ったらアウトだと思いました。展開がよすぎたし、距離も踏んでいないので(状態は)わからないですね。出脚はよかったです」

<6R>

 打鐘前に切った日野博幸を長尾拳太が押さえて主導権を取る。日野が中団に収まり、7番手となった松坂洋平は4コーナーから反撃。最終2コーナーで日野を内に押し込むと、そのままインをすくっていく。小林信晴を外に飛ばした松坂が長尾の後位から鋭く追い込んだ。
 「落車があったので素直に喜べないけど、自分としては反応もよかったし、気持ちで取った1勝です」
 高木隆弘をどかしてバックから踏み上げた牧剛央は松坂の後位に追い上げる形から2着に流れ込んだ。
 「レースは見えてました。松坂君は来ると思っていたし、高木さんは空いていたので、そこしかなかったですね。瞬時に判断して体は動きました。でも、重かったですね。最後も前を抜ける気がしなかった」
 打鐘先行の長尾拳太が3着に粘り込んだ。
 「風が強くてまくりに構えても厳しいので、とりあえず後ろから前に出ようと思ってました。(別線が)構えてくれたので、あとはペースで駆けました。重くて感じはあまりよくなかったですね」

<7R>

新山将史選手
新山将史選手
 積極タイプの泉谷元樹と島川将貴で打鐘から激しい先手バトルを繰り広げる。冷静に中団を確保した新山将史(写真)が最終バックから好回転でまくって快勝。北日本ラインで確定板を独占した。
 「よかったのは、あの(打鐘前に内をすくった)動きだけですね。結果的に踏み合いになってまくれたけど、(泉谷が)1車受けて番手に入っていたら厳しかったと思う。脚はいいと思うけど、明日(2日目)以降はその辺を考えないといけないですよね」
 前回途中欠場明けの荒澤貴史は口が空きながらも懸命に続いて2着を確保した。
 「室井さんが降りてきそうだったので構えていたので飛ばせました。付け直せたけど(新山が)強かったですね。前回とフレームを換えて少しは良くなったけど、もう少しセッティングを煮詰めたい」
 坂上忠克は4角ハコ展開を生かせずに4着まで。
 「厳しい戦いになると思っていたけど、自分の技術不足でした。どかすこともできず余裕もなくて(車間が)空きっぱなしでした。申しわけない。泉谷君が強かった」

<8R>

 後ろ攻めの吉本哲郎から順に切ると、打鐘で出た城幸弘がそのまま先行態勢に入った。前受けの簗田一輝は7番手まで車を下げたが、打鐘の4コーナーから一気の反撃。あっという間に前団を飲み込んだ。番手の上野真吾は阿久津修のブロックもしのいで簗田に続くと、最後はゴール寸前で交わして1着。
 「スタートを取らされちゃったので、あとは簗田君のタイミングでいってくれと思っていました。いいタイミングでいってくれましたね。強かったですよ。師匠(渡邊秀明)も来ていたし、目の前で1着が取れてよかったです。状態がよくなかったんですけど、それが普通になって出し切れるようになってきました。今回の状態はいいです」
 ワンツーを決めた簗田一輝だが、組み立てを反省する。
 「初手は中団からと思っていたんですけど、誰も出なくて。ジャンのところで巻き返さないといけなかったですね。バックを踏んでいる途中だったので、止めてしまいました。強引にでもいくべきだったと反省しています。組み立てがまだまだ。ワンツーは決まりましたけど、(南関3番手の)眞原(健一)さんには申しわけなかったです」
 吉本哲郎は、8番手からまくって3着に食い込んだ。
 「(初手で)前を取る気はなくて。中団も取れないだろうから後ろからでと。簗田君が(最終)ホームで後ろだったし、仕掛けたら引き出してしまうので。どうしようかなと思ったけど、いかないと(勝負圏が)ないなと思って仕掛けました。落ち着いてはいましたね」

<9R>

佐藤和也選手
佐藤和也選手
 赤板から飛び出した木村弘が後続を1本棒にして徐々にペースを上げる。前受けから7番手に下げていた元砂勇雪は最終ホームから反撃。北日本勢を一気に飲み込んだかに見えたが、番手まくりで応戦した佐藤和也(写真)が内から盛り返してゴール前の激戦を制した。
 「あんなに(木村が)フカすとは思わなかったです。ちょっと(元砂の)スピードが違いました。完全に行かれたと思いました。本当は出て行きたくなかったし、もうちょっと仕事をしたかったんですが…。難しいですね。今は戦法チェンジをしているので、タテに踏んだらダメですね」
 ロングまくりの元砂勇雪は僅差の2着。レース後は首を傾げる。
 「外に持ち出して、踏み出してから全然、車が進まなかったです。すごく重かった。3コーナーではいっぱいでした。(怪我の)痛みはないけど、仕上がりは悪いですね」
 元砂マークの伊代野貴照は3着まで。
 「元砂が下げて、どういう仕掛けをするのかタイミングを計りながら見てました。雨と風で視界がちょっと悪かったですね。でも、アップ中から調子がよくて、踏んだ感じも悪くなかった」

<10R>

林雄一選手
林雄一選手
 地元の郡司浩平が、ファンの期待に応えて勝ち上がりを決めた。レースは打鐘から踏み上げた北津留翼が、三谷竜生を叩いて先行策。三谷は連結が外れた北津留の番手にはまると、最終2コーナーからまくり上げる。郡司は4番手で三宅伸に絡まれるも、何とかしのいで中近コンビを追走。2センターからまくり追い込んで激戦を制した。
 「思った以上に早めにレースが動いて、イメージと違いました。本当は自分が三谷君みたいなレースができれば良かったけど、仕掛けるのも遅くなったし、わがままなレースになってしまった。その辺も優秀は修正したい」
 林雄一(写真)は中近勢の中を割って2着に入線。的確なコース取りを見せた。
 「外では届かないと思って。最善のコースを踏めたし、余裕もありましたね。一番人気になっていたし、ワンツーが決まって良かった。(怪我をして)前より考えるようになったし、前より練習をしているけど、戻ってはいないです。8割くらいですかね。1、2走だけではなくて、この後も(初日の競走を)続けたい」
 笠松信幸が追い込んで3着。レース後は目標の三谷を称賛した。
 「三谷君はさすがですね。郡司君に合わせて仕掛けると思ったけど、すかさず仕掛けましたし、グランプリに乗る選手は違う。自分は3着に入れたけどあそこ(4コーナー)で内を空けたらダメですね」

<11R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 南関ラインの先頭を務めた近藤隆司が、赤板の2コーナーから主導権を握る。稲垣裕之は先に切った阿竹智史を押さえると、南関勢を受けて抜かりなく4番手の好ポジションをキープ。1センターから踏み上げて、近藤を2センターでまくり切る。最後は番手の稲川翔(写真)が、ゴール前できっちり差し切った。
 「どんな形になっても、稲垣さんとゴール前勝負をしようと思っていました。ワンツーが最低条件ですし、最後は決まるなと。コメントはなしって言うくらい(稲垣が全てやってくれた)。今後、援護できるレースがあると思うので(援護をしたい)」
 稲垣裕之は4番手を確保するなど、レース巧者ぶりを発揮。見事に近畿ワンツーを決めた。
 「近藤君のペースは微妙なところがあるので、惑わされました。モコモコしているように見えたけど、バックで近藤君がまた加速している中でいき切れているので手応えは悪くないですね。加速する感じだったし、調子も良いです」
 岡村潤は近畿勢を追った阿竹智史をさばくと、2センターから外を踏んで3着に入った。
 「稲垣さんが直線できたので、あれは止められないですね。佐藤君がすぐ追っかけてくれれば、また違ったとは思いますけど。(佐藤が)張って、前に踏んでくれたらいいなと思っていたら残したので。それで、先に踏んでしまって。早く踏み過ぎてしまいました」

<12R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 打鐘で高橋和也を押さえて先行態勢を取った早坂秀悟に対し、8番手となった吉田拓矢がすかさず襲いかかる。最終1コーナーで吉田が強引に叩き切るが、武田豊樹は離れて、早坂が番手に収まる。懸命に前を追いかける早坂の後位から菊地圭尚(写真)が直線で鋭く伸び切った。
 「あの展開は(早坂が)きついですよ。3コーナー過ぎで、すごいきつそうだったし、後ろに岡部(芳幸)さんもいるので最後は踏ませてもらいました。あんなにゴール前、伸びるとは思わなかったですね。うれしいです。(早坂との相性は)いいんですけど、自分ばっかりですね。脚は前々回(10月広島FI)ぐらいから上向いてます」
 6番手からまくった高橋は不発となったが、そのスピードをもらった坂口晃輔が2着に突っ込んだ。
 「(高橋)和也が仕掛けてくれたおかげです。余裕はなかったんですが、体は問題ないです。悪ければ千切れてますから。前(岡部)が内に入って、(菊地)圭尚さんをめがけていけました。直前に新しいシューズに替えて、まだ馴染んでないですね。練習では試していたけど、いざ本番になるとやっぱり違います」
 援護を失う形になった吉田拓矢だが、しぶとく3着に粘り込んだ。
 「警戒されたんですけど、緩んだところで行けました。冷静に走れたと思います。最後は苦しくていっぱいでしたけど、状態は悪くないです。最後にけっこう行かれてしまったのは悔しいですね」