『小田原競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月30日

 小田原競輪開設71周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」は8月30日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は地元ラインの3番手を回った和田真久留が直線で中を突き抜け、17年11月防府以来、2年9カ月ぶり2度目の記念制覇を果たした。

決勝戦 レース経過

 号砲で飛び出した郡司浩平がスタート争いを制して前を取り、松井宏佑-郡司-和田真久留の地元トリオが前受け。吉澤純平-佐藤慎太郎が中団で、松浦悠士-東口善朋は後ろ攻めで周回を重ねる。
 青板のホームから動いた松浦は郡司の横で止まり、番手と3番手が併走状態で赤板を通過。先頭の松井は、後方を警戒しながら徐々にペースを上げて打鐘を迎える。郡司の再三のけん制に外併走の松浦が最終ホームで遅れると、次は脚を溜めた吉澤が襲い掛かる。勢い良く前団に迫ったが、2コーナーの郡司のブロックで失速し、そのあおりを受けた佐藤が落車。逃げる松井を先頭に4コーナーを回ると、最後は松井と郡司の間のコースを踏んだ和田が鋭く伸びて優勝を飾った。2着は逃げ粘った松井。3着入線の郡司は押し上げで失格となり、松浦が3着に繰り上がった。


和田真久留選手
和田真久留選手

 盤石のシフトを敷く地元勢に松浦悠士が牙をむいた。分断策に出た松浦と郡司浩平で松井宏佑の後位は激しい競り合い。ラインの3番手でためていた和田真久留(写真)が鮮やかに突き抜けた。
 「まったく想定してない展開でした。松井君にすべて任せていました。松浦君と郡司君が自分の目の前でやりあって刺激というか、すごい競輪をしてるなって感じてました。(ラインの3人)それぞれが自分の持ち場をしっかり守ることができた。3人で決まれば一番良かったですけど、郡司君が失格してしまったのが唯一、悔いの残るところですね。自分としては3番手の仕事に専念してました。まだあんまり実感はないですけど、地元で勝てたことはうれしく思います」
 今シリーズは初日から3日目まで番手戦。そして決勝は3番手と4日間、すべて人の後ろを回った。南関の力を通して肌で感じたシリーズだった。
 「今回は松井と(渡邉)雄太、(郡司)浩平というトップの自力選手の番手を回れて、貴重な経験になりました。それぞれみんなタイプが違うけど本当に強いです。彼らの前で自力で勝負できるくらいの力をつけていきたいですね」
 若手の台頭が顕著な南関勢は地区全体が活気づいている。和田もその一員として役割をしっかり果たす。
 「最近はいい走りができていなかったけど、このまま追い込みに変わるわけじゃない。より一層、タテの脚を磨いて、GIの舞台で南関の一躍を担えるように」
 次のGIは10月の寬仁親王牌。そこまでにさらにパワーアップして、GI獲りに名乗りを上げる。

 松井宏佑は初日からオール連対の準優勝。連日、ラインの先頭で持ち味を発揮した。
 「(松浦が)来るのが遅ければ突っ張って、早ければ引いて自分のダッシュを生かした仕掛けをしようと思っていました。郡司さんのところで止まったので。3人全員でとはいかなかったですけど、(和田)真久留さんが優勝で良かった。今開催はけっこういい走りができたと思うので、共同杯も決勝に乗れるように頑張りたい」

 郡司に競り負けた松浦悠士だが、見せ場たっぷりだった。懸命に立て直して4位入線。3着に繰り上がった。
 「地元勢が前を取ってあの並びになった時点で(松井の)番手も考えていました。松井君が引くかなって思ったので叩こうとしたら(赤板前の)4コーナーからけっこう踏んだので。相手が地元なので行くなら外からって決めてました。飛び付きは考えていませんでしたね。地元に気を遣って負けるのは違うと思うし、自分の立場上、車券に貢献しないといけないと思って勝負にいきました。これが正解かはわからないですけど、やるべきことはできたと思います」

 前団がもつれて吉澤純平はにとっては絶好のまくり頃かと思われたが、不発に終わった。
 「前の決着がついてなかったので、行けると思ったんですけどね。ペダルがあたってしまった。あそこから郡司が(番手から)出ると思ったんですが、そうならなかったですね」





9月3日~6日まで向日町競輪場において向日町競輪開設70周年記念「平安賞」(GIII)が開催されます。
地元地区の近畿勢からは、村上義弘、博幸兄弟、稲垣裕之の地元勢を筆頭に、注目の大型ルーキー寺崎浩平、三谷竜生、稲毛健太ら機動力自慢の健脚がズラリとそろっており、近畿勢の結束力で優勝者を出せるか要注目です!!
その他にも、先日の松戸記念準V平原康多、オールスターで決勝進出を果たした山田英明らの実力者がそろっており、興味津々のV争いとなりそうです。
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