『小田原競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:8月27日

 小田原競輪場で開催されている開設72周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」は、8月27日に2日目が行われた。二次予選では地元の松井宏佑が逃げ切って人気に応えた。また、守澤太志、平原康多、清水裕友のS級S班3人も順当に勝ち上がった。28日の3日目には決勝をかけて、準決で熾烈なバトルが繰り広げられる。
 小田原競輪場では神奈川県への緊急事態宣言の発出に伴い、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<6R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 前受けから突っ張り気味に踏む北津留翼(写真)を久木原洋が押さえて先頭に立つと、その上を小原佑太が出て主導権。隊列は一本棒でレースが流れる。小原のペースで最終ホームを通過して、7番手の北津留は2コーナー手前からまくりを打つ。中団の久木原を乗り越えて、直線で小原をとらえた北津留が1着。
 「突っ張らないといけなかったけど、久木原さんに出切られちゃいました。2コーナーの出口の向かい風がちょっと誤算でした。組み立ては失敗です。踏み出しもイマイチの気がした。たぶん暑さのせいかなと」
 北津留の踏み出しにきっちり続いた渡部哲男が2着に入り、ラインでのワンツー。
 「(久木原に)カマシ気味に出られたんで、(北津留は)仕方ないですね。(今シリーズ1、2着は)流れに恵まれている部分が大きいけど、自分はいまそこ(成績)が一番ないので、勝ち上がっていくことが少しでも自分にとってはいい薬になる」


<7R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 人気の眞杉匠(写真)は5番手に構えて、鈴木陸来が主導権を握る。インを進出した野田源一と眞杉が併走になって打鐘を通過。野田に張られた眞杉は、態勢を立て直して最終2コーナーからまくり上げる。逃げる鈴木をスピードの違いで仕留めた眞杉が後続をちぎった。
 「前を取って突っ張れれば突っ張ろうと思っていたんですけど…。(佐藤一伸に)追い上げにも来られてしまって、(野田に)しゃくられてしまった。余裕はなかったですけどなんとか。昨日(初日)も今日も風を切れていないので明日以降がちょっと不安ですね。前よりは先行できなくても、落ち着いてまくれるようにはなりましたけど」
 あおりを受けた芦澤辰弘が眞杉との連結を外して、逃げた鈴木マークから差し脚を伸ばした田中晴基が2着。
 「眞杉君に来られていたら厳しかったですけど、なかなかこなかった。自分もしゃくられてしまった時にいかれてしまったんですけど、眞杉一人だったのでなんとかなりました。余裕はなかったですけど、(鈴木と)ツースリーで勝ち上がれたので」


<8R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 松井宏佑(写真)を後方に置いて、石塚輪太郎が先行態勢を取る。4番手の阿部大樹が赤板で踏み込むが、石塚が突っ張る。松井は2コーナーからの山降ろしで仕掛けて、抵抗する石塚を最終ホームで叩く。松井、成田和也で出切るが、中田雄喜は付け切れない。松井が成田の追撃を半車輪退けて押し切った。
 「車番も良かったんで、前を取って誰も来なかったら突っ張ってと。来たら引いて行けるところから。(いずれにしても)先行したかったです。出切るまでに予想以上に脚を使ったけど、初日よりはいいと思う。初日はいい感じで出切ったのに末脚がなかった。今日(2日目)は最後まで踏めるようにっていう感じでした」
 後続を引きつけた成田和也は、直線勝負で詰めるも及ばずの2着。
 「(松井は)しっかり追走していきたい選手ですし、今日もしっかりと追走できた。あとは8番(石塚)が入ったのもわかった。自分にも余裕はあったけど、松井君が思ったよりも踏み直してました」


<9R>

鈴木裕選手
鈴木裕選手
 佐伯辰哉が先頭に立つが、まだペースは上がらない。7番手の深谷知広は、赤板手前で楽に主導権を握ってレースを支配する。後続に反撃の隙を与えないハイペースで深谷が風を切り、流れは南関ライン。番手の鈴木裕(写真)が、ゴール前で交わした。
 「深谷君にすべてを任せていたので、付いていくことだけ考えていました。メンバー的に自分のところに粘る選手しかいないと思ったので、そこだけ集中していた。でも、あれだけ2周も駆けたら、粘れないですよね。ほぼ(深谷の)後輪だけ見てました。あの掛かりじゃ、まくってこられるのはワッキー(脇本雄太)くらいじゃないですか。いや、ワッキーでも厳しいかも。自分は自転車を戻して感じは良かった」
 初日特選に続いて次元の違うパワーを披露した深谷知広は、ラインを上位独占に導いて2着に残った。
 「今日(2日目)はもう先行だけでした。自分のもつ距離をしっかり。(ラインで決まって)それが一番ですね、3番手は地元の選手(近藤俊明)ですし。感じは良くないんで、勝負どころで踏めているだけって感じです。コンディショニングが難しい」


<10R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 赤板過ぎに後方から渡邉一成が踏み上げると、3番手の小森貴大も合わせて動く。渡邉が打鐘手前で出て、遅れ気味の守澤太志(写真)を待つようにしてペースを調整する。3番手に小森が粘って、藤田大輔と併走。長島大介は包まれて、最終回へ。逃げる渡邉との車間を空けた守澤が、抜かりなく追い込んで1着。
 「(渡邉が)すごかった。自分はミスしてしまって、待ってもらったんで申し訳なかった。6番(高橋清太郎)がしゃくってきたんで、それで口が空いてしまった。キツいところでのダッシュだったけど、そこを付かないといけない。自分の脚は申し分ないですね」
 意外な展開になった渡邉一成だったが、小森を制して積極策でラインの守澤とのワンツー。
 「バックを踏んで脚がいっぱいだった。藤田君が浮いてるのが見えて、その後ろがどうなってるのかわからなかった。まくりが来るとしたら、いいスピードだろうから(踏み出しを)待てなかったです」


<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 青板のバックで中村圭志が落車。根本哲吏が先頭に立ち、平原康多(写真)は5番手で別線の様子をうかがう。1人になった東矢昇太がインを押し上げると、平原に続き、東矢との併走から佐々木豪も打鐘手前で仕掛ける。堤洋は追い切れず、根本を叩いた佐々木には平原が続いて、3番手以下が離れる。平原が後ろとの間合いを確認しながら、余裕をもって抜け出した。
 「誰が落車したのか確認してからって思ったんですけど、6番(東矢)がすくってきてタイミングが狂いましたね。無我夢中で踏んでいたので(後ろの状況は)わからなかった。(佐々木の番手に)入れたので無理はせずにと。昨日(初日)は後方すぎてちょっと脚の感じはわからなかったですけど、今日はレースを組み立てようと思っていた。まずまずかなと」
 平原の仕掛けに合わせて動いた佐々木豪は、ラインの援護を失うも逃げて2着に残った。
 「落ち着いて自分の順番が来るまで待ちました。根本さんが出てから流したので、テンポがズレましたね。後ろはわからなかったです。(最終)4コーナーを回って平原さんが抜きにきたので、そこでわかりました」


<12R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 赤板2コーナー過ぎに染谷幸喜が主導権を握るが、清水裕友が打鐘の3コーナーから前団に襲い掛かる。染谷も全開で風を切るが、清水が力の違いで出切る。清水に柏野智典(写真)、久米良まで続いて、直線は3車の勝負。ゴールは横一線になったが、番手の柏野が清水をわずかに交わした。
 「(清水)裕友は最近、タイプが変わってきているのもあるし、(踏み出しで)口が空いたけど離れちゃうなって感じではなかった。最後は(清水を)抜けたというより、抜かせてくれたという感じですかね。体調は問題ない。(今回から)フレームを換えたんですけど、それがいい感じです」
 構えることなくスパートして、ラインを上位独占に導いた清水裕友は、S級S班としての責務を果たして2着。
 「無理くり(仕掛けて)行けたけど、ちょっと持ち味が出てない。あそこからもうひと加速できれば。トルク感がないのが最近の悩みですね。力を入れているだけで、流れている感じがない。いままでの感覚だと(最終)ホームで出られるかなってのがあったけど、これホンマ出られるのかなっていうのがあった。ちょっと課題は多いですけど、(準決も)しっかり頑張ります」